こりわっ!(笑) いやー まずは装丁がかなり秀逸な本で、思わずポチってしまった本作。そうです、あの青森14億円横領事件のアニータさんの、夫に関する本です。非常に面白い。タイトルもいいよなぁ……『アニータの夫』。 事件は事件前後が面白いと思う。ニュースになることなんて、ほんの切り取りでしかない。 事件が決着したとしても本人は生き続けているわけで、加えて事件が起こる前は赤ん坊としてこの世に多くの人が同じように生まれてきて、そこではほぼ違いはないのに、ある人は人生につまづいて犯罪者になる。 その違いはなんだろう、という疑問は常につきまとう。そして、やっぱり死ぬまで人生というのはジャッジできないよなぁと思う。 奇抜なエンディングと言うわけでもない。ある意味、想像の範囲内ではあるが、内容がとてもリアルだ。新聞記者の取材だから、週刊誌みたいな強引な取材があるわけでもない。なにせ朝日新聞で連載していたくらいだから。 タイトルもすごくいいなぁと思ったけれど、どうやらこれは連載時にもこのタイトルだったよ様子。連載記事は、今でも 朝日新聞のデジタル で、その一部が読める。本作は、その連載に加筆して編集されたとのこと。 この本、タイトルや装丁のポップさと比べると、すごく地に足のついた真面目なノン・フィクションだと思う。さすが朝日新聞だな…。 でもこうやって事件のその後を知るのはすごく意味があることだと思う。事件なんて、ほんとある意味、人の長い人生においては一瞬なのだから。 前半は、ひたすら夫の独白から始まる。それも相当面白いのだけど、まぁ、一方的な話だからね。それでも、この男がなんでこんなことしちゃったのかが、手に取るようにわかる気がする。 なんというか、口語体だから、するする読めちゃうんだけど、よくよく聞けば、彼の話には小さな違和感がたくさんある。 例えば「働かざる者食うべからずと思って、いまは一日一食、夕飯だけ食べる生活です」とか。うーん、そういうことではないだろう…と思うんだけど(笑)。 そういう違和感はそこここにある。そして、さらに面白いのは後半。後半、話はかなりドライブしていく。千田元受刑者の一方的な話を裏付ける、あらゆる裏付け、そしてしたたかなアニータさんの生き様と、その周辺取材だ。 著者はアニータさんをチリに訪ねていく。行く前から取材のアポも取れないままなのだけど、理解あ...
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