青山透子「日航123便 墜落の新事実」を読みました



森永卓郎さんの紹介に引き込まれて、いてもたってもいられずポチってしまった。そしてあっという間に読破。やばい。「え〜っっ、それ陰謀論じゃないの?」とか笑われそうだけど、いや、これは読む価値があるちゃんとしたノン・フィクションです。すぐ読めます。文字大きいし,意外と短いです。それにすごく分かりやすい。

著者の青山さんも、あくまですべて仮定ということで書かれており、結論は出していません。でも証言1つ1つちゃんと集め、紹介できる人は実名やイニシャルで紹介し、きちんと分析しています。そして、これはもう… 決定だろうというところまで来ています。それでも青山さんはあえて断言はしていません。でもこれは、もうこういうことだろうと、結論づけるしかないんだと思います。もう結論は出ている。

というか、これだけいろんな証言、新しい証拠が出ているのにも係らず、なぜこの件について、まったく何も明らかにされないのか、それが本当に信じられない。ここにまた、自分たちで検証し、決断し、責任を国民全員で負っていこうということが出来ない日本人の姿があるのかもしれない。そして一部の悪い奴らはのうのうと生きているのだ。この件を墓場まで持っていこうという覚悟とともに… 

元日航の客室乗務員の方が書いたノンフィクション。著者は数年前にも「天空の星たちへ」という本を書いており、それを読んだ関係者、遺族などから、さらに新しい情報が彼女のもとに集められた。そして追加調査を続けていく中で、この本をまた書くにいたったのだという。著者はこの事件の真相解明に自分の人生をかけている。自分の大切な同僚や先輩を突然この事故で失った。彼女もまた被害者の1人なのである。と同時に、彼女はこの事故を起こしてしまった日航の職員でもあったわけだ。

奇跡的に助かった生存者4人のうちの1人が非番の客室乗務員だったから、その方の証言から、亡くなった同僚や先輩たちが最期の最期までプロ意識を捨てず、頑張ったことなどが証言として残っている。この本には当日の様子も臨場感たっぷりに書かれている。

彼らは不安がるお客さんの声に「絶対に大丈夫です。私たちはそれなりの訓練をうけています」と説明し、そのおかげか機内でパニックはなかったのだという。救命胴衣を全員が着用する中、最期のアナウンスをする乗務員。「ベルトはしていますか、テーブルはもどしていますか? 確認してください。…の際は予告無しで着陸する場合が… 管制塔からの交信はつながっています…」

また最後尾にすわっていた乗務員のおいては、手帖にふるえる文字でボールペンで非常着陸後の避難誘導の際のアナウンスの要点を日本語と英語で書いたのだという。パニックって言うことを間違えないように。大切なことを伝え忘れないように。彼女の…結婚したばかりの夫や両親の顔も浮かんだろうに、その手帖に私的なメモはなかった。「おちついてください、ベルトをはずし、身の回りを用意してください。荷物はもたない、指示にしたがってください」「ハイヒール、荷物はもたないで」「Release your seat belt Remove High (heel), don't take baggage,  follow our instruction」などと書かれた震える文字。これは画像でも掲載されている。そして次第に揺れが大きくなって急降下する中で、乗務員たちは叫びはじめた…。「足首をつかんで、頭を膝の中に入れる! 全身緊張! 頭を下げて衝撃に備える!」もうお願いする口調ではない、笑顔もない。そしてすべてが終った。彼らのプロフェッショナリズム、そして無念を思うと本当に心が痛くなる。

問題点が2つある。(1)日航機が墜落した原因、そして(2)なぜ機体/生存者の発見まで16時間もかかったのか。もっと助けられる人はいたのではないか。その2点だ。

(1)だが、これはもう…この本を読めば分かるのだが、ほぼ間違いなく自衛隊/もしくはアメリカ軍の練習用ミサイルが原因だろう。あってはいけないことだが、ホントにあってはならいことなのだが。85年、戦後40年、当時は中曽根政権で、防衛費GNP1%枠超えは非常にデリケートな問題であった。そんな時期のこの事故だ。これを公開するわけにはいかなかった。

(2)100歩ゆずって(1)はそれでも…事故だったとしよう。本当にどうしようもない事故だったのだ、と。さらにまずいはの(2)の方だ。実はこの事実は意図的に隠蔽された。その作業のために、機体の発見をワザと遅らせ、本来救える命が救えなかったのではないか…という事だ。 発見を意図的に遅らせている間に、証拠になりそうな機体や遺体の焼却作業を行った…という事。

