2020年7月30日木曜日

映画『タクシー運転手』を観ました。やっと。感動の嵐。すごい映画だった。


すみません、今ごろ観ました。Amazon Primeにて。本当にすごい映画だった。すごい迫力。途中からもう涙が止まらなかった。韓国映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』

『パラサイト』より私は圧倒的にこっちの方が好きかもしれない。パラサイトのお父さん役ソン・ガンホさんが本当に素晴らしい。

…っていうか、脚本だな。これ、元になったストーリーも素晴らしいが、脚本がすごいのだと思う。後半のタクシーの運ちゃんたちが応戦するシーンは、ちょっとドラマチックに演出されすぎではないかとも思ったが、なんのなんの。観ている間は、そんなこと考える余裕もなし。とにかく映画の中に引きずり込まれ、泣きに泣いた。特に「お前は伝えなくちゃ」と病院でうなだれるドイツ人記者にカメラを手渡す運ちゃんのところはグッときて、そこで泣いて、その後はもうずっと泣いてた。

最初はシングル・ファーザーのタクシー運転手を追いかけて、寅さんじゃないけどちょっとコメディタッチで始まり、途中からはアクション・ムービーさながらのアクション・シーンの連続。デモ隊と軍の衝突、カー・レースなどものすごい迫力の映像だった。下世話な視線かもしれないけど、これらのシーンにはものすごい予算かけてるのが素人目にもわかる。そして最後の最後はどうなるのかはここには書かないが、自国の黒歴史をここまでしっかり映画化してしまう韓国というのは、たいしたもんだと思った。だって、80年なんて、まだついこの間の話じゃないか。そして、それは本当に美しい、ドイツ人記者とタクシー運転手の素晴らしいストーリーなのであった。いや、今思い出してもちょっと泣けてくる。

登場人物みんなキャラクターがたっていて、あっという間の二時間ちょい。それにしても韓国映画すごいな。ちょっとハリウッドなみに話がポップすぎないか(ポップって楽しいって意味じゃなくて)と思わないわけでもないけど、とにかくすごい。何度も言うが『パラサイト』よりこっちの方が私は好きかも。いや、明らかに好きだな。

この映画、実際にすごい話題になったんだよね。ヒットするの、わかる気がする。っていうか、今ごろやっとみてるのなんて、私だけか?

この監督さんの作品も、ソン・ガンホさんの出演作品ももっと追いかけてみたくなった。Prime入っている人は、今なら無料でみられるから、ぜひぜひ。

ちなみにタクシー運転手の本当のストーリーとその後は… 映画みたことある人はぜひここも読んでみてください。とても興味深かった。光州事件のことは、まだまだ歴史上、多くが明らかになっていないということなのだけど、こうやって平和のために命をかけた無名の、多くの市井の人々がいたんだろうなと想像する。またまた涙。町山解説も素晴らしい



2020年7月29日水曜日

藤岡直樹さんよりメッセージをいただきました。秘蔵写真も!

なんと!! 昨日でスタクラ追悼特集終了〜っっと思ってたら、写真家の藤岡直樹さんがこんなメッセージを寄せてくださいました。ぜひ、こちらに掲載してください、ということでしたので、さっそくご紹介させていただきます。うわーい。藤岡さん、本当にありがとう。


私にとっての alamaailman vasarat との関わりは2011年のことから始まります。初めて alamaailman vasarat を聴いたのは The Music Plant の web site で、そこに貼ってあったYouTube の映像でした。Live の演奏も映像もかっこよく、フィンランドフェスタで来日するという情報を見てすぐに野崎さんに連絡しました。そして来日に合わせてレンタルスタジオを借りてバンドのメンバーの撮影をさせてもらいました。

ポートレイトを撮影するにあたって心がけたのは、ミュージシャンとしてのその人はきっとたくさん撮られているから、この場では素顔の人柄もきちんと定着させること、でした。

例えば、スタクラの多くの写真は目ををむいてこんな↓



なんですが、実際に受ける印象のその人柄は、整った顔立ちと美しい目から受ける印象だけでなく、悟りへの道を進む人というような感じを受けました。



そして他のメンバーも 皆 物静かで、それをきちんと写真に納めなくてはと思って撮影をしました。

その撮影の翌々日のライブにも誘われ その写真も撮りました。ライブでの撮影の心得としては、その場はミュージシャンとオーディエンスのためのものであるから、その邪魔になることだけは避けるようにしています。時折 スススッと前に出たりするとしても、極力気配を消して、音と空気と一体となっているように心がけ、少し撮ったらまた 息をひそめています。だとしても、撮った写真は熱くなくてはなりません。



そのライブ終わりに野崎さんに言われてとてもよく覚えているのは、「藤岡さん、フィンランドに行って写真をとっておくといいですよ。」ということでした。その時すでに 野崎さんは、あまり時間をおくことなく alamaailman vasarat を招びたいと思っていたのだろうなと思います。

