ライコー・フェリックス、いよいよ来日

ライコー・フェリックス、資料少ない… いろんな意味で大変ですわ、プロモーションするの。

ほぼ唯一といえる英語の字幕が入ったインタビューがこれ。そもそもインタビュー嫌いらしく、あんまり取材というものをやって来なかったらしい(マネ談)



これも観念的なことが多く、いい事言ってるけど,資料にはならない。でも一応紹介しておく…

「成功したからもういいや、って事は全然ない」
「演奏がいやになることはまったくない。これからもそうだろう。演奏することは大好きだ」
「コンサートの回数は減らして行くだろう。家で弾いているのが好きだから…。別に自分の音楽はお客のためのものではないんだ」

「(セルビアの)Topolyaというところで生まれてすぐGunarasというところに移った。そこはハンガリー人しか住んでいなかった。あちこち引っ越して小学校を卒業したのはKishegyesというところだ。そこに住んでずっと農作業をしていた」
 「引っ越しが多かったのは母親の都合さ。そういう人生だった。別にそれが嫌でもなかった。両親は二人とも学校の先生で、父親とは長く一緒には住んでいなかった。彼は数学の先生で母親は文学。実際、両親からは多くを得たと思う。父親はクラシックな芸術が大好きな人でイタリアの絵画とかオペラが好きだった」
「子供の頃、自分と違う世界に連れて行ってくれる音楽をたくさん聞けたことは本当に良かったと思う」
「(両親との音楽体験は具体的に、と聞かれて)トルコの音楽を母親と一緒に聞いていたのを記憶している。コチシュ・ゾルターンのレコードさ。次は父親と彼が大好きな“カルメン”を聞いたり…」
「家族に楽器演奏者はいない。ただひいおじいちゃんの1人はアコーディオン奏者でパブで演奏していたらしい。 おじいちゃんの1人は結婚式でサックスなどを演奏していたけど、プロだったのは、このアコ奏者のひいおじいちゃんだけだ。実際には会ったこともないけどね」
 「初めて都会に出たのは、中学校に入って、Szabadkaという街に住んだ時だ。でも田舎での暮らしが僕の人生を決定づけたと思う」「ウォークマンのカセットで音楽を聴きながら羊をながめていた記憶がある。あの音楽から僕は多くを学んだ」

「(自分の奏法が他の人と違うことに気づいていましたか?という質問に)分らない。最初は自分も他の人たちと同じやり方で演奏していると思っていた。他とは違うと気づいたのは最近のことさ。ずっと長くそう考えてきた… でも最近は自分と考えの似た音楽家たちと出会う事も多い。自分でもよく分らないけど、これでいいんじゃないかな…」
 「(ブタペストの音楽学校を離れましたよね、それについては?)すでに自分の曲を書いていたしコンサートで演奏もしていたからね。長い公演で1時間以上も1人でヴァイオリンを弾いた。16歳くらいの時さ」
 「そんなに大きな公演じゃなかったけど、来た人は気に入ってくれたと思う。特にその後、何も起こらなかったけど、それはいいのさ。自分の音楽を作りたいって僕は分っていたから」
「当時の曲を今でも演奏する。あまり変化していないよ。ソロコンサートとかで、当時のまま演奏するのが好きなんだ。ここのところいろんな共演が多かったから、もっと今後はソロコンサートをやっていきたいと思っている」
「1人でステージに立つのは好きだ。何でも自由にできるから。それが辛い時もあるけど。その辛さはバンドと演奏する時とはまったく異なるものだ」

