まず入場すると質問を書ける紙が配られたので、こんな質問を書いてみました!
(でも最後にキュレーターの潤子さんに聞いたら、この質問が一番多かったらしい…)
というわけでイベントのレポートをしますが、あくまで私が聞き取ってメモったものです。理解があまく、誤解等があったら申し訳ございません。
藤岡直樹さん。大阪芸術大学写真学科卒業。受賞多数の巨匠カメラマン! 無印良品BGMシリーズのほとんどの写真を撮っていらっしゃいます。
これはスペイン・アンダルシアの写真。いつも撮る時に心がけていること。このシリーズは生活の中の様子、時代を超えて愛される音楽がテーマだということ。
またご存知のように無印のBGMシリーズは外側がダンボールの素材で、中をみるまでブックレットが分らないということも特徴の一つ。ケースをあけると中にブックレットが収まっています。
このときはミュージシャンがグループとして参加してるトラックが多かったため、ミュージシャンの撮影はグループ単位だったそうです。こういうのも、どうやって押さえるか等、アート・ディレクターと相談して決めていくのだそうです。
この回であらわしたかった事は「乾いた土地」「乾いているという事」フラメンコが多かったので、リズムを感じられる写真を、ということ。そして「光と陰」。
また乾いた場所でありながら、それでも水があるところに人が集まる、ということ。乾いていても植物がある、という事。
BGM8のウチのブログを見ている人だったらご存知ですよね。何度も紹介しているスウェーデン録音。この時はディレクターより「さわやかな感じ」というテーマをもらったそうで、白い背景にして、ミュージシャンが着ている服も白っぽいものが多いです。このときは外に白い建物を見つけて、みんなそこに立ってもらって撮影しました。実際の撮影はレコーディングの合間だったので、あっという間に終わりました。プロの仕事は早い!レコーディングの邪魔はしません(笑)。すごい。(ちなみにこの写真はオーマガトキさんからリリースされたアートワークです)
で、ここで説明されていたのが「オートのカメラを使っている人でもマニュアルにして露出を覚えるといい」ということでした。これは後から出てきます。
このシリーズのアートディレクターは広告関係の人なので、いろんな国のテーマとかアイコン的なものを見つけるのが得意。なので、それらを押さえていく撮影になる、というお話しでした。これが雑誌のための撮影になると、なんでも押さえておく、いろいろ撮って行く、ということになるのだそうです。なるほどー。全然違うんですね…
BGM9のナポリ編でもアイコン的なものといことで花のついたズッキーニを撮影し、それはブックレットの表4(裏表紙)に使われました。また面白いのがこの左の写真。
シャッタースピード1秒くらい。手持ちで撮っているのだそうです。このブレる、ブレないという感覚は経験を持って身につけていくのだそうです。この写真でも光の部分はにじんで点ではなく線になる。街並みは、でもブレてない感じに撮れる。
こちらはミュージシャンの写真ですが、それぞれよくみると室内で撮っているもの、屋外で撮っているもの、いろいろあります。でも(同じページに載るものなので)その差が出ないように押さえておく事がここでのポイントです。人物を撮るときは顔に露出をあわせる。そしてどれだけ明るいか、暗いかを判断する。全体のバランスを考える。それが大事。
これはBGM10のブエノスアイレス編。風景に世紀末的感じを見つけた、と藤岡さん。タンゴのイメージ、そしてタクシーの混沌とした風景、カフェの天井、お菓子のアップなどが使われています。そしてこの時はレコーディング中もずっと貼り付いていたので、楽器の写真やレコーディングの風景も撮影したところ、ブックレットもこのようなデザインになったのだそうです。
藤岡さんいわく、ミュージシャンがマイクに向かうときの真剣な表情と、ポートレートを撮る時はだいたい「何か幸せなことを考えてください」と声をかけるのだそうですが、そういった時のちょっとリラックスした表情と全然違うのが印象的だった、と。
BGM11のハワイ編では、自然の広大さを出したかったのだそうです。このようにミュージシャンをスタジオから車で少しのところに連れ出して撮影したとのこと。こちらは中心人物の大巨匠。風格ありますねー。
大自然を撮影したけど、引きの写真ばかりだと単調になるので、イルカとか林の中とか、植物なども撮影したというお話しでした。