野崎さんにそんな言葉をかけられても、海外には割と多く行っているとしても、フィンランドに気軽に行けるものではないと感じていました。そんな中その年の秋に、なんとフィンランドでのある企業広告の撮影の仕事が入りました。その仕事の発注者は 私の40代の10年間に最も私を理解して仕事をさせてくれていた広告代理店のクリエイティブディレクターでした。不思議ではあるけれど、この世はそういう因果でできていると強く感じました。

その時のフィンランドの写真。





そして2013年の春、 alamaailman vasarat の来日の際に「浅草ヴァサラット」でのプロモーションイベントで「フィンランドとヴァサラット」という写真展を開くことができました。

ここに記した一連の出来事は、 alamaailman vasaratの音楽とフィンランドの風景のように、濃密だけど捕らえられない空気に包まれた不確かな夢の中での出来事のように思えてなりません。

以下は「浅草ヴァサラット」での写真。








もうひとつ最後に、浅草でのライブの写真を撮っていて強く感じたことですが、「現場」という仕事場所がある人にとっては、現場では最低でも120%の力を発揮してこなくてはならないと思っています。準備万端であって なおかつ現場では120%やる。alamaailman vasarat は、それを泥臭くやっていると、ライブの写真を撮っていて感じました。演奏後にオーディエンスに挨拶する姿の写真がありますが、その時それを撮っていて感じたのは、汗まみれ血反吐まみれになって完走したランナーの姿じゃないか!ということでした。



今またひとつ思い出した。

スタクラの好きな映画が「めぐり逢う朝」と聞いた時、そんなに儚く美しいものが好きなんだ、と納得がいった気がした。僕も生涯の好きな映画三本に入ります。マラン.マレとその師コロンブの物語だが、観た後すぐにヴィオール組曲のCDを買いに行った。vasarat にベースがいなくて、ツインチェロなのも そんなことに由来するのだろうかとなどと思っていた。

ああ、未だ儚い夢の中にいるようでなりません。




藤岡直樹さん、本当にありがとうございました。そうそう、あの時、偶然だったんですけど、フィンランド行きの話が決まった時はマジでびっくりしました。これはフィンランドが藤岡さんを呼んでるなぁ、と。実は、それは誰でもが知っている大企業のお仕事だったし、その企業がなぜ?フィンランドに?!みたいな部分はあったんですけど、当時、そのコンセプトのTVCMをその企業がたくさん流していたのを思い出します。まったくもって不思議な巡り合わせです。

また「めぐり逢う朝」を藤岡さんも好きな映画だとおっしゃっているのを聞いて、とても嬉しく思った。私もあの映画は…音楽映画のベスト3、いや全映画のベスト3に入るくらい好きです。そういやヴァサラット・カフェでは、カウリスマキじゃなくて、あの映画をかけようって話が最初あがってたんですよね。でも権利関係でNGになったんじゃなかったかな。もう記憶があやふやですが。しかし、うん、すごいなこの二組。プロモーターが違ったとしても、間違いなく出会ってましたよ(笑) 藤岡さんとヴァサラット。絶対につながっている。

藤岡さん、本当に本当にありがとうございました。そして何度も書くけど、スタクラ、死んじゃって、ばかばかばかばかばか。私も全然納得していません。

2020年7月28日火曜日

スタクラ in Japan 思い出写真館 8 -  キングレコード時代の取材の数々

キングレコードさんでの取材中の写真の数々。


こいつがまた神経さかなでするような音するんだ(笑)









この田中美登里さんのラジオすごくよかった。最初、あの知的な感じの番組にあうかな?と思ったけど、実際やってみたらすごく内容が濃くって、哲学的なこととかに話がおよび、すごく興味深かった。スタクラ、ベストインタビューの一つ。
「背徳的なことをするってのは、ちょっと気持ちがいいんだ」ってスタクラが言ったのが心に残った。スタクラのインタビューっていつも面白くて、インテリジェントで、すごく楽しかったけど、これは秀逸だったなー。もっともっと話を聞きたかった。私と通訳の染谷和美さんと、スタクラとスタクラの彼女をのせてタクシーでぎゅうぎゅうになって移動したっけ。

染谷さんとスタクラの息のあいようは素晴らしく、たまに通訳なしの取材をやったりすると「思考するタイミングがない」と言ってスタクラはとてもやりにくそうにしていた。

そして会議室に缶詰になって何本も取材が続く日は同じ質問が続きがちなのだけど、そんな時、「彼女が、バンド名の由来は?とかもう答えなんか聞き飽きただろう質問も初めて聞くみたいにして通訳してくれるから、あっ、そうだ、このインタビュアーさんは初めてだったっけなと思い出して、心がひきしまるんだ」って言ってた。通訳さんは取材の指揮者だ。本当に本当にお世話になった。

ここ数日スタクラと仲の良かったフィンランド人の共通の友人たちと話をする機会があった。みんな口を揃えて怒っていた。「こんなに若くして逝っちまうなんて」私も言いたいのはそこだ。こんなに応援してくれたメディアの皆さんにも顔がたたないだろーが。みんなに申し訳ないだろーが。このバカもの! 


















