こんな本を読んでみた。ポーランド研究…と思うでしょ。実は11月に来日するライコー・フェリックスがこの本に登場するという事を偶然知ったからだ。
作者はグアテマラ生まれユダヤ系。アメリカに10歳で移住して大学を出ると祖国に戻り、ラテンアメリカを代表する作家となったそうだ。彼の短篇集3冊を日本向けに編纂しなおしたものだそうで、装丁もこだわりがあって、めっちゃ素敵な本である。
そして帯がなぜか2種類ついていた。日本翻訳大賞を取る前と取った後…(笑)
フェリックスはこの短篇の「絵葉書」という小説に出て来る。
これがめっちゃ面白くて旅先から巨大絵葉書にチマチマとした活字体でビッシリと書いてよこす旅するミランというアコーディオン奏者のことを紹介するという体裁取りつつも、作者のジプシー文化への愛を表現している作品なのであった。
登場するミュージシャンや映画の名前を検索かけながら読み進めると、なかなか楽しい。
そして面白い事にフェリックスはここでは「ジプシー音楽」として取り上げられている。
いずれにしても短篇に登場する音楽、映画すべてが素晴らしい作品ばかりなので、ここにちらっと紹介しておく。
まずトップバッターで登場するのが、36年生まれのユーゴスラビア生まれのジプシー歌手のジャバン・バイラモビッチ。つやっぽくセクシーな歌いっぷりですねぇ〜
絵葉書は自分の旅の「パトリン」だ、とミランは言う。パトリンはジプシーの言葉で「葉っぱ」という意味があり「道に残した印」という意味がある、と。
他にもジプシーの間に伝わる伝説の数々がたくさん紹介されている。なぜジプシーに素晴らしい音楽家が多いのか、なぜジプシーが文字を持たないか…などなど。そういった話題も挟みながら、絵葉書は次々と届く。
ミランによれば、世界に何百万といるジプシーはなんとたった一台のおんぼろ馬車から落っこちた子どもたちなのだそうだ。
そうそう、リストが「ハンガリー狂詩曲」を書いた由来も面白かった。祭りの広場で偶然出会ったヨシーというジプシーの少年。これは本当の話なんだろうか…。辻井伸行さんの演奏を貼付けておく。過去に一度だけ生でみたことがある辻井さん、本当に素晴らしかった。
日本でも話題になった映画『パプーシャの黒い瞳』の主人公、詩人のプロニスワヴァ・ヴァイスもメキシコからの絵葉書に出て来るし…
クストリッツァ監督のハチャメチャ映画『アンダーグラウンド』 も。
来日した人気グループのファンファーレ・チォカリーア。
他にもたくさんのジプシー音楽、映画などが紹介されていく。
「俺たちジプシーにはな、3つの偉大な才能がある。音楽をつくること。物語を語ること。そして3つ目は秘密だ」
そしてフェリックスはニューヨークからの絵葉書に登場する。「ノヴィ・サド(セルビアの北部の都市)1有名なジプシーのバイオリン奏者ライコー・フェーリクスがここを訪れた」と紹介されている。
フェリックスのスタイルは、確かにジプシー音楽に影響を受けたものだけど、ジプシー音楽と断言しちゃうのは、どうかな…と思うのだけど、何はともあれ(笑)
(ちなみにこの本では名前も「ライコー・フェーリクス」としている。ウチは田中泯さんの事務所とも相談して当初「ライコ・フェリックス」にしようと思ったけど、大使館さんからのアドバイスで「ライコー・フェリックス」に落ち着いたのだった…。ま、そんなことも何はともあれ/笑)
で、フェリックスは本の中でマジソン・スクエア・ガーデンで演奏。コンサートの後、マンハッタンに住むセルビアの有名人が集められ、ライコーは夕食に招かれ、そこに自分も招かれたのだ、とアコーディオン弾きは絵葉書の中で語る。2時間、崇拝する音楽家の隣に座りながら、ミランはまるで口をきかなかった。そしてライコーの方が最後コーヒーが出て来る段階になって自分の方に顔を向けて「ラキッチという名のベオグラード出身のアコーディオン奏者を知っているが、君の親戚か」とたずねたというのだ。で、ミランはエスプレッソから視線を外さず「オレにはベオグラード出身のアコーディオン奏者の親戚はいない」と答えて二人の会話は終る。二人ともそれ以上は何も話さなかった。
なんかこれフィクションにしては、ちょっと出来過ぎ。もしかしたら作者は本当にフェリックスに接触したのではないか?と思ってしまった。
その後ライコーの音楽は、主人公がパートナーとセックスするシーンでも登場するのだ。よっぽどファンなのね…。
いずれにしてもこの短篇、ジプシー音楽/文化に興味がある人は必読だと思う。この小説家、ちょっとえ〜カッコしぃな文体が気になるけど、 なかなか素晴らしい。
