昨日は国際基督教大学高校に、コンサート音響スタッフのMさんと行ってきました

昨日は、年に一度の国際基督教大学のイベントに行ってきました。通称「洋子の部屋」。

私がブッキングした、主に音楽業界周りで「好きなことを仕事にしている」皆さんに、高校生相手に授業をしてもらうって企画です。年に一度行われて、私も学校に行けるので、いつも楽しみにしているんです。

私も時々、徹子よろしく質問を挟むので、まぁ、徹子の部屋の洋子ヴァージョンですね。学校って本当に非日常!で楽しい。いつも本当に素晴らしい機会をありがとうございます。

国際基督教大学高校は、すごいんですよ。先日グリーンランドのバンド:ナヌークを連れてお邪魔しましたけど、なんと学校に立派なPA機材がある!(笑)

すごいでしょう? で、思いついた。

昨年の秋、3週間一緒にツアーした、PA会社のスタッフ、Mちゃんに来てもらって、彼女にお話をしてもらおう!と。

あと歳をとるとわかるんですけど、40歳以上の人って、なんでも忘れちゃうんですよ(爆)。私も若いころのことはよく覚えているのに、もう仕事が忙しくなっちゃって、ピークを迎えると、昨日やった仕事も覚えてない!

でも20代の時に起きたことは、結構多くの人が一生覚えている。だから、せっかくだからこういった素敵な経験は登壇者にとっても良いことなので、できれば、このことを一生覚えておいてもらえる人…という、ちょっと業界お姉さん目線もあります。

でも、ほんと一緒になにかやるなら若い人!!だよね。最近わたしもポリシーを変えしました。私もずっとこの経験を「あの時、野崎さんに学校に連れてってもらったな」って覚えておいてほしい。そして生徒さんからの反応を、ずっと覚えていてもらいたい、というのがあります。

というわけで、今回は若いMちゃんに来てもらうことにしました。いや、Mちゃんじゃ失礼だな。Mさん。

今までの講師で最年少の24歳。PAスタッフ歴3年。でももう現場はアリーナから大きなホールから、コンサートだけではなくイベントやらまで手がける現場に不可欠な重要ポジションを担っているんです。

最初、Mさん、この話、嫌がるかな、多少の説得時間が必要かな…と思いつつオファーしたのですが、なんと「面白そう!」とその場で即決。そして会社に許可を取っていただき、当日を迎えました。すごい!

そしたらなんだかすごいパワポまで用意してくれて、今の若い子はなんでもできるなぁ、と感心。いや、Mさんが出来る人ってことなのか。こちらは配布された資料の一部。本格的!!!



私もほんとMさんと一緒に回ったツアーをはじめ、いろんなツアーやりましたけど、ほんと私はダメダメなツアーマネージャーで、そもそも出自がレコード会社なもんだから、コンサート現場については、いまだにコンプレックスがあるんです。

そもそもどうやって音が出ているのか、今でもよくわからない! コンサート作っていながら「今日、音が出なかったらどうしよう」というチキンハート。

「そんなことあるの?!」とか言われそうですが、「音が出ない」というのは比喩で、ステージ上トラブルがあったら、という意味なんですが…いや、本当です。だから絶対に自分ではやらない。よくなんでも「大丈夫」って引き受けちゃう人がいるけど、そういうのこそ、アマチュアだと思う。

でもって、私に言わせりゃ、音楽業界でもレコ社にいた自分のように机に座っているやつは仕事のできないバカが多いのよ。でもコンサート現場をやっている人たちは、本当に素晴らしい人たちが多い。あ、これ偏見か?

