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2018年7月16日月曜日

田中泯/松岡正剛『意身伝心 コトバとカラダのお作法』を読みました


さて、この秋、ライコー・フェリックスの公演で、お世話になる田中泯さん。まったくもって勉強不足な私は田中泯さんのことを必死で勉強中。知れば知るほど深みにハマる…(笑)

で、この本ですよ。うーん、なんというかこの本は読むの時間がかかった。でもそれは良い意味でのことで、お二人の話すことを1つ1つじっくりかみしめないと、先に読み進められないからだ。だからなんだか、とってもじっくり読みました。そして、それは、とても有意義な時間だった。

対談本だから、分かりやすい面もあり、いや対談本だから響き合っている2人が共鳴しあってる事が、読者であるこちらでは簡単には掴めなかったり…等々、いろいろあるんだけど、この化学反応はこのスゴイお2人でないと不可能なことなので、やっぱりスゴイと思ったのでした。(ホント語彙がなさすぎる駄目な自分、反省/笑)

それにしても私はこういう文化というか、いろんなことを知らなすぎる。泯さんは、そんなわけで今、とっても勉強中なんだけど、松岡さんの名前は初めて知った…という、このバカものぶり(笑) でも知らないことを知ったかぶりする人が多い音楽/芸術業界はキラいなんだよね… なので知らない事ははっきり知らないって言う事にしてるんだ。じゃないと、返って失礼だと思うし。それにしても泯さんの世界は哲学的とでもいうのかな… いろいろ響きまくりました。この本の中にとにかく響く箇所が何カ所もあるんだけど、たとえば数カ所紹介すると…

例えば松岡さんから「土方さん(泯さんの師匠)からは戦争の話は一度も聞いた事がなかった」とふられると、泯さんが「なかった。僕は『地を這う前衛』の中で「土方巽に風景を見なかった」ということを繰り返し書いたんです。「風景を見た」と思ってしまったら、時代論や世代論のワナにはまるとおもってた」(これ、めっちゃ深い!! そして響いた)

「こういうことだと思うんです。私は「時代」に生まれてきたんだろうか、「私」として生まれてきたんだろうか。時代がこうだったから私はこうなったといってしまうのは、ぼくにとっては風景なんですね。それは絶対に言いたくない」(響く、響く、響く!)

(観客の感想について)「質問というより“私はこう思いました”“あなたの踊りをこう見ました”と主張したいという人がすごく多いなと思った」「ぼくはその意見のすべてに“あなたは正しい”って言ってやりましたよ

(足の裏から得られる感覚について)「ぼくたちの足というものは、そういう場所でかつて踊っていたという古代からの感覚のなかに相変わらず生きているんじゃないかと思いましたね」「クラシックバレエで、トウシューズというものを履きますね。あれについてぼくはこれからじっくり考えてみたいなと思っている」「美の方に先走って、何かの試みではあったのだろうけど、“踊り”という点から考えると、決定的に捨てたものがあるはずじゃないかと思いますね。あれを“踊り”と呼ぶかどうかということから、ぼくにはなんか引っかかっていますね」

(アニー・リーボヴィッツの撮影について)「シャッター音そのものは好きですよ」「たいていは“遅いな”と思う」(こいつは「早いな」と思った人います?という質問に)「アニー・リーボヴィッツとか」「アニーが撮る前に、スーザン・ソンタグがアドバイスしていたらしいんだね。田中泯にポーズをつけてはいけない」(←くーーー、すごい女芸術家同志のかっこよすぎる会話!)

「カラダってのはやっぱりすごいんですよ。ぼくは細胞たちのギルドの結束力によってささえられているというのかな、そういうカラダのなかにたまたま居候させてもらっているというかな。そういう私の居場所のようなものとしてカラダのことを捉えているところはありますね。それによって“命”というものを自覚する」(これって、自分の身体や健康を大自然とする私の考え方にも似てる)

…ね、読むのに時間がかかるでしょう?(笑)なんていうか、文字ずらは読めてなんとなく理解してても、じっくり噛み締めたくなるのよ。これはそういう本だった。

私たちはとにかく日々、周りの事に振り回されている。でもふとこんな風に思考を飛ばしてみたら,その振り回すいろんな事が本当は小さい事だってことに気づくだろう…。なんというか、こんな風に考えながら生きていたら、一体どんな風に世界は私たちの目に映るようになるんだろうか。泯さんの観ている世界を私たちも観てみたい。そう思って、私たちは泯さんの踊りを観るんだと思う… いや、泯さんの世界は観る…っていうより、体験する、って言った方が近いわけなのだけど…。

