手伝うよ、とか言ってくれるのはいいんだが…

こういうビール大好き。(写真は本文とまるで関係なし)
 最近はめったになかったのだが、忙しくしていて大変だ、大変だ、とブログとかで私が言うせいかもしれないが、「ファンですから手伝います」みたいなオファーを、よく知らない人からいただく。ありがたいけど、もちろんお断りしている。

というか、ボランティアで形成されているフェスティバルとかならともかく、要領をえない素人がプロの仕事場にいて良いことなど1つもないのだ。そしてファンだというのならコンサートチケットをきちんと買ってくれるのが,ウチに対しては一番の応援なのだ。それが一番ありがたいのだ。だからとにかくチケットを買って、応援してください、と返事を書いた。

最近は滅多にそんなオファーをもらうこともなくなったのだが、久々に、しかもフレアークのツアーの真っ最中の超忙しい時に、そういうことがあったので、かなり頭に来た。ちなみにその人は大学時代の友達の友達で、面識もあるのだが、たまたまウチのミュージシャンのファンだという。でもその人はウチからチケット1枚、CD1枚すら買ったことすらない。それでもウチのミュージシャンにパーソナルに会いたいから手伝いたいんだ、とか言ってくる。ちなみにアメリカ人です。

それにしても「手伝いたい」とか、よく簡単に言うよなぁと思う。あぁ、でももしかしたらフレアークのツアー写真が楽しそうに見えすぎたのかもしれない。自分もこんなことしてみたいな、と思ったのかもしれない。でも、どんな仕事だって、誰がやってもいい仕事なんかないのだ。チラシまき1つだって、1つ物を運ぶことだって、その責任は大きいし、それぞれの流儀がある。チラシだって招聘している私が持ってまわるのと、バイトや代理が持ってまわるのではまるで結果が違う。また彼は日本に住んでいるアメリカ人ということもあって「通訳とかもできるし」とか簡単に言ってくる。ありえないよなー。私が通訳として信頼している人は、この世に二人しかいない。ライブの手伝いだって、いつも頼むスタッフは片手の指の数に足りない。

もちろん手伝います、って気持ちはありがたいとは思う。向こうに悪気はまったくない。でも悪気がないから何でも許すというわけにはいかない。この悪気がないって、アメリカ人が頻繁に犯すミスだよね…。そして「手伝いたい」とか言ってくる割には…その彼がそれほどうちの事業に対して熱心に思ってくれているわけではなく、つまりこの投稿を読む可能性はほぼゼロだとも思う。

10年以上前は、私もバックステージに家族や素人の友達を呼んだりしていたが、今はもう絶対にしない。それでだいぶ友達も失ったしねー でも普通はいくら仲のよい友達だって、その人の仕事場には普通行かないし、行ったとしても友情よりオフィスの雰囲気とか優先するでしょ、普通。そういう事なのよ。すごく当たり前のこと。それが分からない人があまりにも多すぎる…

それとは別にこんなブログとか書いていると、野崎さんのアドバイスが聞きたいんです、とか言って連絡してくる人がいて、時々会ったりするんだけど… 会ってちょっと探りを入れれば、その人がどのくらい私のブログを読んでいるのか、すぐ分かるし、申し訳ないけど、読んでない人にあげる無料のアドバイスはありません、と思う。私にアドバイスが欲しいんだったら、最初に全部ウチのブログを読んでから来るか、ちゃんとコンサル料、払っていただくか、どちらかにしてほしい。

そういや、つい最近も「日本人アーティストを手伝いたくて」みたいな相談をしてきた女性がいた。その彼女に「うーん、でもまぁ私に言わせりゃ、ほとんどのアーティストはだめだね」とか厳しい事を言ったら、その理由を聞かれ「長くなるからブログに書くわ、それ」と彼女に約束した。

そろそろ彼女に向けて、その回答を書かないと…私も律儀だよね(笑)。あの子が読んでくれるかは別として自分でも考え方をまとめておきたいから、書いておこう。

でも例えばフレアークのツアーとかで、マリウスみたいな驚異的にすごい音楽家とか出会っちゃうと…ホント、すべてにおいてレベルが違う、と思うんだわな。あのレベルまで行ければ、音楽やるのに理由はいらないけど… ほとんどのミュージシャンは、そこまで行かないから(というか、行かなくても音楽活動は充分できる)ちゃんとした「音楽やる理由」が必要で、その理由をリスナーや一緒に働いているスタッフと共有していかないと、やってる意味がまったくないんではないの、と私は思うわけさ。

ま、楽しいからやってます、程度だったらお客さんにお金もらう必要も、外部のスタッフに手伝ってもらう必要もないわけで、それだったら自分で全部やりゃあいい。家族でもない外部の人を巻き込むなんてもってのほか。そしてミュージシャンって見事にほおっておくと、自分が楽しいと思う方向に流れて行くんだよね…驚くほどに。自分できっちり自制が効いて、きちんと出来る人はほとんどいない。まぁ、だから私たちみたいな職業が成り立つわけだけど。それはミュージシャンだけではなく、すべての職業において同じで、だからコンサル業みたいなのが、すべての職業の側にあるわけなのだけど。自分の事業をどうするかは本人の勝手であって、他に迷惑かけてなきゃ、それはそれでいいんだけど。だけどそれをあえて外部の人間が手伝ったり、お客さんからお金を取るんであれば、まるで話は違って来るんだよ、ということ。

ま、でもいいのか。心中したいなら…。それも1つの道だろう。手伝いたいなら手伝えばいいじゃないの? でも私にアドバイスをもとめるなら、それは違うよと答えたいね。手伝うのであれば、1人ではなく2人で出来ることをきちんと考えないと全然ダメだろう。お互いチェックしあって、高め合って行けるような対等なパートナーシップを組めないとダメだ。そして、この世の中の人が、なぜあまたある音楽の中で、この人の音楽を聞かなくちゃいけないのか、その理由をきちんと考えないとダメだ。なぜこの音楽が必要とされるのか? この音楽に意味はあるのか。もっと言えば、その音楽の存在意義だ。それを考えずに雑用だけ引き受けて、いい結果になるわけがない。雑用だったら、恋人なり家族なりそういう立場の人がやればいいだけだし…そして雑用だったら、恋人や家族でも出来るお手伝い、なわけだし。

と、まぁ、こんなこと書くとまた「厳しい」とか言われるんだろーなー。まぁ、でもあっちこっちに無責任にいい顔する方がよっぽど良くないのよ。それをよく考えてね。

PS
しかし何度も書くが基本の基本が出来てないバンドが多すぎる。ホームページのバイオくらいはちゃんとしよう。基本押さえるだけでも頭1つ抜けられるよ。「おまえのバイオはたいくつでとても読む気になれません」(英文記事)← そういう私もホームページのバイオ、なんとかしないと! 人のこと言うより自分のことよね。

PPS
マリウスがウチのFacebookページに提供してくれたこの映像、すごいアクセス数になっていて驚異。まぁ、本人がシェアしてくれてるからだろうけど…

今日の皆さん❤️
Posted by THE MUSIC PLANT on 2015年9月17日