いや〜今でも! 終わった今でも御大がたった一人で日本に来たことすらまだ信じられない。でも、とにかく来て、そして終わったんだなーと。
今回はチケット代が高くお客さんの負担が大きかったと思うのですが、ホントにたくさんの皆さんにお集りいただいて感謝感謝です。御大のFacebookページ見ましたか? まぁ、見てない人は見てやってください。御大も無事終わって、ほんと嬉しそう。(そしてぜひ「いいね!」を押してあげてください。日本人の割合が高いと喜んでいます!)
今回のツアーはいろんな意味でトライアル。実は2年連続で呼ぶことは私もシナリオとして書いていたのですが、シナリオはシナリオ。まだ分かりません。とにかく御大に「うん」と言わせるのは至難の技ですから〜。一応ステージで「来年も来るって言え」って言ったら、言ってましたけどね、御大。それがウソにならないように(笑)とにかくこれからの交渉頑張りたいと思っています。
今日も成田に向かう車の中であーだこーだ言ってたし、まだまだハードルは高いなと実感。でも今までアルタン祭りで来て、ケルティッククリスマスで来て、今回やっと自分の足で立っての来日だったのだから。やっとやっと実現できた単独シンプル来日。これが定期的に続いていきますように!と本当に心から願う。じゃないとこの努力も消えちゃうよ。
御大に成功失敗はファイナンスの問題よりも「次につながるかどうかなんだよ」と言ったら、大きくうなずいてました。ホントに次があるとしたら、それは本当にお客さんのおかげです。ホント。すごいお客さんの援護射撃に本当に感謝感謝です。いずれにしても早くも次回の来日の交渉に入りますよ。そして決まったら、ここで真っ先にご報告していきます。
それにしても昨日コンサートはすごかったですよね。土曜日も良かったけど日曜日は、もう圧巻。すごかった。ポール自身もそうだけど、とにかくアンコールの洋とのかけあいが、めっちゃくちゃすごかった。なんか鳥肌もんだった。涙が出た。言葉もありません。目の前で起きていることがまったく信じられませんでした。二人とも笑顔が素敵だった。
ポールも洋も、ほんとにかっこよかった。(すみません、何度か書いてますが、山口さんは山口さんと呼ぶとヒロシと呼べって怒られるので、ヒロシと呼ばせていただいてます)
実はこの共演については、当初何も決まっていなかったのでした。ホント来日直前まで。散らしにコメントを寄せてくれたっていうのに、洋はずっとチケットを買うとか言って主張してたくらいなんですから!! で、私としては、この共演、とっても聞きたいけど、ポールがなんと言うか分からない。で、洋には初日が終わればポールも落ち着くから、そこで話してみる、それで電話するからって言ってたんですよ。洋は最初から私の言うことに「ポールのことは分かっているから。いいから、大丈夫だから」ってずっと言ってくれてた… ううう、ありがとう洋!
なにせ本人が来日した瞬間は確認すること、多いんですよ。ステージのことやら取材のことやら、いろんな段取りから。でも長いフライトに乗ってやっと到着してホッとしているアーティストにそれを立て続けに聞くとアーティストの方はキレちゃう。だから様子を見ながら少しずつ話していくわけなんですが、でもちょうど行きの車の中で自然にギグの話になったので、これがチャンス!とばかりに、実は日曜日に洋が来るんだよ、覚えてるでしょ?と言ったら、即座にポールは「一緒にやれないかな?」と言ってくれたのです。「ほんとに? リハに来るように言うわよ」と言ったら「いいよ」と言う。でもチキンハートな私はリハが終わるまでは、なんとなく発表できなかった。(ポールが勝手にFBでフライイングしてましたけどね)
洋はホントにこういう来日アーティストのややこしさもすごく理解してくれていて本当に文句を言うどころか、そうやって、てんやわんやする私を支えてくれてた。ちくしょーー、大きいぞ、洋! っていうか、いや、これは私うんぬんじゃない。もっと大きな何かによってこの日一緒にポールと洋が歌うことは決められていたんだと思う。実は日本人と外タレ(死語?)を共演させるのって結構難しいんですよ。でも今回は自然な形で、仕込んだのではなく、自然な形ですべてが進んだ。きっとこうなる運命だったんだね。というか、この歌がこの二人をここまで導いてくれたんだね。
実は日曜日、私はポールと会場入りしたのだけど、一瞬ポールのおつかいで外に出ていた時に洋が会場に来たため二人のリハに立会うことができなかった。でもって、私がお使いから戻ったらポールはニコニコしてリハは終わった、と言う(笑) えーーーっ終わっちゃったの?! 聞けば、どうやら10分もリハしなかったらしい。後で聞いた話によるとポールがホイッスルひいて、洋がギターで入った瞬間にポールは「これは行ける!」と判断したらしい。で、ここで作り込んじゃうと本番がつまらなくなるから、あえて時間はたっぷりあったけど、あんまりリハしなかったんだ、とポールは言ってました。かーっっ。かっこいいよね、ミュージシャンってね!
