ヴォーン・ウイリアムズの「揚げヒバリ」。ヴォーン・ウイリアムズを良く知らなくても、この「たららららぁ〜、たららららぁ〜」は聞いたこともある人が多いかも。ほんとにひばりが高く飛び立つ感じが出てる。
作曲家の友人の話だと、この曲に影響を受けていない現代の作曲家はいないとのこと。ちょっと不思議な東洋的な音階。彼より前のクラシック音楽では存在しえなかったハーモニーが強調されていて、彼を含め映画音楽界隈でもマネする人は多いのだとか。
そして、その友人もヴァイオリンの音の可能性を再認識するためにも、時々聞いているのだそうだ。うーん、なるほど。ちょっとわかる気がする。それにしても、このヴァイオリンは気持ちがいい。
それからヴォーン・ウイリアムズというと、ちょっとチーズくさい曲だけど、トラッドを編曲したこちら。「グリーンスリーブス幻想曲」
英国を代表する大作曲家ヴォーン・ウイリアムズ。
いや〜、私は良く知りませんでした。名前は聞いたことあるかも?程度かな。ひどいよね… 「グリーンスリーブス」とも全然結びついてなかったし…
でも、なんというか、ヴォーン・ウイリアムズの音楽はよく知らなくても、この本の「英国の香り」は素晴らしいです。今回もすっかりやられてしまいました。これは音楽評論家の林田直樹さんと英国在住のヴァイオリニストの小町碧さんのプロジェクト。
前回のお二人の出版プロジェクトであるディーリアスの『ソング・オブ・サマー(感想はリンク先)』は、大好きな本だった。
あの本は音楽とは何か、音楽家とはどういう存在なのか。それが描かれていた。映画まで見ちゃって、一時、大・マイブームだったよ! ディーリアス!
今回のクラファンでも、小町さんの凱旋コンサートにはスケジュールがあわずに参加できず、単に本を先に買っただけであるが、それでもなんか嬉しい。これ、クラファン・プロジェクトとしても、本当に素晴らしい。2冊といわず、まだまだ続けてほしい企画である。
というわけで、ローズマリーの中においてみました『レイフ・ヴォーン・ウイリアムズ』。いや〜、本当にむせかえるような英国の香り。本の匂いを楽しみたい本です。
ヴォーン・ウイリアムズって、お父さんは法曹界で大成功した方で、お母さんはウエッジウッドのファミリーでダーウィンの姪だし、とにかくおぼっちゃまだったみたい。
自分のことよりも人を助けることを厭わず、愛妻家で、本当に性格が良い人だったらしい。
こういうと偏見かもだけど、確かに英国人ってワーキングクラスとミドルクラス(日本でいうところの上流階級)とお育ちがすごく性格に出る国民性だと思う。だから「お育ちの良いおぼっちゃま」って感じ、すごいわかるんだ。
例えばウチのロビン・ヒッチコック。ロビンとか言って、普段はあんな感じにしてても、やっぱりお育ちの良さが出てしまうんだよね。いいわぁ〜。やっぱりその辺が英国よねぇ〜
ヴォーン・ウイリアムズもきっと、そういう感じだったと想像できる。パブリック・スクールから始まり、ロイヤル・カレッジの開校の頃の話とか…。
そもそも英国の文化ってその当時は結構低迷時期で、ヴォーン・ウイリアムズはフランスのラヴェルの門下生だったらしいけど、そのラヴェルにもっとも影響を受けなかった生徒だったとか(笑) ラヴェルいわく「“私の音楽を書かない”ただひとりの弟子」(笑)
そして最終的にはケンブリッジのトリニティに学び(ここが本当におぼっちゃま)、行かなくてもいい戦争にも積極的に参加して、高齢になればなるほど良い作品を残していった。
あ、そうだ、映画音楽も結構手掛けていて、私も夢中で見た
「南極のスコット」の音楽を手がけたりもしたらしい。うーん、つながる。
そして、確かにお育ちの良さや人の良さや素敵な人生がこのポートレートにも出ているかも。シベリウスとはえらい違いだ…。
そして実はオーケストレーションについては、あまり得意でなかったとか(その点、同時代のホルストなどは天才だった)指揮は下手くそだったみたいなことも書かれていて、なんか親近感。
そして、私たち伝統音楽ファンには必須のセシル・シャープの名前も、この本では二箇所ほど出てくる。(といっても、名前がちらっと出るだけで、詳しい記述はない)
…というか、そもそもヴォーン・ウイリアムズ自体、彼自身と伝統音楽との関わりを知るにつけ、伝統音楽ファンなら知っておかなくてはいけない重要な存在なのであった。
彼もまた田舎を旅し、職人や農民たちに歌ってもらったり演奏してもらったりしながら、夢中でトラディショナルミュージックを採集していた。
ほんと私もうっかりしてたよ! なので、クラシックファンばかりではなく、英国伝統音楽ファンは、すぐにこの本を買いに走りなさい!!(笑)