2012年6月7日木曜日

国際基督教大学高校にまたもや行ってきました

写真は昨年福島県いわき市でいただいたひまわり。種から育ててこんなに大きくなった!! 立派に咲きますように。

水曜日は朝から国際基督教大学高校に行って、またもや「音楽を仕事にする」というテーマでお話しさせていただきました。

今回は通訳の染谷和美さんに参加してもらって、英語を仕事で使うことにフォーカスを当てた。

昨年生徒さんたちにお話しをしたとき「実は帰国子女とかってスタッフで使いたくないんですよね。ミュージシャンとしゃべることばかりに夢中で、全然役にたたない」みたいな事を言ったら,けっこうそれが波紋を呼んじゃったらしく、その波紋に答えるべく「英語を使って仕事をするのはどういうことか」についての私の考えをアピールするため、最強通訳の染谷さんに来てもらったわけです。

染谷さんは私が考える限りホントに最強の通訳です。染谷さんの通訳は私は指揮者みたいだといつも思っている。空気みたいに自然。だけど実は一番重要な要を握っている。居なくなったら,その場の全員が窒息死。本当にそんな感じ。余計なことは言わない、控えめで、だけどしっかり思いを伝える。そんな染谷さんの通訳。

それにしても高校生はピュアで、染谷さんがエアロスミスとかオアシスとかと仕事したと知って「すっげー」みたいな素直な感嘆の声が飛ぶのが可愛い。でもって「アーティストと友達になれますか?」なんて質問も。

高校生だから無理もないんだけど、そうね、友達ねぇ…なんか私も考えちゃったよ。私はね、ウチのアーティストの中で友だちって呼べるのは2人しかいないと思っている。それが誰かは別として、所詮この仕事はそんなもんですよ。例えば海外のフェスに行くとみんなが私の事をチヤホヤしてくれるわけよ。そして私はCDのサンプル盤をごっそり貰えて、たいていの公演には招待してもらえるんですよ。それは私の人格が素晴らしいからとか、私の容姿が素晴らしいからとか、そういう事ではなく、こういう仕事をして沢山のバンドを日本に呼んでいるから。それだけの理由なんです。そんなのは分かっているんだ、私だって。

そして日常の仕事が忙しいから仕事に関係ない普通の友人にはとんと不義理をしているし、生活スタイルがまるで違うから、滅多に一般の友人には会わない。

でもね、私は単なる友人よりも、仕事仲間の方が、実はすごく大事だと思っている。なぜって本当に価値観を共有できてないと一緒に仕事なんか出来ないから。今、高校の時とか大学の時とかの友達に会ったとして、果たして原発の話やお金の話、いろんな人生の価値観まで共有できる人なんているんだろうか。

だいたい仕事仲間ではない、関係ない友達をコンサートに呼んだりすると失敗するんだよね。大抵はそこが私の仕事場だって認識がなくて、あれこれ言ってきてウルサいし、そもそも意味もなく招待やサンプル盤をせがまれる。ウチのチケットをたくさん買ってくれるお客さんですら「野崎さん忙しそうだから」と言って、現場では私に話しかけずに後からこっそり感想をメールで送ってくれるってのに! 

いったい友達って何なんだろうと思う。染谷さんが良いことをいった。「実は通訳さんとアーティストが結婚した、なんて例はあまり聞きません」

ウチのミュージシャンもたとえば10年も一緒に仕事すれば、奥さんと離婚した、彼女と別れたなんていうのは山ほどある。新しい彼女を紹介され「またこのタイプの女かよー」と思うこともしばしば。でも彼女が変わっても奥さんが変わっても、私はずっとその人と一緒に仕事を続けている。そしてその事を私はものすごく誇りに思っている。

そもそも信頼出来る友人でなければ「自分の収入を左右するような重要な案件=仕事」を任せてもらうなんてことは出来ない。それを思うと私はいわゆる「友達」よりも「仕事仲間」の方がうんと価値があるなと思ってしまうわけ。だって好きなミュージシャンに信頼されて、普通の友達とはしないようなお金のやりとりもしっかりし、信頼を得、また次の仕事を続けていける… これ以上の幸せったらないでしょう?

