佐々木俊尚さん『Web3とメタバースは人間を自由にするか』を読んで、頭の中を整理しよう。

 



ブックレビューがたまってますので、次々行きます。

佐々木俊尚さんの新刊。私は佐々木さんの本はほとんど読んでいる。そして、毎回感動するのは、結構佐々木さんの未来予測があたっていることなのだ。すごいよなぁ。

それにしてもWeb3とかいって、私も最近はめっきりついていけていない。私も若い頃、30代から40代くらいまでは、なんでも「新しもの好き」だった。そうしてSNSはかろうじてついていけたものの、クラウドあたりからパーソナル・コンピューティングのあれこれについていけなくなり、今やいわゆる昭和生まれのインターネット老人。まったくひどい状態だ。

特にどうしようもないのが、デスクトップと、クラウドにあるものと、すべてはぐっちゃぐちゃのぐっちゃぐちゃ。アプリやシステム関係やらが更新され、無理やりクラウドさせられるものと、自分でやらないとクラウド化されないものが、ごっちゃごちゃなのである。

今年のお正月もそれをなんとかしなくちゃと思いつつ、経理やってたら、あっという間に終わってしまった。

ブログも20年近く同じ形式で、Instagramにはどうもついていけず、動画チャンネルもいじってみたもののすぐ飽きてしまい、今やイーロン・マスクに買収されてお先真っ暗のTwitterが一番好き…という絶望。あぁ。

メタバースやら、トークンエコノミーやら、DXやら、何やら、正直全くわからないし、何度かググって調べて「なるほど」と納得しても、5秒後にはすぐ忘れちゃう(笑)。

っていうか、忘れたらまたググればいいと思っているから、知識が全く定着しない。

DXもなにも、そもそも自分の新しい企画を作る時も、前の同じアーティストでの企画の動員記録や売上などはほとんどチェックしない。それは見ちゃうと慎重になりすぎちゃって何もできないからだ。

それより、直感的に前はこういう手応えだったから、今度はこれで行けるみたいな自分の感覚を信じて、続けていくだけだ。

だから事業的には、うちのツアーは成功した経験がほとんどない(笑)。結局、事業ではなく私が持ってくるギャラ仕事で運営されているTHE MUSIC PLANT…  ダメだよなぁ。

が、反対に「知らない」「忘れる」「覚えない」というのは武器にもなるもんで、毎回ちっとも学ばないものだから、バカな企画をいつまでも続けていける。だから、まぁ、楽しいは楽しい(自爆)。懲りない性格(爆・爆)。

話がそれた。

そんな高笑いはいいにしても、最近のDXも、Web3も、何もかも理解できない原因は自分でもわかる。そりゃそうだわな、だって自分が使って失敗したりしてないんだもの。覚えるわけがない。

上手くいったり失敗したり、そういう経験すらしないで、そんなことを覚えようったって、無理な話だって。

例えばTwitterのことを説明せよと言われて、Twitterをやった経験がない人が、Twitterをきちんと説明するのは至難のわざである。一方で、Twitterを使ったことさえあれば、それを言語で説明できなくても直感的にスイスイ使えて、その世界に入ることは可能なのだ。

とはいえコンピューターが、スティーブや、ビル・ゲイツのおかげで個人のレベルに降りてきて、割と早くからアダプトできていた私は、自分の事業開始当初、「人より早く始める」と言った理由で、かなりの恩恵を受けてきた部類に入る。

人より早く始めたというだけで、ホームページにもブログにもある程度お客がついているのも事実だ。正直、何もクリエイティブなことはない。ただ人より早く始めただけ。

だから早くWeb3もメタバースも、自分の捨てられない「早くやりました」という成功体験のせいで「早く、早く、人より早く」と焦ってしまう。

そんな自分の実態は、クラウド化できてないぐちゃぐちゃのデスクトップとDropboxとiCloudの中で、ぐっちゃぐちゃのぐっちゃぐちゃだというのに。

佐々木さんのこの本は、そんな時代のテクノロジーから脱落してしまったようなぐちゃぐちゃな私でも、読んでいて「大丈夫、おちつけ、心配しすぎないで」ということを言ってくれているように感じるんだよね。

だから読んでいると、わからないところはたくさんあれど、なんだか落ち着いた気持ちになれる。

例えばベーシック・インカムや、自動運転の車が走りまわる新しい時代は、私が生きている間においても、もしかしたら実現するのかもしれない…とか。

ちゃらちゃらしたメディアや実用書が「10年後にはない仕事!」「AIがすべてにとってかわる」とか人の不安を煽る状況の中で、佐々木さんの本は、とにかく「落ち着け、大丈夫」と言ってくれるのだ。だから好きだ。

一方で、とにかく時代はどんどん悪くなる。良くなるであろう要素は今や一つもない。だからやりたいことはとっととやれるうちに!と、私は毎日焦っている。

多くの人は、何でも後でやれば大丈夫と思って生きているのかもしれないが…! いや、なんで焦らないの? なんで明日も、今日や昨日と同じ日が来ると信じられるんだろう!

だから今はあと3年で仕事辞めるぞーと決意して、思いっきりやりたいことをやることにしている。そう思わないと今ここで出すべき力が出ないし、今の3年で頑張る方が、おそらくこの先10年ダラダラやるより成果が出せると思うからだ。

…あー、だめだめ。

焦ってもだめ、でものんびりしててもだめ。バランスを取るのが一番大事なんだが、これがとっても難しい。

それにしても、すごい時代になったもんだ。今や合理的な未来は、ビックデータによりAIが決めてくれる。人間はその理由や裏付けを知ることさえ必要がない。

どんな未来が待っているにせよ、ビックテックの支配に左派からは「監視資本主義だ」と批判があがる。一方で完全自由主義者の起業家からは「支配と隷従」をなくして完全な「自由」を作り出そうという動きもある。

でもそのどちらにも、「安楽な暮らし」を求める一般の人への温かな眼差しが欠落している、と佐々木さんは説く。そして、その部分への回答ともいうべき「関係と承認のテクノロジー」の話へとこの本は発展していくのだった。

確かにこのままだと、みんな未来を思うたびに不安になるんだ。自分は生き残れるのか、って。

でもこの本から、しっかり受け止めたのは、未来は明るいし、希望もあるということだ。だからそんなに焦る必要はないのだ…ということ。

心配しすぎて、今の目の前のことがおろそかになったら生きている意味ないよね。一方で、今のこの幸せがあまり続かないのであれば、であればなおさら、今をうんと楽しんでおこうよと思ったりもするのだ。

そんな感じで、私もいつも迷いっぱなし。まだまだ修行が足りないよなぁ。