スタクラ、写真のインパクト大! 小野ヨーコさんの胸の谷間に負けてない!











ありがとう、スタクラ。本当に楽しかったよ。

映画『ファナティック ハリウッドの狂愛者』を観ました


いやー すごい迫力でした。『ファナティック  ハリウッドの狂愛者』をオンライン試写で拝見しました。ありがとうございます。

何がすごいって、トラボルタのものすごい演技にただただ圧倒されました。ストーリーは、まぁ、ちょっとしたボタンのかけ違いで(サインしてもらえなかった)、ファンが狂信化していくありがちな流れではあるのだけど、いやー すごい迫力だった。

それにしてもムースに憧れられる俳優さんは、映画とはいえ、ちょっと横暴すぎるかなぁ。サインを断るにしても、もう少し言いようがあっただろうし、ファンへの対応もちょっと無防備すぎる。ムースのことを気味悪がりながらもプロフェッショナルな誰かに相談したりしないところなどストーリーに若干の違和感を感じさせるのだが、そこまで書き出すとだらだら長い映画になっちゃうか? いや、それを…というか、とにかくすべてを吹っ飛ばすのが、トラボルタの迫真の演技だ。もう歩き方から、身体の揺らし方、視線の送り方、人と絶対に視線を合わせないところとか、もうすべてが…何かにとりつかれたような演技で、とにかく引き込まれるのだった。あ、そうそう、変な柄のシャツや、リュックというのもありがちな設定。あぁ、いるいる、こういう人っと言う感じだ。あまりにステレオタイプな感じなので、ちょっと偏見を呼んでしまわないか心配になるが、そこは不思議なもので、やっぱり不器用なムースに視聴者としては惹かれる部分があるのか、絶妙なバランスの上になりたっているとは言えよう。

トラボルタ演じるムースは、ロサンゼルスの観光客相手にストリート・パフォーマンスをし日銭を稼ぐ貧乏な俳優。そして憧れの俳優ハンター・ダンバーに会うべく日々努力を重ねるが、なかなか出会うことができない。やっと彼の本のイベントでサインの列に並ぶも、元妻から呼び出された彼は無情にもサイン会を中断してしまう。ムースをとりまく狂気の街、ロサンゼルスを体現する人びと。そう、ロサンゼルスの狂気だ。ムースに高額商品を売りつけるオタクショップの親父、ストリートでスリを働きながらパフォーマンスする意地悪な悪党たち、ムースを心配するカメラマンの女性、そして同情を寄せる黒人男性…  それにしても血塗れになって道を歩くムースにさえも「コスプレだろ」とまったく人々は心配をしない。みんな、狂ってる。

気味が悪いと感じながらも、ムースが主役なので、観ている方としてはハラハラしながらもなんとなくムースに同情しながら映画を見てしまう。彼の子供のころの寂しい生い立ちなども少ないながらも描かれ、繊細無心の動きもトラボルタの熱演で十分に伝わってくる。

ストーカー事件って、ほんとストーカーが「起こす」ものではなくちょっとしたきっかけで「自然に起きてしまう」ものなのだ、と改めて思った。世の中の犯罪のほとんどがそうなんだろうと思う。犯罪の一線を超えるか超えないか。狂気の世界とこっち側は、本当に薄皮一枚でつながっている。ムースの「唯一の親友」であるカメラマンの女の子の存在が、ちょっとホッとさせるのだが…いや、でもほんとにみんな狂ってるよ。

90分ほどの尺なので、あっという間に終わってしまうのも良い。

トラボルタとこの監督さんはプロデューサーとしても名前がクレジットされているようで、おそらく二人が意気投合してこの映画の企画を立ち上げたんだろうなと想像できる。『サタデー・ナイト・フィーバー』以来、いわゆる明るいキャラで売ってきたトラボルタだけど、自分にはこんな演技もできるんだってのを、作品に残したかった意図があるのかも。これだけの演技して、普通に生活なんてできるのだろうかとちょっと心配になる。映画のキャラクターが抜けなくて困ったという俳優さんたちの話はよく聞くが、本当にこれはすごい。これは彼にとっては本当にやりがいのある仕事だったと思うし、本作はこれからまだまだ映画を作るであろう彼の代表作となっていくのだろう。本当にすごい。

9月4日より全国でロードショー。同じ試写を見たユキさんのブログが興味深いので、ぜひ読んでみてください。監督さんはリンプ・ビズキットというロックバンドのリーダーさんだそうで、ユキさんの撮影秘話が聞けるよ。ユキさんのいうとおり、トラボルタも監督さんも自分の経験を脚本に入れた…かもしれない。

9月4日より全国の映画館でロードショー。詳細はこちら

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