そうそう、洋といえば、後日談を一つ。今日成田に行く車の中でポールは洋のことを思い出し、何度も何度もほめていた。で、「洋はかっこいいなー。もてるんだろーなー」「あんなに痩せてていいなー」「彼女いるのかなー、お前は知ってるのか?」「どんなところでコンサートやってんだ?」とかいろいろ聞くから「洋のコンサート行ったら男性ファンが多くてびっくりしちゃったよ」と私が行ったら「えーー! なんでなんだろう」ってポールはびっくりしてた。で「ロックシュターの方が女性ファンの割合は多いんじゃない? 昨日もたくさん来てたし。日本の女性にとってはあなたの方がセクシーなのかも」と私が言ったら、爆笑してましたけどね。(あ、よいしょコリャ!/笑)
しかし洋、昨日は出演者だというのに、公演の途中で弦を切ったポールのギターの弦を張り替えてくれてチューニングまでしてくれたり、かつ終演後はアイルランド大使のお相手もしてくれて楽器をホテルまで運ぶのをやってくれて、まるでスタッフ&ローディ状態。っていうか、もうその前に私にとっては全体的な精神的支えがすごかったです、洋。ホントにホントにありがとう。そして、さっき洋のブログ見たら、ますます泣けた。ありがとう、洋!
そして、最後の最後にあのリクエスト嫌いのポールが「リクエストは?」なんて言って、アンコールやったのに、びっくり。ホントにあれはまったく予定されてなかったんですよ。すごいね。ホントにすごい。お客さんのねばり勝ちだったね(笑)ポールはもう終わり!って言ってたんだから。でもポールの公演おそらく30-40回くらい見てると思う私ですら、ポールが「何かリクエストある?」って言ったの、初めて聞いたかも! そしてポールが「しょうがないなぁ!」って感じで、あっち側のローデンを手にとったときは「来たっっ」と思った…ほんとにやったね。Arthur McBride。
それにしても、Arthur McBride is deadじゃないですが(笑)、ほんとポールってなぜこんなに大変な思いまでして歌っているんだろうかと思うわけですよ。Twitterに書いたけど、グレンもそうだけど、ライヴが終わったあとのミュージシャンってホントに使い古されたボロぞうきんみたいになっちゃう。ステージですべて出し切って、空っぽで楽屋で一人でホウけているのを見ると、この人たちはいったい何の為にこの仕事をしているのかな、と思う。アイヴォールも言ってた。歌い終わるとホントに空っぽになっちゃうんだ、って。
ステージ裏で洋が「ポールのパフォーマンスすごいね、ためてためて、がーーーっと出す感じ」みたいなこと言ってたけど、ホントにポールのパフォーマンスって何だろうって思う。とにかく他とまったく哲学が違うんですよ。
もちろんウチのミュージシャン全部、音楽に嘘偽りはない。そこがまずMUSIC PLANTのミュージシャンの第一条件です。売れようとか、有名になろうとか、コビを売ろうとかそういうのがない正直なミュージシャン。それは大事なので、それを前提に説明していくと、実はバンドという活動がすでに生活の一部になり、職業となり、普通の人は「こんなに自分のスタッフが自分のために頑張ってくれているんだし、自分も頑張ろう」っていうところに気持ちが落ち着くことが多いんですよ。時々ミュージシャンに「お前が支えてくれなかったら、俺はもうバンドやってない」と泣かれることがあるし(まぁスタッフとしては嬉しいですけどね。この職業はほんと辛いから)ヴェーセンなんかも「俺たちはお前の為に頑張ってんだ」って時々言ってくれることあるんだけど(奥さんにも「愛してる」ってちゃんと言うタイプですよね、この人たちw)、まぁ、バンドなんかはホントにそう。みんなで励まし合って、頑張って続けて行く、そういう要素は多いと思う。
あとよくあるのがお客さんのためにやるミュージシャンね。ニューミュージック系のアーティストが(って死語か?)、お客さん,お客さんって言うのが、これだよね。お客さんから勇気をもらいホントにお客さんにエネルギーを出し、循環して行くタイプ。まぁ、たとえばこのタイプのミュージシャンはお客さんからのリクエストもウエルカムなんだろうな、きっと。(これが行き過ぎて音楽の正直さが失われたのが、レッツ芸能界の世界なんだとも思う)
もちろん、そういう分類がきっちり分かれるわけではなく、いろいろなミクスチャーの中で皆、活動しているのだろうけど。
と、まぁ、ミュージシャンもルーティンになっちゃっているところは非常にある。でもポールは… 絶対に手を抜かない。絶対に絶対に200%をステージで出す。
でもってポールの場合は圧倒的にステージ上で孤独なんだよね。お客さんと何かしているわけでもないように見える。プロモーターやスタッフや周りの人のためにやっているのでは絶対にない。ただ何だかすっごい戦っている。何と戦っているのか? 誰のために戦っているのか。自分との戦い? まぁ、これが音楽というものなのか、芸術というものなのか?