「勉強」と思って何度か観客としてうかがったplan-Bでの泯さん、そして石原淋さんのダンスは圧倒的だった。こんなに自分の普段みてる世界と切り離されるなんて… ちょっと思考が飛ぶ感じ? 上手く言えないけど、とにかく自分の身体の中の細胞が元気になる感じ。こんなすごい泯さんの世界を教えてくれたフェリックスに感謝。

うーん、この本、もう1度読まないと、これだけの世界観を自分のものにすることは出来ないかもしれない… いや、自分のものにするなんて偉すぎるな。ちょっとだけ実感するというか、なんというか。自分の中に入れて行くというか、なんというか。とにかく2回目に読む時は、じっくり温泉に1週間つかって、日々の面倒から解放されながら、じっくり読みたい…と思った。なーんて、こんな事言っているうちはダメか(笑)

いずれにしても、ホントにこの仕事は面白い。こういう新しい世界を知ることが本当に楽しく、どんどん深みにはまっていく。泯さんとフェリックスのステージが本当に楽しみだ。今でも信じられない。ウチがこういうすごい公演を主催する、ということに!

ライコー・フェリックスと田中泯さんの公演、11月8日(木)です。詳細はこちら。もちろん、このちらしの「地を這う前衛」は泯さんの言葉からいただきました。泯さんの本はもう1冊読んだので、そちらもまたご紹介していきたいと思います。



2018年7月14日土曜日

『ダニー・ボーイ』はダサいのか…『ダニー・ボーイ』祭。

ちょっと調べものをしてて、いわゆるまとな伝統音楽家からは嫌われている、しかしアイルランドに郷愁を求める人にとっては超・愛されている『ダニー・ボーイ』について、あれこれ聞いておりました。

同じ曲をあれこれいろんなヴァージョンで聞く事を、このブログでは「祭り」と言う。こちらもどうぞ。
LONG GOOD-BYE祭り
PRESSED FOR TIME祭り 
Lakes of Pontchartrain祭り 
Lord Franklin祭り
Fionnghuala祭り
Raglan Road祭り 

で、『ダニー・ボーイ』。不自然にキャッチーなメロディと、伝統音楽にはありえない展開、そしてイングランド人によって付けられた歌詞がいけないんでしょうか。トマス・ムーアの『庭の千草(The Last Rose of Summer』とならび、アイルランドの全うな伝統音楽家からは嫌われている楽曲。 もともとは『Londonderry Air』と呼ばれていた。ロンドンデリーというのが、またいけないのかもしれない。まぁ、この辺の評価はあと150年くらいたたないと、分らないのかもしれません。

たとえば10月に来日するフルックやルナサ、アルタンやシャロン・シャノンあたりに『ダニー・ボーイ』を演奏してよ…と言ったら、私はその場で即刻口もきいてもらえなくなる事でしょう。でも曲自体に罪はありません。探せば良い演奏だってあります。というか,この曲ほど演奏家を選ぶ曲はないのかもしれません。不思議な曲だよなぁ…

例えばこれ。かっこいいねぇ。



伝統音楽ファンにも評価が高いシネイド・オコナーのヴァージョン。



若くして亡くなって、すっかり伝説の人となっちゃったアメリカ人のエヴァ・キャシディ。まぁ,彼女の場合、なにを歌ってもソウルフルで、すごい説得力ではあるのですが…



そして圧巻なのが、これ。マーティン・ヘイズが大絶賛してたグラッペリの『ダニー・ボーイ』。このユーモラスなニュアンスにあふれる演奏が最高ですなぁ。それが返って泣けるというか…。やばいわー。 やばいわー。



しかしホントに『You Raise Me Up』に似てるよなぁ。まぁトラッドだから誰も文句言わないんだろうけどさ…

DVDでやっと『オー・ブラザー』を見ました! これは最高中の最高!




