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2018年7月21日土曜日

今さらながら是枝監督『誰も知らない』を観ました。すごすぎる!!


いやーーーーー すごすぎる! すごすぎる! すごすぎる! やっと観ましたよ。『万引き家族』に感動して、是枝監督の代表作『誰も知らない』を。ホント邦画はよほどのことがなければ観ない私。今ごろになって、やっと…という感じです。

なんというか、子役すごすぎる。長男すごすぎる。監督のメッセージ… じゃなかった… 監督はまたもや何も言ってない。なーーーーんにも言ってない。ただひたすら子供たちをリアルに描くだけ。それなのに、この映画の「観る者に考えさせる度」圧倒的にすごすぎる! これはすごすぎる映画です。いや〜 またもや是枝監督にやられた。

またもや監督は何も言ってない。何も言ってないけど、これを観て考えない人はいないでしょう? いや、自分だったらこの子供たちに介入できたか? 勇気を持って話しかけることが出来たか? でも話しかけても本人にはぐらかされたら、おそらくそれ以上は突っ込めないでしょうよ、マジで。巣鴨のこの事件が題材になっているそうだけど… すごすぎる。 あぁ、でも、ごめんなさい。そう、私も弱い大人なんです…。



しかし、この長男、存在感、目の力、すごすぎるでしょ。もうやばいわー すごすぎるわー。表情が…もうやばすぎるでしょ! 映画は1年かけて撮影したそうだけど、最後の方、長男成長してるし、背が高くなって声代わりまでしてる。どうやらwikiによると身長が146cmから163cmまで延びたんだって。すごいよね! カンヌで最優秀主演男優賞を最年少で受賞したの、超わかる! 審査委員長のタランティーノが、この映画が受賞に不利だといわれる2日目の上映だったのにもかかわらず、大きな賞をゲットしたことについて「毎日すごい本数の映画を見たが,最後まで印象に残ったのは彼の顔だった」と話していたそうだけど、分かる! いや、すごいもの。

友達が貸してくれたメイキング映像のDVD見たら、クランクアップの時、長男くん、花束渡されて、みんなに労わられて、こらえきれずに泣いてるのよ。もう、それ見て、号泣っ! 号泣っっ!   映画みては泣かなかったんだけど… 子供なりに必死で責任感感じてたんだね。大人の期待に答えようとしてくれてたんだね…(涙)

そして陽気な次男… この子、すごい!! だって全然演じてないでしょ?(ちなみにカップ麺の汁にご飯を入れるのは、子役くん本人のアイディアだったとか…) 。ちなみに次男は小学校卒業と同時に俳優業はやめたらしい。

監督が「いかにも育児放棄しそうなキャラクター」と抜擢したYOUさんの母親役も自然で良かったわ。だって、まったく悪びれてないんだもの。特に子供たちと遊ぶシーンは、すごくナチュラル。母親は母親なりに子供たちのことを考えていたのだとは思う。そしてこれが最後だと知るよしもなく別れる駅のシーン。あぁ…(YOUさんはあれが別れのシーンだとは知らないで演じていたそう)
 
それにしても、すごいよね。この子役たち。ほとんど後半というか、終わり2/3は子供たちの演技だけで映画は進行していく。すごすぎるでしょ、この子供への演出は! で、監督のホームページのこのコーナーにある「春」「夏」「秋」「冬」の写真集と監督のコメントがいいんだわ! そこに監督の子供演出の秘密があるような気がした。監督が子役たちのことが大好きなのがよくわかる。特に「冬」にあるカップラーメンの裏蓋をなめる次男の写真に「お母さん、すみません、でもこの写真とても好きなんです」ってのがいい(笑)

監督は子供を愛しているし尊敬しているね。リスペクトがある。だからこそ、こんな風に撮れるんだと思う。ホントすごいわ。で、同じページにある、子供たちが書いた夏の思い出やカンヌの思い出もいいから、是非読んでみて。映画では泣かなかったけど、長男のコメント読んで、泣けた。やばいわ、子供達! そして次男、まったくあの映画で見た次男どおりだから!(笑)

どっかの横柄なコメディアンがYOUだけ浮いてる、とか言ったそうだけど、監督の制作ノートを読んだら、それがいかに考えなしのコメントなのかが良く分る。監督との打ち合わせに来たYOUさんは、最初この仕事を断ったそうである。演じるという経験もないし、セリフ覚えて準備するのが自分はとても苦手。自分はバラエティなどで臨機応変にやる方が向いてる、と。そこで監督はYOUさんに子供と同じ演出方法を仕掛けた。セリフは覚えてこなくていいですから、と。なので、一応脚本は事前に用意し渡したものの、YOUさんが事前に読んで来た形跡はなかったそうだ。

でも彼女はすごい。冒頭の食卓のシーンでの撮影時、まだ撮影になれてない子供たちの会話があれこれ脱線してしまう中、それを叱るでもなく訂正するでもなく、編集ポイントで自然に子供たちの役名を呼びながら臨機応変に軌道修正し対応したんだそう。これって「万引き家族」のリリーさんや樹木希林さんと一緒。大人の役者が子供に対する演出家みたいなことを引受けている。まさにバラエティで鍛えられたスポンテニアスな彼女の本当の凄さ!    すごいと思うよ、ほんと! っていうか、是枝組、またしてもすごい! またもや是枝監督のキャスティングそして、その人の才能を最大限に引き出す力に唸る。唸る。唸る!!!

アマゾン、標準画質なら300円で観れるから、是非。見てないひとはいないだろうけど。



そしてYOUと長男くんはその後、車のCMで共演してるとか…(笑)



さて実際の巣鴨事件の犠牲者だった子供たち。その子たちはこの映画を見たのだろうか。二人の娘は母親と結婚した父親にひきとられ、長男は施設に入った…とのこと。どうか… どうか彼らが幸せでありますように。弱い大人たちを許してください… これは社会の問題だ。そして、いつも犠牲になるのは子供たちである。

今日、たまたまマンションのエレベーターの中でそれ違った、男の子二人(9歳と7歳くらい)、女の子(4歳くらい)の兄妹が、子供だけでマンションのゴミ捨て場にゴミを捨てにきていて、次男が両手にゴミをいっぱいかかえ「(ゴミ捨て場の)扉があけられなーい」とか言っているのを聞いて扉を押さえて開けてあげた。すれ違い様に「ありがとうございます」と言った長男に萌えてしもた…。子供は社会の宝だ。

PS
ところで子役というと,この子を思い出す。野村芳太郎監督の『砂の器』の秀夫役の子。この子も不思議な運命を辿ったみたいね。(こちら)子供の目力、やばい。すごい。こちらはセリフが「とうちゃん!」しかなかった…というのもあるけど、この子もすごかった。

世界の大統領

フィンランドの大統領とアメリカの大統領の違いはこれ…



そして彼らもフィンランドでは、リラックス(笑)そうよ、世界中のほとんどの人は、いい人なのよ。必要以上に警備したりする必要はないの。

政治的権力はなく、どちらかといえば象徴的な存在のアイルランドの大統領。だから許されるのかもしれないけど、いつも正義の味方で支持率90%以上。ウチのミュージシャンたちもヒギンズ大統領が大好きです。その大統領の議員時代の正義あふれる発言。「必要以上に人を怖がらせてコントロールしようとするんじゃない、このオ○○ー野郎!」(笑)



ATMに並ぶ,同じくアイルランドの大統領の写真はこちら。可愛い!


アメリカの元大統領。「希望を忘れずに」「移民は力になる。サッカーのフランス代表を見てみるといい」「民主主義は雑然としているが、独裁の効率の良さは偽りの期待」

ホントに日本も終ってる…と思うこと多数ですが、皆さん、希望を忘れずに。今日も暑いですが、頑張って行きましょう。

2018年7月19日木曜日

DVDで、映画『さよなら、人類』を観ました

さてこの夏の間に、買いだめておいて観れてなかったDVDを観て感想を書くシリーズ第2弾(笑)

ずいぶん前に映画関係の友人に勧められて買ってあった『さよなら、人類』

スウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソンの2014年の作品。面白グッズを販売するセールスマンの二人が、人生のいろんな場面に出くわし人間の悲しさを切り取っていくという、なんというかモンティ・パイソン的な部分もあるし、シュールでなんとも味わい深い作品。
スウェーデン人の監督だが、フィンランドっぽくもある。何というか北欧のドライなユーモアに溢れている。

実は観終わった後は「なるほど〜」と思いつつも、あまりすごいとは思えなかった。ある意味、コメディって理解するのが難しいのかもしれない。あの『ファーザー・テッド』だって私は理解するまでにすごく時間がかかったんだし。でもDVDについてた特典映像(メイキング)を観たら、いっぺんでファンになっちゃった(笑) 

(ちなみに『ファーザー・テッド』はアイルランドの架空の島を舞台とした有名なシチュエーション・コメディで、私は大ファンで各エピソードの解説ブログを作ってしまったくらいファンなのだ)

確かにCG全盛のこの時代にまったくのアナログで全部をスタジオのセットで表現してしまう監督のこだわりはすごい。そして完成画面をモニターで観ながら撮っていくんだなーってのも、すごいと思ったし、監督、撮影しながら楽しくなっちゃったのか、上手くいくと笑ってんのよ! それがめっちゃいい(笑)

メイキング映像、ネットにもあがってたので紹介しておきます。







すごいでしょ!?  あとベネチアでの映像もいいんだ。監督がホントに可愛いくって(笑)「有名人じゃなくてゴメン」とかタクシーの運ちゃんに言ったり。ホント謙虚で可愛い感じ! 映画監督って、どうしてこういうチャーミングな人が多いんだろう… いつだったか会ったヤスミン・ハムダンの旦那さんも素敵だったけど。でも確かにそういう人じゃないと個性的な俳優たちや職人気質のスタッフをまとめられないよねー わかるわー。

そして、こんな地味な映画を売る配給会社さんの手腕に感動する。映画の人たちってホント宣伝とか、ものすごい。音楽業界は見習った方がいいかもね。この地味な映画に、こんなのにもポップなトレイラー! キャッチコピーとかも、ホントに上手い。ありえないよ。すごいよ。(マジで、ホントに褒めています!)



あなたも観たくなったかな? DVD/ブルーレイでどうぞ〜

2018年7月16日月曜日

田中泯/松岡正剛『意身伝心 コトバとカラダのお作法』を読みました


さて、この秋、ライコー・フェリックスの公演で、お世話になる田中泯さん。まったくもって勉強不足な私は田中泯さんのことを必死で勉強中。知れば知るほど深みにハマる…(笑)

で、この本ですよ。うーん、なんというかこの本は読むの時間がかかった。でもそれは良い意味でのことで、お二人の話すことを1つ1つじっくりかみしめないと、先に読み進められないからだ。だからなんだか、とってもじっくり読みました。そして、それは、とても有意義な時間だった。

対談本だから、分かりやすい面もあり、いや対談本だから響き合っている2人が共鳴しあってる事が、読者であるこちらでは簡単には掴めなかったり…等々、いろいろあるんだけど、この化学反応はこのスゴイお2人でないと不可能なことなので、やっぱりスゴイと思ったのでした。(ホント語彙がなさすぎる駄目な自分、反省/笑)

それにしても私はこういう文化というか、いろんなことを知らなすぎる。泯さんは、そんなわけで今、とっても勉強中なんだけど、松岡さんの名前は初めて知った…という、このバカものぶり(笑) でも知らないことを知ったかぶりする人が多い音楽/芸術業界はキラいなんだよね… なので知らない事ははっきり知らないって言う事にしてるんだ。じゃないと、返って失礼だと思うし。それにしても泯さんの世界は哲学的とでもいうのかな… いろいろ響きまくりました。この本の中にとにかく響く箇所が何カ所もあるんだけど、たとえば数カ所紹介すると…

例えば松岡さんから「土方さん(泯さんの師匠)からは戦争の話は一度も聞いた事がなかった」とふられると、泯さんが「なかった。僕は『地を這う前衛』の中で「土方巽に風景を見なかった」ということを繰り返し書いたんです。「風景を見た」と思ってしまったら、時代論や世代論のワナにはまるとおもってた」(これ、めっちゃ深い!! そして響いた)

「こういうことだと思うんです。私は「時代」に生まれてきたんだろうか、「私」として生まれてきたんだろうか。時代がこうだったから私はこうなったといってしまうのは、ぼくにとっては風景なんですね。それは絶対に言いたくない」(響く、響く、響く!)

