藤岡直樹さんよりメッセージをいただきました。秘蔵写真も!

なんと!! 昨日でスタクラ追悼特集終了〜っっと思ってたら、写真家の藤岡直樹さんがこんなメッセージを寄せてくださいました。ぜひ、こちらに掲載してください、ということでしたので、さっそくご紹介させていただきます。うわーい。藤岡さん、本当にありがとう。


私にとっての alamaailman vasarat との関わりは2011年のことから始まります。初めて alamaailman vasarat を聴いたのは The Music Plant の web site で、そこに貼ってあったYouTube の映像でした。Live の演奏も映像もかっこよく、フィンランドフェスタで来日するという情報を見てすぐに野崎さんに連絡しました。そして来日に合わせてレンタルスタジオを借りてバンドのメンバーの撮影をさせてもらいました。

ポートレイトを撮影するにあたって心がけたのは、ミュージシャンとしてのその人はきっとたくさん撮られているから、この場では素顔の人柄もきちんと定着させること、でした。

例えば、スタクラの多くの写真は目ををむいてこんな↓



なんですが、実際に受ける印象のその人柄は、整った顔立ちと美しい目から受ける印象だけでなく、悟りへの道を進む人というような感じを受けました。



そして他のメンバーも 皆 物静かで、それをきちんと写真に納めなくてはと思って撮影をしました。

その撮影の翌々日のライブにも誘われ その写真も撮りました。ライブでの撮影の心得としては、その場はミュージシャンとオーディエンスのためのものであるから、その邪魔になることだけは避けるようにしています。時折 スススッと前に出たりするとしても、極力気配を消して、音と空気と一体となっているように心がけ、少し撮ったらまた 息をひそめています。だとしても、撮った写真は熱くなくてはなりません。



そのライブ終わりに野崎さんに言われてとてもよく覚えているのは、「藤岡さん、フィンランドに行って写真をとっておくといいですよ。」ということでした。その時すでに 野崎さんは、あまり時間をおくことなく alamaailman vasarat を招びたいと思っていたのだろうなと思います。

野崎さんにそんな言葉をかけられても、海外には割と多く行っているとしても、フィンランドに気軽に行けるものではないと感じていました。そんな中その年の秋に、なんとフィンランドでのある企業広告の撮影の仕事が入りました。その仕事の発注者は 私の40代の10年間に最も私を理解して仕事をさせてくれていた広告代理店のクリエイティブディレクターでした。不思議ではあるけれど、この世はそういう因果でできていると強く感じました。

その時のフィンランドの写真。





そして2013年の春、 alamaailman vasarat の来日の際に「浅草ヴァサラット」でのプロモーションイベントで「フィンランドとヴァサラット」という写真展を開くことができました。

ここに記した一連の出来事は、 alamaailman vasaratの音楽とフィンランドの風景のように、濃密だけど捕らえられない空気に包まれた不確かな夢の中での出来事のように思えてなりません。

以下は「浅草ヴァサラット」での写真。








もうひとつ最後に、浅草でのライブの写真を撮っていて強く感じたことですが、「現場」という仕事場所がある人にとっては、現場では最低でも120%の力を発揮してこなくてはならないと思っています。準備万端であって なおかつ現場では120%やる。alamaailman vasarat は、それを泥臭くやっていると、ライブの写真を撮っていて感じました。演奏後にオーディエンスに挨拶する姿の写真がありますが、その時それを撮っていて感じたのは、汗まみれ血反吐まみれになって完走したランナーの姿じゃないか!ということでした。



今またひとつ思い出した。

スタクラの好きな映画が「めぐり逢う朝」と聞いた時、そんなに儚く美しいものが好きなんだ、と納得がいった気がした。僕も生涯の好きな映画三本に入ります。マラン.マレとその師コロンブの物語だが、観た後すぐにヴィオール組曲のCDを買いに行った。vasarat にベースがいなくて、ツインチェロなのも そんなことに由来するのだろうかとなどと思っていた。

ああ、未だ儚い夢の中にいるようでなりません。




藤岡直樹さん、本当にありがとうございました。そうそう、あの時、偶然だったんですけど、フィンランド行きの話が決まった時はマジでびっくりしました。これはフィンランドが藤岡さんを呼んでるなぁ、と。実は、それは誰でもが知っている大企業のお仕事だったし、その企業がなぜ?フィンランドに?!みたいな部分はあったんですけど、当時、そのコンセプトのTVCMをその企業がたくさん流していたのを思い出します。まったくもって不思議な巡り合わせです。

また「めぐり逢う朝」を藤岡さんも好きな映画だとおっしゃっているのを聞いて、とても嬉しく思った。私もあの映画は…音楽映画のベスト3、いや全映画のベスト3に入るくらい好きです。そういやヴァサラット・カフェでは、カウリスマキじゃなくて、あの映画をかけようって話が最初あがってたんですよね。でも権利関係でNGになったんじゃなかったかな。もう記憶があやふやですが。しかし、うん、すごいなこの二組。プロモーターが違ったとしても、間違いなく出会ってましたよ(笑) 藤岡さんとヴァサラット。絶対につながっている。

藤岡さん、本当に本当にありがとうございました。そして何度も書くけど、スタクラ、死んじゃって、ばかばかばかばかばか。私も全然納得していません。