Paul Bradyの『Welcome Here Kind Stranger』のリスナーズガイド本をリリースしたのが、昨年でしたが、今年はこちらを発売いたします。
本の出版理由は前回のポール本の時に書いたので繰り返しませんが、まぁ、私が関わったアイルランド音楽の仕事の集大成的な感じで思い出集めといいましょうか。
配信で聴く新しいリスナーのための事業とでもいいましょうか。
なかなか日本語での情報が得られないということもありますし、私のケルト終活? まぁ、あと数年で仕事を辞める予定なので、自分の仕事の集大成的なものを残したいのと、あと発売当時、記事を書き無名のアーティストを応援してくれた先生たちにお礼(記事を再度使うと再使用料払えるので)など、あれこれ理由があります。
そういうわけで、メアリー・ブラックの『No Frontiers』。名盤中の名盤。私の人生のサウンドトラックです。89年の作品ですが、90年にキングレコードで発売になりました。その後、私の小さなレーベルTHE MUSIC PLANTの第1弾として発売し、その後、紙ジャケットで出したり、思い出深い作品です。
ポール本と同じ、カラー128ページ。掲載内容はライナーノーツ(白石和良さん)、そして染谷和美さん(歌詞対訳)、そして90年代当時のディスクレビュー(櫻井孝章さん、北中正和さん)、初来日のライヴレビュー(山岸伸一さん)、CDジャーナルに掲載のエッセイ(湯川れい子さん)、共同通信を通じて全国に配信された記事、五十嵐正さんのロングインタビュー、そして最後の来日のライヴレビュー(松山晋也さん、天辰保文さん)。
目玉は… あの詩人の長田弘先生が『アメリカの心の歌』で取り上げたメアリーおよびアイルランド音楽のエッセイ!! 大好きなエッセイなので、今回遺族の方から日本文藝家協会さまを通じて掲載を許可いただき、とっても嬉しかったのでした。
またこちらも超目玉!! 書き下ろしです。なんとアイルランドでもレコーディング経験多数の上野洋子さんの書き下ろしエッセイ。上野さんは、90年代のアイルランド音楽の日本での盛り上がりを知る数少ない方なのです。上野さん、本当にありがとうございました。
また本の最後には、メアリーとの親交も深く、90年の初来日からずっと通訳を務め、かつCDの歌詞対訳をずっとやってくれていた染谷和美さんが書きおろしたエッセイの掲載しました。染やんは、私とメアリーの思い出を共有している数少ないありがたい友人です。うううう、読みながら泣けてきちゃった。
泣けてきちゃったのいえば、歌詞。この作品の歌詞は本当に素晴らしいんです。
ほんと『No Frontiers』の歌詞については、染谷さんに、おそらく4、5回訳してもらっていると思う。ウチで輸入盤ベースでリイシューした時、そして紙ジャケットで発売した時、キングレコードでベスト盤を出した時…などなど。
今回この本にするにあたり、文字データが残ってなかったので、前にやっていただいた歌詞対訳を自分で読んで音声入力して、それを整えていったんだけど、読みながら泣けてきちゃった。
そうそう、メアリーの次男のダニーが来た時も染谷さんには、インタビュー通訳やってもらった。メアリーの日本のキャリアの裏に、ずっと通訳を担当してくれた染谷さんのワーキング人生もあります。このめちゃくちゃ泣けるエッセイ。是非是非皆さんに読んでもらいたい。
ほんとメアリーのこの作品については、私は泣いたり笑ったり、大騒ぎなんです。
タイトル曲の「No Frontiers」って、今歌詞を読むとフェミニズムの歌に聞こえる。なんだろう。で、調べたらアメリア・イアハートって、フェミニズムの人でもあったりして。なんか泣けた。
その時、絶対にアメリアの写真をどっかに入れようと思い立ち、Getty Imagesでゲットしました。ありがとう、Getty Images!(ちょっと高かったけどね)
そして、フェミニズムといえば、湯川先生のエッセイも最高! すでに95年の時点で環境問題やジェンダー問題、子供の未来について語っているメアリーと先生。ほんとさすがとしか言いようがない。
そして、この本を出すにあたり、本当に先生からも暖かい言葉をいただき、ウルウルしちゃった。先生、ありがとうございます。男性ライターの皆さんも優しいけど、「こんな本が出るなんて、本当に素晴らしい」と暖かい声をかけてくださるのは、湯川先生だけです。ううう、先生、ありがとうございます。私も後輩に励ましの言葉をかけれる先輩ならなくちゃ。うううう…
まぁ言ってみれば、この本は、私の青春です。先日映画『コミットメンツ』みて思ったんだけど、青春なんだよね! なんか、青春! 本当に、こんな本が出せて、私は幸せもんだよな…
あっ、いかん!! 自分の仕事に酔ってしまった… いやいや、みなさん、ぜひ笑って読んでやってください。ポールのやつに比べて、こっちは私のリアル体験と完全シンクロしてますから、思い入れたっぷりの一冊になっております。
この本は10/28にケルト市で先行発売します。たぶん紅茶付2,000円。その後ホームページで10/29から通販(こちらは2,000円)、そしてアマゾンやCDショップ(こちらは2,500円)などへは、おそらく来年1月くらいに載せるかな…と思っています。
この本を出させてくれたメアリー・ブラック、ジョー・オライリー、そしてメアリーのサイト運営のマークにもお礼を申し上げます。
またデザイナーという仕事以上に、あれこれ本を出す作業の面倒見てくださった、高橋そのみさん、最終チェックや有益なアドバイスをくれた、タッド五十嵐先生にも感謝。
もう一度言っちゃおう。このアルバムは私の青春です。本買う買わないは別として、よかったら、みなさん、この音楽を聞いてください。このアルバムのために私はTHE MUSIC PLANTを立ち上げ、そして30年近く頑張ってきたのでした。
さて、現在、野崎はルナサのクラウドファンディングを続行中。残すところ、あと30日ほどです。
お客様のご要望やあれこれもあり、このメアリー本を含む返礼品(リターン)をクラウドファンディングに追加設定しました。明日より公開になりますので、よかったら、ご覧ください。