(1)も(2)もびっくりしちゃうが、もう一度書くが青山さんは丁寧に証言をまとめ、説明している。彼女は日航をやめたあと教職につき、また東大の大学院で博士号まで取得している人だ。これは単なる陰謀論の本ではない。

特に(1)を裏付ける証拠の中で、子供たちの文集「小さな目は見た」の文章には涙が出た。該当機には子供が50人も乗っていただそうだ。またこの事故に親を奪われた子供もいる。そういう子供たちのことを思って寄せられた上野村の小学生、中学生が書いた文章。子供たちの目撃情報は…1年生から6年生までなんと70人以上もいるのだ。日航機の後に追従していた飛行機が2機あったこと。追従ミサイルらしきオレンジの小さな飛行機を見掛けたこと。そしてボイス・レコーダーに残された謎の「オールエンジン」という謎の音声。これは実はオレンジではないだろうかという説もある(You Tubeにあがっている音声を聞くと確かにそう聞こえなくもない)

(2)についていえば、その場ではありえない匂い、航空燃料ではない燃料の匂い(しかも当時自衛隊でしか手に入らなかったもの)がしたという証言が複数残っているのだ。そして不自然に炭化した遺体。

それにしても生存者の話によれば、飛行機が落ちた直後、まだ周りの人は何人も生きていたのだという。苦しがる声以外にも「よーしがんばろう」という子供の声まで聞こえていたのだ。また何人かの遺体は綺麗で傷がほとんどなかったものもあったそうだ。もしかしたら、もっと早く救助が開始されていれば絶対に何人か救えたのではないだろうか。

また当時の生存者4名はみな、自主的に行動した上野村の消防隊員によって発見されたのだという。上野村の目撃者は警察に電話したり、「JAL機が行方不明です」と叫ぶNHKに電話をしたり、警察に電話をしたり、皆、必死で行動した。が、それはすべて無視されたのだ。実は事故の場所はアメリカ軍によって事故後2時間後には確定されていた。アメリカ軍の担当者はあと15mのところで救援ストップを命令され引き返した。これは本人が証言している。そしてその間、自衛隊はいったい何をしていたのか。

そしてさらに… つい2年前、ダイバーが相模湾に事故機の垂直尾翼が沈んでいるのを発見したというニュースが、なぜかテレビ朝日だけで流れた。なぜ、これを調査しないのか、まったく理解が出来ない。そして事故原因の鍵を握っている垂直尾翼の7割は、いまだ回収されていない。

この件、私が生きている間にはっきりするのだろうか…。というか、こんな事では亡くなった方たちは本当に浮かばれない。遺族の方も浮かばれない。そして何も学ばない私たちは、原発事故で同じような経験をし、いまだに「カケ」とか「モリ」とか言っているわけだ。

そして自主的に行動した地元消防団の皆さんをはじめとして、この本を書いた青山さん、そして遺族に向き合った日航の心ある「担当職員」の皆さんたちの努力には頭がさがる。そういう真摯に生きる人たちもいるのだ。その人たちの努力はいったいなんなのだ。

この件を紹介したラジオ番組もあった。こちらも森永さん。



数年前の荻上チキさんの番組より。



神保さんのおっしゃるとおり。原因究明し、それを将来にいかす。それが重要なのだ。重要過失があったなら別だけれど、そうでない場合、その場の責任者を罰しても意味がない。それよりも真実と理由をしっかり調査する。(まさかと思うけど自衛官2人を射殺というニュースが一瞬流れた…というのは間違いであってほしい。これもまったく解明されていない)

もう30年たっているのだから、当時の関係者の勇気ある告発を期待したい。いずれにしてもこの本は必読です。是非読んでみてください。

いや…でも当時から自衛隊うんぬんは…噂にあったよね。でも陰謀説の域を出ていなかったと思う。この1970年代におきた全日空墜落(162名全員死亡)も自衛隊が原因だったからな。それにしても520人の命を耐え難い恐怖にさらしたあげく、うばってしまった… 絶句である。 本当にありえない。



PS
途中、ちょっと感情的すぎるかな…と思われる記述もありますが、友人や先輩をなくしてるので無理もないし、逆に知識欲だけで追いかけると、その事を忘れがちになるので、このくらいでいいのかなとも思います… というかすべてが絶妙なバランスで書かれています。この著者、すごく頭がいいと思う。

PPS
そのテレ朝のニュースみつけた…


PPPS
2018年夏、こんな情報も…