ユーロロックプレスの最新号に掲載されたケンソーの清水さんのインタビューを読んだ。がっつりした記事で、ロングインタビュー。かなりのヴォリュームだ。
そこに書かれていた文字「これがKENSOの終着点だと思ってもらって構わない」というキャッチコピー。すごい内容だ。このアルバムの収録やリリースまでにあったいろんなエピソードの赤裸々さといったら。
とにかくものすごいので、ぜひユーロロックプレスの最新号、手に入れてください。
読み終わって、妙にぐったりしてしまったこのインタビュー。いやーーー ケンソー。ケンソー!!!
ケンソーは清水さんのバンドだけど、私にとっては私のバンドでもあった。90年代になって、ケルト音楽が盛り上がってきたころ、「日本のアーティストは野崎さんはやらないんですか」と聞かれ「昔、プログレバンドのマネージャーやってました」と答えると、多くの人に驚かれた。
そう、私はケンソーのマネージャーだった。ちゃんとしたケンソーのライブをやりたい、ぎゅうぎゅうの汗だくになって聴くシルバーエレファントではなくて、ちゃんと広いところで演奏してもらいたい…そういう気持ちで初めて作ったライブが、ケンソーのON AIR WESTでの公演だった。
当時、私はライブハウスのブッキングの仕方もよくわかっていないド素人だったけど、すごいよね。好きなバンドのためならなんでもできた。なんとか会場をブッキングし、チケットはほぼソールドアウトだったと記憶している。
清水さんとこの長女リリカちゃんを抱っこし、奥様の純奈さんを先導し、最前列のキープしてある席に連れて行ったのが記憶にありありと残っている。あの時のリリカちゃんの身体の重さまで。そのリリカちゃんは、もう「ちゃん」とは呼べないほど大人になり当然私より背が高くなった。
そうやって、清水さんのライブでのあれこれを手伝っていたら、いつしかマネージャーと呼ばれるようになっていった。
一方やめた理由は明確で、ケンソー自体が大きくなってきてしまい、私が自分でやりたいこと以上に外部から話がくるようになってきたことが原因だ。
外部からオファーがある、メンバーはやりたいと言っている、じゃ、これ誰が仕切るの? マネージャーはお前だろ…的な構図が、私はまったくもってダメだった。
私はいつもバンドをプロデューサーとして見ていたい。どっちかというとバンドと対等でいたい。よくバンドに対する愛情を褒められるけど、私にとってはなんのことはない、自分のやりたいことをバンドの音楽を通じて実現させているだけだ。
そういう意味では、ほんとマネージャーには向かないんだよな。
でも私が偉かったのは、辞める時にもちゃんと後任を清水さんに紹介し、今や後任の太田さんの方がケンソーのマネージャー歴は長くなったことだ。太田さんは、今でも献身的に清水さんを支えている。
でも私も「あの」ケンソーをシルエレからオンエアーイーストまで持っていったのは自分だという自負がある。あの時の、自分でもびっくりするような自分の頑張りは、私の誇れる青春だ。
あ、やばい、また青春しちゃった!(笑)
清水さんの最新インタビューは、まさに私が知ってるケンソーそのものだった。清水さん、かなり赤裸々なことを話していると思う。これぜひ読んでほしい。そして思った、私のもう一つの青春もまたここで終わったんだな、と。
ケンソー、ライブはそれでももう一回くらいはあるんだろうか。前回のライブは、なんだか妙に楽しかった。あれは一人の音楽ファンとして見た、最初のケンソーだったかもしれない。
だってケンソーの初めてのライブはキングレコード時代の上司に連れられて行っただけだったから。
私のケンソーは最初からずっと仕事だったけど、そのかっこよさに仕事以上に思いいれてしまい、だからこそ、この前のライブはただのファンとして観て無条件で楽しく、終わったあと清水さんや健ちゃんに夢中で、「あそこがよかった、ここがよかった」と必死で訴えてしまったのだった。
ケンソー!!!(涙)
とにかく新作素晴らしいですからぜひ。新しい「氷島」とかめっちゃ泣けるよ。これがケンソーの到達点であり、終着点(のひとつ)なのだ。
新作『An Old Warrior Shook The Sun 老兵礼讃』好評発売中。ストリーミングでも聞けます。CDはここでも売っています。
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さぁ、私にとっては最後の青春?? じゃないけど、最後の一つ前の青春かもです。