そしてBGM12のパリ。パリは幾らでも撮れる街、と藤岡さん。セピア調のパリというアートディレクターからのオーダーで、使われた写真には多少デジタル処理も入っているそうです。
この写真などは、オリジナルのものを見せていただきましたが、明るさがだいぶ違った。そのようにデジタル処理をほどこすことを前提として撮っているものもあるのだそうです。
BGM13のリオでは、光と陰の差、貧富の差、海と山と街がとても近い。その中に人が暮らしていて、混沌とした感じ…その象徴としての写真を目指したのだそうです。サッカー場の写真も撮ったし、市場や、音楽祭みたいなものの写真も押さえたそうです。植物や日差しの強さを表した写真もあり。
これらの撮影におけるコーディネイトについて。下調べはどのくらいするのですが、というお客さんの質問にたいして。
最初のころは下調べを準備万端でのぞんでいた。それでも心配事はたくさんある。今も準備万端、なおかつ、実際それが現地に行って違っていたとしても、それを大事に出来るようになったのだそうです。
写真は絶対に人柄がでる、と藤岡さんはいいます。それは仕事で受けていようが、作品ということで撮影していようが、どうしても出てしまう。
被写体を愛でるのが大事。被写体のことをいいなーと思ってシャッターを押す。その心のうちが写る。それは良いことなので、ぜひ心がけてください、というお話しでした。
(これで分った! なぜ私が食べ物の写真が上手なのか。それはその食べ物をほんとに美味しいと思って、食べるのを楽しみにして撮っているからだ!!!)
(性格が)暗い人は暗い写真になる。それは仕方がない。それが写る、ということも含め、良いこと。大学のゼミなんかに教えに行って、墓地に学生をつれていって同じものを撮影させるのだけど、学生一人一人全然違う。まったく違うものなのだ、として考える。
あと、オートやプログラムで撮る人にアドバイスということで、このテのカメラが弱いのは真っ黒の被写体。そして真っ白の被写体だということ。暗いといけない、明るすぎてもいけない、と賢いカメラが勝手に判断してしまう。これをマニュアルで戻してやることが必要。黒は白く飛んでしまうし、白はグレイになってしまう。マニュアルにして露出の操作を覚えると良い、のこと。例えば建物や風景などは動かないから、いろいろ試して撮っていくといいものが撮れる。
シャッターとしぼり:解放で撮ると背景がボケて撮れる/絞ると近くでもピントがあわせられる…開けて撮ると早くシャッターを着ることが出来る。普通晴れた日の日中だと、1/125くらいのシャッタースピード、絞り8くらいが標準。絞って撮るとシャッタースピードが遅いとブレる。この調整が大事。最終的にはISO(感度)も調整して、1/60くらいになるまで調整していく…
光の使い方について。例えばBGM17のブックレットにも使われ、昨年のコンサートのポスターにもなった有名なこの写真ですが… 大きな木の下で撮っているので、基本的にその部分の露出が暗くなっています。
一方背景(実際の写真では白く飛んでる部分)は3段以上明るい。でも、それによって、真ん中の少女に印象が行きやすい、ということなのだそうです。これも同じ場所で順光(じゅんこう:この言葉始めて知りました!)で撮影したものを見ましたが、まるで違う写真でびっくりしちゃいました。
この撮り方だと真ん中の少女に自然に光が入ってきて、良いものが撮れる。逆光だと柔らかい、優しい光になるということなんですって。すごい!
逆に順光だと力強いものが撮れるのだそうです。たとえばブックレットには入っていないのですが、BGM7の時スコットランドで撮影した海岸にいたロブスター取りのおばさん(今、有楽町の無印良品にあるATELIER MUJIに行くとこの写真展で見れますよ!)は、力強さをあらわしたかったので、順光で撮ったのだそうです。この順光での撮影も難しく、曇り空の日だと影のない、ベタっとした写真になってしまう。それでも上から光は来ているので、下が黒っぽくなる傾向にあるそうで、とても難しい。
この光の使い方はホントにおもしろくて、この釣りの写真。スコットランドBGM7のブックレットの中のものです。これも逆光ですが、それによって川がキラキラ光っています。同じ場所を順光で撮ったものを見せてもらいましたが、川はまったくキラキラしてませんでした! 不思議!
