地域批評シリーズ『これでいいのか東京都北区』を読みました

うちの近所に三好食堂というのがあるのだが、これが最高の外観なのだ。初めて入店するのは相当の勇気が必要だったけど、今じゃ結構リピーター。歩くと15分くらいかかるのだが、月イチくらいで行ってしまう。


かなり高齢のお父さんとお母さんがやっているのだが、お父さんが作ってくれる洋食が最高に美味い。なんでも作り立ててアッツアツ。幸せなんだ、ここのご飯を食べると。


その三好食堂の目の前にこじゃれた喫茶店ができた。初めてはいって自家製プリンをいただいた。バニラの粒がいい感じ。


久しぶりに三好食堂に行ったのも、この本を読んでいて「北区愛」が爆発したからなのだ。北区って本当に素晴らしい。



文庫本なのだが、装丁が変わっている。まずは左の写真のように異様に文字が大きい。老眼仕様か?!

まぁ、眼には優しいわな… 反対に表紙裏の説明文は反対に異様に字が小さい。これ普段文庫本の装丁してない人が装丁した? ちょっと違和感が残る。

足立区に事務所があるといえどもウチも、心は実は北区なのだ。北千住のある本土ではなく荒川と隅田川に挟まれた「島」のエリア。北区民になるには王子、赤羽へのアクセスの良さと「北区愛」これが重要だ。ちなみにどちらもウチからはバスで10〜15分ほど。本当は赤羽が良かったのだけど家賃があまりに高く、現在のところに落ち着いた。住所が足立区というだけで赤羽に比べてかなり安い。いつだったか北区が生んだすばらしいジャーナリスト津田大介さんとお話しする機会があったのだが、私の住んでいるエリアを津田さんに話したら津田さんも「あぁ、ああそこは北区ですよね」と言っていた。うん、いいぞ!

音楽業界で仕事する人は山手線の内側渋谷や新宿などに生息していることが多いようだが、私は絶対に都内北部もしくは東部。最初の大学生時代こそ世田谷区に住んでいたが、それは学校まで徒歩で通えるからなのであって、そのあとは江東区→板橋区(これが長かった)→足立区にいたる。

板橋区が長かったのは勤務していたキングレコードが当時は護国寺にあり、そこに通うのに便利だったからだ。そしてそのままフリーになってからは、ランドラインの電話の電話番号を変えるのが面倒で、そのまま電話番号が変わらないエリアを転々としていた。今やランドラインなんて誰も使ってないけど、当時は携帯の普及率も低かったしね。

また私の場合、山手線の内側や住むなんぞは金持ちのすることで、かつ世田谷区とか目黒区とか渋谷に住むのはあえて田舎出身者のすることだという反骨精神(?)があり、絶対に、例えばダブリンだったらリフィ川の北側こそが本当のダブリンだという認識でいるのだった。一方で飲み会やコンサートで夜遅くなったとき、タクシーで帰ってくることを躊躇するような環七の外側は東京ではないという認識もある。そんな私の気持ちを満たしてくれるのが北区(足立区)ということなのだ。

で、この本…   正直期待していたほど、おもしろくはなかった。というか、爆笑ということではなかった。それよりも、こんなルックスなのにかなり「きちんと」作ってあった。いろんなことはちゃんとデータが添えられ、これだけの情報を整理するだけでも相当たいへんだったろうと思う。反対に面白くて中身のない本だったら、私の仕事にも役にたたないだろう。だから買って良かったとは思う。

このエリアに10年近く住む私ですら知らない、たくさんの気づきもあった。それをメモっておくと…

(1)北区は滝野川区と王子区では価値観が違うこと。
滝野川出身の津田さんと、王子区出身の小田島隆さんやひろゆきは全然違うということ(笑)それを知った。遅い?!

(2)観光地化してしまった赤羽より素晴らしいのは実は十条だということ。やばい。十条、全然行けてない。開拓しなくちゃ! ウチから歩いて徒歩20分くらい。もっと頻繁に行ってもいい場所だ。(自転車にも乗るけどあまり好きではないので、歩いて行きたい)

(3)飛鳥山は「山」ではなく「丘」だということ(これはなんとなく感じていたぞ)等々…

北区に関する面白い文章だったら、北区在住で北区愛にあふれるサムソン高橋さんが書いたらきっとすごい面白いものができると思うんだけどなぁ。どこかに優秀な編集者さん、いませんか?

それにしてもこの本、2軒ある赤羽の本屋で超平積みになっている。やっぱり北区民は北区愛が強いのだろうか。両店ともヘイト本を売りにするような下劣な本屋ではないとはいえ、品揃えはいまいちで、こういう点においては、西荻窪とかが羨ましく思うのだが。

とはいえ都内にいる間はここにしばらく住む予定だし、今年は残念ながらコロナ禍で流れちゃったけど、お世話になっているウチからバスで10分の位置にある北とぴあさんとの国際音楽祭も続けていきたいので、北区のことをもっと知らなくちゃと思う。そして企画書のネタにするんだ。だからこの本を買って良かったと思う。同じシリーズで江東区も買ってしまった。ただ最近、積読がひどいので読むのは当分先になりそうだ…