(観客の感想について)「質問というより“私はこう思いました”“あなたの踊りをこう見ました”と主張したいという人がすごく多いなと思った」「ぼくはその意見のすべてに“あなたは正しい”って言ってやりましたよ

(足の裏から得られる感覚について)「ぼくたちの足というものは、そういう場所でかつて踊っていたという古代からの感覚のなかに相変わらず生きているんじゃないかと思いましたね」「クラシックバレエで、トウシューズというものを履きますね。あれについてぼくはこれからじっくり考えてみたいなと思っている」「美の方に先走って、何かの試みではあったのだろうけど、“踊り”という点から考えると、決定的に捨てたものがあるはずじゃないかと思いますね。あれを“踊り”と呼ぶかどうかということから、ぼくにはなんか引っかかっていますね」

(アニー・リーボヴィッツの撮影について)「シャッター音そのものは好きですよ」「たいていは“遅いな”と思う」(こいつは「早いな」と思った人います?という質問に)「アニー・リーボヴィッツとか」「アニーが撮る前に、スーザン・ソンタグがアドバイスしていたらしいんだね。田中泯にポーズをつけてはいけない」(←くーーー、すごい女芸術家同志のかっこよすぎる会話!)

「カラダってのはやっぱりすごいんですよ。ぼくは細胞たちのギルドの結束力によってささえられているというのかな、そういうカラダのなかにたまたま居候させてもらっているというかな。そういう私の居場所のようなものとしてカラダのことを捉えているところはありますね。それによって“命”というものを自覚する」(これって、自分の身体や健康を大自然とする私の考え方にも似てる)

…ね、読むのに時間がかかるでしょう?(笑)なんていうか、文字ずらは読めてなんとなく理解してても、じっくり噛み締めたくなるのよ。これはそういう本だった。

私たちはとにかく日々、周りの事に振り回されている。でもふとこんな風に思考を飛ばしてみたら,その振り回すいろんな事が本当は小さい事だってことに気づくだろう…。なんというか、こんな風に考えながら生きていたら、一体どんな風に世界は私たちの目に映るようになるんだろうか。泯さんの観ている世界を私たちも観てみたい。そう思って、私たちは泯さんの踊りを観るんだと思う… いや、泯さんの世界は観る…っていうより、体験する、って言った方が近いわけなのだけど…。

「勉強」と思って何度か観客としてうかがったplan-Bでの泯さん、そして石原淋さんのダンスは圧倒的だった。こんなに自分の普段みてる世界と切り離されるなんて… ちょっと思考が飛ぶ感じ? 上手く言えないけど、とにかく自分の身体の中の細胞が元気になる感じ。こんなすごい泯さんの世界を教えてくれたフェリックスに感謝。

うーん、この本、もう1度読まないと、これだけの世界観を自分のものにすることは出来ないかもしれない… いや、自分のものにするなんて偉すぎるな。ちょっとだけ実感するというか、なんというか。自分の中に入れて行くというか、なんというか。とにかく2回目に読む時は、じっくり温泉に1週間つかって、日々の面倒から解放されながら、じっくり読みたい…と思った。なーんて、こんな事言っているうちはダメか(笑)

いずれにしても、ホントにこの仕事は面白い。こういう新しい世界を知ることが本当に楽しく、どんどん深みにはまっていく。泯さんとフェリックスのステージが本当に楽しみだ。今でも信じられない。ウチがこういうすごい公演を主催する、ということに!

ライコー・フェリックスと田中泯さんの公演、11月8日(木)です。詳細はこちら。もちろん、このちらしの「地を這う前衛」は泯さんの言葉からいただきました。泯さんの本はもう1冊読んだので、そちらもまたご紹介していきたいと思います。



2018年7月14日土曜日

『ダニー・ボーイ』はダサいのか…『ダニー・ボーイ』祭。

ちょっと調べものをしてて、いわゆるまとな伝統音楽家からは嫌われている、しかしアイルランドに郷愁を求める人にとっては超・愛されている『ダニー・ボーイ』について、あれこれ聞いておりました。

同じ曲をあれこれいろんなヴァージョンで聞く事を、このブログでは「祭り」と言う。こちらもどうぞ。
LONG GOOD-BYE祭り
PRESSED FOR TIME祭り 
Lakes of Pontchartrain祭り 
Lord Franklin祭り
Fionnghuala祭り
Raglan Road祭り 

で、『ダニー・ボーイ』。不自然にキャッチーなメロディと、伝統音楽にはありえない展開、そしてイングランド人によって付けられた歌詞がいけないんでしょうか。トマス・ムーアの『庭の千草(The Last Rose of Summer』とならび、アイルランドの全うな伝統音楽家からは嫌われている楽曲。 もともとは『Londonderry Air』と呼ばれていた。ロンドンデリーというのが、またいけないのかもしれない。まぁ、この辺の評価はあと150年くらいたたないと、分らないのかもしれません。

たとえば10月に来日するフルックやルナサ、アルタンやシャロン・シャノンあたりに『ダニー・ボーイ』を演奏してよ…と言ったら、私はその場で即刻口もきいてもらえなくなる事でしょう。でも曲自体に罪はありません。探せば良い演奏だってあります。というか,この曲ほど演奏家を選ぶ曲はないのかもしれません。不思議な曲だよなぁ…

例えばこれ。かっこいいねぇ。



伝統音楽ファンにも評価が高いシネイド・オコナーのヴァージョン。



若くして亡くなって、すっかり伝説の人となっちゃったアメリカ人のエヴァ・キャシディ。まぁ,彼女の場合、なにを歌ってもソウルフルで、すごい説得力ではあるのですが…



そして圧巻なのが、これ。マーティン・ヘイズが大絶賛してたグラッペリの『ダニー・ボーイ』。このユーモラスなニュアンスにあふれる演奏が最高ですなぁ。それが返って泣けるというか…。やばいわー。 やばいわー。



しかしホントに『You Raise Me Up』に似てるよなぁ。まぁトラッドだから誰も文句言わないんだろうけどさ…

DVDでやっと『オー・ブラザー』を見ました! これは最高中の最高!




うわー やっと観たよ、この映画。観なくちゃいけないのは分ってて、かなり前にDVDを買ってたんだけど、それを観ないでずっと持ってた。すみません。で、今ごろ見た。

めっちゃくちゃよかった。コーエン兄弟って、他にも『ノー・カントリー』と『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』とか観たけど、どれもピンとこなかったのよねー。でもこれは最高だわー。ヒットしただけあるわー。いいわー。楽しいわー。もう何度でも何度でも観たいわー。めっちゃ楽しい!

音楽に溢れている、ってのは、もちろん前から知ってたけど、それ以上にジョージ・クルーニー、めっちゃいい! この時の感じもそうだったけど。ジョージって、きっと本人もあのまんまのキャラなのよね〜(と勝手に想像)。ジョージっていうか、ジョーヂみたいな(笑)このジョージを含むキャラのたった3人、とにかく最高。

音楽に溢れる楽しい映画。でもジョーヂは「歌は自信がないので吹き替えにしてもらった、一応ヒットする曲、という設定だし」とインタビューに答えて言ってた。

そういやこれで歌ってるジョーヂもあんまり歌が上手くない様子(笑) グウェン・ステファニとコーデン、いつものCarpool Karaokeを楽しんでいたのだけど、車に4人いないと通過できないエリアを通過ということで、コーデンが「こいつはいつも暇してる奴なんだ」とか言いつつジョーヂを呼び出す。



しかし三枚目の男の人って、いいよねぇ。女性に対してもいつも「負けてあげてる」感がいい。久しぶりに惚れたわー。

 ストーリーは割と単純。37年のアメリカ南部ミシシッピ州。3人の脱走兵が、某所に隠してあるという120万ドルを目指してドタバタ移動していく。一応ホメロスの『オデュッセイヤ(ユリシーズ)』がベースになっているらしく、結局のところ賞金ではなく別の男に奪われた妻を取り返しに行くというものなんだけど、途中、道が交差しているところで出会う悪魔に魂を売り渡したという黒人のギタリストの青年をひろったり、とにかくイチイチ小ネタがキいているのだ。クロスロードで魂を売り出す、というのは、もちろんロバート・ジョンソンのエピソード。彼らは逃走しながらも、音楽を吹き込み小銭を稼ぐのだが、このある意味いい加減に録られた音楽が知らない間にヒットしていた…という設定。そしてKKKにやられそうになったり、洗濯女たちに騙されたり、とにかく南部の乾いた空気と、細かいエピソードが最高。音楽が楽しくまるでミュージカルみたいで、ジョーヂの魅力も炸裂なのだ。

これいいでしょう? 最初おっかなびっくりで歌ってるのがいい感じよねぇ〜



そしてアリソン・クラウスのこれも…



この映画がアメリカのアコースティック・ルーツ・ミュージックの盛り上げに一役かったことは間違いないわけだけど、いや〜 わかるわー こんなに楽しいんじゃ当然よね。まだ観てない人なんて、このブログを読んでくれている人の中にはもういないと思うんだけど、まだの人は速攻で見た方がいい。こりゃ、生涯の好きな映画ベスト10に入っちゃったかも。



PS
ところでWhere Art Thouてどういう意味なのかな、と思ったら古語。Art=Are Thou=You YouをTheeとか言うシェイクスピアみたいな、あれですね。訳すとしたら「兄弟よ、汝はどこに?」って感じか?

2018年7月12日木曜日

『霧の彫刻』中谷芙二子さん、世界文化賞、おめでとうございます!

今朝、こんなニュースが。人口の霧を使った『霧の彫刻』で知られる中谷芙二子さんが「世界文化賞」を受賞しました。



中谷さんのお名前は「グリーンランド」という作品で拝見したのと…、あとこちら!


すごいですよね…!!



そして、ウチもこういう公演をこの秋、作ります。田中泯さんとハンガリーのライコー・フェリックスの公演。ドキドキ… 詳細はここ。


こんな映像みつけた。トリオでやってる… すごい。

映画『レディ・バード』を観ました。いや〜 最高!!!! 


