昨日は頑張った〜。勝利のローストビーフサラダ |
昨日は歴史に残るすごいことがあって、すごい1日だった。あまりのことに頭が整理できず、仕事帰りに銭湯に寄ったものの…失敗。
そうだった、銭湯は地上波テレビの聖地なのであった。
いつも行く十条のナイスな銭湯&サウナの中で、ショッキングな映像を聞きながら(目は背けることはできるが、耳には耳栓をいれないかぎり入ってくる)、なるべく聞き流すように聞き流すようにと努力した。
かえって疲れたよ。
昨日は今、プロモーションをお手伝いしている日向敏文さんの取材日で、終日レコード会社の会議室にこもって媒体の人たちの質問を受ける日向さんのカバン持ち。
まぁ、私は単にレコ社の人たちが用意してくれるお菓子をボリボリ食べていたのであったのだが…(面倒をみてくれたソニーの皆さん、ありがとう!)
あのニュースを知ったのは、そのちょっと前に六本木に行き、いつも行く六一のお寿司やさんのカウンターで、これまた日向さん推薦のリリアン・ヘルマンを読みつつお昼のお任せをたいらげ(めっちゃかっこいいな、オレ! 仕事できる感じ!)
寿司屋を出て、まだ時間が早いからどっかでお茶でもするか…とTully'sに入った時だった。
Twitter開いて、驚愕。いや、これは大変なことになった。今日の取材は新聞社もある。おいおい、大丈夫か…
いくつかRTしつつ、「いかなる暴力にも反対」とかツイートして、その後は、なかば頭がぼーっとしたままレコ社に行く坂道を歩く。
こんな日に取材に集中できるのかと一瞬心配したけれど、実際取材がはじまってみればたいしたもので、私の頭の中からこのニュースはすっかり消えていた。
良かった、今日が仕事がある日で。
これが一人で事務所仕事している日だったら、受け止めきれなかったよ。
仕事があるって本当にありがたい。仕事こそが私の大切な日常だ。どちらの媒体さんの質問もとてもよく、日向さんも真摯に答えてらして、これは良い記事になるのではないかと期待が膨らむ。
でも帰宅する道すがら、やっぱり考えることがなくなると、あのニュースがチラチラと頭を横切るのだった。
それにしてもここ数日、なんか怒涛の流れだった。安倍さんのニュースで、音楽業界4団体のことは… いや安倍さんのニュースがなくても…吹っ飛んでしまったけれど、なんかここ数日の出来事は、今、プロモーションしている日向さんの音楽も含め、なんだかいろんなことを考えるきっかけになった。
来た!【会見レポート】音楽業界4団体による特定候補の支持表明に音楽関係者たちが抗議声明、何が問題なのかを発起人が解説 https://t.co/znFJAhzuJv
— 野崎洋子 (@mplantyoko) July 7, 2022
しつこく書いておくけれど、日向敏文さんの音楽は、今、配信で大変な騒ぎになっている。話題の「Reflections」。86年に作られた日向さんのこの曲が、なんと配信で現在ものすごい数字を叩き出しているのだ。なんというか、配信だから国境もなければ、時間も関係ないのだ…
とはいえ、すごいよね。4,600万再生。
でもわかるよ。だって、こんなにひどい時代なんだから。こういう静かな曲が聴きたくなるよね。
しかし…暗い。本当に暗い。(日向さん、ごめんなさい!)
しかもYou Tubeとかで検索すると「Refecitions 1 hour(!)」みたいな自作動画も大量に出てくる。そしてそれがどれも脅威的な再生回数を記録しているのだ。まぁ、「Reflections」の場合「弾いてみました」動画も異様に多いのだけど…
すごいな。みんな狂ったようにこの音楽を聴いているんだ。そしてなんとかこの音楽に自分を救ってもらおうと必死なのだ。
なんか…いたたまれない気持ちになる。若い人はこんなに絶望しているのか…って。
そして配信ってすごいな、とも思った。リスナーは向こうから探しに来てくれる(まぁ多少プラットフォームのレコメンもあるだろうが)。
そしてCDの場合、買うのは1とカウントされるだけだけど、配信では同じ人でも何度も聞けばそれだけ数が積み重なる。
加えて、この音楽を宣伝している身からすれば、ある意味「楽」だ。だって配信だったら、音楽のために新たにお財布を開かなくていいんだからね。サブスクリプションの定額の中で、ただ、このアルバムやこの曲にアクセスしてくださいって言えばいいだけなんだから。
そもそも商業音楽において、音楽を音楽家からリスナーに届けるまで、間に入っている人たちが今まで多すぎたのかもしれない。
特にそれが、妙にこの間の音楽業界4団体の(特に音制連のありえない)動きとシンクロしてくる。
これから音楽業界で働くものは、リスナーのため、もしくは音楽家のため… どちらかにしっかり着いていないと生き残っていけないだろう。そういう「存在意義」がなくて、文化が生み出される中で利益を得ることは今後一切不可能なのである。
そういうめっちゃ当たり前のことが、今、実現されるようになったのだ。これは良いことなのかもしれない。いや、間違いなく良いことだろう。
確かに賛否両論あるのは承知だ。山下達郎さんの最近の発言にも「なるほどね」と思うこともある。山下さんみたいに(こちらがOKすれば)メディアにいくらでも出演できて宣伝できて、タイアップが大量に取れれば、それはそれで正解なのかもしれない。
確かに配信では利益は出ない。でも、それはCDがたくさん売れる勝者の論理だ。今、私たちまさに選挙やってるけど、ちょっとそれにこの件を置き換えて考えてみない?