たとえば逆光で葉っぱなんかを撮ると、葉がすけてみえてとても綺麗なんだそうです。同じ物でもまったく違う。カリっとしたものを撮るときは順光、雰囲気を出すときは逆光、と言えるかも、とのことでした。
しかしよくみると、これフライフィッシングなんですが、釣り糸も光ってて、とっても綺麗ですよねー。
人物を撮る時大事なこと。被写体になる人になるべく近づくこと。話しかけて仲良くなること。これがほぼ命!と言って良いのだそうです。特に外国人にはそうする。物を売っている人なら、何かを買う。そして許可をもらう。カメラマンにもよるけど、被写体がいやがることは絶対に藤岡さんはしないのだそうです。(それによって良い写真が撮れる事はない、ということなのでしょう)
旅をしていると、そのときだけ、という瞬間が多い。声をかけて撮影してると地元の子供がよってきたりする。目的の被写体だけではなく、他の状況も自然に入ってくるのが面白い。(あ、このお話し、先日行ったfloraの藤岡さんのコメントでもありましたね!)
ということで、ここでスライドショウで見せていただいた雑貨売りみたいなおばあちゃんとおじさんが店の前にたたずんでいる風景の写真と、そこに子供が入って来た写真との2枚を見せていただいたのですが、その対比が印象的。なるほど!!
さて、ここでついに(笑)食べ物を撮るときのコツ。露出/絞りの操作が重要なのだそうです。構図はもはやセンスの問題。何がおさまっているのがいいのかは撮る人の意識の問題だそうです。とにかく意識して撮らないとダメ。配置が良くて、適度な情報量…ということを意識する。なるほど!!!
そして料理撮影のポイント。料理は窓際がいい! そして窓際で窓側から撮ったいわゆる順光のもの、そして室内側から撮った逆光のものを2点見せていただきましたが、逆光の方がメリハリがきいて綺麗に撮れる!! なるほど、これがポイントか… 順光だと料理はフラットになっちゃうのだそうですよ。夜のライトとかがある場合も、とにかく料理よりもライトを後ろへ。ここがポイント。
果物なんかも逆光がいい。そしてシャドウ部分が多すぎとハイライトが多すぎとか、しぼりで調整していくのがいいそうです。
風景については、どうしてもデジカメのオートは濃いところを感知してしまうので、少しunderにするのが良いのだそうです。そして構図の納まりの良いところを探す。空をどのくらい入れるか、海をどのくらい入れるか。そして藤岡さんは何度も「意識して撮れ」ということを言ってました。うむ。
ロケには汎用性の高いレンズが必要で、広角から望遠まで18(14?)-200くらいのカメラ。予備としては軽いカメラを持って行くのだそうです。そして光学ズームを使うこと。デジタルズームはパソコンでしか写真を見ない、小さくしかプリントしない人向き。
動物を撮るにはとにかく記録時間の短いカメラを手にいれるといい。お店に行ってデモ機で1枚押して、その記録時間を見る。もちろん時間が短い方がいい。風景を中心に撮りたい人はパノラマモードもいいですよ、とのこと。
仕事で依頼をうけたときは、いろいろニュートラルにして渡す。最終的にはプリントの感じとか、紙の種類とかでだいぶ変わってくる。それはアートディレクターの好み。
最近藤岡さんの撮影のテーマは雪国に行って撮ること。そしてとにかく曇天が好き(笑)。
それから墓地を撮るのが好き。この墓地の写真がすごい量なんだよな…ありとあらゆる街のいろんな墓地を撮影している藤岡さん。どっかの週刊誌の巻頭とかで特集できないかなー ホントすごいんだもの…。墓地は街の縮図だ、と藤岡さんは言います。カトリック/プロテスタント、宗教によっても違う。貧しい人、金持ちの人によっても違う。カトリックの貧しい人の墓地は通っている人が多い感じがして良い。金持ちのすごい墓地だと人があまり来ていない感じがする。アーリントン墓地やショパンのお墓(お参りする人が多くて大騒ぎ/笑)みたいなものも見せていただきました。
そして「執着して撮る」ということも大事だ、というお話もありました。たとえば高い塔の先にとまった鳥の写真。ちょっと自分のいる位置を変えて角度を変えて撮ってみる。鳥が反対側を向いたり動くのを待ってみる。そして何度かトライしていくうちに最終的に満足のいくものが撮れるのだそうです。
