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2013年5月10日金曜日

都市楽師プロジェクト、鷲野宏さんインタビュー「代官山ヒルサイドテラス編 3」



旧朝倉家住宅正面玄関

MP:そうそう、公演の前には裏の旧朝倉家を行くツアーもありますよ。あそこはすごい!

W
:すごいですよね。大名屋敷という雰囲気を持っているでも大正時代に作られたんですよ。つまりその時代への憧れというか。大名への憧れなんですね 

朝倉家とは、この地域の大きな農家だったんですよ。この辺一帯をしきっていた豪農でした。で、朝倉家住宅を作る頃、彼は政治家でもあって東京府議会の議長をするくらいまでなった人なんですけど、朝倉家住宅というのは、いろんな意味で使われてきて、いろんな人が出入りする空間だったんですね。

大正時代だったんで、洋間もちゃんとある。南面の方に傾斜があるエリアに建っているので、見晴らしがすごくよかった。当時は富士山とかも見れたんじゃないでしょうかね。

空間構成が面白くて いろんな空間がありますけど まぁ、大きい家なんですよ。趣味人で室内にいろんな木の使い方をして遊んでいますしね。なかでも部屋の配置が面白い。庭も面白い あんまり言うと当日、ご案内する時に話すことがなくなるので、このへんにしておきますが(笑)

朝倉家住宅は古い大正時代の和風住宅なんですが、東京もこういうのが残っているところが本当に少なくて、しかも公開されているのは、ここと千駄木にある安田楠雄邸くらいですかね 

あとは椿山荘のお隣に焦雨園(しょううえん)っていう講談社の野間さんの建物があるんですけど、これは二条城みたいな屋根を持ってるホントに大きいお屋敷がある んですよね。これも大正時代に出来たものなんですが、これはあまりオープンになってなくて、よく大金持ちが殺人事件に巻き込まれる画面でTVドラマに出てきます。

MP
:へぇ!

W
:お金持ちの家、っていったら、あそこか!?みたいな(笑)その一つですね。でもあそこはクローズドで普通の人は入ることはできない。だからオープンになっているという意味では旧朝倉家住宅と、旧安田楠雄邸ですかね。

MP
:でも安田邸よりもこっちの方が大きいですよね。

W
:規模が大きいですよね。旧安田楠雄邸は安田と言っても安田財閥の中でも当主の家ではないので、それほど規模は大きくないですが、あちらも繊細な意匠がちりばめられていたりして、どちらも貴重な住宅建築です。ちなみに、旧安田楠雄邸は、ヴォランティアによる維持体制がすごくって、文化財というのがひとり一人の熱意の上にあることを実感することのできる空間でもある。

ちなみに、朝倉家住宅は政治家のミーティングにも使われたようなんですが、政治家としての朝倉虎治郎氏は、都市計画的にすごい先進的な人だったと思われるんですよね。彼はこれからの都市には大きな道が必要だ、って言って、自分の家の敷地に 大きな道をひいた。それが旧山手通り!

旧山手通りとヒルサイドテラス
MP
:えっ、じゃあこっちまで自分の土地が来てたんだ。すっごいー!

W
:全部彼の家の中だったんですよ。

MP
:すっげー!!!豪農ですね。

W
:だからこそ、今ヒルサイドテラスが、旧山手通りの左右にあるわけですよ。自分の土地なら他の人は文句言わないですよね。すごい先進的な話で、こんな広い通りを作ったわけですよ。

MP
:だって、このヘンのエリアって旧山手通りがなかったら大変ですよ。

W
:こういう大胆な動脈を、将来の都市化を予想して作ったわけですね。つまり都市計画にも大変明るい政治家だったと思います。そして趣味人だった。空間に気持ちがこもっていると感じます。

MP
:いや~ お金もちの余裕なんでしょうか(失礼)

W
:ここは戦争が終わったあとGHQに接収されていて、出ていけというわけで、その時点で朝倉家との縁がなくなった。そのあとは延々と国に引き継がれて、内閣府とか国の会議所として使われてきたわけです。僕らが映画やドラマでみる政治家が和風の建築で庭で密談をしているのは、きっとここじゃないと(笑)、ここがあぁいうドラマのモデルの一つだとおもいますけど、そういう意味でも貴重な和風住宅なんですよね。それが隣同士にヒルサイドテラスのモダニズムの建築と一緒にある、というのが面白いですよね。

MP
:さっき鷲野さんがおっしゃってた、両者の時間の感覚も、ものすごいですよね。

W
:そうですね。あの和風の大正時代(1919年)に出来てから、1969年にこのヒルサイドテラスA棟が出来る時間がある、と。で、ヒルサイド テラスから今の時代(2012年)までも結構ある。和風のあんな建築物なんて、すごい昔と思うけど まぁ大正ですから昔といえば昔ですけど

MP
:あれは大正時代としても結構大名趣味で作られた古いスタイルの建物だった、って事でしょうかね。で、一方のヒルサイドテラスが出来た時は69年にしてはものすごい近代的だった。ここで時間感覚が歪んでいるというか。

W
:そうですねー。物理的な時間の流れとは違う流れがあって、その対比関係を空間で見れるっていうことですね。そういう意味では時をテーマにしている今回の企画としては、伝統的な日本的空間としての旧朝倉邸住宅という建物を意識しながら、世界的な潮流であるモダニズムの日本的表現としてのヒルサイドテラスを眺め、そこで伝統楽器と比較的新し楽器とが組み合わさった音楽を聴いてもらえればいいと思うんですよね。そういう事で音楽の楽しみ方も変わってくると思います。



鷲野さん、落としどころが上手い!!(笑)それにしても朝倉さん、私も打ち合わせでお会いしたのですが、鷲野さんとお話ししている様子は、建築お宅…もとい、建築を愛する者同士のバイブレーションが響きあっちゃって響きあっちゃって、ホント楽しそうだったのが印象的でした。

ちょっと見方を変えるだけで、こんな風に普段歩いている街が違って見えるというのが素晴らしいと思います。

ヴェーセンの来日公演はもうすぐ。現在チケットは当日精算で受け付けております。詳細はここ。また公演当日、2時より、旧朝倉邸を鷲野さんが案内してくれるツアーもあり。メンバーも参加しますよ。参加ご希望の方はまだ受け付けておりますので、こちらへご連絡ください。あと5、6名で〆切ます。

ヴェーセンすごいよ。手拍子があると必ずなんらかの形で振り切る… アメリカ人も粘るけど(爆)ちなみに私の個人的意見ですが、ヴェーセンの曲は手拍子しない方がいいと思います。今回なんか全会場NO PAだし、手拍子したら聴こえないと思うんですが、この会場もケーブル,マイク類がないところを見るとNO PAだったんだろうけど…