映画『レディ・バード』を観ました。もう最高、最高、最高!です。

サクラメントに住む自称レディ・バードことクリスティンは高校生。東海岸のかっこいい大学に受かって、なんとかこのイケてない町を逃げ出したいと思っています。この「自称」ってのが、まず痛い。自分を本名ではなく「レディ・バード」と呼べ、と(笑)。もう肥大しまくっちゃってる自我。町山さんが子供のころって誰に頼まれるわけでもなくサインの練習をしちゃう、って言ってたけど、まさにそれ。自分は何か特別な物を持っているんじゃないか、と信じてる。でも大人たちは分ってくれない、と。そんな女の子の映画です。

でもこの映画では回りの大人は悪い人は誰もいない。ママも不器用ながら、間違いなく彼女を愛しているし、パパにいたってはホントに献身的に彼女の味方をしてくれています。車にいたずらされちゃうシスターも大らかな対応で、ホントに素晴らしい。確かに「イェールは絶対に無理」と断言しちゃう進路指導の先生にはムッと来たけど、基本みんな、レディ・バードを温かく見守っているわけです。

このイェールはあんたには無理!と言われた時のシアーシャの表情がホントにナイス!


また一方で、新しいボーイフレンドと付き合った事からクラスの中の「オシャレかっこいチーム」に引き寄せられ、本当の友情を見失いかけたり…

このちょっぴりおデブなお友達もめっちゃいいでしょ? いいんですよ、二人の関係も。

なんというか、これは、もう本当に脚本の勝利だと思います。確かにアメリカの高校生ならではのエグい会話は多々ありますが、言葉というよりテンポや気持ちの流れ、話の展開、そのすべてが本当にトップクラス。90分ちょいという長さもベスト。最近の映画はホントに長過ぎるからね!

もちろん、私はこれが今一番注目されるアイリッシュであるシアーシャ・ローナンが主演だから、この映画を観に行ったわけですが、彼女ももちろん最高でした。監督と長い時間をかけて一緒に脚本を練っていったそうで、ホントにハマり役だと思います。ちょっと、がに股で怒鳴りちらしたりする立ち姿は、まるで本物の高校生です。ピンクの髪もめっちゃ似合ってる(笑)

この素晴らしい作品を手がけた監督・脚本は自身も女優(コメディアン)であるグレタ・ガーウィグ。アカデミーの数少ない女性監督のノミネートだったそうで、おしくも受賞は逃しましたが、そういう点でも注目です。彼女はドイツ系だけど、やっぱりカソリックの教育下のもとに育ったようで、そういった意味でも自伝的な話なのかもしれません。



音楽が最高。特にこれ。モンキーズ、大好きだったなぁ。モンキーズの映画『ヘッド』のこの曲を選んでくるあたりがいいよねぇ… 監督の趣味かな。

2018年7月10日火曜日

映画『明日にかける橋 1989年の思い出』を観ました!


なんと友人が太田隆文監督のファンでエキストラ出演しているというので、観てきました。『明日にかける橋 1989年の思い出』。正直、普段はあんまり日本の映画は積極的に観ないのですが、いや〜、これが心あたたまる作品で、とっても良かった。

太田監督版『Back to the future』と言われているこの映画ですが、私は実は『Back to the future』は観ていないので(ひどいね)、結末が想像できなくて、結構ハラハラドキドキさせられました。脚本に多少細かくつっこみたい箇所はあったけど、なんというか、きちんと気持ちが描かれているので、それで一気に物語入りこむことができます。うーん、いいねぇ。こういう映画も久しぶりだなぁ。

主人公のみゆき(鈴木杏)の家族は20年前に弟をなくしてから崩壊状態。お父さんはアルコールにおぼれ亡くなり、お母さんは精神を病んでしまう。 夏のある日、全力で走れば願いがかなうという橋を渡り、ふざけるみゆきと友人二人。なんと、辿り着いた場所は20年前、花火の日の前日だったのでした。そこから未来を変えるべく、みゆきたちの奮闘が始まるのです。

さて偶然にも日曜日の最終回に行ったら、前の回の上映後に監督&出演者たちの舞台挨拶があったらしく、次の回を目指して行った私たちも監督や出演者の皆さんのお話を聞くことが出来ました。呼ばれて駆け上がった(そして階段でドタンとこけた/可愛い)弟役の田崎伶弥くんが妙に可愛く、一生懸命プロモーションする様にすっかりファンに。 しかも監督の質問などに答える受け答えもしっかりしてるんですよ。最近の子役の子はすごい。なので、映画が始まって、その弟くんが、出て来て微笑ましく観ていたら、あっという間に交通事故でお葬式になっちゃったのが「あれ〜!!」  

他の俳優陣で良かったのは、地元の名士的な立ち場で登場する重鎮・宝田明さん、そして「マッド・サイエンティスト」的な化学の先生を演じる藤田朋子が素晴らしかった!! 藤田さん、何をやっても素晴らしい女優さんだと思うんだけど、これはなかなか新境地じゃなかったかしら。すごく良かった。

またこの映画のもう1つの重要なテーマである花火大会で有名な静岡の町の様子もめちゃくちゃ綺麗に撮れていて、本当に引き込まれました。

あ、そうそう、肝心の友達がエキストラ出演しているのを忘れちゃいかん…と思いつつ、画面隅々まで目をこらしながらも、ついつい映画のストーリーを追うのに夢中になってしまった(笑)。で、友人はたぶん4回出ていたと思う。そのうち1回はしっかり正面から写ってた… 本当におつかれ様でした!!



というわけで、都内ではもう今週金曜日までとなっております。有楽町すばる座へ急げ!!

2018年7月8日日曜日

「What would you do? あなたならどうする」次の世代は素晴らしい。未来は明るいね!

You Tubeで動画観てると、海外のトークショウとかバラエティ番組みたいなのをついつい観ちゃう。

「What would you do?」は、そんなabcの人気番組の一つ。毎回感動的なんだけど、この回はほんとに良かった。



男の子が「女の子のおもちゃがほしい」と言う。お母さんが「ダメよ、もっと男らしいものにしなさい」と言う。そういう場面に出くわしたら「あなたならどうする?(What would you do?)」

アメリカ人、勇気あるわー 日本人なら各家庭のこととして、いちいち介入しないかもしれない。でも例えば「ウチの息子もそういうので遊んでたけど、自然となくなったよ」「ま、僕の意見だけどね」とアドバイスするおじさんがいたり…。

番組では、途中から女の子が「トラックがほしい!」と言うシーンにチェンジ。そしたら大人の女性たちが、みんな女の子の味方することよ! 「禁止したら、それがもっと魅力的なものになっちゃうわよ」とも。「子供たちはみんな好きなもので遊ぶ権利があるわ」と。

でもって最高なのは、最後の方に出て来る子供たち。お母さんが無視していたにも係らず、「私も小さいころトラックで遊んでたわ」と介入する女の子(12歳くらい)。「男の子のおもちゃだって言えば,男の子のおもちゃだけど、女の子だって遊べるよ」(10歳くらいの男の子)。「僕の妹はスーパー・ヒーローが大好きなんだ。男の子でも女の子でも関係ないよ」(6歳くらいの男の子)

いや〜いいわ、次のジェネレーションは素晴らしいわ。子供たち、ホントにいいね。未来は明るい。かなりグッと来た。みんなが自分らしく生きられる世界になりますように。

2018年7月7日土曜日

DeNAの南場さんの言葉に感動する


DeNAの南場さんの言葉はいつ読んでも響くのだが、これはまた最高に響いた。この講演の対象は、これから就職活動をする若者だと思うのだが、これ、フリーランスにもめっちゃ役にたつアドバイスがたくさん詰まっている。若い人、必読。(あぁ『不格好経営』まだ読んでないんだよなぁ、絶対に読まなくちゃいけないんだが)

「自分で考える軸を持ってもらいたいと思っています」「これまでもモノやお金は組織の壁を超えて調達してきました。一番重要な人材のソーシングも当然そうなっていきます」「とくに、仕事の仕方が大きく変わっていくということを考えたときに、プロジェクトに呼ばれる「デキる人材」になっておくことが、なによりも重要なことだと考えます」

「成長できる環境かどうかを判断するには3つほどポイントがあります。1つは純粋にコトに向かっているチームかどうかということです」

これは規模ではなく文化の問題です。チームそれぞれに十分に高い目標があって、そして本当にヒリヒリ痛みが伴うほどストレッチして頑張っている風土かどうかというところですね」

「やり方は勝手に考えろっていう任され方がよいですね」「小さくても起承転結任されるほうがよいです」

最後の川田さんのエピソードがいい。「川田さんは自分がまったく知らないところで決定されたことについても、一度も不機嫌になったことがない。ただの一度も「俺は聞いてない」って言ったことがないんです。その決定のために川田さんが汗かいて働かなきゃいけなくなったとしても、です」これもすごくいい。例えばライブの現場で「私、それ聞いてません」ってしょっちゅうある。毎日重要事項の変更や何やらで、末端までちゃんと指示が行き届かない事はいくらでもあるのだ。でも現場でそう言っちゃう人はプロジェクトには向かない。 とにかく絶対にその船を沈没させないために「コトに向う」ことができる人。私もそういう人とチームを組みたい。

私も最近になってやっと分ってきた。好きなことやってきた仕事人生だった。もうこっから先の人生はボーナスなので、成功しないプロジェクトには手を出したくない。それには最高のチーム作りが重要だ。そもそもプロジェクトって、キャスティングをした時点で成功か失敗か決まっているようなもんなのだ。絶対に「コトに当たれる」チームで進めないと。

それにしても南場さん、いいよなぁ。自分用のメモにブログにも書いておきます。響いた!!


 

ライコー・フェーリックス主演映画「DELTA」(2008年)を観ました。

この映画はフェリックスにオファーを出した昨年7月ごろにDVDを取り寄せて英語字幕で観ました。いや〜、素敵な世界でした。

フェーリックス・ライコーがなんと「主演」した映画「DELTA」。もう10年前の作品です。

なんというか不思議な空気感の作品で、これもまた「万引き家族」同様、監督がブレてないのがすごいです。しかもカンヌで賞ももらってるんですよ。国際批評家連盟賞。

もともとこの作品はLajos Bertokという俳優さんが主演で作られたのでした。ところが、その方が「悲劇的な死」(40歳の若さで亡くなったそうですが、原因などは調べても分りませんでした)を遂げたあと、監督は音楽を担当することになっていたフェリックスを主演にしようと決めたんだって。フェリックスがそういう雰囲気にぴったりだったから。しかも最初は復讐劇だったのを、フェリックスにはそういうのが似合わないとストーリーも書き換えたのだそうです。すごいですね。

そしてこの作品の仕上がりですよ。まさに! フェリックスのシャイな感じがすごく良く出ていて、セリフ少なめ(笑)まさに彼にぴったりの作品に仕上がりました。でもビョークの映画よろしく、彼もこの後は主演映画がないし、カンヌの記者会見でもだんまりだったようで、俳優業はもうこりごりだと思ったのでしょうか…(笑)

そして、この女優さんもめっちゃ素敵なんですよね。雰囲気があって。

しかし雰囲気とか世界観で押して来る映画です。まず情報がほとんどない。兄(フェリックス/映画では名前がない)は、どこか海外で出てお金を稼いで故郷に戻ってきます。(海外にいたと言う根拠はハンガリーが、フェリックスが差し出すユーロの圏内ではないから)お母さんを訪ねて実家に戻るとそこには(おそらく)腹違いの妹、そして母のボーイフレンドがいて「お前が住むところはないよ」と言われるわけです。

父が遺したほったて小屋を拠点に自分の家を建てようとするフェリックス。そしてそれを手伝う妹。妹はついに兄と住むと言って実家を出るのですが、まぁ、簡単に言えばそれを家族も周囲のみんなも、まったくもって面白くないわけですよ。最後にはそんな連中によって悲劇がもたらされてしまう。

それにしても画面の光の感じとか、静かに流れるフェリックスのヴァイオリンや弦楽四重奏や、バーで流れている音楽はなんだかカウルスマキ風だし、極端に少ないセリフとか、とにかく素晴らしい作品であることに間違いはありません。いつか日本で上映出来たらいいなぁ。この監督はこのあとも作品を発表し続けていて、最近の作品は日本でも公開されています。コーネル・ムルンドルッツォ監督。

ところで未公開映画を紹介したこんなブログを発見。参考にさせていただきました。また監督のインタビューの訳まである。素晴らしい! 是非リンク先も読んでくださいね。

トレイラーからも雰囲気が十分伝わりますよ。なんて素敵!!