うーん、なるほど。とりあえず自分のデジカメ。いつもオートモードで撮ってたけど、いろいろ試してみようかな。
藤岡さん、ATELIER MUJIの皆さん、ありがとうございました。
藤岡さんの写真展は、現在都内2ケ所で開催中。
島のケルト「音と風光」@無印良品ATELIER MUJI。詳細はここ。6/9(日)まで。
flora@エモン・フォトギャラリーにて。詳細はここ。6/8(土)まで。
なお私がコーディネイトを担当したBGM4(ダブリン録音)、BGM7(スコットランド録音)、BGM8(スウェーデン録音)、BGM17(ダブリン録音)のCDは、たった1,000円+税で無印良品各お店か、ここでも販売中。ぜひチェックしてくださいね〜
(でも最後にキュレーターの潤子さんに聞いたら、この質問が一番多かったらしい…)
というわけでイベントのレポートをしますが、あくまで私が聞き取ってメモったものです。理解があまく、誤解等があったら申し訳ございません。
藤岡直樹さん。大阪芸術大学写真学科卒業。受賞多数の巨匠カメラマン! 無印良品BGMシリーズのほとんどの写真を撮っていらっしゃいます。
これはスペイン・アンダルシアの写真。いつも撮る時に心がけていること。このシリーズは生活の中の様子、時代を超えて愛される音楽がテーマだということ。
またご存知のように無印のBGMシリーズは外側がダンボールの素材で、中をみるまでブックレットが分らないということも特徴の一つ。ケースをあけると中にブックレットが収まっています。
このときはミュージシャンがグループとして参加してるトラックが多かったため、ミュージシャンの撮影はグループ単位だったそうです。こういうのも、どうやって押さえるか等、アート・ディレクターと相談して決めていくのだそうです。
この回であらわしたかった事は「乾いた土地」「乾いているという事」フラメンコが多かったので、リズムを感じられる写真を、ということ。そして「光と陰」。
また乾いた場所でありながら、それでも水があるところに人が集まる、ということ。乾いていても植物がある、という事。
BGM8のウチのブログを見ている人だったらご存知ですよね。何度も紹介しているスウェーデン録音。この時はディレクターより「さわやかな感じ」というテーマをもらったそうで、白い背景にして、ミュージシャンが着ている服も白っぽいものが多いです。このときは外に白い建物を見つけて、みんなそこに立ってもらって撮影しました。実際の撮影はレコーディングの合間だったので、あっという間に終わりました。プロの仕事は早い!レコーディングの邪魔はしません(笑)。すごい。(ちなみにこの写真はオーマガトキさんからリリースされたアートワークです)
で、ここで説明されていたのが「オートのカメラを使っている人でもマニュアルにして露出を覚えるといい」ということでした。これは後から出てきます。
このシリーズのアートディレクターは広告関係の人なので、いろんな国のテーマとかアイコン的なものを見つけるのが得意。なので、それらを押さえていく撮影になる、というお話しでした。これが雑誌のための撮影になると、なんでも押さえておく、いろいろ撮って行く、ということになるのだそうです。なるほどー。全然違うんですね…
BGM9のナポリ編でもアイコン的なものといことで花のついたズッキーニを撮影し、それはブックレットの表4(裏表紙)に使われました。また面白いのがこの左の写真。
シャッタースピード1秒くらい。手持ちで撮っているのだそうです。このブレる、ブレないという感覚は経験を持って身につけていくのだそうです。この写真でも光の部分はにじんで点ではなく線になる。街並みは、でもブレてない感じに撮れる。
こちらはミュージシャンの写真ですが、それぞれよくみると室内で撮っているもの、屋外で撮っているもの、いろいろあります。でも(同じページに載るものなので)その差が出ないように押さえておく事がここでのポイントです。人物を撮るときは顔に露出をあわせる。そしてどれだけ明るいか、暗いかを判断する。全体のバランスを考える。それが大事。