うわー やっと観たよ、この映画。観なくちゃいけないのは分ってて、かなり前にDVDを買ってたんだけど、それを観ないでずっと持ってた。すみません。で、今ごろ見た。

めっちゃくちゃよかった。コーエン兄弟って、他にも『ノー・カントリー』と『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』とか観たけど、どれもピンとこなかったのよねー。でもこれは最高だわー。ヒットしただけあるわー。いいわー。楽しいわー。もう何度でも何度でも観たいわー。めっちゃ楽しい!

音楽に溢れている、ってのは、もちろん前から知ってたけど、それ以上にジョージ・クルーニー、めっちゃいい! この時の感じもそうだったけど。ジョージって、きっと本人もあのまんまのキャラなのよね〜(と勝手に想像)。ジョージっていうか、ジョーヂみたいな(笑)このジョージを含むキャラのたった3人、とにかく最高。

音楽に溢れる楽しい映画。でもジョーヂは「歌は自信がないので吹き替えにしてもらった、一応ヒットする曲、という設定だし」とインタビューに答えて言ってた。

そういやこれで歌ってるジョーヂもあんまり歌が上手くない様子(笑) グウェン・ステファニとコーデン、いつものCarpool Karaokeを楽しんでいたのだけど、車に4人いないと通過できないエリアを通過ということで、コーデンが「こいつはいつも暇してる奴なんだ」とか言いつつジョーヂを呼び出す。



しかし三枚目の男の人って、いいよねぇ。女性に対してもいつも「負けてあげてる」感がいい。久しぶりに惚れたわー。

 ストーリーは割と単純。37年のアメリカ南部ミシシッピ州。3人の脱走兵が、某所に隠してあるという120万ドルを目指してドタバタ移動していく。一応ホメロスの『オデュッセイヤ(ユリシーズ)』がベースになっているらしく、結局のところ賞金ではなく別の男に奪われた妻を取り返しに行くというものなんだけど、途中、道が交差しているところで出会う悪魔に魂を売り渡したという黒人のギタリストの青年をひろったり、とにかくイチイチ小ネタがキいているのだ。クロスロードで魂を売り出す、というのは、もちろんロバート・ジョンソンのエピソード。彼らは逃走しながらも、音楽を吹き込み小銭を稼ぐのだが、このある意味いい加減に録られた音楽が知らない間にヒットしていた…という設定。そしてKKKにやられそうになったり、洗濯女たちに騙されたり、とにかく南部の乾いた空気と、細かいエピソードが最高。音楽が楽しくまるでミュージカルみたいで、ジョーヂの魅力も炸裂なのだ。

これいいでしょう? 最初おっかなびっくりで歌ってるのがいい感じよねぇ〜



そしてアリソン・クラウスのこれも…



この映画がアメリカのアコースティック・ルーツ・ミュージックの盛り上げに一役かったことは間違いないわけだけど、いや〜 わかるわー こんなに楽しいんじゃ当然よね。まだ観てない人なんて、このブログを読んでくれている人の中にはもういないと思うんだけど、まだの人は速攻で見た方がいい。こりゃ、生涯の好きな映画ベスト10に入っちゃったかも。



PS
ところでWhere Art Thouてどういう意味なのかな、と思ったら古語。Art=Are Thou=You YouをTheeとか言うシェイクスピアみたいな、あれですね。訳すとしたら「兄弟よ、汝はどこに?」って感じか?

2018年7月12日木曜日

『霧の彫刻』中谷芙二子さん、世界文化賞、おめでとうございます!

今朝、こんなニュースが。人口の霧を使った『霧の彫刻』で知られる中谷芙二子さんが「世界文化賞」を受賞しました。



中谷さんのお名前は「グリーンランド」という作品で拝見したのと…、あとこちら!


すごいですよね…!!



そして、ウチもこういう公演をこの秋、作ります。田中泯さんとハンガリーのライコー・フェリックスの公演。ドキドキ… 詳細はここ。


こんな映像みつけた。トリオでやってる… すごい。

映画『レディ・バード』を観ました。いや〜 最高!!!! 


