勝間和代『「有名人になる」ということ』

 勝間さんの新刊、出た! いや〜まずはさすがなのは帯キャッチから帯裏の文章から、ここ数日出くわした「何か違う」という帯とは全然レベルが違うこと。ピッタリ内容に即した帯。目を引くデザイン。これってやっぱり本人/編集者/出版社の営業との連携の差なのかな。

売れそうな帯、そして中味もその期待通りの内容。これって結構レアなことだと思う。西原さんのイラストとコメント、ナイス・アイディア。ホントにさすがである(写真参照)。

そして、あいかわらずホントに読みやすい。テンポが良く読んでいて楽しい。音楽ものの書籍にも、こういうスイスイ読める本があったら絶対に売れると思うんだが…と毎度のことながら思う。

「有名人になる」…ね。知らない人が自分を知っているというのは、まことに違和感があるものである。私ですら、コンサート会場でお客さんに話しかけられたりすれば落ち着かないし、実は町中で「野崎さんですよね」と言われたことも、なんとびっくり!3回くらいある。20年ちかく仕事しててこの数は、もちろんたいしたことないのだが、それでも嬉しい気持ちと違和感とで、めちゃくちゃ複雑な心境になった。それが勝間さん程にもなれば、相当大変だろうということは想像にかたくない。メールやTwitterのメンションならまだしも、こちらに準備がない場所では、ホントに対応に困ることもある。でもどうかなー。私も町で勝間さんとか、それこそ津田さんとか見かけたら,嬉しくて話しかけちゃうかもしれない(笑)。

いずれにしてもこの本はタイトル通り「有名人になる」ということを分析した本であるが、実は「有名人うんぬん」よりも、勝間さんのすべての本に現れているように「なりたい自分になる」「自分のやりたいことを実現させるための力を手にいれる」ということを言っている本なのである。そこがまず重要。

いずれにしても、うなずきどころ満載! 私がいつも噛みしめている(笑)「信頼出来る人に出会う、そしてその人の期待に答える」ってのを勝間さんもこの本の中でさんざん強調している。

またブレークする芸人とそうでない芸人の違いは「どのくらい芸人になりたいと思っているか」ということ。これ堀江さんも言ってたよね。なりたい、なりたいって言う割にみんな努力が足りないって。寝食忘れて努力してない、って事。私も時々、学生さんとか、うんと年下の人に「音楽業界で働きたいけど、どうしたらいいですか」と聞かれるが、そのときは必ず「大丈夫。仕事だったら音楽に関する仕事がいいなーくらいに思っている人は多いが、死ぬほど音楽業界で働きたい、絶対にここで生き残りたいって人は、ほんとに少ないから。必ず勝ち取れるし生き残れるよ」と言うようにしている。

…と、まぁ、勝間本はいつでも普段私が考えているところとあいまてって、めちゃくちゃ響くのである。とか、書くと私も彼女みたいに嫌われちゃうのかなー。女は、もっとしおらしくしてた方がいいのかしらぁ〜?(笑)

そしてTVでしか彼女を知らない人には分からないだろうけど、私は「断る力」以来、勝間さんの事はtwitterやブログ、FBなどで充分にフォローさせていただいているので、ちょっと知った気になって発言できるとすれば、私は勝間さんが(ご自身でも指摘しておられるように)オタクっぽくて落ち着かないところとか、片付けられないところとか、好きなことしかやらないとか、そういう所がホントに可愛くて、ホントに面白いなぁと思う。なんでもこだわって、なんでも科学の実検みたいに手を出すところなどめちゃくちゃ笑えるし、オタク気質である。(ちなみに今の彼女の科学実検は料理である。あと彼女が自分で言っている「気遣いがたりない」ってのは違うと思う。充分いろいろされていると思う…でも、これでも足りないのかねぇ)

マスコミに載ると、そういう魅力がとたん抜け落ちてしまい、「怖くて完璧主義で、お金の話ばかり」と思われてしまうところがが悲しい(ご自身もこの本の中で指摘しているとおり)。

でも、ほおっておいたらオタクっぽく好きな事しかできない勝間さんが、努力してここまで来て、そして政府の中にまで入ってデフレ対策とか、自分のやりたい方向に世の中を変えることに貢献できた、ということなのだ。ホント素晴らしいよ。

あとびっくりしたのが、「連載系の書籍が売れない」という説も始めて聞いた。こんな分析する人ははじめてじゃないだろうか。もっとも「売れない」と言いつつも、勝間さんのレベルだ。私たちの音楽業界の書籍からすれば夢みたいな数の本が売れている。連載→書籍化というのがフリーのライターに取っては王道だから、こういう分析ははじめて見たし、なるほどーと思った。ふーむ。

あとこの本で、もっとも力強く嬉しいひとこと。「自分が心から大好きなことを表現すると、結果はあとからついてくる」ホント勝間さんはフリーランスで好きなことを仕事にして頑張っている者の応援団長である。でも、これって、それこそ勝間さんが「断る力」でも言ってたことと同じだよ〜(笑) この本の中で、今、やっと分かった、みたいなことを勝間さんは言っているが、イヤイヤイヤイヤ… 全然だよ。勝間さんは最初からすべて分かってたって! ただそれを、あの勝間さんですら、時々忘れて悩んだり苦しんだりするって事なんだよね。

それにしても勇気をもらえる本である。前に出た「ズルい仕事術」より、かなり好きかなー。それにしても新書は良い。1,050円と手頃で、あっという間に読めちゃった。

PS
あいかわらずひどいアマゾンの書評。これってホントに問題だと思う。読んでもいないのにどうしてここまで言えるのか。でもここまで来れば、もう宣伝効果以外何もないんじゃないかと思うけど…。勝間さん、いつも健気にしてらっしゃるが、こういう事が相当こたえているみたい(というのもこの本に書かれています)。いやいや、楽観的に行きましょうよ、勝間さん。私は応援しています。