ウォリスのライブをご覧になった船橋岳大さんにお話を伺いました。

さてさて…今回ウォリス・バードのベスト盤のライナーを書かれた船橋岳大さんは、私よりずっと前にウォリスのライブを観ているわけだけど、その時どんなだったか、お話を伺ったので、それをご紹介していきたいと思います。

 「最初にウォリスを観たのは、Smashing Magの取材で行ったSOUTH BY SOUTHWEST (SXSW)でした。SXSWは「音楽見本市」と呼ばれ、一般的なフェスのように音楽ファンが楽しむ側面とは別に、アーティストが自らを売り込み、音楽関係者は有望な新人を発掘する場という面を持っています。著名ミュージシャンも出演しますが、僕の場合はそれよりも世界中の未知のアーティストに興味がありました」 


「ウォリスを知ったきっかけは、SXSWの公式サイトで「アイルランド」というキーワードでアーティストを検索したことです。シャロン・シャノンといったアイルランドのアーティストが好きで、伝統音楽っぽいのが見れたらいいなーと思って漠然と探していました。そこでたまたま目に入ったのが、上目づかいでカメラをのぞく、ウォリスの当時のアーティスト写真。可愛いなぁと思って興味を持ちました(笑)。それが最終日とかだったんですけど、もうある程度ステージもたくさん見たし、取材用のアーティストについては、すでに原稿書くネタも集まったから、あとは自分の興味で行ってみようと」 


「ライブは昼と夜に2本あり、まず行ったのがコンベンションセンターというの本部が入っているビル。売店や休憩用のテーブルが置かれた場所にステージがあったんですけど、無機質なところで、照明も暗いし、見た目の雰囲気も悪いし… 会議室じゃないけど… なんかその時は「ミュージシャンもこんなところでやるなんて可哀想だな」って思ったくらいの場所だったんです」 


「バンド編成は今とあまり変わらず。ドラム、ベース、鍵盤… ライブを見たときに、いきなりガツンときたわけでもないけど、ほら、ウォリスっていっつもあの全力感で歌うじゃないですか。だからだんだんそういうの見ていくうちに引き込まれていって…。その時点で夜もやることは分かっていたので、夜の部も行ってみようと決めたわけです」 


「夜はスペインバルみたいなところが会場で、そこも暗くて、お客さんもまばらというか… SXSWって動員が顕著に出るんですよね。注目されているミュージシャンのライブは入場規制がかかる一方、無名のミュージシャンはガラガラだったり…僕は前の方で見てたんで、後ろに何人いたか覚えてないんですけど、数十人とかそういうレベルだったと思います。それでも昼間見たときと比べて、単純にぐっときた。迫るもんがあるなぁ、と。僕は撮影をしていたのでお客さんのようにじっくり聞いていたわけじゃないんですけど、後半になるにつれて、本当に音楽に引き込まれたんですよね」


 「その時やったのが“All for You”だったと思うんですが、撮影しながら涙がこみあげてきて、終わった時に脱力感というか、あぁいいもんみたなぁ、と…。事前に調査してたミュージシャンのライブと比べてもダントツで良くて。もう1人すごいミュージシャンがいたけど、ライブのレベルでいうとウォリスの方が格段上だったなぁ、と。それが彼女との出会いでしたね」 


 このときの圧巻のライヴレポートはこちら。  写真のコピーライトも船橋さんです。












もちろんAll for Youも収録!