一応レッドカーペットの写真も貼っておきましょうね…

Embed from Getty Images

DVDで手に入るんだけど、現在在庫切れ。



Amazon UKで買うといいかもしれません。(リージョンコードに注意。またおそらくPALだと思われます)
 
ライコー・フェリックスと田中泯さんの公演は、こちら。まだだいぶ先の公演ですが、現在6列目くらいまで埋まっております。良い席をご希望の方はお早めに。詳細はここ。

2018年7月4日水曜日

「万引き家族」やっと見た!!


やっと観てきました! とにかく話題のこの映画、見ない方が変でしょ!

でもって、私の感想はというと、映画の前評判や、友達の感想を読んで自分が想像してたのとは実はだいぶ違った。っていうか、みんなこの映画観ないで感想言ってないか? また反対にパルムドール取ったからって、妙に感動作!とか言って持ち上げてないか?

私はまずこの映画が超リアルなのに感動した。セリフが重なっていてよく聴こえなかったりするなど映画のルールを無視して、めっちゃリアルな世界を徹底的に表現することに集中している。素麺や茹でたトウモロコシ、見えない花火、子供たちが帰ってきて慌てて取り繕うセックスなど、これでもかとこの家族を描くリアルな要素が並び、とにかく引き込まれる。彼らの家は貧乏で雑然としていて物に溢れ、かついつも彼らはなぜかカップ麺を食べている。本当に貧乏でも、やりくりが出来て長期的プランが立てられる家族であれば、カップ麺は割高だから食べるべきではない。が、ここではカップ麺はこの家族を描くにあたり必須アイテムなのだ。そしてそのジャンクな食べ物が妙に美味しそうに見えてしまうのだ。

「家族の絆」云々言う人もいるが、彼らにおいて、それはかりそめであり、短絡的であり、目の前にあるキャッシュの方が優先され本当の愛情とは言えないと私は思う。と同時に、では本当の愛情ってなんだろう、という疑問が浮かぶのだ。最後、安藤サクラが息子に貴重な情報を与えるシーンがあるのだが、本当の愛情は私はどちらかというと、そっちだと思いたい。またあえて厳しい事言ってしまえば、リリー・フランキー演じる父親は単に息子に依存しているだけだ。最後のバスのシーンに号泣!とか書いてる人がいたが、私は泣けなかった。っていうか、この映画みて「涙止まらない」とかはないと思うな。別に泣けはしない。ただただこういう家族の姿を見せられて呆然とするだけだ。社会からは犯罪者と言われる人たちにこんな世界があるんだ、と。でもリリー・フランキーはどこまでもダメな奴であり、息子はこういう人間関係は断ち切らないと前に進めない。

そしてこの映画を見終わって思ったのは、本当にこの映画はすごいな、と言うことだ。こう言う表現があるんだ、と。 ここまでリアルに見せることで、これだけこちらに考えさせ、伝える方法があるんだ、と。だから、こう言ってはなんだか、たかだか映画に、この家族に、ここまで真剣にコメントしてしまいたくなる。きっと監督は視聴者のことを信じているんだね。この映画の最大の魅力はそこにあると思う。で、別に是枝監督はこの家族がいいとか、こっちの方が人間の本当の絆だとか、そんなことは1つも言ってないんだよね。ただ徹底してリアルにこの家族の姿を見せる。それに集中していて、まったくブレがない。ケイト・ブランシェットの言葉を借りればinvisible peopleを見せることに徹底している。めちゃくちゃリアルで、あの家族が実在しているかのように、何も疑いもなく観ている者を映画の中に、あの家族の中に引っ張り込むのだ。そして色々考えさせる。

そして私はと言えば、映画を見終わった後、思うのだった。いったい人間の社会性のラインってどこにあるんだろう、と。あの映画ではリリー・フランキーは明らかに社会からこぼれ落ちた人間だ。監督はリリーに「最後まで成長のないダメな男でいてくれ」と言ったそうだが、まさにそう。でも安藤サクラは間違いなく境界線にいる。子供たちは皆、なんとか自分で社会と共存する道を見つけるだろう。そして世間には「妹にこんなことさせてちゃ駄目だよ」と言ってくれる駄菓子屋のオヤジさんみたいな人もいる。(あのオヤジの存在はグッと来た。あれは犯罪者を救う社会の奇跡の接触である)

それにしてもこういった是枝ワールドを作り出す、このチームワークの素晴らしさとはいったいどうやって実現しているんだろう。とにかく俳優陣、全てが素晴らしい。安藤サクラは、もう圧巻で、彼女『100円の恋』も素晴らしかったけど、すごいスケールの女優さんだよね。そしてダメ男を演じたら間違いないリリー・フランキーもすごいし、樹木希林も凄まじい。リアルよりもめっちゃ老けて見える。っていうか、女優さんたち、全然メイクしてないし、綺麗に見えるとか、まったく関係ない。素っ裸でこの映画に貢献している。すごい。子役もすごい。子役なのに、なんでこんなにナチュラルなんだろう!!  監督は当然とはいえ、付いていく俳優陣にまったくブレがない。監督の世界観を作ることに間違いなく貢献していく。ここまでブレない是枝組の世界観とはなんだろう。本当にすごい。そこに私はただただ圧倒された。

で、監督のインタビューを読めば、映画界でも監督発信のゆるがない企画が減少しているという。(多くの人がからめばからんだだけ、本来の方針とはずれていく。企画ってそういうもんだ…)でも自分がそういう方針を貫くだけで、日本映画界の多様性を担保することになる、みたいな言葉があって、超・響きまくり。 また監督は脚本を細部まで書いておらず、安藤サクラのインタビュー記事によれば、現場で俳優との相談で進めていく部分が本当に多いのだそうだ。うーん、すごい。そんな風に有機的で、自由なのにブレない。これってすごい。っていうか、そうか、それだけ俳優を監督は信頼してるんだな、とも思った。(一方のリリーは、セリフは全部決まってます、とも発言している)

で、監督がインタビューで話していた施設で出会った女の子の話も、これまた素晴らしいのだ。映画制作のために、監督たちが虐待された子供達が親と引き離されて生活している施設を取材している時、ちょうど学校から帰ってきた女の子がいた。その子に監督が「今、何の勉強をしてるの?」と聞いたらその子は国語の教科書をランドセルから取り出してレオ・レオニの『スイミー』を読み始めたんだって。施設の職員たちが「皆さん、忙しいんだから」と言って止めるのも聞かず,その子は最後まで読み終わり、監督たちが拍手をすると嬉しそうに笑ったんだって。監督はその子の朗読する顔が忘れられなくて、映画の中で男の子が『スイミー』を読むシーンをすぐに書き入れたんだそう。

そして、インタビューされながら答えてる。「今,言われてはっきりわかりました。僕はあの子に向けてこの作品を作っていると思います」(参照)

うーーーーん、すごい。監督… ぶれない。ブレてないよ。ホントにすごいわ。とにかく映画のほとんどはこの家族の姿を見せることが徹底され、それは前半ある意味、長すぎるのではないかと思えるほどだ。そして後半、おばあちゃんが亡くなってから、実は…と急展開になっていくところが、本当にスリリング。ここからは映画としてのエンタテイメントというか波がわっときて、圧巻の取り調べシーン(すごいよ、俳優さんたち。特に安藤サクラ)から、バスのシーンまで、あっという間に終った2時間だった。私は観終わってとにかくボーゼン。こんな表現方法があるんだ…。ただただそれだけに感動した。本当にすごいと思う。めちゃくちゃ好きな映画です。

是枝監督作品を観るは実は2本目。前に福山雅治とリリー・フランキーの『そして父になる』を見ているはずだが、自分のブログに感想文を見つけられなかった。感想を書くの、サボったかな? でもあれもいい作品だったけど、ここまでの感動はなかったと思う。そういや『誰も知らない』も観てないや… 今度、観て見ようかな…

しかし「絆」をやたら強調する宣伝方法と『万引き家族』というタイトル、そしてパルムドールがなければ、 こんなに派手に話題になることもなかったような気もするくらい地味な映画でもある。私はこの映画のすごさは、誠実に作られた是枝ワールドが凝縮した濃密な映画だ、ということにつきると思う。でも週末の西新井で見たのだが,普段家族映画しか入っていないファミリー映画館の中くらいの部屋が満員で、目指して行った回が見れず次の回まで待たないと観ることが出来なかった。うーん、快挙である。是枝監督、すごい。あの女の子のために… やったよね!!

普段テレビ局の事業部がからむ宣伝がうるさい日本映画は好きじゃないのだが、これはフジテレビのプロデューサーにも感謝しないではいられないだろう。すごいわ。地味な映画がこれだけ話題になっている。それだけでもプロデューサーもしてやったりだろうし、監督も妥協ない作品が作れて大満足だろう。いや、もちろん水面下にはいろいろあるだろう。でもみんながブレまくってるこの時代、そういう事にも、とにかくいちいち圧倒される。



そして映画の感想を書いたブログではこれに一番共感した。この方の視線はもっと優しいけど。

2018年6月30日土曜日

BBCが伊藤詩織さんのドキュメンタリーを放送


BBCがついに伊藤詩織さんのドキュメンタリーを放送すると聞いて、fbで外国人の友達に是非見るようにと紹介した。私は日本を本当に知ってもらうためにも、日本に来て感激しているミュージシャンたちに、日本の悪いところも積極的に紹介するようにしている。

よく言われることは日本の女性はなんで高い声で話すのか、笑う時口元に手を持っていくのか… 私ですら英語をしゃべる時と日本語をしゃべる時では声のトーンが違う、と、ウチのミュージシャンから指摘されたことがある。意識したことなかったけど、それは正しいのかもしれない。するどいな、ウチの連中は…(笑)

日本のいろんなことを積極的に話す。だいたいいつも話していることは「日本にもいろんな面があるけど、まぁ概していい国だと思う」ということと、「日本で許せないのは2つ。この地震ばかり頻発する土地に原発を作っていること、そして死刑がいまだに存在していること」だ。

この話をするとヨーロッパから来た人には本当にびっくりされる。日本はこんなに素敵な国なのに…と驚かれる。でもそれが事実なのだからしょうがない。特に「死刑」はショッキングな話だ。だって「私たちは年に数人、公式に人を殺している」のだから。そもそも死刑がある国はEUに加盟できないし、国連の憲章にも違反している。(そのへんについてはここに詳しく書いた

「どうやって殺しているの?」「ハンギング」「ボタンが3つくらいあって、どれが本当につながっているのか押す人には分らないようになっている」

「どういう犯罪で死刑になるの?」「だいたいはシリアル・キラー。2人以上殺すと死刑になる」等々、私もすらすら答えられるようになった。

日本のいろんな面を知ってほしいから、悪いところもあえて紹介したい。

で、自分でもBBCのiPlayerで番組を見た。すごくよく出来てるドキュメンタリーで、日本のいろんなことがよくわかる。(ちなみにBBCのiPlayerだが、VPNというのを使うとテリトリーの問題は突破できる。私も権利を扱うことを仕事にしているから、あまり積極的にここでは説明しないが、見たい人はぜひVPNという言葉でググってみてほしい)

