自分があまり好きではない政治家が首相になって、いろいろ思うところがある。
日本で一番インテリだと思われている新聞までもが彼女のファッションを新聞記事にする。女性だから?
でも、みんな意外に忘れてるけど、あの新聞はそういう新聞だ。いつだったか女性なら目を背けたくなるような一面広告を平気で掲載していたじゃないか。女性の読者も多いだろうに。
新聞は書く「初の女性首相」。女性首相ってなに? 男性首相って言葉があるんだろうか。政策が良いと思われない人が首相になって、嬉しいわけないじゃないか。
一方で、新首相が持っているクラシックなスタイルの皮鞄が売れているそうで、それを誇らしげに紹介している真面目そうな鞄屋さんのツイートに絡んでいる匿名アカウトを見つけてしまい、ちょっとげんなりする。
彼女が嫌いなのはわかるけど(私もそうだし)、でも周辺の人たちにまで文句を言うのは失礼じゃないかしら?…と。しかも匿名で。みんなちょっと落ち着こうよ。
あいかわらずTwitterが大好きな私。イーロンがオーナーでもやっぱりやめられない。
でも実名でTwitterをやっている人は、匿名の連中からしたら、みんながリラックスしているプールサイドをスーツ着て歩いていると同じなんだって。これは北区が生んだ最高の言論人:故・小田嶋隆さんの弁。
本当に小田嶋さんが懐かしい。今、小田嶋さんがTwitterにいてくれたら…
本当に、私も人のことは言えない。自分の言動も大きく反省する。アメリカでは民主党がとても嫌われているというポッドキャストを聞いて落ち込む。日本も同じ状態だろうと想像する。でも、それは理解できる。そう、私たちは恵まれている。そして嫌われているのだ。
自分は決して恵まれているとは思わないが、一応世間的には問題のない家庭に育ち、大学にも何の疑問もなく行かせてもらった。4大以外のチョイスは私にはなかったし、就職して自立するのが当然と思っていた。
男と給料違うなんて、最近まで知らなかったよ。特に同じオフィスにいた、あのXX男性よりも給料が低かったとしたら、本当に頭にくる。でも、それでも私は結婚したくなかったらしなくていい、好きに自由に生きてていい。そういう選べる立場に立ってきた。恵まれた環境。
そして怖くなる。新首相の中に自分に似ている部分を見つけては震え上がる。私もあんな性格になっていてもおかしくない。いや、人から見れば、あぁいう性格かもしれない。
なにせ、私も働いて、働いて、働いてきたから。ブログは25年、ほぼ休みなく書いているので、ここを昔から読んでいる人は知ってるだろう。そう、私は努力しないやつが大嫌いだった。今でもそうかもしれない。
あっちもこっちも分断ばかりでいやになる。
私も自分のリアル友人は、ほとんど自分と同じ考えだと思ってきたが、その考えを改めないといけない。一度知ってしまうと、もう彼らとは、今までと同じ気持ちでは接することはできないかもな、と思う。
でも、そんなもんだよ。家族でもないんだし。いや、家族だって考え方は違うことがたくさんある。それでもみんな我慢して一緒に暮らしているのだろうか。
…と、わかっているつもりでいても、先日も、とある、ずっといいなと思ってた女優さんが参政党のファンだと知って、がっかりしてしまう。
でもしょうがないよ。彼女の作品が好きでも、それとこれとは別だもの…と頭では理解しているのだけど、でも、もう以前と同じ視線で彼女の作品を見ることはできない。
そして、それがいざリアルな友人におこると、やっぱり自分とまったく同じ考えでいてほしいと願う自分がいる。寛容性が働かない。「他人なんだし、しょうがないよ」とは思えない。
でもそれは友達が多すぎるせいだ、とどっかのメディアで読んだ。確かにそうかもしれない。
とはいえ、今の今までワールドミュージック界隈と呼ばれる仲間は、自分と考えが違うことなど滅多になかった。911が起こった時、原発が爆発した時、みんなと集まれば、ほっとした。そんなぬるま湯の中で自分はぬくぬくと生きてきたのかもしれない。
でも「みんな」って誰?
