また観ちゃった。『ストーリー・オブ・マイ・ライフ 私の若草物語』 再び全オレが泣いた!(最近やっとこのフレーズを覚えてよく使ってます。気に入った!)
1回目の私の感想はこれ。で、忘れないように今日は二度目の感想を書いておく。やっぱり二度目に見ると細部を味わうことができて感動もひとしお。ふふふ…
まず冒頭で編集部に入ろうと気合をいれるジョーの背中が出てきたところで、もう涙! 原稿が採用され嬉しそうに道を走るジョーを追いかけて涙。あぁ、やばい。そして今回はベスが死ぬシーンどころか、ずっと前のお母さんが「40年間怒ってきた」というセリフからあとずっと泣きっぱなし。あぁ、ほんとにやばかったわ。いっぱい泣いたわ。泣いてスッキリ、ありがとう、グレタ・ガーウィク監督!
また1回目に観た時は、あまり感じなかった7年前と今をいったりきたりする演出における俳優たちの演技の違いも妙にじっくり味わうことができた。7歳の違い。同じキャラクターなのに、この7年の違いをしっかりとすべての女優さんたちが演じきっていた。少女から大人になっていったこの変化。
あと一度目は割とさらっと通り過ぎてしまったジョーのローリーに対する未練も強く感じたかなぁ。トレイラーに登場するローリーの丘でのプロポーズのシーンも改めて見てみればものすごくいい。そして一度目に観た時はちょっと地味だと思ったメグ、そしてベスもものすごく良い演技してるのを発見。地味だけど、いい演技してるよ。あとお母さん。このお母さんいいよ、ほんと。家族を見守る、太陽みたいな人。なんかお母さんが出てくるたびに泣けた感じがする。
そしてこれ。ジョーの「自由な中年女になる」とメグに語るシーン。「あんな男2年で飽きる、We will be interesting forever!」私とだったらずっと楽しいよ、と。
この映画、監督の演出のせいで話すスピードがみんなナチュラルだし、セリフが被りまくるし(是枝監督と一緒。そうよね、家族や仲良し同士で話す時って、人の話が終わるのなんか絶対に待たない)、アメリカ英語だから英語がスムーズに入ってこないところがあるんだけど、ここでシアーシャが「…paddle my own canoe」って言うのだけは拾えたので実際なんて言っているのか調べてみた。
こういうのが出てくるのも最近のインターネット検索の良いところ。Alcott、Own Canoeで検索したらすぐ出てきた。
ジョーの「自由な中年女になる」って上手い字幕だなぁ、と思ってたけど、こう言ってたのね。“I'd rather be a free spinster and paddle my own canoe.” https://t.co/JsmYe692V8
— 野崎洋子 (@mplantyoko) July 1, 2020
Paddle my own canoe = 自活してやっていく という意味らしい。boatやshipじゃなくて、canoeなところが必死でやっていく、っていうのが表されていて、英語って本当に素敵。
そしてspinster = 結婚していない年配の女って言葉は初めて知った。アメリカ英語らしい。Cambidge辞書より。紡ぎ女という意味もあって、きっと糸を紡ぐ職業が女が自活する少ない方法だったということ? アイルランドとかだとOld bagとか言う時あるよね。ファーザー・テッドでミセス・ドイルがそう言ってた。
違う言語はやっぱり面白いわ。英語って本当にボキャブラリーがすごくていつも悩ましいんだけど、面白い。
そういや私にスウェーデン語を教えてくれた先生(東京在住、ゴスロリ大好き。金髪で若くて背が高いかっこいいだいぶ年下の若いスウェーデン男子)は言語のエキスパートで、英語はグラスゴーに子供のとき7年住んでたからネイティブなみ、そのほかにフランス語、スペイン語、ドイツ語(スウェーデン語と似てるもんね)など全7カ国語くらいしゃべれる。日本語もかなり流暢で、聞いていてストレスがまったくない。
彼は夏目漱石のかなり古めの文庫本をセカンドハンドで買ってきてわからない文字をどんどん自分のノートに書きつける。「ねーねー、虱(しらみ)ってこんなふうに書くの知ってた?」と言いながら、自分が書いた文字を見てうっとりとしている。「風」を一本取ると「しらみ」になるという事に感動したらしい。そんなこと、私も知らなかったよ!!!
また私がコンサートのチラシを渡せば「“来日公演”ってかっこいい言葉だなぁ!! 英語にはならないでしょう。Japan Tourとか言っちゃうと全然ニュアンス違うし… こう潔いっていうか、ステイトメントみたいでかっこいいよねー」と、これまた来日公演の4文字を見つめてうっとりしている。
語学好きな人って、みんなこういう事なのかもしれない。そういう私はスウェーデン語の勉強、ちっとも進んでないけれど(笑)
それにしてもこの映画、英語の脚本とかPaperBackで出てないかしら。探してみようっと。そして何よりやっぱりオルコットの『若草物語』、もう一度読むしかないのかなぁ、と思ったり。で、結局ポチってしまったよ。原作と、日本語の文庫… 一応、青空文庫でも手にいれられるようなので、リンクを貼っておく。それにしても、読まなきゃいけない本が多すぎる… 幸せなことだ。
一緒に観に行った出来る後輩いわく、こっちの『若草物語』も良いらしいので、あとで観てみよう…
ポチった本はこちら。あぁ、なんか今年の春夏は文化度が高くて素晴らしい毎日だよなぁ。これで仕事が順調だったら言うことないんだけど。でもこういうインプット、大事だよね。きっとどこかで役にたつ。どこかで私もオルコット から引き継いだ何かを表現できるタイミングが来るかも? 頑張ろう。ジョーがあんなに頑張っていたんだし。
そうそう、そういえば欧米ではこの映画はオルコットの性癖を確定してしまった、ということで賛否両論あるらしい。うるせーっっって感じ。そんなことどうでもいいよね。大事なのは彼女が必死で生きるってことを、後に続く女たちに伝えたってこと。そういやブロンテ姉妹にもあったよなぁ。そういう話題が。女が結婚しないでいると、すぐなんだかんだ言いたがる人がいるのは、今も変わらないのかも。ま、すべてがこの映画の前では小さいと思うね。小さいよ。
PS
fbページでフォロワーさんがこれ教えてくれた。ここに書いてあること、すべてに共感!!
そうそう、そうなのよ!!! この映画の魅力をすべて表現できてる素敵なレビュー。fbでフォロワーさんが教えてくれた。新連載:おしゃべりな映画たち
— 野崎洋子 (@mplantyoko) July 3, 2020
第1回『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』 - #グレタ・ガーウィグ #木村有理子
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