というわけで、ライコー・フェリックスの来日公演はこちら。ダンサー田中泯さんとの共演になります。 詳細はこちら。
作者はグアテマラ生まれユダヤ系。アメリカに10歳で移住して大学を出ると祖国に戻り、ラテンアメリカを代表する作家となったそうだ。彼の短篇集3冊を日本向けに編纂しなおしたものだそうで、装丁もこだわりがあって、めっちゃ素敵な本である。
そして帯がなぜか2種類ついていた。日本翻訳大賞を取る前と取った後…(笑)
フェリックスはこの短篇の「絵葉書」という小説に出て来る。
これがめっちゃ面白くて旅先から巨大絵葉書にチマチマとした活字体でビッシリと書いてよこす旅するミランというアコーディオン奏者のことを紹介するという体裁取りつつも、作者のジプシー文化への愛を表現している作品なのであった。
登場するミュージシャンや映画の名前を検索かけながら読み進めると、なかなか楽しい。
そして面白い事にフェリックスはここでは「ジプシー音楽」として取り上げられている。
いずれにしても短篇に登場する音楽、映画すべてが素晴らしい作品ばかりなので、ここにちらっと紹介しておく。
まずトップバッターで登場するのが、36年生まれのユーゴスラビア生まれのジプシー歌手のジャバン・バイラモビッチ。つやっぽくセクシーな歌いっぷりですねぇ〜
絵葉書は自分の旅の「パトリン」だ、とミランは言う。パトリンはジプシーの言葉で「葉っぱ」という意味があり「道に残した印」という意味がある、と。
他にもジプシーの間に伝わる伝説の数々がたくさん紹介されている。なぜジプシーに素晴らしい音楽家が多いのか、なぜジプシーが文字を持たないか…などなど。そういった話題も挟みながら、絵葉書は次々と届く。
ミランによれば、世界に何百万といるジプシーはなんとたった一台のおんぼろ馬車から落っこちた子どもたちなのだそうだ。
そうそう、リストが「ハンガリー狂詩曲」を書いた由来も面白かった。祭りの広場で偶然出会ったヨシーというジプシーの少年。これは本当の話なんだろうか…。辻井伸行さんの演奏を貼付けておく。過去に一度だけ生でみたことがある辻井さん、本当に素晴らしかった。
日本でも話題になった映画『パプーシャの黒い瞳』の主人公、詩人のプロニスワヴァ・ヴァイスもメキシコからの絵葉書に出て来るし…
クストリッツァ監督のハチャメチャ映画『アンダーグラウンド』 も。
来日した人気グループのファンファーレ・チォカリーア。
他にもたくさんのジプシー音楽、映画などが紹介されていく。
「俺たちジプシーにはな、3つの偉大な才能がある。音楽をつくること。物語を語ること。そして3つ目は秘密だ」
そしてフェリックスはニューヨークからの絵葉書に登場する。「ノヴィ・サド(セルビアの北部の都市)1有名なジプシーのバイオリン奏者ライコー・フェーリクスがここを訪れた」と紹介されている。
フェリックスのスタイルは、確かにジプシー音楽に影響を受けたものだけど、ジプシー音楽と断言しちゃうのは、どうかな…と思うのだけど、何はともあれ(笑)
(ちなみにこの本では名前も「ライコー・フェーリクス」としている。ウチは田中泯さんの事務所とも相談して当初「ライコ・フェリックス」にしようと思ったけど、大使館さんからのアドバイスで「ライコー・フェリックス」に落ち着いたのだった…。ま、そんなことも何はともあれ/笑)
で、フェリックスは本の中でマジソン・スクエア・ガーデンで演奏。コンサートの後、マンハッタンに住むセルビアの有名人が集められ、ライコーは夕食に招かれ、そこに自分も招かれたのだ、とアコーディオン弾きは絵葉書の中で語る。2時間、崇拝する音楽家の隣に座りながら、ミランはまるで口をきかなかった。そしてライコーの方が最後コーヒーが出て来る段階になって自分の方に顔を向けて「ラキッチという名のベオグラード出身のアコーディオン奏者を知っているが、君の親戚か」とたずねたというのだ。で、ミランはエスプレッソから視線を外さず「オレにはベオグラード出身のアコーディオン奏者の親戚はいない」と答えて二人の会話は終る。二人ともそれ以上は何も話さなかった。
なんかこれフィクションにしては、ちょっと出来過ぎ。もしかしたら作者は本当にフェリックスに接触したのではないか?と思ってしまった。
その後ライコーの音楽は、主人公がパートナーとセックスするシーンでも登場するのだ。よっぽどファンなのね…。
いずれにしてもこの短篇、ジプシー音楽/文化に興味がある人は必読だと思う。この小説家、ちょっとえ〜カッコしぃな文体が気になるけど、 なかなか素晴らしい。
というわけで、ライコー・フェリックスの来日公演はこちら。ダンサー田中泯さんとの共演になります。 詳細はこちら。