最近よく話題になっているけど、私個人の考えとしては、やっぱり自分の友達や、自分の好きなアーティストには自分と近い考えでいてほしいなと思う。それは分けては考えられない。
特に芸術関係は。
それがシンガーでもソングライターでも、音楽家でも作家でも、画家でも彫刻家でも、映画人でも、それらはすべて職業=経済活動である前に表現活動なのだから。
その人の音楽や表現が好きだとしたら、心の中も一緒だと信じたいのは当然のことじゃないのか? いつだったか、松尾潔さんが、好きなアーティストに興味を持っていろいろ聞いてみるのは、自然なことじゃないのか?と話されていた。本当にそうだ。松尾さんに同意する。
一方で、それが炎上したことを受けて(炎上というほどのことではなかったと思うけど、ご本人からしたら大変だったと思う)、津田大介さんが「ファン=消費者なんでしょうね」と説明していた。さすがの分析だ。なるほど、そうかもしれない。
自分の好きなアーティストは、こうあってほしい、と自分の考えを押し付けてしまう。「黙って音楽だけやっていろ」と言ってしまう。もしくは「お前はなんで黙っているのか」と言ってしまう。
あなたが感想を自由に伝えるのと同じくらい、彼らもまた自由な表現者だということをみんな忘れている。彼らには、それを表現する自由も、黙っている自由もある。
★
ポール・ブレイディの「BLUE WORLD」は、大好きな曲。ポールはよくメロディの方が評価されるんだけど、私は歌詞も大好きだ。これは、北と南の確執が高まっていた時期、ポールが書いた曲。
当時、アイルランドのソングライターやシンガー、そしてありとあらゆる表現者は、おまえは一体どっち側につくんだよというプレッシャーにさらされていた。そのことを言っているのだと思う。
歌詞がいいんだよね。すごい完成度だと思う。っていうか、これ91年の歌なんだけど、今、聴くと、まるで今現在のことを歌ってるみたい。
アーティストが政治的な発言をするとかしないとか、あぁ言ったからこうだとか。言わないからあぁだとか。そんなことは知ったこっちゃない。自分は自分自身でしかいられない、お前の代弁をする気はないよ、とポールは歌う。かっこいい。
----------------------
ほら、また始まった
「世界は青い」と君は言い出す
僕が「それには賛成しないね」と言えば
「世界は赤だ」と君は言うのか
目を開けてよく見てみれば
世界なんていろんな色
青は君の心の問題かもしれないよ
そんな君の青い世界は
僕の世界とは違うもの
君の思うような絵は描きたくない
君の悲しみを歌うために僕は歌っているのではない
君のヒーローになっている時間もない
君の詩人になるつもりもない
君が必要とする誰かになろうとは思わない
だって僕は自分自身でしかいられないのだから
僕自身でしか
ライブもかっこいい
まぁ、もう来日も最後かもしれないし、この曲、リクエストしてみようかな。
…とか書いてたら、マブダニ!!! やった! さすがニューヨーク!!
そしてポールの公演も、もうすぐ。今週末はこんなイベントやってます。入場無料だけど、パブだから飲食代は払ってね。
そしてポールのソロ公演については、よかったら入場整理番号4番から10番の手売りチケット、私持ってますので、会場で私から買ってください。現金のみ。(すみませんね、PAYなんとかとかやってないの…)
★
今度の北とぴあ「音楽と本祭」第2回のテーマは、佐野史郎さんと山本恭司さんの小泉八雲の朗読公演です。2007年から続いてるこのプロジェクト。佐野さんによれば、これは「バンド」だそう。そして、八雲のひ孫、小泉凡先生の講演もあり。
◎野崎は、現在作曲家:日向敏文さんのマネジメントおよび宣伝をお手伝いしております。
6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリース。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中。





.jpg)