それでも番組が見れない、という人は上にはったリンクをクリックしてみてください。番組の内容は、文字情報ばかりだけど、ほとんどこのBBCのページに要約されている。ただ実際に番組を見るとだいぶ印象が違ったけどね。

しかしこの番組が言うこともごもっともで、冒頭に紹介されているように、東京ではちょっと町に出れば、胸がやたら大きくデフォルメされた秋葉原っぽいアニメっぽいイラストの女の子に遭遇する羽目になり、そしてありとあらゆる性行為は、ここではビジネスとして買うことができるのだ。

そして、ここに出て来る自民党の女性議員… 本当にひどい… 言葉もないわ。

負けるな、伊藤詩織さん。あなたは今や日本の女性のすべてを代表して、日本の女性の誇りを背負うことにいなってしまった。大変だろうけど、頑張ってください。私たちはみんな応援しているよ! 私の大好きな男友達も、みんな応援している。

この番組、日本で紹介されないんだろうか… そうそう番組冒頭で出て来る裁判所?の前にいた3人のおばちゃんたちがちょっといい味出してた(笑)

ちょっと前に紹介されたこちらも必見です。スカンジナビアの番組かな。収録はロンドンみたいだけど。レイプの様子を警察官の前で人形を使って再現させられた…という話をした時のプレゼンターたちの驚きの表情を見てみて。ホントまともな神経じゃないよ。もうこういうことは辞めさせないといけない。


  

PS
You Tubeにあがった! すぐ削除されちゃうかもだけど…。

2018年6月24日日曜日

ポール・マッカートニーのCarpool Karaoke

以前からここでも紹介しているCarpool Karaokeにポール・マッカートニーが登場。音楽ファンの人たちがみんなシェアしている。すごい盛り上がっているね。前にも書いたが、こういうなんというかメジャーな方々のサービス精神がホントに素晴らしい。サーはどうやら、近々5年ぶりの新譜が出るらしい

リバプールをサーのご案内で回るという企画。

私も行ったなぁ、リバプール。まだ学生のころだったかも。80年代のリバプールはたしか倒産したとかなんとかで荒れてて治安もよくなかったけど、ビートルズのバスツアーでいろんなところは回ったよ。最初はミミおばさんの家、ポールの家、「センチメンタル・ジャーニー」のパブ、ペニーレイン(当時からストリートのプレートは盗まれてしまうとかでペイントだった)、ストロベリー・フィールズ。最後は海辺のビートルズ・ミュージアムをみてツアーは終った。懐かしいなぁ。

ポールの案内でリバプールの町を走り出した二人はまず「Drive My Car」を熱唱。 途中サーも運転したりして盛り上がり(笑)、話題はポールが最初に書いた歌の話に。ちょっとプレスリー風?だよね(笑) ジェイムスも曲を書いたんだよ、という話が続き「何か似てるね」というジェイムスに「似てないよ〜」とサー。車がペニー・レインに流れると曲はもちろん「ペニー・レイン」。「あの教会のクワイヤに入ってたんだよ」とサー。バーバー/床屋さんに寄っておばちゃんとハグするサービスぶり。壁には過去のビートルズの写真。可愛いよねぇ〜このころのビートルズ。

「あなたの曲が持つ前向きな力は、当時もそうだったけど今だからこそ響いてくる」というジェイムスに、サーはお母さんが夢にあらわれて「It's gonna be all right just let it be」と言ったという話を。そして「Let it Be」を一緒に歌う二人。ジェイムス涙ぐんでるわ… 気持ち分るわ…

曲が「Black bird」にかわりポールが昔住んでいた家へ。12、13歳のころから18〜20歳のころまで住んでいた家だそうです。ポールがこの家に来るのは、それ以来。すごいね!

「She loves you」を書いたポールとジョンはポールのパパにその曲を聞かせたのだけど「いい曲だけど、ちょっとアメリカっぽすぎるな。She loves you yes yes yesとかにしたらどうか」と言ったそうな(笑) 当時を振り返り、自分が歩んできた道の長さに感動するポール。トイレの中では「ここがいいアコースティックなんだよ」と歌ってみせる。ほんとサービス精神旺盛ですよね。すでにここに住んでいる頃からビートルズはビックで変装なんかして家に出入りしていたこともあったそうな…  音楽は「When I'm 64」。

家の外へ出るとリバプールの皆さんの歓迎が(笑) 訛りが強い地元英語にこの番組が放送されているアメリカの視聴者向けに字幕が入るのが笑える。曲は「Black bird」

話題はビートルズの衣装の話へ。そしてサーの新曲の紹介。いいね〜

そして車はリバプールのパブへ。なんとジュークボックスで曲を選ぶとカーテンが開きポールのライブが始まるというもの。お客さんは狂喜乱舞。 曲は「Hard Days Night」「Ob la di, ob-la-da」「Love me do」 「Back in U.S.S.R.」
 
最後はジェイムスも参加して「Hey Jude」 の大合唱となりました。



ドライブ中も歌ってたサーの新曲。かっこいいねー



さてサーとジェイムスは実は2011年のこの時(下の映像)も共演してる。英国で有名なチャリティ「Comic Relief」当時出演してたシットコムのキャラクターSmithyに扮するコーデンと、ジョージ・マイケルの、それこそCarpool Karaokeでスタートする、このクリップ。で、ここでは流れは詳しく説明しませんが、アフリカに行くのは誰がいいかという議論ののち、Smithyが「行くのは俺が相応しい」という流れの中、ポールが突然登場しポールが自分が行くよというもの。(11:13ごろサーは登場)リンゴが「What about me?」と登場するのも可愛いね。最後「結局マカがアフリカに行く。いい日だったよ」と言うコーデンに、「これ以上によいものはないよ!」と再びWham!の曲を歌いながら車を走らせるジョージとコーデン。



このときの話をジョージ・マイケルが亡くなった時に説明するジェイムス。



この「コミックリリーフ」のスケッチをジョージのマネジメントに提案した時に「直接ジョージが自分でこの件は話したがっている」と、1時間も国際電話したそうで、その時のエピソード。そしてこれがコーデンにとって初めての車内カラオケだったこと。このアイディアが発展して今のCarpool Karaokeのヒットになったことなどを語っています。最初にCarpool Karaokeをやったマライヤ・キャリーも「ジョージがやったのなら私も大丈夫ね」ということで出演を了承してくれたそうで、ジェイムスとこの番組のチームはジョージに感謝しきれない、と語ります。

他にもコミックリリーフがらみではこんなのものあり。



最後アメリカでブレイクしなったTake Thatがアメリカ進出をかけてインストアをするのが爆笑もの。それにしてもよく出来てる。

それにしても人を幸せにする職業だとはよく言ったもんで、エンタメ業界の皆さんはすごいな。それを思ったのでした。サー・ポールの新譜はリリースがまだ先っぽいけど、楽しみ!

2018年6月19日火曜日

ラティーナ誌に北欧のヒップホップ事情について寄稿させていただきました。

いつもお世話になっているラティーナさんが、世界のHIP HOPという特集をやるという。北欧のHIP HOP事情ということで、ご依頼いただいたが、なにせ私にはサッパリなジャンル。最初はお断りしようと思いつつも、全世界的に記事にしたいという編集者さんの熱意にほだされ、私の方でしかるべき方にインタビューという形を取って掲載させていただきました。 

ロンドン在住で北欧のポップスをPRしている組織で活躍しているNordic Playlistの Francine Gormanさん、ご協力ありがとうございました〜。

 
 すごいですよ、今月号のラティーナ。韓国、中国、インド、中東、オリエント、アフリカ、南部アフリカ、オセアニア、東欧、ロシア、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、キューバ、チカーノ、中米、カリブ、アルゼンチン、南米、ブラジルなど… 世界のヒップホップ「ストリートミュージックは鳴り止まない」必読です。

オタヴァ・ヨ 来日公演もうすぐ




ロシアからこんなユニークなバンドが来日しますよ!!! 必見。 ハーモニーフィールズさんの招聘です。

ロシア民謡、パンク、ロック、映画音楽、アニメ音楽、コメディ、 ワールドミュージックを内包する驚異の新世代バンドが遂に来日。
New York Indie Film Award ミュージックビデオ部門<最高賞のダイヤモンド>を受賞。
<ワールドミュージック・ネットワーク>ビデオチャートで1位を獲得。
Youtubeで1400万回再生ミュージックビデオの話題が止まらない。
日にち
2018年6月28日(木)
時間
開場 18:30 / 開演 19:00
会場
月見ル君想フ
東京都港区南青山4-9-1シンプル青山ビルB1F
TEL : 03-5474-8115
地図
料金
4,000円 (オールスタンディング)
※別途1ドリンク オーダーお願いします。
チケット
インターネット予約のみ

詳細はハーモニーフィールズさんのページへ

2018年6月13日水曜日

ライコー・フェリックス × 田中泯 金曜日よりチケット発売になります。

ライコー・フェリックス。最近はポーランドのこのバンドとも共演。



すさまじいね! フェリックスは今回はソロ来日です。すべての音の粒を受け止めてください。

泯さんは、最近のものとしては、このテートギャラリーのを貼っておこう。かっこいい…。こちらの音楽は坂本龍一さん。


TATE MODERN - MIN TANAKA X RYUICHI SAKAMOTO from LEZ on Vimeo.

物凄い二人の凄い共演。なんとフェリックスが19歳の時、すでに泯さんとは共演してたんだって。すごすぎませんか!?

昨晩、フェリックスのHPをオープンしました。明日木曜日の深夜にチケット発売になります。江東区さんと配券してて、最前列はウチで全部確保しました。ホント最前列とかで観たら、一生の体験になりそう… 私が観たいよ! 詳細はこちら



2018年6月12日火曜日

畠山理仁『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』を読みました。これは面白い!