映画『レディ・バード』を観ました。もう最高、最高、最高!です。

サクラメントに住む自称レディ・バードことクリスティンは高校生。東海岸のかっこいい大学に受かって、なんとかこのイケてない町を逃げ出したいと思っています。この「自称」ってのが、まず痛い。自分を本名ではなく「レディ・バード」と呼べ、と(笑)。もう肥大しまくっちゃってる自我。町山さんが子供のころって誰に頼まれるわけでもなくサインの練習をしちゃう、って言ってたけど、まさにそれ。自分は何か特別な物を持っているんじゃないか、と信じてる。でも大人たちは分ってくれない、と。そんな女の子の映画です。

でもこの映画では回りの大人は悪い人は誰もいない。ママも不器用ながら、間違いなく彼女を愛しているし、パパにいたってはホントに献身的に彼女の味方をしてくれています。車にいたずらされちゃうシスターも大らかな対応で、ホントに素晴らしい。確かに「イェールは絶対に無理」と断言しちゃう進路指導の先生にはムッと来たけど、基本みんな、レディ・バードを温かく見守っているわけです。

このイェールはあんたには無理!と言われた時のシアーシャの表情がホントにナイス!


また一方で、新しいボーイフレンドと付き合った事からクラスの中の「オシャレかっこいチーム」に引き寄せられ、本当の友情を見失いかけたり…

このちょっぴりおデブなお友達もめっちゃいいでしょ? いいんですよ、二人の関係も。

なんというか、これは、もう本当に脚本の勝利だと思います。確かにアメリカの高校生ならではのエグい会話は多々ありますが、言葉というよりテンポや気持ちの流れ、話の展開、そのすべてが本当にトップクラス。90分ちょいという長さもベスト。最近の映画はホントに長過ぎるからね!

もちろん、私はこれが今一番注目されるアイリッシュであるシアーシャ・ローナンが主演だから、この映画を観に行ったわけですが、彼女ももちろん最高でした。監督と長い時間をかけて一緒に脚本を練っていったそうで、ホントにハマり役だと思います。ちょっと、がに股で怒鳴りちらしたりする立ち姿は、まるで本物の高校生です。ピンクの髪もめっちゃ似合ってる(笑)

この素晴らしい作品を手がけた監督・脚本は自身も女優(コメディアン)であるグレタ・ガーウィグ。アカデミーの数少ない女性監督のノミネートだったそうで、おしくも受賞は逃しましたが、そういう点でも注目です。彼女はドイツ系だけど、やっぱりカソリックの教育下のもとに育ったようで、そういった意味でも自伝的な話なのかもしれません。



音楽が最高。特にこれ。モンキーズ、大好きだったなぁ。モンキーズの映画『ヘッド』のこの曲を選んでくるあたりがいいよねぇ… 監督の趣味かな。

2018年7月10日火曜日

映画『明日にかける橋 1989年の思い出』を観ました!


なんと友人が太田隆文監督のファンでエキストラ出演しているというので、観てきました。『明日にかける橋 1989年の思い出』。正直、普段はあんまり日本の映画は積極的に観ないのですが、いや〜、これが心あたたまる作品で、とっても良かった。

太田監督版『Back to the future』と言われているこの映画ですが、私は実は『Back to the future』は観ていないので(ひどいね)、結末が想像できなくて、結構ハラハラドキドキさせられました。脚本に多少細かくつっこみたい箇所はあったけど、なんというか、きちんと気持ちが描かれているので、それで一気に物語入りこむことができます。うーん、いいねぇ。こういう映画も久しぶりだなぁ。

主人公のみゆき(鈴木杏)の家族は20年前に弟をなくしてから崩壊状態。お父さんはアルコールにおぼれ亡くなり、お母さんは精神を病んでしまう。 夏のある日、全力で走れば願いがかなうという橋を渡り、ふざけるみゆきと友人二人。なんと、辿り着いた場所は20年前、花火の日の前日だったのでした。そこから未来を変えるべく、みゆきたちの奮闘が始まるのです。

さて偶然にも日曜日の最終回に行ったら、前の回の上映後に監督&出演者たちの舞台挨拶があったらしく、次の回を目指して行った私たちも監督や出演者の皆さんのお話を聞くことが出来ました。呼ばれて駆け上がった(そして階段でドタンとこけた/可愛い)弟役の田崎伶弥くんが妙に可愛く、一生懸命プロモーションする様にすっかりファンに。 しかも監督の質問などに答える受け答えもしっかりしてるんですよ。最近の子役の子はすごい。なので、映画が始まって、その弟くんが、出て来て微笑ましく観ていたら、あっという間に交通事故でお葬式になっちゃったのが「あれ〜!!」  

