映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を見ました。最高です。これは最高!!


いっやーーーー 良かった。途中からボロボロ泣けてきて、その後はずっと最後までずっと泣いてました。最高に素晴らしい映画です。期待裏切られなかったわ、さすがだわ。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

日比谷や有楽町、銀座などで見たら激混みだったのかもしれないが、私は家から便利な西新井の映画館へ。

入り口で体温チェック(入国管理の時にやられるカメラみたいなのを使ってた)。そしてところどころに消毒液の設置。そして席は一席ずつあけて販売しているそうだけど、なにせ400人くらいの会場で、10人しかいなかった(数えることができた)ので、密になりようもなくゆったり。私はだいたい映画は前から3列目くらいで見上げるように見て、視界に誰もいないというのが普段から理想なので、これは最高の環境。いいですよ、西新井。イオンの大きなショッピングモールの中にあり、気分はまるで千葉。大きなシネコンですが、コロナ禍と、なんといっても場所柄か、寅さんのリバイバル上映やってた。普段からファミリーものじゃないと満杯にならない劇場であることは事実です。

ちなみに同じ日に新宿で見た友達いわく、やはり400人くらいの会場で10名ちょいだったそうです。他にも川崎でやはり10名とか。まぁ、平日昼間の洋画なんて今やよほどのヒット作じゃないと入らないのかもしれません。映画の配給ビジネスって本当に不思議。このあとDVDになったりして回収していくんだろうけど、みんなあんなにすごい宣伝費かけてフリーのプロモーションチーム雇って、広告も打って、試写会もやって、2,000円程度の入場料を一等地にある会場と折半してどうやってビジネスにしているのかがまったく理解できない。ま、それはともかく、今、改めて映画という文化が与えてくれる素晴らしさを感じずにはいられない。こんな素晴らしい、パワフルな作品がこんなに気軽に楽しめるわけだから。皆さん、ぜひぜひ劇場にかけてつけてください。

もともと『レディ・バード』も大大大好きだった私ですから、この二人が再びタッグを再び組むと言えば、見ないわけにはいかないでしょう。監督脚本:グレタ・ガーウィック、主演:アメリカ生まれアイルランド育ちのシアーシャ・ローナン。もう鉄板です。とにかくセリフの一つ一つが素晴らしく、いちいち響くわけですよ。そりゃあもう、いちいち、いちいち。

物語は有名なオルコットの『若草物語』がベースになっているのだけど、それだけじゃない。私は最初の1冊しか読んでないけど(どうやら4冊くらいあるらしい)、子供のころ大好きで何度も読んだはずなのに、かなり内容を忘れていて、ピアノがプレゼントされるところとか、ジョーの髪の毛の件とか「あぁ、そうそう、そういうエピソードあったわなー」などと1つずつ思い出しながら見ていた。私の記憶が間違ってなければ、小説の方では病弱なベスがもっとうんと美化されていたようにも思う。そして四女のエイミーがもっと悪い性格のように描かれていたと思う。

が、この映画のジョーはもちろん最高に素晴らしのだけど、四女のエイミーが妙に印象に残った。フローレンス・ピュー。彼女、眼差しと、あと声がものすごくいいんだよね。「ミッド・サマー」の時も、ものすごいいい演技してた。あれは映画自体がへんな映画だったけど彼女はよかったもの。その彼女がグレタの力を得て、まったく新しいエイミー像を作り出したと言っていい。いや〜、素晴らしいわ。本当によくできている。

映画は姉妹の子供時代と、子供時代を懐かしく思う大人時代とをいったりきたりして進むんですが、その間が7年くらいのギャップしかないので見た目が大きく変わるわけでもない。でも子供時代に戻った時の目の動きとか、表情とか、もう女優さんたちみんな天才としか言いようがないわ。ほんとにすばらしいわ。

そしてもちろんティモシー・シャラメも良い味だしてた。しっかりと四姉妹の友人役を押さえていた。(しかしソニーピクチャーズのSNS担当者はよほど彼のことが好きらしく、映画公式SNSはティモシーのネタが並ぶのであった…笑)あぁ、あと彼のおじいちゃん役の俳優さんもすごく良かったなぁ。

そしてなんといってもジョーが編集部に作品を売り込みに行く冒頭のシーンからつながる最後のオチがいい。うまいわ、グレタ。冒頭でライターを目指してニューヨークに下宿するジョーは「これ、友達の作品です」なんて言って出版社に持ち込みつつ営業をする。彼女のインクで汚れた指先から、本当は自分の作品であることはバレバレ。そこで意地悪編集者に言われる「女性が主人公なら最後は結婚。もしくは死なせなさい。そうじゃないと売れない」と。

原作のオルコットはジョーがモデルだと言われている。「若草物語」のジョーは結婚するわけだけど、オルコットは生涯独身だった。その両方を内包する素晴らしい最高のエンディングには、もう震えるしかない。グレタ天才だ!!!

オルコットはこの時代でしっかり印税を獲得し、学校を運営し自立した素晴らしい女性だったようだ。かっこよすぎるよ。なんていうのかなぁ、こういう、なんていうんだろ、シスターフッドってやつだよね。私のfacebookには、この映画をみて絶賛!!というコメントが並ぶ。中年女たち、みんな号泣(笑)。女同士だからわかるなにかとか、そういうのがもうびんびん伝わる映画で、もう感動しかない、って感じ。

何度も言うけど絶対に見に行ってください。最高です。今年の多分ベスト・フィルム。

 

この出演者による解説動画も面白いからぜひ。そうなんですよ、セットとかもすごい素敵で細部にもこだわりが満載だし、衣装もすごく良い。衣装の方はグラミー取ったんだよね。それぞれのイメージカラーが、それぞれの姉妹にあって、お母さんはそれぞれのカラーがまざったものを身につけているという設定なんだって。だってお母さんから4姉妹はいろんなものを引き継いでいるのだから…と、下のビデオで出演者と監督のグレタが語っています。


なおこさんのブログより。シアーシャの地元アイルランドでも大ヒットだったそうです。
あ、そうそう、このビデオも笑えたので載せておきます。良いわ、この子。オックスフォード出身なんだって。


オルコット、ありがとう。160年をへて、あなたの妹が(比較的)自由な中年女やってます。それにしてもグレタは本が最高なんだよなぁ。この素晴らしい脚本にとにかく惹きつけられてしまう。グレタは私が欲しいと思う言葉をくれる。ジョーは私だ。エイミーは私だ。グレタは私だ。みんなオルコットの妹たちなんだよね。
劇場リストはここ。

そしてメリル・ストリープいいわぁ〜。私はお金持ちにはなれなかったけど、自活が可能だって本当に素晴らしいことだと思う。夫を亡くしでもお金持ちだから再婚の必要もなかった大叔母様の役。出番は少ないけど、めちゃくちゃ印象に残るはまり役。最高。


勢いあまってこんなイメージ・ブックまで買っちゃった。さすがディスクユニオンのDU BOOKS。おたくが向かう方向をよく掴んでる。早くも定価より高い値段で売ってるところもあるみたいなので要注意。