開高健ノンフィクション賞受賞のこの本。話題になってました。気になってましたが、なかなか読む機会がなく今になって読みました。

ジャーナリスト、畠山理仁さんのお名前は、震災直後くらいからちょくちょく目にすることがありました。 で、この本も面白そう、と思ったのだけど、なかなか読めなかったのは、実は怖かったからです。

実は私の中学時代のリアルな友人が、この本には出て来ます。私がリアルで知っている彼女は、勉強がとても出来て、クラスでかならず1番か2番の成績を収める物凄い秀才でした。漫画が好きで,読むのも自分で描くのも得意でした。おちょぼ口で早口で、他人が聞いていようとなかろうとマイペースに話すところは確かに子供のころからありました。が、勉強はめっちゃ出来たんですよ。彼女は私たちの学区で一番頭のいい進学校に進み、私は2番目くらいの学校に進んだので、中学の時は比較的仲良かったけど、高校時代以降は、音信が途絶えていたんです。とはいえ、父がたまたま彼女の高校の先生をしていたこともあって、高校時代の彼女の様子はなんとなく父から聞いてはいました。

彼女の政見放送は、あまりのひどさに直視できなかった。そして、この本の中に彼女は出て来るんですが… 畠山さんの優しい視線というか、なんというか、そのおかげで、それほどひどいことにはなっていないのがせめてもの救いでした。いや、この本を読む前までは、こんな風に当選するはずもない選挙に無謀に立候補して「なんて馬鹿なことを」「あんなに優等生だったのにどうしてあんなになっちゃたんだろう」「ご両親はどう思っているんだろう」と正直かなり頭にきていたのも事実です。でも畠山さんが書いた彼女の姿を見て、中学生当時の彼女の、リアルな姿が蘇ってきました。選挙の2日前になってようやく刷り上がったポスター。そのたった1枚貼るのに、20分以上もかかったという描写に、中学時代の彼女の姿が浮かびます。しかし何度も言うようですが、当時の彼女は、勉強すごく出来たんですよ。だから、この本を読むまでは、大事な選挙で、ふざけんじゃないとバッサリ自分の中から彼女のことを切り捨てるつもりでいたのだけれど、ちょっと彼女の話も聞いてみたくなりました。いや、それでもおそらくリアルに会えば「こんなんで当選できるわけがない。ちょっとは冷静になれ」としか言えないかもしれませんが。

ま、そんな個人的な事は、さておき… この本は、そんないわゆる泡沫候補と呼ばれている人たちのリアルな姿を描いたノンフィクションです。特にマック赤坂には、相当な年月をかけて取材をし、ページをさいています。とっても読みやすい本でスイスイ読めちゃいました。「いや、でもこれどう考えても無謀でしょ」「ありえないでしょ、こんなの」「頭がおかしいとしか思えない」と思っていた私も、これだけの候補者の、これだけの情報を見せられると、妙な感慨が自分の中に立ち上がって来るのを感じたのも事実です。そして思ったわけです。私たちはもしかしたら、選挙の一番面白い部分を楽しまずにここまで来てしまっているのではないか、と。

あとこの本読んでて、そういえば…と思いだしたのは家入さんのインターネッ党。あれなんか、ホントによかったのに、結局今や自然消滅。こういうのが、なんか…本当にがっかりさせられるんだよな、と思いました。例えばこのインターネッ党が、現在上手く機能していれば、社会は相当違うものになっていたかもしれないのに。家入さんと彼を応援してた堀江さんの言い訳が聞きたい…よな。というか、他のアナログな…泡沫候補の人たちの執念深さみたいなものと、彼らの頭の良さがうまくマッチしていけば、ホントに世の中を変えれたかもしれないのに。なんかベンチャーな人たちの、悪い意味での「頭の良さ」を見せつけられた感がある。こんな馬鹿なことは辞めよう、という頭のいい人たちの… それを思うと、他の泡沫候補が面白く楽しく思えてくる。

それにしても、この本を読んでいると、こうやって候補者をたて、投票をし、自分たちの代表を選ぶという民主主義っていったいなんだろう、と思ったりするわけです。外国と比べても異様な供託金の存在、そして多大な税金を使って行なわれる選挙。これは非常に面白い本です。是非読むことをお薦めいたします。

そして、畠山さんのこちらのインタビューも必読。これからも頑張ってください!
それにしても、畠山さんというと、東電での会見を夢中になってネットで見ていた、あの頃を思い出す。日隅さんの賞も取ったんだね…
そして新潟ではまた保守の勝利… なんか日本人は大好きだよね、自民党がね…


2018年6月10日日曜日

ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン 言語本能を超える文化と世界観』を読みました。すごい!


高野さんと清水先生の対談本でも選ばれていた『ピダハン』。読もう読もうと何度も手にとったものの、なかなか着手できなかった本をついに読んだ。この本が出た時は、すごい話題になったから、とっくに読んだよという人が多いと思う。が、あえて紹介しよう。いや〜、すごい話だよ、これ…。

正直、この本の多くをしめる言語の説明については、読みつつもなかなか自分の中に入ってこなかったので、よく理解できなかった。しかし70年代後半におけるアマゾンでの白人家族の暮らし(小さな子供まで同行させている)の大変さ(実際、家族が病気で死にかけている)、そして何より著者がピダハンに惹かれ、論文を発表して学界に波紋を与えることとか、ついには信仰に迷いがでてきたりする下りなど、まったく目が離せない。

著者は基本的にキリスト教の伝道師で研究者で、この本もポップにエンタティメント性を持って書こうという意図がなかったのであろうから、そういう意味では、この本はポップな本ではない。でも、それだけに真摯に彼の気持ちがビシバシと伝わってくる。 そしてピダハンの事を知れば知るほど、果たして私たちが普段得ようと努力している「幸せ」とはいったい何かとか、いろんな疑問が立ち上がってくるのだ。私がたちが今、毎日体験している明日のための準備とか用意とか我慢とか、はたまた過去の後悔とか、社会のあれこれとか、科学のテクノロジーとか、いったいなんなんだろうと思うようになるのだ。私たちは幸せを得ようとして不幸せになっていないか、とか。

著者は70年代、ブラジル、アマゾンの奥地のピダハンにキリスト教を布教するために派遣された伝道師だ。面白いね… グリーンランドとかでもそうだったんだけどさ、キリスト教によって世界は一方的に「発見」されてきた。(本当は高野秀行さんとかがよく言うように、そこにも人間はずっといたわけだから、「発見される」ってのがおかしいのだが)伝道師達はその発見された地域の言語を学び、その地にアルファベットを与えて書き言葉を教え、そこから聖書を現地言語に翻訳するというのが一連の仕事なのだ。400名近くが住むピダハンのエリアに引っ越してきた白人の一家。確かに普通の生活すらも大変で、我慢しなければならないことも多く、信仰の強さが無ければ耐えられなかったことがたくさんあるだろう。

お互い通じない、知らない言葉(そしてまったく違う文化)を介しながら、それでも著者は言葉を習得していく。そして著者はピダハンの「今を生きる」笑顔に引き込まれて行くのだ。そして彼は、ピダハンの文化を学びながら、言語学者としての、彼の考え方、この50年ずっとそれが重要だと信じられてきたチョムスキーの理論の根幹をゆすぶる事実に出会う。それは当然のことながら、学界に大きな波紋を投げ掛けてしまう。

ピダハンの言葉を学ぶうちに著者はピダハンには数の概念がないことに気づく。彼らには右と左という概念もない。そして色の名前もない。当然神様もいない。自分が見て体験したこと以外は信じない。そして常にあまりにも幸せそうなのだ。

そんなピダハンの世界において、余計な恐怖を与え,不安を与え、そしてそれらを払拭するための神様を信じよと言うキリスト教に、なんの意味があるのだろうか。

アマゾンの奥地にはいろんな先住民族がいるわけで、それこそNHKでやったイゾラドとか外の世界とまったく接触をもたない人たちもいるわけだけど、 ピダハンは外部(ブラジル)との接触もありながら、しかしピダハンでいることを自ら選び、生きているように思える。ひたすら現在に生き、迷いがない。過去も未来もない。そもそもそんな概念もない。

とはいえ、それもこの本が出た時から、またしばらく時間がたち、だいぶ状況が変わって来ているようだ(下に貼ったドキュメンタリーも参照)。

本来クリスチャンの伝道のためにピダハンの世界に入っていったはずの著者が、そんなピダハンの生き方に接し、本の終わりでは、ついには信仰も家族も捨ててしまうと下りには、本当に引き込まれた。著者はピダハンが大好きだ。ピダハンがいつまでも彼らの自分の幸せを自分で選択出来る状況であれと願う。

というか、おそらく著者はピダハンの言葉をしゃべっているうちに、考え方もピダハンになってしまったのだろうな、とも言える。言語が概念を作る。私も自分でも日本語をしゃべる自分と英語をしゃべる自分は性格が違うと感じる。いつぞやの映画『メッセージ』にも、ちょっと通じるかも。言葉こそ世界であり、言葉こそ文化。さらに言えば新しい言葉を学ぶことで、私たちは今自分のいる場所にいながらも新しい世界を垣間みる事ができる。

すごいな… 



本はみすず書房だからちょっと高いし、私にとってはすいすい読めたとは言えないけれど、このすべてに対する著者の真摯な態度に心を動かされない人はいないだろう。これは本当に読む価値あり。


2018年6月9日土曜日

「はるか遠くの大いなる孤独のなか」

朝顔がもう咲きそう〜❤

言葉の力にうなる時があるのだが、角幡唯介さんの本を読んでいると、時々めっちゃ響く言葉を本の中に見つける。

角幡さんの書評本『探検家の日々本本』を久しぶりにお風呂でじっくり読んだが、やっぱりこの本いいよなぁ。響く言葉がたくさんのっているんだよ。もう響きまくり。

でもここで紹介するのは、角幡さんの文章というよりは,角幡さんが紹介している本からの文章。

この本は『神話の力』といって、著者はジョーゼフ・キャンベル。世界各地の神話の比較研究の権威。共著者のジャーナリストのモイヤーズがキャンベルに話を聞く、という形式でこの本は進む。キャンベルの言葉。

「人々はよく、われわれみんなが探し求めているのは生きることの意味だ、と言いますね。でも、ほんとうに求めているのは<いま生きているという経験>だと私は思います。純粋に物理的な次元における生命経験が事故の最も内面的な存在ないし実態に共鳴をもたらずことによって、生きている無情の喜びを実感する。それを求めているのです」

「(では経験とは何か?)意味なんてありません。宇宙の意味とはなんでしょう。ノミ一匹の意味とはなんでしょう。それはただそこにある、あるいはいる、それだけです。そしてあなた自身の意味とは、あなたがそこにいるということです」

(そしてイヌイットのシャーマン、イグジュガルジェクという人物の言葉を紹介)「唯一の正しい知恵は人類から遠く離れたところ、はるか遠くの大いなる孤独のなかに住んでおり、人は苦しみを通じてのみそこに到達することが出来る」 

はるか遠くの大いなる孤独のなか。うーん、それに引かれて角幡さんは北極に行くのか。

上記の文章のそれぞれについては、角幡さんが「日々本本」で解説しているのだが、本当に素晴らしいので、是非この『日々本本』を読んでください。 どちらかというと、私はたぶんこの『神話の力』だけ読んでもピンと来ない人間かも。でも角幡さんが説明してくれると響くんだよね。

そして、改めて、いい作家はいい本読んでいるんだよなぁ、と思う。 うーん,しかし読みたい。この『神話の力』もポチるか。『神話の力』については、こちらのブログにも詳しい。


2018年6月3日日曜日

江東フランス祭、無事終了〜 楽しかった!

本日絶好調の天気の中、江東フランス祭!

リハーサル中のパトリック

こちらはシャンソン教室の様子。フランス語会話でもおなじみドミニク先生。

可愛いフランス直輸入の小物たち

エッフェル塔!

パトリックのCDはもちろん
コアポートさんにも出展いただきました〜
バーバラ村田さん。可愛い❤


地元のパティスリー、エクラデジュールさんも出店!


浅草十一寸さんもありがとうございました〜

本番の様子。

最後はすっかり名物になったこれ。シャンソン教室の生徒さんと一緒にシャンゼリゼ!

ところで、パトリックがステージで言ってたCMってこれの事ですね。どうやら今日くらいから流れているらしい。三菱のEKとかいう車。日本語も上手になった!?



ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。今日のコンサートはなんだか内容もすごくよかった。会場全体が一緒になって「オー・シャンゼリゼ」歌ってくれて、ホントにやってよかったなぁ、と思った。

というわけで、THE MUSIC PLANT敬老事業部によるフランス祭の様子をお届けしました。全国のコンサート・ホールの皆さん、是非皆さんの町にもパトリックとフランス祭を呼んでください〜〜!

フルック、LIVE MAGICに参加決定! 

いえーい!!! ピーター・バラカンさんの「LIVE MAGIC」にフルックが参加することが決定いたしました。なんて嬉しい!!! でかしたぞー フルック!!!


