チェット・ベーカー『Let's Get Lost 4Kレストア』を見ました。立川直樹 × 山下泰司 × オノ セイゲントークイベント付

 


実はまったく予定してなかったのですが、ちょっとしたきっかけで『Let's Get Lost』を見ました!

ある終日営業が入っていた日。オノ セイゲンさんがこの映画の上映のことをTwitterで告知してらしたので、それに惹かれてスルスルと行ってきました。雨の池袋。

いやー チェット・ベーカーとかいって、まったくよく分かってなかったのですが、かっこいいですね〜 特に若い頃。ビジュアルがとにかく良いし、音楽もロマンチックだけど押し付けがましくなくひたすら心地よい。

そして、とにかくモテモテ(笑)。女の人をいつも侍らせている。しわしわのおじいちゃんになった時も。…と思ったら、58歳で亡くなってるから、今のわたしよりも若いんだよね!? 老けすぎじゃないか?

でも、それにしても本作は素敵なドキュメンタリーで、なんて説明したらいいのかなぁ。モノクロで映像の感じといい隅々まで美意識が行き渡っている感じで、すごくいい。

と思ったら、監督は映画ではなく写真家だという。ブルース・ウェーバー。いわゆるカルバン・クラインやラルフ・ローレンみたいなトップブランドの広告撮ってるような人。そういう人だから、なんというかスタイルがある。ある種、強い美意識が貫かれている作品。

でも近寄りがたい感じはまったくせず。ただただうっとり見られる感じ。それはチェットにいつも抱きついている女性たちみたいな。優しい感じ。それは監督がゲイだから? よくわからない。でもこの映画が好きだ。

そして、上映後のトークがすごく面白かったので少しだけレポートさせてください。登壇されたのは立川直樹さん(プロデューサー/音楽評論家)、山下泰司さん (Blu-ray/DVD製作者)、そしてオノ セイゲンさん(マスタリング・エンジニア) 。

ちなみに外で話しちゃ(ブログに書いては)いけないことも盛りだくさんでしたが、すごく面白かった。チェット・ベーカーのこと知らないわたしでも楽しめました。

セイゲンさんのチューニングによるこの「オーディオルーム」シリーズ。スピーカーもそうだけど、実は映画館の部屋の「鳴り」も重要なんだそうです。今の映画館ってもっと音はデットなんだって。確かに! 新文芸坐は確かに音が良いだけではなく、すごく柔らかい。この映画、というか、チェット・ベーカーの音楽にあっている!

で、このチェット・ベーカーのドキュメンタリー。公開当時は確かシネマライズでやってたそうで、本当によい作品で、見るたびに新しい発見がある、と。

モノクロでリバーサルフィルムから4Kを起こした。あと目立たないけどレッチリのフリーも登場しているらしい。

ちょっとヌーベルバーグっぽいところがある。優しさ、ナチュラルさが出てる。チェットのパフォーマンスは晩年は鼻声ではあるもののピッチはとても正確だし、ペットのフレージングも外さない。破天荒に見えて、実はとてもちゃんとしている。

音楽で冒険や実験はしないタイプ。うまく弾きたいとか、そういうのがない。ただただひたすらに「もてたい」(笑)「向上心のない音楽」(笑)

「俺にはもういいや」と思っている。あまり深く考えていない(笑)

映画では、シーンの並べ方:過去、若い頃、晩年などがすごくよく考えられていて、それぞれの使い方、選曲のセンス、インタビューの差し込み方など、すごく良くできている。

あえて音楽がいかにすごかったかということは無視して、どれだけ本人が「くそ野郎」(わたしが言ったのではありません)かいうのにフォーカスしているのが良い。実際、彼はめちゃくちゃ愛すべき人だった、と。

特に最後のカンヌのシーンは印象的で、正直みんな聞いていないんだけど、あの気だるい感じがすごく良い。「Almost Blue」というエルビス・コステロの曲を演奏。(このシーン、トレイラーにも出てきます)

それにしても良いドキュメンタリーだった。セイゲンさん、立川さん、山下さん、ありがとうございました。もちろん、司会を務めた新文芸坐花俟支配人もおつかれさまでした!

まだこのドキュメンタリーの「オーディオルーム」での上映は、今月の8、9日にもあります。詳細はこちらへ




  

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