そして、そういう私も! ちょっと世間のメインストリームから外れた変わった音楽を紹介することで、リベラルを気取っていたけれど、結局は音楽業界の古いシステムにとらわれた超保守業界人間だったのではないか、と思えてきたのだった。
CDは売れない。これは困る。でもそれは勝者の言い分だ。でも今、リスナーの皆さんはなんでもたくさんいろんな音楽が聞けてとても喜んでいる。
また(売れない)音楽家たちも自分たちの音楽が聴いてもらえる、と喜んでいる。そこになんの不満があるというのだろう。
確かにCDが売れてた時は確かに良かった。利益がたくさん出たら、間に何人も人が入っていて、それが業界全体をささえていた。
特にウチは私が自宅でずっと一人で人も雇わずやってきたから、個人事業にしては利益がとても出ていた。とうにバブルは終わっていたし、バブルの最中にこれ初めてリャ、もっと儲かっただろうなと思ったことも何度もあったけど、それを差し引いても本当に利益が出ていた。
そして、出た利益をほとんどをつぎ込んで私は赤字のプロモーション・ツアーを何度も作った。
そのうち、CDは売れなくなったけれど、あの頃の大赤字ツアーを作っていなかったら、今の私はなかったと思う。
でもあの頃は、私だけではなく、CDを売っているお店、ディストリビューター、みんながそれによって利益を得ていた。
その利益で高い車や不動産やゴルフの会員権を手に入れたりした人もいる。私みたいにライブ事業に移行することができた者もいるだろう。
あまり意識はしていなかったが、自分がそんな風に生き残ってこれたことに、あらためて驚かざるを得ない。
でもそんなCD主体のビジネスモデルは、たくさん売れる人側の論理なのだ。売れない音楽をやっている人間にとっては聴いてもらえるだけでも、とてもありがたいわけで、それを良しと捉えないで、この多様性の時代にどうする? いいのか、音楽業界?_
少なくとも今、世界中のすべての音楽に、ほぼ同じくらいチャンスはあるということなのだ。国、時代、関係なく。
加えてリスナーとアーティストが直接つながることができる時代に、私たちや音楽業界で働く人間の存在意義ってなんなんだろう、と思う。
もしかしたら…いや、ほぼ間違いなく、私も前の時代の残骸なのであった。でも、それでいいじゃないか。やりたいことはほぼやった。これからは次の世代を応援していかないといけないのだ。
そんな重要なことに目覚めた夏。本当は夏は来年、再来年の企画を練ったり、プランニングをしたりする時期なのだが、日向さんの新作に心が奪われ、どうも進まない(笑)。
実は秋…というか、11月終わりに、とある新プロジェクトを発表する予定だ。それはちょっと変わった新しい企画で、この時代に活躍するミュージシャンの人たちの応援になる…かもしれない?
なんにせよ、音楽家の人たちのそばにいれば、私も生き残っていけるのかなと思ったりするのだった。そんな風に誰かを応援できる自分でなければ、私の存在価値もない。
世の中よくするため、次の世代のため、投票しましょう〜 私はすでに期日前投票で完了してます。
75年前、初めて投票した女性たちに聞いてみた | NHK | WEB特集 https://t.co/055WhsKWvW
— 野崎洋子 (@mplantyoko) July 7, 2022
【#日向敏文】
— otonano(ソニー・ミュージック公式) (@otonanoenta) June 1, 2022
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2009年以来となる
オリジナル・ニューアルバム💿
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「#Reflections」のサブスクでの世界的大ヒットにより、国内外で改めて注目が集まっている日向敏文の新作『Angels in Dystopia Nocturnes & Preludes』が7月27日に発売決定🛒
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