2018年10月20日(土)、21日(日)

恵比寿ガーデンホール/ガーデンルーム
早割 2日通し券 第1次先行 ¥19,000
         第2次先行  ¥20,000
   1日券   ¥11,000
各種売り切れ次第終了/オールスタンディング/整理番号あり

早割受付第1次先行 6/3(日)18時〜6/10(日)23:59
第2次先行 7/1(日)18時〜7/8(日)23:59
Inter Fm Barakan Beat  特電 0570-02-9970
Web http://w/w.pia.jp/livemagic18hs/
一般発売 8月4日

主催/企画 LIVE MAGIC実行委員会(Creativeman Production, Tower Records, ぴあ)
後援 Inter FM

小学生以下無料(保護者同伴)、中学生、高校生、大学生は学割券をご購入いただけます。

鈴木保奈美の「My Cult Celt Journey」



うわー、懐かしい。そうか、当時ケルトは「Cult」だったのか。90年代のケルトブームって、日本ではスタジオボイス、そしてテレビのこの番組が結構大きかったと思うのだけど、今、あらためて観ても、なかなか面白い。

明らかに車会社とタイアップしている感じの展開。でも音楽の選曲もなかなかですな…当時アイルランドは地球の歩き方にもろくに紹介されてなかったように記憶しているし(フロンティアシリーズで出てたか、出たないかくらいのタイミングか?)かつネットが普及していなかったこととか考えても、よくこれだけの番組を作ったと思う。

深夜帯で、当時絶好調だった女優が企画を作ったとしても、地上波でよく企画が通ったよなあ。それだけ、いい時代だったのかも? コーディネイトは岸田忍さん、マークと松井ゆみ子夫妻。 そしてトレンディ・ドラマの大多亮プロデューサーの名前もクレジットされている。これだけマニアックなウンチク満載なのに、監修に大学の先生とか入ってないのも、すごい。それか内容は先生の本から拾っておきながらクレジットしなかったのだろうか? 今だったら本人の意図が強くあったとしても、裏を取るために間違いなく監修入れるだろうけど…などなどあれこれ思う。

さて本日はフランス。フランス祭を江東区で行ないます〜。パトリックの音楽はもちろん、地元有名パティシエのその場で焼いていただくゴーフルが楽しみ。詳細はこちら。当日券あります。

2018年6月2日土曜日

主催者の言い分は?

考えさせられる記事だった。

まず思ったのは、これはいったいどういう立ち場の人が書いているんだろうか…ということ。広告は入っているようだが、すべてアフィリエイトっぽいので、普通に1メタルファンのサイトのように見える。プロフィールを見たら漫画家さんとある。しかしすごい量の記事と情報量で、ものすごい音楽に愛情を持った人なんだろうなということは誰が観ても確実にわかる。

大手のコンサートプロモーター/主催者さんは大変だ。ウチの場合など、ウチの公演に何かあったら私が誠心誠意、心をこめてお客さんに説明するしかないわけだが、この「LOUD PARK事務局」の構成員にクリエイティブ・マンさん以外に、どこの誰がどこのくらいかかわっているのか知らないが(放送局とか専門誌?)、主催者でもない第3者に、こんなにあれこれ言われてしまっていいのか…という疑問がいやおうもなく立ち上がってくる。っていうか、この人が書いている、これらの理由が開催中止の理由とは限らないではないか…と思うのだ。

分かりにくいかな… たとえば私が「もうヴェーセン呼ぶのやめました」と発表する。そしたらファンの人が「なぜ野崎はヴェーセンを呼ばなくなったのか」という記事を書く。もしかしたら私と個人的に話しているような私に近い人、バンドに近い人が書くかもしれない。音楽ライターの人が書くかもしれない。で、その記事を大量の人が読み、それがヴェーセン来日の実情だと周りは理解してしまう。つまりはそういう危険性だ。

うーん、全然規模が違いすぎて比喩にならないか。つまりこの記事は、当事者でも何でもない一般論としてファンの人が書いているにすぎない、ということなのよ。しかしながらその内容があまりにも鋭いので、しかも愛情に溢れているから、これだけ多くの人にシェアされているのだと察する。いや、私はメタルのことはよく分らないので、何を言えたもんかと思うのだけど… で、これをネタに音楽業界人たちが、私のFBのウォールのあちこちで議論が巻き起こしているのだった。なんだか、いろいろ考える。1ファンのこのブログ主はともかく、近くにいた彼らはいったいどういう立ち位置なのだろうか、と。

でもね、また話は戻るけど、ウチがそんな事態になった時、ファンの人があれこれ書けば書くほど、当事者である私は「分ってないな」と思うと想像すんだよ。もちろん、当事者よりも外部の人の方が冷静にビックピクチャをより理解している、という可能性もあるかもしれないよ。が、多くの場合において、当然の事ながら、一般に公表している情報なんて氷山の一角で、実際は多くの事が水面下で起こっているのだから、氷山の一角しか知らない一般の人が、どれだけ理由を分析しても限度があるのだ。そしてその水面下のことは、主催者でなければ、分らない。

ただウチはいい。というのは、それがたとえ当事者によるバイアスがかかった思いとはいえ、その主催者の思いを私もそのまま発言できるからだ。水面下のことだって、自分の判断である程度は公表できる。個人でやっているメリットはそこにある。それにチケットを買おうとしてくれていたお客さんも、いったい私が何とその事態を説明するのか、多少は聞きたいと思ってくれるであろう。そして私がこう言えば,それが一応、実情に一番近いものだとお客さんたちは、ある程度認識してくれるわけだ。

だからこの記事がバズって、いろんな人がこれを読み、主催者の目にも止まるだろうに、主催者さんは今、何を考えているんだろう、と私にはそっちの方がすごく気になった。どうか、主催者さんや、LOUD PARK事務局の人、参加予定だったアーティストさんたち、そして今年の中止を決めた人が、必要以上に傷ついていませんようにと願う。ただでさえ言いたいことはたくさんあるだろうに、その言えない事にストレスが倍増してませんように。それとも「よかった、オレたちが言いたいこと言ってくれた!」と思うのか。

…いや、いずれにしてもプロの人たちはそんなの慣れっこか。

イベントが中止になる/ならないというのは極端な例だけど、そうじゃない案件だったにせよ、主催者としては、あれこれ自分以外の人が公演やツアーの話をしているのが耳に入り「分ってねぇーな」と思うことは、多々有るもんだ。でもある程度のことはグッと飲み込み、主催者としてお客様の意見をしっかり受け止め、次への反省へつなげなければならない。それも主催者の責任の1つであり、次の公演にも来ていただくための布石になるからだ。そんな時、本当に嬉しくなるのは同業者の「分ってくれてる」コメントだ。結局のところ分ってくれるのは同業者しかないないんだよな…といつも思う。だから私はLOUD PARK事務局に応援の旗を振りたい。何にも分っていない私だけど…

そして、まずこの記事を読んだ人に私が言いたいのは、ただ一つ。主催者はいろんな事情をかかえていて、それは音楽業界内ですら言えない事がほとんどなんですよ、という事。それを常に認識していてほしい、ということだ。それがまず前提としてあるのを忘れないでいてほしいな、と思う。

そして、それを前提にした上で、さらに話をこの記事に戻すと、とはいえ、この記事がバズっているのは、ここに音楽業界、特に日本の洋楽市場がかかえている大きな問題がかなりするどく指摘されているからなんだよな、と思うわけだ。本当によく書かれている記事だ。すごく分りやすいし。何より愛情がある。

私はメタルのことはよくわからないが 「世界で一番世代交代が出来ていない国日本」っての、めっちゃ響く。ワールド界隈も実際ひどい。

まず日本ではクラシックのホールは、滅多にワールド・ミュージックをブッキングしない。そこがまず大きな問題だ。だいたいはホールがやるのはクラシック(しかも本格的なものよりもテレビのバラエティに出ているような人たちがやるエンタテイメント系のクラシック)、次にジャズ、それに落語/歌舞伎/能楽などの伝統系が続く。それ以外に世界の異なる音楽を紹介しようという気概のあるホールさんはホントに数少ない。例えばロンドンのバービカンで見られているものは、すべて東京のオーチャード見られてもいいと私は思うのだが、内容をぜひ比較してほしいと思う。バービカンだけじゃない。ニューヨークやパリの名門ホールで見られているものは、普通に東京でも見られていいはずなのだが、まったくそれが実現できていない。

大手のカンバセーションが潰れて、今やプランクトンさん1社が大きなプロダクションものを一手に引受け、私のような個人プロモーターが小規模なものを抱えて孤高奮闘しているが、それでも限界がある。トーキョーで見せなきゃいけないものの20%くらいしか、来日が実現できてないのではないだろうかとすら思う。いや、もっと低いかも…

そもそも日本の音楽マーケットは、成熟しているようで、あまり成熟していないんじゃないかという気もする。単に分母が大きいため、どんなジャンルにでもマニアが一定数存在しているから成熟しているように一瞬見えるだけだけど…。そもそも日本の音楽業界ではタイアップなしで売れたアーティストは1人もいない。つまり戦略のプロがいて、初めて音楽が売れるのだ。それなのに音楽ファン、そしてアーティストたちというのは酷なもので、多くの人が「レコ社はなってない」「宣伝の仕方が悪い」「マネジメントのセンスがない」などと音楽業界で働く人たちのやり方を批判する。そのくせ、ほとんどすべての大衆はレコ社が作り出したメガ・ヒットが大好きだ。その証拠に洋楽も邦楽も「昔の名前出ています」的アーティストのコンサートが人気を博している。

それにしてもこのメタルブログ、よく書けている。「日本のメタルのファン人口を増やさなくてはならない」の部分では新日プロレスの「マニアがジャンルを潰す」を思い出した。これはメタルに限ったことではない。すべてのジャンルに言えることだ。マニアがジャンルを潰すのだ。

では、音楽業界が自信を取り戻すのはどうしたらいいか。それは…このメタル・ブログにも書かれていることだが、例え能率が悪いと言われようと、例えどんなに面倒くさかろうと、新しいファンを開拓していくことでしか生き残りはありえないと思うんだよね。一歩一歩地道な努力をする。足下のマニアに目を向けずに前をみて進む。それしかないのだ。今やみんながみんな最短距離を行こう、行こうとするけれど…

今、音楽はリスナーにとっては最高の時期を迎えていると思う。ただ「音楽業界」にとってはいろんな事が変化の時期で、ホントに厳しく難しい時期だ。音楽業界だけに限ったことではないのだが、今、世界は大きな変化の波にゆれる小舟のような存在なのだ。必死で新しくビジネス・アイディアやシステムを開発しても、その数年後にはそれらはまったく機能しない。先行投資しても回収なんて出来やしない。じゃあ、と言って安全を取り、保守的になって「様子見」している間に、日本は世界にこれほどまでに取り残されてしまった。

まぁ、それが業界の現在の状況なんだとは私も思う。私自身について言えば、どんなに小さくてもいいから、誰にも知られていない新しいアーティストを手がけると自信につながると思っているので、ごちゃごちゃ考えず、とにかく新しいアーティストを呼べるよう努力を続けるだけだ。私の根拠のない自信は実はそういうところから来ている。これは自分でなければ呼ぶことの出来ないアーティストだった、と言えるアーティストが何人かいる… っていうか、ウチにおいては、すべてそうかもしれない(いつも書くことだがグレン・ティルブルック以外/笑)。そういうのがあるから、まぁ、自分は続けて行けるんだろうな、と思う。その積み重ねだ。

が、辛いよな… 大手さんは何によせ規模をある程度大きくしないといけないわけだから、私のように赤字覚悟で新人やってみたら、数万黒字になった。よかった、万々歳!というわけにはいかないのだ。

先日インド祭に参加していただいた明治時代から続く王子の老舗パン屋さん、明治堂さんは、お店の名物カレーパンだけではなく、たった1日のこのイベントのために、クロワッサン・カレーパンまで作って出店してくれていた。そしてそれらをクールにすべて売り切ると、マスターは来年の北とぴあ文化祭の国名を確認し、かっこよく会場を去って行った。真のプロフェッショナルというのは、こうやって攻め続けて行く人のことを言うのだと思う。かっこいいよな…

みんなで頑張って行きましょう! 