他の俳優陣で良かったのは、地元の名士的な立ち場で登場する重鎮・宝田明さん、そして「マッド・サイエンティスト」的な化学の先生を演じる藤田朋子が素晴らしかった!! 藤田さん、何をやっても素晴らしい女優さんだと思うんだけど、これはなかなか新境地じゃなかったかしら。すごく良かった。

またこの映画のもう1つの重要なテーマである花火大会で有名な静岡の町の様子もめちゃくちゃ綺麗に撮れていて、本当に引き込まれました。

あ、そうそう、肝心の友達がエキストラ出演しているのを忘れちゃいかん…と思いつつ、画面隅々まで目をこらしながらも、ついつい映画のストーリーを追うのに夢中になってしまった(笑)。で、友人はたぶん4回出ていたと思う。そのうち1回はしっかり正面から写ってた… 本当におつかれ様でした!!



というわけで、都内ではもう今週金曜日までとなっております。有楽町すばる座へ急げ!!

2018年7月8日日曜日

「What would you do? あなたならどうする」次の世代は素晴らしい。未来は明るいね!

You Tubeで動画観てると、海外のトークショウとかバラエティ番組みたいなのをついつい観ちゃう。

「What would you do?」は、そんなabcの人気番組の一つ。毎回感動的なんだけど、この回はほんとに良かった。



男の子が「女の子のおもちゃがほしい」と言う。お母さんが「ダメよ、もっと男らしいものにしなさい」と言う。そういう場面に出くわしたら「あなたならどうする?(What would you do?)」

アメリカ人、勇気あるわー 日本人なら各家庭のこととして、いちいち介入しないかもしれない。でも例えば「ウチの息子もそういうので遊んでたけど、自然となくなったよ」「ま、僕の意見だけどね」とアドバイスするおじさんがいたり…。

番組では、途中から女の子が「トラックがほしい!」と言うシーンにチェンジ。そしたら大人の女性たちが、みんな女の子の味方することよ! 「禁止したら、それがもっと魅力的なものになっちゃうわよ」とも。「子供たちはみんな好きなもので遊ぶ権利があるわ」と。

でもって最高なのは、最後の方に出て来る子供たち。お母さんが無視していたにも係らず、「私も小さいころトラックで遊んでたわ」と介入する女の子(12歳くらい)。「男の子のおもちゃだって言えば,男の子のおもちゃだけど、女の子だって遊べるよ」(10歳くらいの男の子)。「僕の妹はスーパー・ヒーローが大好きなんだ。男の子でも女の子でも関係ないよ」(6歳くらいの男の子)

いや〜いいわ、次のジェネレーションは素晴らしいわ。子供たち、ホントにいいね。未来は明るい。かなりグッと来た。みんなが自分らしく生きられる世界になりますように。

2018年7月7日土曜日

DeNAの南場さんの言葉に感動する


DeNAの南場さんの言葉はいつ読んでも響くのだが、これはまた最高に響いた。この講演の対象は、これから就職活動をする若者だと思うのだが、これ、フリーランスにもめっちゃ役にたつアドバイスがたくさん詰まっている。若い人、必読。(あぁ『不格好経営』まだ読んでないんだよなぁ、絶対に読まなくちゃいけないんだが)

「自分で考える軸を持ってもらいたいと思っています」「これまでもモノやお金は組織の壁を超えて調達してきました。一番重要な人材のソーシングも当然そうなっていきます」「とくに、仕事の仕方が大きく変わっていくということを考えたときに、プロジェクトに呼ばれる「デキる人材」になっておくことが、なによりも重要なことだと考えます」

「成長できる環境かどうかを判断するには3つほどポイントがあります。1つは純粋にコトに向かっているチームかどうかということです」

これは規模ではなく文化の問題です。チームそれぞれに十分に高い目標があって、そして本当にヒリヒリ痛みが伴うほどストレッチして頑張っている風土かどうかというところですね」

「やり方は勝手に考えろっていう任され方がよいですね」「小さくても起承転結任されるほうがよいです」

最後の川田さんのエピソードがいい。「川田さんは自分がまったく知らないところで決定されたことについても、一度も不機嫌になったことがない。ただの一度も「俺は聞いてない」って言ったことがないんです。その決定のために川田さんが汗かいて働かなきゃいけなくなったとしても、です」これもすごくいい。例えばライブの現場で「私、それ聞いてません」ってしょっちゅうある。毎日重要事項の変更や何やらで、末端までちゃんと指示が行き届かない事はいくらでもあるのだ。でも現場でそう言っちゃう人はプロジェクトには向かない。 とにかく絶対にその船を沈没させないために「コトに向う」ことができる人。私もそういう人とチームを組みたい。

