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2013年4月29日月曜日

都市楽師プロジェクト、鷲野宏さんインタビュー「科学博物館編 1」


さてもうすぐ来日するヴェーセン。今回の東京での3公演は、都内でユニークな公演をプロデュースされている都市楽師プロジェクトの鷲野宏さんに共同プロデュースをお願いしています。

ヴェーセンが東京のこんなユニークな会場で演奏できるのも、都内のあらゆる建築物に精通し、関係者の皆様とも人間関係がばっちりな鷲野さんのおかげ! 普通、普通のプロモーターが借りられない貴重な場所ばかりなのです。私から言わせると、とっても「建築おタク」(失礼!)な鷲野さんなんですが、お話を伺っていると普段何気なく見ていた建物が、街が、突然キラキラと輝きだすようでもあります。

その鷲野さんに今回の3夜連続ライブについて、お話を伺いましたので、少しずつここに紹介していきます。

MP:今日はありがとうございます。このインタビューですが、文字に起こしてツアーの2週間前くらいからアップしていきますんで、よろしくお願いします。

W:都市楽師プロジェクトでは、こんな風に言葉で説明するって、あまりやったことないですねー。

MP:ホントは何も説明しない方がかっこいいんですよ!

W:おかげで分かる人しか来ないっていう(爆) すっごい寂しいけど(笑)お客さん見ているとホントお客さんはすごいなーと思う。このお客さんはいったいどこで、僕の公演の情報を見つけてきたんだろーって、いつも思います。

MP:それはウチだって、同じですよ。

W:ほんとに全国から来るんですよ。「そのために来た」って言われちゃうと、いや〜中止には絶対に出来ない。もう雨になってもやります、とし か言いようがないわけです。嵐にならない限りはやります、と。(註:鷲野さんの公演は橋の下とかユニークな場所が多い)

MP:確かに言葉で説明しない方がカッコ良いって、ありますよね。

W:でも僕たちプロデューサーとしては、それ(自分たちの意図)を分かってもらいたい、って言うのもありますからね。大事です。例えば求道会館のケースなどは言葉で説明しないと分からないでしょうし…

MP:じゃあ求道会館から行きます?

W:いや、やっぱり時代から行きましょう。まずは恐竜。恐竜は僕というよりは野崎さんのアイディアですよね。

MP:まぁ、単に私の妄想が止まらなかった…というか(笑) 最初は都内の変な場所、ヴェーセンが鳴らず東京の建築みたいなコンセプトで、鷲野さんに公演場所のセレクトをお願いしたんです。求道会館は最初から私のリクエストにもあって、代官山は鷲野さんがすぐ推薦してくれた。で、あとは洋館とかあれば、音の響きも他と差別化できるし、洋館を3つの中の1つに入れてください、という話になった。それで鷲野さんが科学博物館の中央ホールはどうですか、と提案してくれたんですよね。

W:中央ホールには吹き抜けの空間があって、響きも良くって…

MP:あそこなんて言うんでしたっけ、日本館でしたっけ。

W:日本館ですね。いわゆる旧本館って言われているやつで、外観は装飾をそぎ落としたシンプルなルネッサンス。実は空から見ると飛行機の形を しているように作ったっていう…

MP:そうなんだ?

W:ほら、これ見て…

 











MP:あっ、飛行機!









W:そう、飛行機。近代科学の象徴なんですね。つまり飛行機が象徴になるような時代に作られた建物、ということなんです。

MP:全然気づかなかった!! 昔はあの中央ホールに恐竜がいましたよね? 

W:そうそう、真ん中に恐竜がいました。

MP:あの恐竜と、これ(地球館B1Fにいるティラノサウルス・レックス)は一緒ですかね?

W:中央ホールに居たのは、アロサウルスです。当時の食物連鎖の頂点にいた肉食恐竜ということも含めすごく似ていますが、ティラノサウルスとは違うようです。それが科博の真ん中のロビーにあった。西洋文明を象徴するような壮麗なドームのあるホールに大きな恐竜の化石が置いてある、 その絵がなんとも美しかったし、多くの人にその記憶が残っているんですよね。

今回ヴェーセンが借景するティラノサウルス・レックスは、ほとんど現物の化石で構成されたアロサウルスとは違いレプリカではあるんですが、今はアロサウルスは展示されていないこともあり、その迫力ある恐竜らしさで展示物の中でも最も愛されていると言ってもいいんじゃないか、と。

MP:あっちの新しい方の建物、今回ヴェーセンがお邪魔する地球館っていつできたんでしたっけ? 5年くらい前?

W:いや、もっと古いです。ただ科博の所蔵物はいっぱいあるということで、新しくて出来た地球館の方が全然面積が広いんですよね。あれが出来てからいろいろ展示の方法が変わって斬新になった。

MP:地図でみるとこのあたりが地球館かな…

W:そのへん建て込んでいて西洋美術館の建物が入り組んでいるんですよね… 西洋美術館コルビュジェが作ったモダニズムのすごい綺麗な建物で、隣にある東京文化会館もそれに呼応して前川国男が作ったモダニズムのすごい大切な建物です。それで科博がルネッサンスで作られていて、国立博物館本館がルネッサンスの様式をとらまえた上での和風っていう… 珍しい建物なんですよ。

MP:全然意識したことなかった…

W:(国立博物館本館の建築家は)銀座の和光を作った人なんですよ。渡辺っていう人。和の様式も捕らえていくんですけど、いろんな様式をうまく使えるデザイナーで、彼の作品で僕が好きなのは横浜のホテルニューグランド。あれもそうなんですよ。外観は、ルネサンスのフィレンチェで発展したパラッツォっていう建築様式なのに、内部意匠は和風が加味されていて、和のデザイン要素を含んだルネサンスになっています。

MP:へぇー。この上野公園の中にいろいろあるんですねー。

W:上野公園は建築博物館として機能する場所なんですよ。新しいものもそうですけど、前川国男なんか日本のモダニズムを牽引した建築家の一人で丹下健三の師匠にあたるような人ですけど、そういう人たちの作品もちゃんと点在しながら、渡辺仁のような人の作品もあったりとか。バロックの宮殿のように作られた表慶館… それは一番大きい本館の左側にあって、その奥には法隆寺宝物館という谷口さんという人が作られたんですが、 水盤の上にスッと建つ凛としたモダンな建築物がある。

…と、まぁ、科学博物館の日本館の吹き抜けでやろうとしていたところ、野崎さんと現場を見に行って、いや、やっぱり恐竜の前でやろう、 という事になったんですよね。

MP:そう。会場の下見に行って、いろいろ見てたら、日本館の吹き抜けホールそっちのけで恐竜とやりたくなっちゃたんですよね… 

W:どうしたもんかなぁ、と(笑)

MP:今さらながらですけど、よく許可がおりましたよね… 

(と、このインタビューは続く)

本日の1曲。ヴィオラのミカエルがご近所さんの誕生日に書いた快適な1曲。最高にかっこいー!! 日本ツアーの詳細はこちら