映画『小さき麦の花』を観ました。これは最高の感動です!


一昨日は試写を二本続けてみたので、映画の話が続きます。

いやー いつも思うのだけど、配給会社のムヴィオラには映画の神様が絶対についているよな。毎回毎回、本当によくこういう作品を見つけてくるよ。この作品、激推ししたい。本当に素晴らしい映画でした。中国映画『小さき麦の花』を試写で拝見しました。ありがとうございます。

それこそ友人とよく話が出るんだ。一生懸命いい音楽やいい映画を推してもなかなかヒットしない。もしかしたら世界は本当の文化や芸術表現を必要としてないんじゃないか、って。ただ単に「ちょっとくたびれたいだけ」なんじゃないかって。

具体的にどんな作品が「ちょっとくたびれたいだけ」に当たるのか言及するのは避けるが、特に私がプロモーションしている「ケルト」や「北欧」は、いつもそのギリギリのエッジにいつも存在しているから、その感じは痛いほどわかる。

(ちなみにそこに最近では「日向敏文さんの音楽」も加わる。日向さんの音楽を簡単にヒーリングとか呼ぶ奴らには、本当にイラっとする!…あ、書いちゃった)

でも、この「ちょっとくたびれたいだけ」っていい表現でしょ? 私も何かあると「それは本当の悲しみや喜びではないんじゃないの? ちょっとくたびれたいだけなんじゃないの?」って思うんだ。

本物と、そうじゃないものの微妙な違い。それがわかる人間でありたいと私もいつも思っている。(努力をしていても、それはすごく難しい)

そういう中で、良い映画を紹介し続けているムヴィオラはすごい。私もがんばらなくちゃといつも彼らの活動をみて思うのだ。

だから本作も心ある映画ファンに、絶対にみてほしい作品だ。これこそ「究極の癒し」だと私は思った。中国茶みたいな「癒し」。「ちょっとくたびれたいだけ」じゃない本当の癒し。

中国の貧しい農村。家族から厄介者とされている二人が、一緒になって、共に暮らし、なんかあったかいものが生まれてくる。でも最後にはチリとなって消えるという、簡単に言えばそういう話。

いやー、このリー・ルイジュン監督すごいなぁ。まだ若いのに! なんか映画というよりドキュメンタリーを見ている気分になった。そういう意味では、ちょっと是枝作品に似ているかもしれない。

なんとこの作品、メインの女優さん(ハイ・チン Hai Qing)以外は、全員がリアルな農民の皆さん。女優さんは一方で中国では知らない人がいないというくらいの大女優さんだそう。

でもって、この女優さんが、完全な農村の女性を演じきっているのがすごい。

まったくのノーメークなのはもちろん、身体に障害があるという設定で、いつもオドオドしながら他の人の邪魔をしないように小さく縮こまって生きている。そのせいか、いつも身体がまがっていて、まともに視線をあげることすらもできない。内気な農村の女性がそこに明らかに存在していた。(その後、いただいた資料やネットの検索で、彼女の本来の姿を見て驚愕した)

音楽も素晴らしく、イランの作曲家だそうだけど、これがまたすごくよかった。

っていうか、この映画、映画だと思って見てなかったよね。映画だってのをすっかり忘れて、この世界に完全に入ったよ! 

そのくらいリアルだったし、テンポものんびりゆっくりで、でもそれがもうなんというかめちゃくちゃ力強いと言うか、まったく知らない間に完全に二人の生活に入り込んでしまった。

何度も書くけど、これぞ究極の「癒し」かも!?とマジで映画の世界に入りながら思った。

二人のお互いを思いやる静かな気持ち。ちょっとした笑顔。お湯の入った瓶から立つ湯気。鶏。クリーム色のコート。ストーブの上であっためる蒸し饅頭らしきもの。そして麦の穂で手に描く花。

だからこそ、最後のところは「どーん」と来た。どーん。大袈裟な演出などまったくない。でもどーんと来て立ち直れない。試写室で隣で見てた人、ボロ泣きしてた。でも、なんか嫌な終わり方ではない。

私もそのまま呆然と試写室を出て、地下鉄の中で試写室で配られた資料を見ながら、邦題は「Return to Dust」というんだなと知って、涙が止まらなくなってしまった。

泥のレンガで作った家、それは、でもブルトーザーで一気に壊されてしまう。

とにかく色々考えるんだけど、でも二人のあの生活が出来上がっていく中で、少しだけ生まれた幸せの実感というか、あれは本物だった。あれこそ究極の「癒し」だった。

やばいわ…  この作品、まったくもってすごいから、絶対に見に行ってください。2月10日より、都内は恵比寿のガーデンシネマ、有楽町のヒューマントラストにて。詳細は公式サイトにて。

やばい、トレイラー見ても、また泣ける…

PS
なんと一般向けオンライン試写会があるみたい!