私も最近になってやっと分ってきた。好きなことやってきた仕事人生だった。もうこっから先の人生はボーナスなので、成功しないプロジェクトには手を出したくない。それには最高のチーム作りが重要だ。そもそもプロジェクトって、キャスティングをした時点で成功か失敗か決まっているようなもんなのだ。絶対に「コトに当たれる」チームで進めないと。

それにしても南場さん、いいよなぁ。自分用のメモにブログにも書いておきます。響いた!!


 

ライコー・フェーリックス主演映画「DELTA」(2008年)を観ました。

この映画はフェリックスにオファーを出した昨年7月ごろにDVDを取り寄せて英語字幕で観ました。いや〜、素敵な世界でした。

フェーリックス・ライコーがなんと「主演」した映画「DELTA」。もう10年前の作品です。

なんというか不思議な空気感の作品で、これもまた「万引き家族」同様、監督がブレてないのがすごいです。しかもカンヌで賞ももらってるんですよ。国際批評家連盟賞。

もともとこの作品はLajos Bertokという俳優さんが主演で作られたのでした。ところが、その方が「悲劇的な死」(40歳の若さで亡くなったそうですが、原因などは調べても分りませんでした)を遂げたあと、監督は音楽を担当することになっていたフェリックスを主演にしようと決めたんだって。フェリックスがそういう雰囲気にぴったりだったから。しかも最初は復讐劇だったのを、フェリックスにはそういうのが似合わないとストーリーも書き換えたのだそうです。すごいですね。

そしてこの作品の仕上がりですよ。まさに! フェリックスのシャイな感じがすごく良く出ていて、セリフ少なめ(笑)まさに彼にぴったりの作品に仕上がりました。でもビョークの映画よろしく、彼もこの後は主演映画がないし、カンヌの記者会見でもだんまりだったようで、俳優業はもうこりごりだと思ったのでしょうか…(笑)

そして、この女優さんもめっちゃ素敵なんですよね。雰囲気があって。

しかし雰囲気とか世界観で押して来る映画です。まず情報がほとんどない。兄(フェリックス/映画では名前がない)は、どこか海外で出てお金を稼いで故郷に戻ってきます。(海外にいたと言う根拠はハンガリーが、フェリックスが差し出すユーロの圏内ではないから)お母さんを訪ねて実家に戻るとそこには(おそらく)腹違いの妹、そして母のボーイフレンドがいて「お前が住むところはないよ」と言われるわけです。

父が遺したほったて小屋を拠点に自分の家を建てようとするフェリックス。そしてそれを手伝う妹。妹はついに兄と住むと言って実家を出るのですが、まぁ、簡単に言えばそれを家族も周囲のみんなも、まったくもって面白くないわけですよ。最後にはそんな連中によって悲劇がもたらされてしまう。

それにしても画面の光の感じとか、静かに流れるフェリックスのヴァイオリンや弦楽四重奏や、バーで流れている音楽はなんだかカウルスマキ風だし、極端に少ないセリフとか、とにかく素晴らしい作品であることに間違いはありません。いつか日本で上映出来たらいいなぁ。この監督はこのあとも作品を発表し続けていて、最近の作品は日本でも公開されています。コーネル・ムルンドルッツォ監督。

ところで未公開映画を紹介したこんなブログを発見。参考にさせていただきました。また監督のインタビューの訳まである。素晴らしい! 是非リンク先も読んでくださいね。

トレイラーからも雰囲気が十分伝わりますよ。なんて素敵!!



一応レッドカーペットの写真も貼っておきましょうね…

Embed from Getty Images

DVDで手に入るんだけど、現在在庫切れ。



Amazon UKで買うといいかもしれません。(リージョンコードに注意。またおそらくPALだと思われます)
 
ライコー・フェリックスと田中泯さんの公演は、こちら。まだだいぶ先の公演ですが、現在6列目くらいまで埋まっております。良い席をご希望の方はお早めに。詳細はここ。

2018年7月4日水曜日

「万引き家族」やっと見た!!