と思っていたら、今朝、成田に行く車の中で、そういう会話になり、私が「音楽?」と聞いたら、ポールも少し考えていたけど、それは「歌」「作品」ということなのだとポールは自分で説明してました。うーん、なるほど! っていうか、これ、松山晋也さんのインタビューででも言ってたような気がする。すごいよね。つまり自分で作品作って、それと戦っているわけですよ、ポールは。
曲がすべての中心って、ちょっとケンソーの感じと似ている。でもケンソーは5人で一緒に同じ方向みて、いかに素晴らしいものに曲をステージ上で仕上げるかということについて戦っているわけけど、ポールはたった一人だよね。たった一人。そしてステージ上で、作品の登場人物を演じるみたいなところがポールにはある。歌に感情をこめるとかそういうレベルの話でもない。お客さんにもプロモーターにも誰にも入れない、孤独な戦い。そして、上手く歌えるとかそういうことでも全然ない、そういう世界。とにかく「戦い」。もっと適切な言葉が見つかったら、またここにでも書いてみたいと思うけど、とにかく今は仕事山積なのでこのくらいにしておきますが。
それにしてもポールと5日間一緒にいたことで、なんだかいろんな事が分かった。ホントにいろんなことが見えた気がした。自分にも気合いがはいった感じ。やはりいろんな人たちがいる。そのなかから「正しい人と出会う」「絶対に期待に答える」この2つ。それさえあれば自分は大丈夫だと思う。今回は特に会場がスターパインズさんじゃなかったら絶対に実現しなかった。スタッフの皆さんほんとによくやってくれた。素晴らしかった。でも絶対にやってくれると信じていた。小屋に自信がなかったら、こんなの絶対にできないもん。ありがとう、スターパインズカフェの皆さん! 店長も「普段僕らが大事に思っていることを確認できて、とっても良かった」と言ってくださり、良かったと思う。
この音楽ビジネスの過渡期にあって、まだまだ「正しくない人」がたくさんヘンな位置にいると思う。そういう中を自分はどう泳いで行くのか。そして本当自分に期待をかけてくれる人にどうきちんと答えていけるか。そこなんだと思う。すみません、言ってる事が分からないと思うけど、私はその2つが今回クリアになったと思う。少なくともポールと、私と、会場の3つの人間関係はそこが確認できたと思う。
偉そうに言えば、私だってこれでポールが手抜きなんかしたら、一生口きかない。絶対に大丈夫だと分かっているから、これだけお客さんにプッシュできたし、ポールはその期待にしっかり答えてくれた。私も私を信じて私のツアーにたった一人で来てくれたポールの期待に答えていけてたとしたらいいな、と思う。いやちゃんと答えられていたという自信はある。でなければ、ポールはまた来るとは言わないだろう。そしてポールは会場をすごく気に入っていた。会場を突然金曜日に下見に行ってスタッフに会うまでは「もっと、こうシアタースタイルの場所はないのか」「クラブはいやだ」とか「こんな小さなところは久しぶりだ」とかさんざん言ってたくせに、当日のサウンドチェックでスターパインズのスタッフの皆さんがしっかりなんでもポールの要求に応えてくれたことから、すっかり見る目が変わってしまった。それが、ほんとにすべてが成功につながっていったと思う。
それにしてもポールのキャラクターは本当に濃かった! ステージにすべてをかけるポールは本当に格好いい。ポールみたいに、不器用に必死で頑張って最後にボロボロぞうきんになっちゃう人を世間じゃかっこわるいと思うのかな。私はすごくかっこいいと思うんだけど。ほんとにかっこよかった。ロック・シュター。早くまた日本に来てね。本当にありがとう。
PS 写真家の藤岡直樹さんがポールを撮影してくれました。こちらのホームページからNoteのコーナーに飛ぶと、その写真が1枚ご覧いただけます。
PPS 次のTHE MUSIC PLANTの来日ものは… ポールとは真逆(笑) 心のそこからジンワリあったかくなれるこの素晴らしい音楽です。
PPS 次のTHE MUSIC PLANTの来日ものは… ポールとは真逆(笑) 心のそこからジンワリあったかくなれるこの素晴らしい音楽です。