いやーーー 面白かった。面白いというのは「興味深い」というよりも、実はリアルに「笑えた」。そういう本でした。
You Tubeの番組「ポリタス」に著者の小林さんが出ていて、津田さんが大受けしながら紹介されていたのに爆笑したのが、この本を知るきっかけとなった。
これ小林さん、狙って書いてるわけじゃないんだけど(いや、実はユーモアは大事とポリタスでも話してらした・下記にその動画、貼っておきます)、このするどすぎる分析、細かすぎる理屈、学者の論文みたいな先生口調…。それらが、逆に笑いを誘うのだ。小林さん、すごい。
例えば、序章の企業広告に対する分析の、目次のところを読んでいるだけでかなりおかしい。いったい広告の表現する「デキる男」とは、いったい誰か。
序章部分を読んでいて、例えば「データやグラフを指差している」とか、明らかに自分も見たことあるような広告パターンが紹介されているのだけれど、特に爆笑したのが、下の写真にあるこのページ。
「ただ、おじさんがいる」(笑)
ページをめくっていたら、いきなりこのタイトルなんだもの、爆笑しちゃうよね。やばすぎる。
繰り返します。「ただ、おじさんがいる」
ただ、いちゃだめなのか!!? ただ、いちゃ!?
小林さんが、この本を書くきっかけのひとつになったのは、自民党のこの「おじさんの詰め合わせ」画像だという。これを詰め合わせだと言った女性タレントのトラウデンさんという方、炎上していたけど、ホントこれがおじさんの詰め合わせでなくて、なんだというのだろう。
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出典はこちら https://www.jimin.jp/news/press/208882.html |
気持ち悪いよね…。いや、別にいいんですよ。別に。でも、社会の中で、偉いとされている人たちがこのセンスでいいと思っている、そこが私は怖くて仕方がない。
広告は、そんなふうに家父長制のマインドコントロールに満ちている、ということを私たちははっきり認識しないといけない。こんなポスターなんだもの、夫婦別姓も当然進まないよね。女性の地位が低い日本のままだよね。パリテなんて、進むわけがないよね?
それにしても、スーツ着て、同じような格好しているおじさんたちは、いったいなんなんだろう。私は、いや、マジで、本当に顔が覚えられないのだ。スーツおじさんたちの。
いや、逆に彼らの立場にたってみれば、おそらく女が一人で組織にも所属せず生きているというだけで、私はかなり謎の存在に見られているに違いないのだ。そして、最近気がついた。彼らは密かに私のことを怖がっている。
いや、わたし、怖くないですからっっ!!(汗)わたし、こんなに優しくて(自分が興味を持ってることだけだけど)面倒見がよく、親切なのにっっ!!!
私のことをリアルに知っている皆さん、ぜひ激しく同意してください(笑)
他にも「バカとエロの大縄跳び」というところにも大爆笑。こちらは、膝を打つしかなかった。本当に…。本当に、なんというか…。男の人って、本当に…(以下、自粛)
いや、でもこんなに家父長制が広告を覆ってしまっていては、女性はまぁ無視すればいいだけだからいいけれど(良くないけれど)、男性はさぞ息苦しいだろうなと心から同情する。
強くないといけない男性。スーツ着てないといけない男性。高層ビルを背負ってないといけない男性。データやグラフを指さしていないといけない男性。そして年とっても性欲抜群じゃないといけない男性…。
著者の小林さんのするどい分析は選挙ポスターなどにも及ぶ。国民民主や参政党があんなに選挙がうまい理由も、ここには明確に分析されている。あの写真の角度、服装、ポーズ、すべてが本当によく計算されつくしているよ、と。そしてあのゴシック体の煽り文字。あれは維新が始めたことだそうなのだが…
それを考えると、そんな風に、家父長制を振りかざしているだけの連中は、何にも怖くない、とも言える。次にグラフを指差す男性を見たら、缶コーヒーを飲む男性を見たら思えばいい。「あぁ、またやってんな」と。
これは私たち女性からの中高年男性への冷ややかな「まなざし」なのである。普段、男性が女性を品定めしているのと同じように!
というわけで、これから広告業界、そして政治家でも、エンタメ業界でも、人の共感を得ないとなりたたない商売を営む人であれば、これは、ぜひ読んでおいて損はない一冊だと思う。
でもほんと男性は、なぜ「強さ」を演出することに夢中になっているのだろう。それを捨てたら、結構世の中、生きやすくなると思うんだけどな。
ポリタス、普段の番組は1週間経つと会員のみになっちゃうんだけど、本の宣伝のためか、かなり前に公開になったこの動画をまだ公開していたので、ここに貼り付けておきます。
小林さんの作ったパワポもすごく面白いですよ。津田さんも「居心地が悪いなー」と思いながら読んだと話しているけれど、なんだか楽しそうである。ふふふ、いいよね。
そう、男性も女性も肩の力を抜いていくのがいいよ。強がらなくていい。この本は棚本屋で売らずに、うちのプラチナ本の棚へ無事に収納されました。この先、何度でも読み返したい。
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