2018年6月1日金曜日

ライコー・フェリックス(from ハンガリー)来日決定!


ライコー・フェリックスのことを知ったのは、実は比較的最近の話です。

昨年ノルウェーのフェスティバルに招待された時、行く前にプログラムを眺めながら、You Tubeでそれぞれのアーティストのライブ映像をチェックしていて偶然見つけたのでした。それはヴェーセンやアンビョルグ・リーエン、ハラール・ハウゴーなど、北欧のアーティストが勢揃いするフェスティバルで非常に楽しみにしていたフェスティバルだったのですが、そもそも招待だから仕事だし、せっかく4日間も行くのだし、知らないアーティストのプログラムも積極的にみて、新しい出会いを見つけないといけません。なので、プログラムがフィックスし、それが送られてきたので、事前にバイオグラフィーやYou Tubeでの動画を検索し勉強していたわけです。そしたら、すごい、なに、この人?!みたいなのを見つけちゃった。それがフェリックスでした。

また同じフェスティバルに招待されていた世界各国の音楽ジャーナリストたちのうち、私がもっとも信頼を寄せるfROOTS誌のアンドリュー・クロンショウ氏も「今年の目玉はフェリックス・ライコー」と太鼓判を押していたのでした。 このフェス、すごくバランス感覚にすぐれていて、いわゆる大きなステージで演奏するものがイコール、プロデューサーの一押しではないというのが結構ミソなんです。さすがに、あのようなすごい田舎であれだけのものを実現しているだけあります。まぁ、その事に関する詳しい説明はいいとして、そんなわけで玄人受けする本格的なものはメイン・ビルでないことが多いんだけど,この年もプロデューサーの影の一押し(そしてそれをしっかり把握しているアンドリューたち音楽評論家の一押し)は、比較的小さめの会場(200人くらいか…)で演奏する、このフェリックスなのでした。

で、その時すでに「2019年春のポーランド企画」が走り出していたので、うーん、これはもしかすると「中欧ヨーロッパシリーズ」みたいなものを作るといいかもな…と頭に思い浮かんだんですよ。ちょうどバルトロメイ・ビットマンとの交渉もまとまりつつあったので、そんなアイディアも固まってきました。
  
そして、もちろんシリーズ第1弾のバルトロメイ・ビットマンもかっこよかったけど、あれはなんというか、死ぬほど練習すれば、もしかしたら他の誰かが到達できる域にあるものなのかもしれない。でもフェリックスの音楽は違います。なんというか、絶対に誰にも真似できない音楽。神様か悪魔が偶然その人を選び、その人だけに与えた音楽。それがフェリックスの音楽なのでした。

ちなみにハンガリー人なので、フェリックスがファーストネームで、ライコーがファミリーネームです。ノルウェーでは彼の演奏を2回聞くチャンスがありました。すでに彼の音楽を自国で体験済のアンドリュー先生は「ロンドンでソロ公演をみて、ホントに吹っ飛んだ」と、めっちゃ興奮しておりました。

で、まずは昼公演、期待はマックス。先生はかぶりつき、私も2列目ぐらいに陣取り、息をのみます。トリオで演奏した彼でしたが、とにかく観客の方をいっさい見ないのに、呆れました。サングラスをして、お辞儀もしなければ、もちろんMCなんてのもいっさい無し。ステージに駆け上がると、ベースとヴィオラの人を引き連れて、本当にいきなり演奏が始まったのです。



ちなみに観客席右端の白髪の方がアンドリュー先生
で、もう頭3秒で、こりゃーすごい!!と思ったのでした。 ありえないでしょ、このフィドル! っていうか、音数すごすぎ、っていうか、音が多すぎて見えない!?

でも私が彼の音楽と恋に落ちたのは、その嵐のような演奏がすべて終った後のことでした。約1時間の演奏が終るとフェリックスは最後の最後にやっと観客のほうを向き、ペコリと1回だけお辞儀をしたんです。

そのお辞儀が… なんというか、小学生の低学年の男の子がするみたいなお辞儀で… 私はその瞬間、このアーティストを日本に呼ぼうと決めたのでした。(まさに恋に落ちる瞬間ってこんな時!)

そして… さらにものすごかったのが、その日の夜。今度は3、4組のアーティスとが一緒に出演するような会場…というか、ほとんどレストランみたいな場所だったんですが、この時の彼らの演奏は、なんというか常軌を逸していました。何というか,完全にトリップした。ほんの20分程度でしたが、ありえない世界を、その場に作りだしていました。

彼らの演奏が終ったあと、私とアンドリュー先生は次のコンサートを追いかけて別会場に移動したのですが、その時、外でモクモクとタバコを吸っているフェリックスにすれ違いました。「すごいコンサートだった」と声をかけると「Thank you」と、まるで自分の鼻の上から私をのぞきこむようにこちらを見て言ってくれましたが、どうやら彼のドイツ人マネージャーによると彼は英語はほとんど喋れないのだそうです。ますます萌え!

そしてこのフェスティバル中、彼のマネージャーと何度か打ち合わせすることも出来たのですが、良かったのは、私とマネが打ち合わせをしているカフェの横を通るこのフェスのメインアクトのビックな方々みんなが(ヴェーセンとか、ハラールとか、アンビョルグとか)私に「ハイ、ヨーコ」とか声をかけて挨拶していくことです。何せ中欧ヨーロッパは私にとっては未知の世界。でも北欧なら多少ですが顔が利きます。こういう「へぇ〜、北欧のアーティストのことはよく知ってんだ」っていう印象をマネに与えるってのは、新規の仕事において、めっちゃ大事なのでした!!! ただでさえ、チビの中年女だからナメられることが多いからな!(笑) それはさておき、ドイツ人マネは私がそれだけたくさんのアーティストを日本に呼んでいるんだと知り、それなりに信用してくれたようでした。

帰国した私は、彼のCDを集め、あれこれ勉強し、こんな映画にも出会いました。なんとフェリックスこの映画の主役をつとめ、カンヌまで行ってるんですよ。映画、観たけど、ホントにかっこいい!(っていうか、フェリックスそのままの役柄でセリフも少なめ。めっちゃ良いです)ま、そんな話もいずれ…(もっともビョークの映画出演よろしく、もう2度と演技は嫌だと思ったのか、これ以降の映画出演は一切ないようです)2008年の作品。10年前ですね。



そして、さらにすごいことに、彼はなんとあの日本を代表するダンサー田中泯さんと共演していたのでした。っていうか、フェリックスと泯さんの出会いはフェリックスが10代の時、まだ現地でも無名な頃だそうです… 泯さん、どうやってフェリックス見つけたんだろ。さすがすぎる!!


"Táncos vagyok és földműves" from magyarnarancs.hu on Vimeo.

というか、バカすぎる私は、日本を代表するすごい芸術家である、泯さんのこともよくわかっておらず、友人に薦められ『たそがれ清兵衛』をオンラインで見て感動し、中野のplan Bにも何度かうかがって、泯さんの世界を必死で勉強しました。本も2冊読んだ!(本の感想はまたいずれここでご紹介します) この映画(映画の感想はリンク先)も見た! 泯さんの世界については、とにかくとっても素敵なので、このブログでも公演まで何回かに分けてご紹介したいと思います。


Felix Lajko from Rob Farmer on Vimeo.

いずれにしても、このすごいヴァイオリンが、とうとう日本にやってきます。信じられないよ! ちなみに前回の来日は10年以上前で、それは泯さん主催のフェスティバルだったのでした。



チケットは6月15日発売。300席ない会場です。お早めにお買い求めください。 詳細はおそらく再来週くらいにオープンするフェリックスのホームページにて。

公演はこんな感じ。(クリックで拡大します)


豊洲は遠いイメージあるかもしれませんけど、永田町から有楽町線で11分。有楽町から7分。ホールは駅と直結してますので、めっちゃアクセス良いですよ。

あ,あと、この本にもフェリックス登場するのよね。ちょっと感動。こんな話もまたおいおいこちらのブログで紹介していきます。

2018年5月29日火曜日

アンティ・パーラネン

かっこよかったよなぁ、アンティ。



ライブからしばらく立ってるんですが,この曲が頭から離れません。



前はKRAFTMANの方が好きだったんだけどなぁ…



何はともあれアルバムはこれですよ〜 これ! どちらの曲もこれに入ってます。DLで良ければ、すぐ手にはいります。




2018年5月28日月曜日

北とぴあインド祭 楽しかった!!! H.アミット・ロイさん×ユザーン、かっこよかった!


マサラワーラーさんの南インド弁当。スタッフ用にも作っていただきました。ありがとうございました〜

それにしても楽しかった。まずはバザールに数々の楽しい商品を提供してくださった「まちかど倶楽部」さん、ありがとうございました。



そしてインド・クラフト・ブックスさん。あれこれお手伝いいただいて感謝!


そして正面玄関前でのインドムービーダンス、最高でした。 みかん先生そしてサンドーシャンの皆さん、ありがとうございました。



そしてアミットさんとユザーンの古典音楽の世界! いや〜、かっこ良かったなぁ!!!!残念ながら写真をとる余裕がまったくなく、写真なしです。すみません。

こういう音楽がもっともプリミティブであり、もっとも洗練されたものであり、癒しであり混沌であるのだと思う。なんというか、すべてを飲み込むインドの深さ。かっこいいよなぁ。ユザーンはいろんなことやっているけど、古典やっている時が一番かっこいいと思う。アミットさんも前回は荻窪のライブハウスでお弟子さんたちに囲まれたライブを拝見したのですが、あれはどこかスピリチュアルで良かったけど、今回はホールでなんというか宇宙まで飛んで行きそうな音楽でした。うーん,良かった。インド音楽のコンサートを自分で作るのは初めてでしたが、たくさんの皆さんに協力いただき、なんとか無事に終えることが出来ました。大感謝!

素敵な感想もたくさんいただきました。


さて来週は江東フランス祭。その前にすごい来日ものの発表が木曜日深夜にあります。お楽しみに。

PS
そうだ、忘れちゃいけない。あの明治から創業している名門明治堂パン屋さんが、今回のインド祭用に名物のカレーパンだけではなく新作「カレークロワサン」を作ってきたのが素晴らしかった!!! 時間がなくて購入できずだったけど… なんというか… 攻めてる!!(笑) そして明治堂のマスターは来年の国名を確認して帰っていかれたのであった。来年… どうなるんだろう(笑)

2018年5月26日土曜日

アンティ・パーラネン武蔵野公演


いや〜素晴らしかったですな。超合格点の公演でした。
打ち上げは居酒屋さんに。
すみません、明日のインド祭準備でバタバタなので、短いですが… アンティ、本当に素晴らしいミュージシャンだなぁとあらためて感動しました。

また来日出来ることがあるか分りませんが… とにかくご来場くださった皆さん、ありがとうございました。