「近所の子供が僕が5歳くらいの時にピアノを習い始めて,僕も演奏したいって思ったけど、出来なかった。今でもピアノは弾けない。ピアニストとの共演は好きだけど」
「村に住んでいた時、ツィテラと恋に落ちてね。学校での成績が良かったのがきっかけだったんだけど…。すぐチューニングがくるうから早く弾く事を覚えて、それが好きだった」
「でも結局ヴァイオリンが自分のメイン楽器になった。ツィトラは今でも好きだけど、ヴァイオリンがメイン。ツィテラは時々」「ツィテラを演奏している時は、まだピアノが頭の中にある」
「ツィテラのおかげでたくさんの民族音楽を聴くようになった。あとクラシックの音楽も大好き。ただこのふたつを同時に実現するとしたらヴァイオリンだった。またそれ以外の何か別の音楽につなげるとしても、やはりヴァイオリンだろう。ヴァイオリンなら、さらに多くのことが出来るような気がする。ありとあらゆるものを超えた普遍的な楽器だと思う」
「ツィテラも面白い楽器だ。インドでも中国でも似たような楽器が存在する」
「ツィテラとヴァイオリンの技術はまったくミックスできないものだとは言えない。例えば僕の右手は弓を持っているけど、ツィテラを演奏している時のような動きをするし、聞く人によってはそれが新鮮だと感じることがあるらしい」「パガニーニもギターのテクニックをヴァイオリンに取り入れたらしいし」

「楽器の限界を押し進めて行くことにも興味がある。ツィテラのベースの弦をオクターブ下げているんだが、これによってよりメロウなサウンドを得ることができる。ヴァイオリンはそこまで変化させてはいないけど、これは古いハンガリーの楽器であれこれ改良してある。使いすぎちゃったからペイントしなおしたりとか…。いっときは完全に壊れちゃったこともあって、それを再構築してもらったりとか。リペアは何度もしてもらっていて、どちらの楽器にもとても満足している」

「エレクトリック・ヴァイオリンには興味がない。ギターがアコースティックからエレキに変わることとはまた違う変化がある。僕は樹木で出来たヴァイオリンが好きだ」
「トランペットヴァイオリンを使ったこともあるよ。古い楽器で、とても興味深い」
「最初に手にしたヴァイオリンをまだ使っているけど、今は安いものから高いものまでたくさんのヴァイオリンを持っている。プロジェクトごとにあれこれ試して、最高峰まで行って、また最初のものに戻った…という感じ」

「歌ものにも挑戦してみたいんだけど、長い歌が覚えられない。El Cavilloみたいな短いやつならいけるけど。それに子供向けのCDを作ってみたいとも思うし… でもそうなると“誰がうたうんだ”となって、僕は歌詞を忘れるし」
「演奏がはじまると歌詞なんて覚えてられないんだよ。でも短いやつならできるかも」
「分かんない。いつか歌うかも…」(と、草をむしる/萌え〜w)
「 (言葉とは音楽ほど自由になれないって事ね、との質問に)子供のころ詩を書いてみたことはあるけど… そういう気分にはなれない」

「いろんな事に活動を広げて行くのは自分の意志だけではない。いろんなところからオファーもある。オファーを断ることは滅多にないよ。時々断るけど…。例えば映画に出演しないかという話がくるんだけど、断ってる。僕は音楽がやりたいから」
「ステージ上でもステージの外でも共感できる人と一緒にやれないとベストではない」
 「ソロでやるのは自分の作った音楽を自由に演奏できるから良い」
「オーケストラの為の曲を書いてみたい、ということもあるけど、楽譜をよむ人たちのための作曲は、僕より上手くできる人はもっといる。僕がやるべきことは木の下にすわってヴァイオリンを弾くことさ」

インタビュー嫌いだということがなかなか実感できるインタビューでした(笑)

そして、このタイミングで、こんな映像届いた。ウマとの共演! ジンガロかいっっ?!(笑)すごいな。



泯さんとの共演はこの映像以来かな? 7年ぶり。(映像ではフィドルではなくツィテラを弾いてます)


"Táncos vagyok és földműves" from magyarnarancs.hu on Vimeo.

踊っていないと、音楽を演奏していないと狂気の淵に落ちてしまいそうな繊細な芸術家たちの共演。すごすぎる。なんでこの公演、ウチで出来ることになったんだっけ? もう経緯が思い出せないわ… 

チケットまだあります。明日の夜24時まで当日精算を受け付けます。こちらへ。