やっと観てきました! とにかく話題のこの映画、見ない方が変でしょ!

でもって、私の感想はというと、映画の前評判や、友達の感想を読んで自分が想像してたのとは実はだいぶ違った。っていうか、みんなこの映画観ないで感想言ってないか? また反対にパルムドール取ったからって、妙に感動作!とか言って持ち上げてないか?

私はまずこの映画が超リアルなのに感動した。セリフが重なっていてよく聴こえなかったりするなど映画のルールを無視して、めっちゃリアルな世界を徹底的に表現することに集中している。素麺や茹でたトウモロコシ、見えない花火、子供たちが帰ってきて慌てて取り繕うセックスなど、これでもかとこの家族を描くリアルな要素が並び、とにかく引き込まれる。彼らの家は貧乏で雑然としていて物に溢れ、かついつも彼らはなぜかカップ麺を食べている。本当に貧乏でも、やりくりが出来て長期的プランが立てられる家族であれば、カップ麺は割高だから食べるべきではない。が、ここではカップ麺はこの家族を描くにあたり必須アイテムなのだ。そしてそのジャンクな食べ物が妙に美味しそうに見えてしまうのだ。

「家族の絆」云々言う人もいるが、彼らにおいて、それはかりそめであり、短絡的であり、目の前にあるキャッシュの方が優先され本当の愛情とは言えないと私は思う。と同時に、では本当の愛情ってなんだろう、という疑問が浮かぶのだ。最後、安藤サクラが息子に貴重な情報を与えるシーンがあるのだが、本当の愛情は私はどちらかというと、そっちだと思いたい。またあえて厳しい事言ってしまえば、リリー・フランキー演じる父親は単に息子に依存しているだけだ。最後のバスのシーンに号泣!とか書いてる人がいたが、私は泣けなかった。っていうか、この映画みて「涙止まらない」とかはないと思うな。別に泣けはしない。ただただこういう家族の姿を見せられて呆然とするだけだ。社会からは犯罪者と言われる人たちにこんな世界があるんだ、と。でもリリー・フランキーはどこまでもダメな奴であり、息子はこういう人間関係は断ち切らないと前に進めない。

そしてこの映画を見終わって思ったのは、本当にこの映画はすごいな、と言うことだ。こう言う表現があるんだ、と。 ここまでリアルに見せることで、これだけこちらに考えさせ、伝える方法があるんだ、と。だから、こう言ってはなんだか、たかだか映画に、この家族に、ここまで真剣にコメントしてしまいたくなる。きっと監督は視聴者のことを信じているんだね。この映画の最大の魅力はそこにあると思う。で、別に是枝監督はこの家族がいいとか、こっちの方が人間の本当の絆だとか、そんなことは1つも言ってないんだよね。ただ徹底してリアルにこの家族の姿を見せる。それに集中していて、まったくブレがない。ケイト・ブランシェットの言葉を借りればinvisible peopleを見せることに徹底している。めちゃくちゃリアルで、あの家族が実在しているかのように、何も疑いもなく観ている者を映画の中に、あの家族の中に引っ張り込むのだ。そして色々考えさせる。

そして私はと言えば、映画を見終わった後、思うのだった。いったい人間の社会性のラインってどこにあるんだろう、と。あの映画ではリリー・フランキーは明らかに社会からこぼれ落ちた人間だ。監督はリリーに「最後まで成長のないダメな男でいてくれ」と言ったそうだが、まさにそう。でも安藤サクラは間違いなく境界線にいる。子供たちは皆、なんとか自分で社会と共存する道を見つけるだろう。そして世間には「妹にこんなことさせてちゃ駄目だよ」と言ってくれる駄菓子屋のオヤジさんみたいな人もいる。(あのオヤジの存在はグッと来た。あれは犯罪者を救う社会の奇跡の接触である)

それにしてもこういった是枝ワールドを作り出す、このチームワークの素晴らしさとはいったいどうやって実現しているんだろう。とにかく俳優陣、全てが素晴らしい。安藤サクラは、もう圧巻で、彼女『100円の恋』も素晴らしかったけど、すごいスケールの女優さんだよね。そしてダメ男を演じたら間違いないリリー・フランキーもすごいし、樹木希林も凄まじい。リアルよりもめっちゃ老けて見える。っていうか、女優さんたち、全然メイクしてないし、綺麗に見えるとか、まったく関係ない。素っ裸でこの映画に貢献している。すごい。子役もすごい。子役なのに、なんでこんなにナチュラルなんだろう!!  監督は当然とはいえ、付いていく俳優陣にまったくブレがない。監督の世界観を作ることに間違いなく貢献していく。ここまでブレない是枝組の世界観とはなんだろう。本当にすごい。そこに私はただただ圧倒された。

