映画『17歳のウィーン フロイト教授 人生のレッスン』を観ました


オンライン試写で拝見しました。ありがとうございます。

良い映画だった。フロイト役の名優さんが素晴らしいねー そして映像美の映画でもある。美しい水の中、そして少年のみる不思議な夢などが、現実の世界とシンクロして物語は進んでいく。

37年、ナチス・ドイツとの併合に揺れ動くオーストリア。ひとり親の元で育ったフランツは田舎にある母の家を出されて、ウィーンにあるたばこ屋に奉公に出ることとなる。母の愛人で生活費を工面してくれていた男が事故で死んだからだ。町にでたフランツは片足を失った店主が営むたばこ店で住み込みで仕事を始める。

そこでたばこ店の常連である「頭の医者」フロイトと出会うことになる。フロイトがフランツに語る言葉がいちいち残るんだ。これってどのくらい原作の本から映画の脚本に拾っているんだろうか。原作は未読ゆえわからないが、本当に素晴らしい。こういうことは戦争下であってもなくても、生きるための本質というか普遍的に響く言葉なんだよな。

フロイト役は最近亡くなったブルーノ・ガンツ。『ベルリン・天使の詩』『ヒトラー〜最期の 12 日間〜』で主演を務めた名優。まさにはまり役と言って良いでしょう。フランツ役の若い俳優さんも、フランツを翻弄する年上の恋人役の女優さんもはまり役。俳優陣、みんな素晴らしいです。

しかしナチの影響は日に日に色濃くなり、たばこ店の店主は逮捕され、ついにフロイトもフランツにも勧められてウィーンを脱出。(実際のフロイトはロンドンに逃れたものの、癌が悪化してその後1年ほどで亡くなっているそうだ)そしてフランツの未来も…  最後の故郷の小屋、湖の水中シーンが悲しくも美しい。

都内は24日から文化村のル・シネマにて。原作本も読んでみたくなりました。おすすめです。