京都の3日間公演


今日は天気が良いので、やっと京都で使ったステージタオルの洗濯、なう。「今回は誰もタオルで鼻をかむ人がいなくて良かった」「あれ、本当にいやだよねー」とアテンドしてくれたAkikoに言ったら「ルナサにそういう人はいません!(怒)」とな。

あんた、どっちの味方なんかい!?(笑)

いやいや、ありがとう、Akiko。あなたがきちんと京都の荷物をまとめてくれたおかげで、使わなかったタオルは洗濯をもう一度しなくて良くなったし、おかげで洗濯機回すの2回で済みそうです。おつかれさん。タオル、早く乾かないかなー。

いつだったか山口洋先輩に「野崎さんとこのタオルはクオリティがいいねぇ、愛情感じるよ」と褒められたのであった。確かに温泉で配ってるようなペラペラのタオルじゃ、ミュージシャンやる気なくすよね。

それにしても京都の3日間公演は興味深かった。

公演前、ライブハウス公演ではあまりやらない影アナを入れて「今回はライブレコーディングしますので…うんぬん」みたいなアナウンスを入れたのだけど

ホームページには事前告知しつつも、そこに再びしつこく「手拍子しないで」とアナウンスを入れるのはどうかと迷っていたのだけど、初日の東海の公演で手拍子が結構激しかったから、メンバー側から「お客さんに手拍子しないようにアナウンスしてくれ」と言われたんだよね。

なのでアナウンスさせていただいた。お客さん、緊張させちゃったかな… すみません。

なので、アナウンスは入ったのだが、その事実を忘れて、3日目のケヴィンは途中手拍子を煽っていた。ステージに上がっているものとしては、お客さんを楽しませなくては…という義務を感じたのだろうけど、本当ミュージシャンって…以下自粛(笑)

が、さすがお客さん。ちゃんと手拍子を止めるべきポイントで手拍子はやんだ。よかった…他にも手拍子ネタでは最高のネタがあるのだけど、これは黙っておきましょう。20年くらいして、このブログがまだここにあったら、ここに書きます(爆)

それはともかく、3日間あった公演の初日、おそらくルナサのライブを100回は見ているわたしからすると1日目に見せたルナサの姿は、びっくりするほど意外だった。あんなルナサは初めてみた。

ここで何度も書いているように、わたしはライブ盤については、普段のライブを普通に収められればそれでいいと思っていた。

「ベスト盤的内容がいい?」と聞いてきた彼らにわたしは「好きに作っていいよ」「あなたたちのアルバムなんだから」と任せておいたのだけど、なんとルナサは新曲10曲というすごいセットリストに挑戦することにしたのだった。凄すぎる。

そして普段は3時前に会場に入ることなんてない彼らが、昼から会場に入り(会場を早くあけてくれた磔磔さん、本当にありがとう)、開場時間ギリギリまでずっと練習していた。

練習してない時は、何やら個々人であんちょこをつくり、床やら楽器やらに貼っている。おかげで床はメモだらけだった。

そういう彼らの姿を見るとわたしも緊張する。初日のルナサはとにかく間違わないように慎重に演奏している印象で、見ているこっちが緊張するほどのテンションだった。ルナサの楽曲って、ルナサのメンバーをしても難しいだ…と改めて思った。

それでも2日目はだいぶリラックスして「おっ、これはOKテイクが取れたな」という内容にもなった。良かった、普段のルナサが戻ってきたぞ…と。

それにしても面白いのは、そしてわたしが感激したのは、わざわざ自分で難しい課題を設定し、それを乗り越えようとする彼らの音楽に対する姿勢だ。

そういれば、最初にこのライブ盤制作のアイディアをメンバーに話した時、まっさきに「いいアイディアだ、クリエイティブ!」とすぐさま返事をくれたのはベースのトレバーだった。

「クリエイティブ」まさに。

バンドを続けていくのは本当に大変なことだ。結成して数枚アルバムを作るのはある意味簡単だろう。問題なのはそれを続けていくこと。その意志の力だ。クリエイティブでずっといられるかということだ。音楽の創造性を見失わないことだ。

常に新しいことに挑戦し続けないと、バンドの作り出す音楽性はあっという間に衰えてしまう。

でもルナサはすごい。ルナサは挑戦するバンドだ。難しいことにチャレンジし、それを乗り越えた時、その時、音楽がドライブするんだよね。

ルナサのドライブ感の秘訣はこれかぁ、と改めて。これ、昔ケンソーのマネージャーやってた時も思ってたことなんだけどね。良いバンドは音楽家を成長させてくれる。(そういえば「くるり」にもそういうところがあるかもしれない)

難しいポイントが上手く演奏できると、みんな笑顔になって、音楽が一体化し、畝っていく、あの感じがロックバンドなんだ。

他のアイリッシュバンドで、こういうバンドはいない。あ、シャロン・シャノンの「トビク川の河口」もそういうところあるけど(笑)

