ジュディ・デンチ主演 映画『ジョーンの秘密』を見ました


いや〜、やっぱりこの人は最高の女優さんですね。ジュディ・デンチ主演『ジョーンの秘密(Red Joan)』。オンライン試写で拝見しました。ありがとうございます。

若い頃の彼女役の女優さんの方が出番時間は絶対に長いんだけど、いや、ジュディの演技の方が圧倒的に彼女をくっちゃってますね。いや、そういう演出なのか。いずれにしても監督さんはジュディの作品を何度も撮っているトレヴァー・ナンで、この監督だからオッケーした、と彼女もインタビューに答えているようです。

原作があって、本のタイトルは「Red Joan」。「赤のジョーン」という感じでしょうか。「共産主義者のジョーン」。探してみたけど、英語のペーパーバックしか見つからなかった。日本語版は出ないのかな。

しかし大戦下の英国でこんなことが起こっていたとは全然知らなかった。いわゆる有名な「ケンブリッジ・スパイ」のことも。当時核爆弾の発明はいろんな国が競って進めていた事業でした。物理学に女性ながらも勤しんでいたジョーンは、その才能が認められ国家事業に取り組むことになります。でも研究期間に視察に来た外部の連中に「君は紅茶係かい?」と言われたり訪ねていった先で「洗濯機はこっちだよ」とか言われたり、まぁこの時代の働く女性というのは大変なものだったのは想像できますね。

「広島」、「長崎」という地名も出てくるし、彼女は彼女なりの信念で動いた。男に騙されたバカな女というわけではない。彼女が「私は世界を平和にしたわ」と息子に叫ぶところはグッと来ましたね。すごい迫力です。

そして気力の迫力とは反比例して彼女がかなりの高齢であり身体も弱ってきている感じが本当によく出ている。実際のジュディは、年齢の割りにはもっと若々しいと思うけど、この映画では主人公になりきってます。本当に素晴らしいです。御年85歳。この映画が撮られた時は83歳だったと思う。

私が過去に書いた映画感想ブログの中でも驚異的なアクセス数をしめしている「あなたを抱きしめる日まで」では、超お嬢様育ちでシェイクスピア女優である彼女が、アイルランドの庶民的なおばちゃんを演じて感心したのだけど。すごく演技の幅が広いです。

こっちの映画は戦時中の話ということもあって、すごく重いことは確かですが、彼女がやったことは単純なスパイ行為というわけではない。もちろんお金のためではない。すべて、彼女なりの思いがあったということをこの映画は伝えています。まぁ、どこまでが史実に忠実なのかわかりませんが。とにかく取り調べにおけるジュディの告白シーンが物語を引っ張っていくのですが、彼女のこの世界に引きずりこまれます。

戦争に関わった人、国の勝利に貢献した人、しなかった人、すべてが巻き込まれていったということなんだと思います。ベースになっている本とかが出るのなら、読みたいなぁ。いずれにしても必見。これはかなりお勧め。

 

ところで彼女のお孫さんがInstgramやってて、すごく面白いの、ご存知でしたか? 時々おばあちゃんも登場して話題になっています。


 
そういや、彼女が主演したヴィクトリア女王の映画、まだ見てないんだよな。チェックしないと… 

映画『ジョーンの秘密』は8月7日より公開。東京はシャンテ・シネほか。

あ、そうそう、この映画、ロケもすごく綺麗で、ケンブリッジ大学がたくさん出てきます。特にセント・ジョンズ・カレッジ。嘆きの橋とか、何度も出てくる。

あと仲間の女性の住んでいるところがイーリーだってのも、すごく懐かしい(ケンブリッジは学生時代に長期滞在してたのですごく思い入れがある場所なんです)。