で、監督のインタビューを読めば、映画界でも監督発信のゆるがない企画が減少しているという。(多くの人がからめばからんだだけ、本来の方針とはずれていく。企画ってそういうもんだ…)でも自分がそういう方針を貫くだけで、日本映画界の多様性を担保することになる、みたいな言葉があって、超・響きまくり。 また監督は脚本を細部まで書いておらず、安藤サクラのインタビュー記事によれば、現場で俳優との相談で進めていく部分が本当に多いのだそうだ。うーん、すごい。そんな風に有機的で、自由なのにブレない。これってすごい。っていうか、そうか、それだけ俳優を監督は信頼してるんだな、とも思った。(一方のリリーは、セリフは全部決まってます、とも発言している)

で、監督がインタビューで話していた施設で出会った女の子の話も、これまた素晴らしいのだ。映画制作のために、監督たちが虐待された子供達が親と引き離されて生活している施設を取材している時、ちょうど学校から帰ってきた女の子がいた。その子に監督が「今、何の勉強をしてるの?」と聞いたらその子は国語の教科書をランドセルから取り出してレオ・レオニの『スイミー』を読み始めたんだって。施設の職員たちが「皆さん、忙しいんだから」と言って止めるのも聞かず,その子は最後まで読み終わり、監督たちが拍手をすると嬉しそうに笑ったんだって。監督はその子の朗読する顔が忘れられなくて、映画の中で男の子が『スイミー』を読むシーンをすぐに書き入れたんだそう。

そして、インタビューされながら答えてる。「今,言われてはっきりわかりました。僕はあの子に向けてこの作品を作っていると思います」(参照)

うーーーーん、すごい。監督… ぶれない。ブレてないよ。ホントにすごいわ。とにかく映画のほとんどはこの家族の姿を見せることが徹底され、それは前半ある意味、長すぎるのではないかと思えるほどだ。そして後半、おばあちゃんが亡くなってから、実は…と急展開になっていくところが、本当にスリリング。ここからは映画としてのエンタテイメントというか波がわっときて、圧巻の取り調べシーン(すごいよ、俳優さんたち。特に安藤サクラ)から、バスのシーンまで、あっという間に終った2時間だった。私は観終わってとにかくボーゼン。こんな表現方法があるんだ…。ただただそれだけに感動した。本当にすごいと思う。めちゃくちゃ好きな映画です。

是枝監督作品を観るは実は2本目。前に福山雅治とリリー・フランキーの『そして父になる』を見ているはずだが、自分のブログに感想文を見つけられなかった。感想を書くの、サボったかな? でもあれもいい作品だったけど、ここまでの感動はなかったと思う。そういや『誰も知らない』も観てないや… 今度、観て見ようかな…

しかし「絆」をやたら強調する宣伝方法と『万引き家族』というタイトル、そしてパルムドールがなければ、 こんなに派手に話題になることもなかったような気もするくらい地味な映画でもある。私はこの映画のすごさは、誠実に作られた是枝ワールドが凝縮した濃密な映画だ、ということにつきると思う。でも週末の西新井で見たのだが,普段家族映画しか入っていないファミリー映画館の中くらいの部屋が満員で、目指して行った回が見れず次の回まで待たないと観ることが出来なかった。うーん、快挙である。是枝監督、すごい。あの女の子のために… やったよね!!

普段テレビ局の事業部がからむ宣伝がうるさい日本映画は好きじゃないのだが、これはフジテレビのプロデューサーにも感謝しないではいられないだろう。すごいわ。地味な映画がこれだけ話題になっている。それだけでもプロデューサーもしてやったりだろうし、監督も妥協ない作品が作れて大満足だろう。いや、もちろん水面下にはいろいろあるだろう。でもみんながブレまくってるこの時代、そういう事にも、とにかくいちいち圧倒される。



そして映画の感想を書いたブログではこれに一番共感した。この方の視線はもっと優しいけど。