明日の #ETV特集 は「命と向き合った日々」
— NHK「ETV特集」公式 (@nhk_Etoku) July 4, 2024
引き裂かれるような思いで葛藤し続けた、ある夫婦の詳細な映像記録がある。始まりは、妻が妊娠3か月の頃。妊婦健診で障害児の可能性を指摘され、#出生前検査 を受けた。検査が社会に広がる中で揺れ動く夫婦の姿が映し出すものとは…。
6(土)夜11時 #Eテレ pic.twitter.com/LOWKHINhXv
ものすごい感動した。すごいドキュメンタリーでした。昨晩放送になったETV特集『命と向き合った日々』。
ETV特集、すごいんだ。先週の『死亡退院 さらなる闇』(U-nextへのリンク)もすごかったけど、今週の放送もすごかった。
制作はダウン症を持っている人たちを長年取り続けているセイビン映像研究所。この夫婦にも長い時間(5年間くらい?)をかけて寄り添い、その悩みと葛藤の日々に伴走してきた。
ナレーションは長年こういった人たちを取材してきた松田ディレクターが自ら行い、説得力がすごい。昨日今日ダウン症の人に関わったという人ではない。伝える力が違う。
ちょっと前に放送になったおなじくETVの「おうちへ帰ろう 障害のある赤ちゃんの特別養子縁組」(U-nextへのリンク)も、セイビンさん制作だ。こちらもめちゃくちゃ素晴らしいドキュメンタリーだったので、ぜひ見られる人は見てほしいと思う。
っていうか、どれも「すごい」とか「めちゃくちゃ素晴らしい」とか安直な言葉では語りつくせない。番組を見て、いろんなことを考えさせられたドキュメンタリーなのだ。
出生前の検査で、赤ちゃんに障害があることがわかったご夫婦。どうするべきか迷い、しかしその迷う姿を記録してほしいということで、セイビンさんにアプローチがあったのだという。旦那さんは報道関係の仕事をしている人で、伝える力を、伝わる力を信じている。だから決断したのだろう。そこも本当に素晴らしいと思った。
私は昨晩はイベント終わりで、死ぬほど疲れてバタンキューしてしまったので、リアルタイムで放送は見れなかったのだけど、今朝NHK-Plusでこの番組を見て、もうボロボロに泣けてしまった。
私は番組が始まったところから、どちらかというと旦那さんの方に感情移入して見ていた。これは絶対に産むべきだろう、と私は割と最初から思っていた。命をさずかったのだから。ここで命を途絶えさせてしまうのは、あまりにも辛すぎるし、そうすることで、あとのあとまで家族に影を落としてしまうのではないか、と。
が、ダウン症を持っている人は合併症を発することも多く、生まれた赤ん坊もそこから大変な人生が待っていることは覚悟しないといけない。
出生前検査で障害がわかると70%以上の夫婦が赤ちゃんを諦めているのが現状ということらしい。それもものすごく理解できる。
だから、奥さんの気持ちも痛いほどわかる。そもそも自分だって障害のある人に街であった時、どう対応すればいいのか、どういう振る舞いがベストなのかわからないままでいたりする。
それなのに「命をさずかったんだから産むべき」と勝手に思ってしまう。これは私の中の矛盾だ。私も未熟な人間だ。
でも障害がある人たちとの共存社会はそれこそ「慣れ」に尽きると思う。車椅子の友人が友達にいれば、盲目の友達が友人にいれば、そういう人に街で出会ってもどうサポートしたらいいのかわかる。用は「慣れ」なんだ、と私は思う。
だからそういう人たちがどんどん街へ出てほしい。そしていろんな人と接触を持ってほしいと思う。それがどんなに大変なことか、想像もできないのだけれど。
でもその結果、多くの人が「慣れ」てしまえば、障害がある子供が生まれてきても、ある程度は社会が対応できるようになるのではないか、とも思う。甘いかな?
Twitterでちょっと感想を検索したら「小学校の時、クラスメイトにいたなぁ、みんな仲良くしてたなぁ」という言葉を見つけ、気持ちがあったかくなった。
こういったご夫婦の悩みを聞くNPOもあるようだし、なにより経験者の言葉は勇気をもたらす。こういうネットワークがあるのは、本当に素晴らしいなと思った。
でも、それも微妙で、癌患者のアドバイスと一緒で、例えばいったん癌から生還しちゃうと、それはそれで武勇伝になっちゃうから、そこにも注意が必要だ。誰もが強く戦えるわけではない。それはもちろんそうだ。
でも誰かが誰かのことをサポートしたいと思っている。そこに人間の強さがあるのは、ホモサピエンスの歴史が語っているではないか。
旦那さんが赤ちゃんを触って「あったかい」と言ったところで、流れるピアノがめちゃくちゃ良かった。あそこにすべてが集約されているように思った。音楽はもちろんセイビンのドキュメンタリーではお馴染みの日向敏文さん。登場人物に寄り添うようなピアノが本当に素晴らしい。絶対に視聴者の感情を邪魔しない。そこが素晴らしい。
そして、その「あったかい」感じ。命のあったかさ。血が流れているということが、命であり、つまりそれが、生きているということなのだとも思った。同時に、そこには「人権」がないといけない。
生きているということは何よりもすごい。そう思える社会を作れるよう、日々努力していくしかない。今日はみなさん選挙に行ってください、と思う。本当に良い番組だった。
今はNHK-Plusで見れる他、再放送がNHK地上波で11日、午前0時から1時までの間あるようです。ぜひ。