Caoimhín Ó Raghallaighって誰? その2:名前の読み方

クイヴィーンの名前だけど、正確になんと表現していいんだかわからないのだけれど、「クイヴィーン・オライラ」ってカナ書きするのが一番近いかなと思い、そうしています。

クイヴィーンって、英語名の「ケヴィン」のアイリッシュ系。マイケルがミホールとか、ジェイムスがシェイマスとか、リアムがウィリアムとかそういうのあるでしょう?

オライラというファミリーネームについては、こちらのアイリッシュなお姉さんも間違ったりして、かなり難しいっぽい。

頭では「オラハレーグ」とか言って紹介してるけど、最後に(4:35ごろ)「名前間違えて発音しちゃってごめんね、オライラよね」とか言っている(笑)


それを「僕は気にしないよ、よく間違われるし」なんて言ってニコニコとかわす、人の良いクイヴィーン(笑)

最後、演奏中に救急車がやってきて音がうるさいんだけど、「僕は気にしないよ、今日の演奏で一番気に入ったところだよ」と。

名前の綴りはアイルランド人でも難しいらしく、クイヴィーンも自分の名前をググる場合は「irishmusic.netでもいけるし」「まぁ、でもコピー&ペイストするのが一番いいよ」なんて諦めちゃってる。

しかし音楽ってさ、いろいろ思うんだけど、私は最近、アイリッシュトラッドのあのチャカチャカした感じとかにちょっとついていけないんだよね。

このクイヴィーンがバルコニーTVで演奏している曲も、すごくいいでしょう? このテンポでもしっかりリズムが感じられるのがいい。ちゃんとダンスミュージックなのだ。

そして、シンプルなフレーズが発展していくこの感じもいい。全然押し付けがましくないし、ましてや私が伝統音楽系で大嫌いな「さぁ、みなさんご一緒に」感もない。

なんか、最近はチャカチャカしたのより、こういう音楽の方がいい。

自分は、でも、ボシーからこっち、約25年にわたって「アイルランドが最もかっこいい時期」にこの仕事ができたんだなぁ、とつくづくラッキーだったと思う。ボシーからこっち、アイルランド音楽は早いのがかっこいいとされてきた。

でも、今の、新しいアイルランド音楽好きは、ちょっと志向が違うんじゃないかなと思っている。どんどん古めかしい、元のトラッド、それこそ農村のじいちゃんばあちゃんが演奏しているようなプリミティブな方に戻っていくような気がしている。(それはポーランド方面で特に顕著だ)

そして聴くことよりも、自分が演奏する方向にみんな進む。もちろん上手い演奏を聞かないと上手くはなれないよ、という事はあるんだけど、みんな自分が何かする方向へ進む。

私はアイルランド音楽が、あのアイルランドというチャーミングな国で生まれたから好きだというわけではない。あぁいうボシーの弟たちみたいな音楽が、他の国のどの音楽よりもかっこいいと思ったから、あれらの音楽をプッシュしてきただけだ。

そして、それにともない、たまたま彼らが生まれた国である映画や文学やアイルランドのいろんなことも紹介してきたにすぎない。もちろんそれらも含めて好きだったから、こうやって仕事にしてきたけれど、別にあのかっこよさがあるんだったらアイルランド音楽でなくてもよかった。

(だから自分ではケルト以外の音楽も積極的に紹介してきたと思う。どれもあまり成功していないから、忘れられているのだけれど・笑)

でもあのかっこいい音楽と同じ時期に一緒に自分が仕事ができて良かったと思っている。

そして、今。音楽にはもっと内省的なものが求められているような気がしてしかたがない。それは世の中がこれだけ不安だから。もっとみんなプライベートな自分の内側に入れるような音楽を求めているのだと思う。それは日向敏文さんと仕事していく上で、日向さんの音楽から学んだ。

先日、名著『LISTEN』でお馴染み篠田真貴子さんが紹介していたカンニング竹山さんが出ていたテレビが良いというので観てみた。ただひたすら竹山さんが視聴者からの電話を聞く、という番組

これがなんともいえず良かった。今、音楽に求められているのは、こういうことじゃないのかな。自分のことを聞いてくれる音楽。音楽を聴いているようで、音楽に自分のことを聞いてもらっている、そんな感覚。

というわけで、例えばクイヴィーンのこのアルバムはとても心に響いた。ニューヨークのトーマス・バートレットとのデュオ作。これこそ今の時代のアイリッシュ・ミュージックなのかもしれない。この曲、ほんとどスタジオでのインプロなのだそうだ。すごいね。


THE MUSIC PLANTとしての次の公演は、こちら。

Caoimhín Ó Raghallaigh クイヴィーン・オ・ライラwith 黒木千波留
7月24日(木)南青山曼荼羅19:00開演 
¥6,000(+ドリンクオーダー) 
詳細はこちらへ


野崎は作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリース。配信でもすぐ聴けるようになりますので、みなさんもぜひ。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。
 

そして、その日向さんのひさしぶりのパブリック・イベント。6月26日 代官山「晴れたら空に豆まいて」にて。詳細はこちら。ニューアルバムの視聴会&公開インタビューと言った感じ。出演:日向敏文、松山晋也、オノセイゲン



民音さん主催でゴサードシスターズの来日ツアーもあります。詳細は特設ページへ。


ポール・ブレイディが12月にケルティック・クリスマスで来日します。詳細はこちらへ。


2年前にレコーディングした無印良品BGM29 スコットランド編がやっと公開になりました。良かったら、聞いてください。プロデュースはLAUのエイダン・オルークにやってもらいました。