メンバー全体、そしてそれぞれのメンバーが、お互いのテクニックに疑いがあったらできない技だ。あいつならできる、俺もできる、みたいな。ほんとうにいいなぁ、バンドって。時々そういう彼らが羨ましくなる。

いや、でも大変なことも多いから、わたしは絶対に嫌だけど(笑)

それに、そういう時の彼らはまるで中学生みたいで、わたしから見れば可愛くもあり、本当にミュージシャンってすごいなと改めて尊敬MAXなのだった。

3日目はくるりの岸田繁さんがやってきてくれた。当然のことながら、忙しい岸田さんのスケジュール確保のためにうんと前からお願いしていたことだった。

だけど岸田さんの名前は事前に出さない方がかっこいいし、ライブに来たルナサファンが後から友達に自慢できると思って、事前アナウンスはなしにした。

このアイディアが浮かんだの、実はわたしが4月に受けた癌の手術で入院している時だった。「京都かぁ、そういやフルックが来日した時は誰かと共演したいって言ってたよなぁ…」と考えながら、京都か。京都といえば「くるり」じゃないかと突然思い立ったのだった。

でも岸田さんはシンガーソングライターで、アイリッシュトラッドを歌ってくれというのも違うわけで、そもそもわたしはくるりの曲が大好きなので、それをメンバーに提案するのがまずは第1ステップだった。

当然、彼らは新しく勉強することが増えて、ただでさえライブ盤のレコーディングでテンパっているので、数日悩んでいたのだけど、最終日だけならなんとかなるかもということでOKの返事を寄こしてきた。

特にギターのエドはその時から「いい曲だ」と「サウンド志向のバンドでもあるね」とすごく「くるり」を評価していた。

バンドからOKが出たので、岸田さんにそのアイディアを提案したら、本当にかなり速攻でOKの回答をいただけた。岸田さん、ありがとう! 感激! すごい! お忙しいだろうに!!

で、わたしとしては自分が大好きな「Remember Me」とか「奇跡」あたりをやってほしいなと密かに思っていたけど、岸田さんから数曲提案いただき、最終的に曲は「ブレーメン」になった。こちらも大好きな曲なので、とても嬉しかった!! 

だって、めっちゃいい曲なんだもの! あのコード感、大好き。そして不思議な歌詞でもあるよね。今現在起こっていることにも通じる力強い歌詞。

岸田さんに会う前にはめっちゃ緊張していたメンバーだけど、初めて岸田さんにあって、その人柄に接し「なんて謙虚な人なんだ」と感激しまくっていた。

岸田さんったら、MCでもお客さんに「岸田と申します」なんて言っちゃって、本当誠実な人だなぁとわたしはめちゃくちゃ受けたのだった。岸田さんが京都のステージで自己紹介するなんて、めっちゃレアケース。

でも本当に音楽の前では全員が平等で、みんなが仲良く楽しそうにしているのを見ると、わたしも本当に嬉しくなった。本当に音楽はすごい。ミュージシャンはすごい。

エドと岸田さんは特に話があったみたいで、ずっと二人で話し込んでハモりまくってた。よく見たら服もなんだか似たようなものを着ていた(爆)

岸田さんが参加してくれたおかげで、ニュースにもなって、数日先の東京や所沢公演の盛り上がりにも貢献できた。本当にありがとうございました。

そんなわけで3日間とも全然違うステージになった。わたしはよく五夜連続とか、三夜連続とか好きでよくやるのだが(プロモーターとしては自殺行為で、本来なら効率よく回さないとツアーは難しいのだが)、

今回も思ったけど、3日連続公演がある時は全日来るのがベストだよね。だってそれぞれ全然違う結果になるんだもん。

ライブって、音楽って、こういうことなんだよ、生き物なんだよ、というのを伝えられる連続ライブ、またやっていきたい! 経済的にはきついけど!

でもお客さんだってチケットを何枚も買わなくちゃいけないし、なにより自分のスケジュールも調整しなくちゃいけないから大変。そんな中、全日のセットチケット買ってくださった方には感謝も気持ちマックスです。

東京や遠方からかけつけてくれたお客さんもたくさんいた。本当にありがとうございました。

でもそういうお客さんたちを見ていると、みなさん本当に楽しそうで、わたしもそういうのやってみたいんだよなぁと思ったり。いや、まじで、本当に羨ましい!!!

そうそう繰り返しになるけど、今回、このプロジェクトをケルティック・クリスマスとくっつけてくれた川島さんとプランクトンの皆さんには本当に感謝です。おかげ様で良いものが録れました。

そしてこれからわたしにはミックスとマスタリングとアートワークの作成という大作業が待っている。いかん、過去の成功によっていては。前に進まないと!

クラファンを応援してくれた人たち、待っててねー! 発送は2月11日予定で、現在進行しています。


ミュージシャン同士の出会いって、ほんとに設定したからでtきるもんじゃない。