Caoimhín Ó Raghallaighって誰? その6  それぞれのデュオ・プロジェクト

前回からの続き。マクマホン師匠に出会ったクィヴィーンは、真の音楽とは何か追求をしていきます。

「僕は常にソロ演奏家こそがアイルランド伝統音楽の最高の形と考えてきましたが、デュオで演奏することもとても好きです。トニー・マクマホンは、ミュージシャンが一緒に演奏する時には、真の『心の交流』がなければならないと主張していました」

「僕は人生を通じて、多くのミュージシャンと、そんな心の交流を経験できたことは、本当に幸運だったと考えています」

「音楽を演奏しない人にこの感覚を説明することは、難しい。ちょっと抽象的になっちゃうかもしれませんが、 でも例えば、友達と最も素晴らしい会話をした時のことを思い出してみてほしいんです」

「他の人と何時間も何時間も話し続け、 夜中まで、あるいは朝まで話し続けるような会話。そういった会話を想像してみてください」


With Mick O'Brien


「僕はミック・オブライエンと、ほぼ25年間 一緒に演奏してきました。今は、以前より、さらに彼との心の交流を楽しんでいます」

「僕たちは 現在3枚目のアルバムのための素材を制作中です。まだリリースなどは決まっていません」

「フィドルとイーリアン・パイプスの組み合わせです。特に『フラット』パイプの温かく豊かで まろやかな音色が特徴で、 僕たちが演奏する音楽は極めて伝統的なアイルランド音楽であり、それ自体が、すでにそれだけの存在で完成されたものです」

 

 


With Dan Trueman


 「私のもう一人のコラボレーターはダン・トゥルーマンで、彼と共に10弦のハルダンゲル・ダモーレで、新しい音楽を創作しています」

「現在彼とも3枚目のアルバムの素材制作に取り組んでいますが、私たちが 創作する音楽は全く異なるもので、伝統的な音楽では決してありません。 でも何かとても新しいもので、非常に美しいものだと思います」

「ダンは恐ろしいほど の頭脳を持っています。キーボード楽器に興味があるなら、 彼の楽器をチェックしてみてください。また、作曲作品については 『manyarrowsmusic.com』というサイトで、作品について詳細な記事を書いています」

「『Midden Find』という曲が聴けますが、これは彼が私のために書いた非常に クールな作品で、ニューヨークを拠点とする現代クラシック アンサンブルContemporaneousのためのものです」

「彼は本当に興味の尽きない素晴らしい コラボレーションのパートナーです。 ダンと働く際は、通常は非常に細部までこだわり、多くのことを詳細に詰めていくんですが、それでも演奏には多くの自由度があり 、作曲自体は通常非常に意図的で洗練された作業です」

 
 



With Thomas Bartlett


「トーマス・バートレットとは正反対で、彼とはただただ演奏し、即興し、美しさと混沌を捉えるだけです。 これは 全く異なる作業方法ですが、僕としてはどちらの方法も快適に感じています」


「僕は 数十年前から、他の人が作ったレコードで最も愛するべきものは、いわゆるミスや不完全さであることに気づきました。 僕はその考えを自分の世界観に取り込み、常にミスや不完全さを抱きしめ、 コントロールしようとする心を手放し、偶然の余地を受け止めることを心がけています」

「偶然について話すと、幼少期にジョー・ドイルという先生からイーリアン・パイプスを学びました。ジョーからは、偉大な奏者たちのカセットテープをたくさんもらいました」
 
「ウィリー・クランシーのヴァージョン、シェイマス・エニス、 パッツィ・トゥーヒー、ジョニー・ドーラン、リアム・オ・フリン、パディ・ キーナンなど、すべての演奏家のヴァージョンが収録されたカセットテープです」

「これらの楽曲を正しく演奏する方法とは?と自問しても、自分の答えを出すことは不可能でした」 

「楽曲とは。すべての異なるヴァージョンを生み出す根本的かつ論理的な構造なのであり、 ミュージシャンとしての自分の役割は、その曲のあらゆる瞬間において無限の可能性を認識することだと考えるようになりました」

「毎回演奏するたびに、僕らはそれらの可能性の中に存在する異なった道を進んでいきます」

「木をコピーしたいなら、 3Dプリンターでコピーするのではなく、種を植えるんです。そして、木は土壌、雑草、天候によって、毎回異なるように成長していきます」

「とはいえ同時に僕は曲に執着するミュージシャンではありません。僕にとっては、曲以外の、別の何かの存在の方が、さらに興味深いものなんです」

「50年前、100年前のアイルランドの音楽の録音に立ち帰ると、僕が探求したいと思っているそれらの価値を発見することができます」

「音色には隠れた情報がエンコードされていると思います。 息の混じった不完全な音色、ヴァイオリンやフルート、歌声の中にそれらが存在しています」

「音楽の世界には複数の魅力的な次元があり、単一の音符の中に世界のすべてが詰まっています」

「音楽の目的も異なります。僕は多くのミュージシャンが『演奏』していたのではなかったと考えます。 音楽を外へ押し出そうとしているのではなかったのだ、と」

「むしろ、録音は彼らの内面への窓であり、非常に繊細で個人的な場所の共有なんです。それは時には祖母が小さな孫のために歌うような感覚です。小さく、 美しく、愛情と思いやりに満ち、豊かさと現実感に溢れている…そんな世界なんです」

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THE MUSIC PLANT、次の主催公演はこちらです。

Caoimhín Ó Raghallaigh クイヴィーン・オ・ライラwith 黒木千波留

7月24日(木)南青山曼荼羅19:00開演 
¥6,000(+ドリンクオーダー) 
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作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。
6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリース。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中

 

民音さん主催でゴサードシスターズの来日ツアーもあります。詳細は特設ページへ。


ポール・ブレイディが12月にケルティック・クリスマスで来日します。詳細はこちらへ。


2年前にレコーディングした無印良品BGM29 スコットランド編がやっと公開になりました。良かったら、聞いてください。プロデュースはLAUのエイダン・オルークにやってもらいました。現在無印良品の店頭で聞くことができます。