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2016年3月24日木曜日

映画「リリーのすべて」を観ました。いや〜これは素晴らしい!!!



いや〜、すごい映画だった。素晴らしいです。是非見に行ってほしい。「リリーのすべて」

とにかく俳優陣が圧倒的。映画だってこと忘れて、このストーリーに入りこんじゃいました。主役の2人は有名な人みたいね… トランスジェンダーのリリー/アイナー役にエディ・レッドメイン(英国人)。妻のゲルダ役にアリシア・ヴィキャンデル(スウェーデン人)。この二人がとにかく圧巻。

これはトランスジェンダーとして生まれ、後に人類初の性別適合手術(今は性転換とは言わないそうだ)を受けたとされるリリー・エルベと、その彼女をささえた妻ゲルダの物語だ。

デンマークの画家/イラストレーターの夫婦。旦那は売れっ子の風景画家なのに、妻の方はいまいちぱっとせず。それでも2人はとても仲が良い。子供が欲しいと言いながら、なかなか子宝に恵まれないが、一緒に暮らして6年。ある日、妻が自分の絵のモデルの代理を夫アイナーに頼んだことがきっかけとなり、アイナーは女性リリーとして少しずつ目覚めて行くようになる。一方で妻の絵は、女装した夫を描くことでどんどん売れるようになる。本物の女性になりたいというリリーに、妻はとまどいながらも必死で彼女をささえ、彼女が本来の自分の姿で生きることを応援していくのだった。

興味深かったのは、リリーはトランスジェンダーということと同時に、いわゆる二重人格のような状態だということ。男性人格であるアイナーと女性人格であるリリーのせめぎ合いみたいな中で揺れうごく。そして少しずつ少しずつ女性であるリリーの方人格が強くなっていくところだ。最初の女装(妻のモデルの代理をしたこと)の時、ゲルダの友人がこの女性キャラクターに名前を付けたことはすごく象徴的だと思う。(名前を付ける=存在が認められる=生まれる)

リリーが同性愛者の男性(これがベン・ウィショーなのよ!)に口説かれたり、子供のころの親友を訪ねていったり、はたまたいろんな医者を訪ね精神病だと判断されたり…あれこれエピソードを挟みつつ、ついにリリーは性別適合手術を受ける、というところまで話は進む。

自分らしく生きるって、どういうことなんだろう。それがどんなにたいへんな事か…恵まれすぎた私には到底理解できないが、最終的にリリーは2回の手術を終え幸せな瞬間を迎えることになる。詳しくはネタバレになるので書かないが、悲しいけど、とにかく私は美しくて素敵なエンディングだと思う。ゲルダのスカーフに2人の結びつきを象徴させたところなど、ホントよく出来てるな、と思った。

が、この素晴らしい映画を観て、私がもっとも興味を持ったのは実際のリリー・エルベのことだ。本当にこんな人が存在したのだろうか。

確かに実在の2人を描いた物語をベースにして作られている映画なのだが、実際の話とはかなり内容が違っているらしい。実際は妻のゲルダはゲイだったといわれ、パリ時代に「エロティカ」というレズビアンをテーマにした作品を発表し大ヒットさせている。

また実際のリリーの性別適合手術のときゲルダはすでにリリーのもとを離れていた。とはいえ一緒に暮らしてはいなかったのものの、本当に最後までゲルダはリリーのことをささえていた。

リリーは男性器摘出の手術の後、晴れて女性となり、ゲルダとは離婚し(国の命令で離婚せざるを得なかったようだ)、フランス人の画商と再婚。彼の子供の産みたいと切実に願い、再度手術を受けることを強く願うようになる。そして5度目の手術で子宮が移植され、晴れて子供を産める身体になったものの、残念ながら3ケ月後に感染症で生涯を閉じることとなる。当時ペニシリンなどの開発もされていなかったし、最初の臓器移植が成功したのは、その50年後の1980年代ですからね。すごいよね…

またリリーの遺体を解剖したところ、卵巣の残滓が発見されたと言われ、実はアイナー/リリーは両性具有(XXY遺伝子を持つ者)だったのではないかという説もあるそうだが、真実は分からない。

一方のゲルダはリリーと別れたのちイタリア人の男性と結婚しモロッコへわたったらしい。が、結局離婚してデンマークに戻ってくると貧困とアルコールに苦しめられ1人寂しく亡くなったそうだ。結局のところ、ゲルダにとっては、リリーとの結びつきがあまりにも深く、リリーを失った寂しさに耐えられなかったのではないかと解釈する研究者もいるようだ。

とにかく実際のところは分からない。

でもこの映画はホントによく出来ているので、映画は映画ということで充分良いと思う。それに史実に忠実にストーリーを書いたところで、真実を伝えているとは限らないし…

さて,原題の元の「THE DANISH GIRL」。リリーのことだと多くの人が解釈しているようだけど、私はゲルダのことを言っているように思えた。最初に妻がハンスに訪ねていくシーンで、「誰だ?」「Danish Girl」って英語で誰かが言っているのが聞こえた(ような気がした。間違いだったらすみません)。とにかくリリーもすごいが、ゲルダというキャラクターが光る、光る。とにかく圧巻なのだ。

この時代に強く生きたリリー。そして彼女が自分らしく生きることを必死で応援したゲルダ。彼女たちの気持ちを想像するにホント、この二人のことをもっと知りたいという思いがつきない。荒俣さんが書いた本が、めっちゃ読みたいのだが、最近また本の「積ん読」状態がひどいので、一応amazonのバスケットに入れつつも我慢している(いまここ)



映画でもワンちゃんがいい味だしてたけど、ホントにいたのね!(実際のゲルダの写真)

実際のゲルダのイラスト。リリーがモデル。























実際のリリーの写真。

ところで私にもトランスジェンダーで性別適合手術を受けた友人がいます。彼女は私が知っている中でもっとも心が美しい人の1人。ちなみに手術のあと彼女は名前を女性名にし、盛大な誕生会をした。私は行けなかったけど。

正しい身体になることで「きちんと生まれなおす」って感覚は分かるような気がする。