でもそれは本当だと思う。だってステージ作るスタッフは、生物を扱っているのだから。自分が動かなければ、それこそ「音が出ない」。みんなすごい責任を担っている。

特に音響、エンジニアって、本当にミュージシャンに一番近いところにいる、すごい仕事なんです。ミュージシャンの音楽を手伝えるんだから。

Mさんのお話はすごく面白かった。っていうか、私も知らないことが多かった。アリーナ・コンサートに出てくる「トロッコ」「マニピ」、なにそれ???!って感じ(笑)

あとアリーナ公演だと、最初にやることは。なんと「電源の配置」。そりゃそうだよね。電源すごい必要だもんね… 

そして仕込みとリハに本番日とは別に2日、なのにバラしは6時間?!とか…ひぇー。

アリーナ公演。野外公演。電源確保のあとにやるのは、スピーカーの吊り上げ。こういうスピーカーってあるじゃないですか。(右の写真)

これって、なんで湾曲してるの?と思ってたんだけど、客席の前、真ん中、後ろにそれぞれ均等に音が飛ぶように、こうしてるんだって。

そりゃ、そうだよね。良く考えればわかることだけど、Mさんに言われるまで、私はまったくわかってなかったのでした。恐怖(笑)

でも、そんなこと現場で「これってなんでこういう形に組むんですか?」とか、音響スタッフに聞いたらブチキレられる(笑) 普段現場では無駄話はできないですから。

そしてアリーナ公演では、ステージ周りのバイト50名…とある?! す、すご。

でも、コンサート現場のバイト君たちも、マジすごいんです。リーダーがいて、そのリーダー以外は、名前を呼んでもらえることはほとんどない(笑)

だいたいはみなさん、ステージが仕込み中は、客席とか、多くのスタッフから姿が見えやすいところに待機している。そして「おーい、10名、ここ手伝って」「こっち2名ちょうだーい」とか言われままに、あちこち飛び回る。

それが、私が手伝ってる大きな公演でも、せいぜい12名なので、それが50名。ひぇ〜 っていうか、その日当だけで、もうすでに50万?? じゃ足りないか? す、すごいな。しかも、これステージ周りだけですよ。表周りも数えたら、バイトもっと必要なんじゃないか。

Mちゃんが見本で出してくれたダミーのタイムテーブルもすごい。

すべてが時間との戦い。ホールも1時間延長で幾らとかすごいお金取られるけど、アリーナの超過料金なんて、想像つかないよ! きっと桁が違うにちがいない。怖くて聞けない。

とにかくデレデレやっていては、チケットの売り上げで作った予算を食うばかり。まったく利益が残らなくなってしまうわけで、そのすべてをパズルのように組み合わせて、最も効率的なタイムテーブルを作る。これは舞台監督さんの仕事。

例えばホールクラスの音響には「音響(いわゆるFOH Front of the house)」そして「モニター(ミュージシャンの足元にあるあれですね。最近は本当にイヤモニが多いとのこと)」それから「ステージ(楽器の周りにマイクを置いたり組み立てたり)」の3人がつくことが多い。

コンサート中、なんか演奏者がトラブって、全身黒ずくめのスタッフが床を転げ回るようにして出てきて、何かやってまた素早くステージ袖に戻っていくって、時々皆さんも本番中に見たことがあると思うんですよね。あれがMちゃんです。

とにかく本番中はミュージシャンから目を離さず、見守る。ぼーっっとしてたら、終わりです。コンサートが止まってしまう。本当に集中力と真剣さが大変な、すごい仕事です。終わったら、終わったで、撤収の時間もタイトだから、デレデレしていると、ふっとばされる。

そういったいわゆる「ステージ担当」が、そのうち出世してモニターを調整する担当になったり、最後はお客さんの位置にあるPA卓の前に座れるようになる。

それぞれの苦労や想定されるトラブルなど、本当にびっくりするような世界。それを垣間見れて、私もとても勉強になりました。あと機材を壊さないように(笑)。基本的なことだけど、すごく叩き込まれるみたいですね。厳しい世界だな。でも機材なんて、壊してたら、いくらあっても足りないもんね。

で、質問コーナー。

最初質問が出なかったので、私の方で「以前、音楽関係の仕事についている人に対して出た質問で面白いのがあったので、みなさんに聞いてみようと思います」とひとつ興味深い質問を振ってみました。

それは「ミュージシャンとは友達になれますか」というもの。

Mちゃんに答えてもらう前に、高校生に聞いてみた。そしたら「なれる」と思う人よりも、実は圧倒的に「なれない」と回答する人の方が多かった!!! 