それにしても染谷さんが「たとえば野崎さんのような人は、それこそ2年とか1年半とかかけてツアーを作るわけですよ」「でもその大事なツアーが私の通訳が失敗することによって、すべて台無しになりかねない。いつも責任を感じています」と言えば、私も「染谷さんのような素晴らしい通訳をブッキングし、アーティストが行うインタビューに対して最善を尽くすこと。それによって私もアーティストの信用を得ているんです。馬鹿な通訳ブッキングして、アーティストに“何やってんだ、こいつ”と思われたくない。染谷さんなら大丈夫、そこが信頼なんです」と。

ちょっとかっこ良かったかな、私たち(笑)つまり仕事というのはお互いの信頼関係で成り立っている、ということを伝えたかったわけ。

あと伝えたかったのは「国語」の大事さ、ね。日本で仕事をしている以上,実は大事なのは日本語の方だ。染谷さんの日本語は英語同様、本当に素晴らしい。彼女のTwitterもぜひぜひフォローしてください。ユーモアのセンスも抜群なんですよ、染谷さん。時々アップされるブさいく犬(ごめん、言っちゃった)すっぴんちゃんの写真も和みます。

こういった話以外にも実際にアーティストが記者会見でしゃべっている様子を生徒さんに通訳してもらったり、ワークショップ的なこともやって、充実の2時間授業だったと思う。学食のカレーも美味かった!! 染谷さん、先生、生徒の皆さん,本当にありがとうございました。またもやいい経験になりました。

それにしても自分は素晴らしい仕事仲間に囲まれて、仕事運だけは人一倍いいんだよな〜と改めて思ったのでした。

生徒さんたちの感想です〜。

「通訳の仕事は相手の気持ち、かつその国のことや経験などのバックグランドを知って理解しないとならないので、大変だと思いました。でも自分の好きなことをお仕事にできてすばらしいです」
「よくテレビなどで通訳をしている人をみるたびにただひたすらうらやましいと思っていましたが、苦労しているんだと知って、なんだかホッとしました(笑)」
「実際に通訳しているビデオをみて本当にすごいなぁと思いました」
「二人ともすごいプロなんだなぁと感激しました。信頼関係がすごい大事なんだという事も感じたし、普通に通訳とか今まで聞いてたけど、これからはもっと興味を持って聞くと思います」
「エアロとかすごい有名なアーティストと実際会ったことのある人のお話しがきけて、とてもいい経験になりました」
「テレビに出ているミュージシャンのとなりに座り、その会話をただ訳すのではなく、そのミュージシャンの思いやその人の性格、バックグラウンド、様々なことを考慮して言葉にすると知り、改めて通訳の難しさを知りました」
「通訳になってみたいと思っていましたが、しかし実際に体験してみると、考えていた以上に大変で、英語力以上に国語力、また心配りできる器用さも兼ね備えなければならないと痛感した」
「通訳する人はあまり目立たずに存在すらあまり知られていない職業だけど、実はものすごく大変でとても重要な必要とされている仕事なんだということに驚きました」
「通訳の人って技術がすべてだと思っていたのです。お二人の話を伺っているうちに信頼関係がすごく大切なことが知れたので良かったです」
「通訳を実際にしてみると英語では分かっているのに、日本語で伝えるのが難しかったです。日本語と英語を両方ともよく分かっていないと出来ない仕事なので、もっとよく勉強しなければと思いました」
「資格もなく自分の腕と信頼のみで戦っているところをとても尊敬します。楽しんで仕事をしているんだということを感じました。僕も将来責任感をもって楽しめる仕事をしたいです」
「僕は正直、通訳の仕事は英語さえできれば誰でもできるもんだと思っていました。しかしいろいろな事柄を考えて言葉を発する人だということを学んだ時、自分がどのくらい通訳の仕事をなめていたのか分かりました」
「英語を使った仕事の代表として通訳がよくあげられているけど、思ってたより複雑で、大変で、なんとなく人間力が問われる仕事なのかなと思った」

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