なんと、今の高校生は現実的だなぁ!!! まぁ、私の聞き方がシニカルだったというのはありますが。

思わず、私も「でも、仕事仲間は本当に同じ価値観を共有していないと一緒にできないし、私は今は学校の友人よりも仕事仲間の方が自分に近く感じています」とかフォローしちゃった。

でも一方で、高校生からは「今までやった中で、一番有名な人は誰ですか」という質問も飛んだりして、ちょっと可愛い(っていうと、失礼か)と思った。っていうか、ちょっとホッとしたよ。ありがとう!! 確かにそれ聞きたいもんね。

それに対するMちゃんの答えは、これまたもうびっくりするような桁外れの大物だったけど、彼女はそれをサラッと言ってたのも良かった。プロフェッショナル。

その人の名前はあえてここには書かないでおきますが… でも最近大ヒットしたアレのあの人とあの人、そしてあの綺麗なあの人、と言っておきましょう(笑)

でも、ほんと自分の仕事になっちゃうとね、大物とやったから、自分はこの仕事を誇りに思う、とか、そういうことじゃないもんね。

だから、Mちゃんが、お世辞かもだけど(笑)私たちが一緒にやった去年の長いツアーは、本当に素晴らしかったって何度も言ってくれるのが、私は本当に嬉しい。そう、あのチームは本当に素晴らしかったから。

でも長い期間、同じツアーをしていても、ミュージシャンにつく私と、ステージ組むスタッフではまるでタイムテーブルが違う。だから滅多に一緒にご飯できないけど、でも、みんなでこの前は新橋の焼き鳥行ったし(笑)、わたしとMちゃんも友達よね(爆)

授業が終わると、Mちゃん先生は、マニアックなPA隊の皆さんにすごい質問攻めにあっていた。

というわけで、私がいつか10年後…とあるコンサートに行って、PAブースをのぞいたら、Mちゃんがブースにいて、「あっ、Mちゃん!」「あっ、野崎さん」みたいな再会があったら、素敵だな〜とか、夢は広がる。

っていうか、きっとあるよ。もしかしたら意外と近い未来に。ありがとう、Mちゃん。私も勉強になりました。

こちらは学校に貼ってあったポスター。フィンランド・エストニア! いいなぁ。ぜひ行って!! 若い頃の経験は価値がある。


そしてどこかで見た顔と思ったら、節さん。ここにも(笑)

◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろし、公式サイトは近日中にアーカイブ化予定。自分の主催公演や招聘はもうやりませんが、2026年も若干の雇われ案件があるので、そちらはゆっくりとやっていきます。

◎よく聞かれるので、ここに載せておこう。最近観た中でベストな映画はこれベストな本はこれです。

◎現在CDの販売は終了してますが、書籍はあいかわらず販売中。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。

◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。

◎最近、こんな応援記事を書きました。ぺッテリ・サリオラの来日記念盤@Intoxicate

ピーター・バラカン Presents 未来へのプレイリスト 毎週金曜日 ETVにて22:30から放送中。6月いっぱいまで続きます。

◎ケルティッククリスマス2026、発表になりました。今年はアルタンとソーラスが来日。詳細は公式サイトへ。

◎あいかわらず無印良品BGMの仕事はしております。この4月27日より昨年録音にかかわったデンマーク編が配信スタートしております。良かったら、聴いてください。店頭ではすでにその2週間くらい前から流れているようですが、結構まだBGM29のスコットランドもたくさん流れますね(のざき調査による)。

 

◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中


◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中! 

◎さらに今まで配信されていなかった『アナザー・グラフィティ』『妹よ』『陽のあたる場所』『愛という名のもとに』『ええにょぼ』も3月25日より配信スタートしております

◎また「Two Menuets」がこの5月25日よりGucciのキャンペーン「The Original Sinner」で使用されています。改めて聞くと良い曲!  Gucciのキャンペーンサイトはこちら