これはBGM10のブエノスアイレス編。風景に世紀末的感じを見つけた、と藤岡さん。タンゴのイメージ、そしてタクシーの混沌とした風景、カフェの天井、お菓子のアップなどが使われています。そしてこの時はレコーディング中もずっと貼り付いていたので、楽器の写真やレコーディングの風景も撮影したところ、ブックレットもこのようなデザインになったのだそうです。
藤岡さんいわく、ミュージシャンがマイクに向かうときの真剣な表情と、ポートレートを撮る時はだいたい「何か幸せなことを考えてください」と声をかけるのだそうですが、そういった時のちょっとリラックスした表情と全然違うのが印象的だった、と。
BGM11のハワイ編では、自然の広大さを出したかったのだそうです。このようにミュージシャンをスタジオから車で少しのところに連れ出して撮影したとのこと。こちらは中心人物の大巨匠。風格ありますねー。
大自然を撮影したけど、引きの写真ばかりだと単調になるので、イルカとか林の中とか、植物なども撮影したというお話しでした。
そしてBGM12のパリ。パリは幾らでも撮れる街、と藤岡さん。セピア調のパリというアートディレクターからのオーダーで、使われた写真には多少デジタル処理も入っているそうです。
この写真などは、オリジナルのものを見せていただきましたが、明るさがだいぶ違った。そのようにデジタル処理をほどこすことを前提として撮っているものもあるのだそうです。
BGM13のリオでは、光と陰の差、貧富の差、海と山と街がとても近い。その中に人が暮らしていて、混沌とした感じ…その象徴としての写真を目指したのだそうです。サッカー場の写真も撮ったし、市場や、音楽祭みたいなものの写真も押さえたそうです。植物や日差しの強さを表した写真もあり。
これらの撮影におけるコーディネイトについて。下調べはどのくらいするのですが、というお客さんの質問にたいして。
最初のころは下調べを準備万端でのぞんでいた。それでも心配事はたくさんある。今も準備万端、なおかつ、実際それが現地に行って違っていたとしても、それを大事に出来るようになったのだそうです。
写真は絶対に人柄がでる、と藤岡さんはいいます。それは仕事で受けていようが、作品ということで撮影していようが、どうしても出てしまう。
被写体を愛でるのが大事。被写体のことをいいなーと思ってシャッターを押す。その心のうちが写る。それは良いことなので、ぜひ心がけてください、というお話しでした。
(これで分った! なぜ私が食べ物の写真が上手なのか。それはその食べ物をほんとに美味しいと思って、食べるのを楽しみにして撮っているからだ!!!)
(性格が)暗い人は暗い写真になる。それは仕方がない。それが写る、ということも含め、良いこと。大学のゼミなんかに教えに行って、墓地に学生をつれていって同じものを撮影させるのだけど、学生一人一人全然違う。まったく違うものなのだ、として考える。
あと、オートやプログラムで撮る人にアドバイスということで、このテのカメラが弱いのは真っ黒の被写体。そして真っ白の被写体だということ。暗いといけない、明るすぎてもいけない、と賢いカメラが勝手に判断してしまう。これをマニュアルで戻してやることが必要。黒は白く飛んでしまうし、白はグレイになってしまう。マニュアルにして露出の操作を覚えると良い、のこと。例えば建物や風景などは動かないから、いろいろ試して撮っていくといいものが撮れる。
シャッターとしぼり:解放で撮ると背景がボケて撮れる/絞ると近くでもピントがあわせられる…開けて撮ると早くシャッターを着ることが出来る。普通晴れた日の日中だと、1/125くらいのシャッタースピード、絞り8くらいが標準。絞って撮るとシャッタースピードが遅いとブレる。この調整が大事。最終的にはISO(感度)も調整して、1/60くらいになるまで調整していく…
光の使い方について。例えばBGM17のブックレットにも使われ、昨年のコンサートのポスターにもなった有名なこの写真ですが… 大きな木の下で撮っているので、基本的にその部分の露出が暗くなっています。
一方背景(実際の写真では白く飛んでる部分)は3段以上明るい。でも、それによって、真ん中の少女に印象が行きやすい、ということなのだそうです。これも同じ場所で順光(じゅんこう:この言葉始めて知りました!)で撮影したものを見ましたが、まるで違う写真でびっくりしちゃいました。
この撮り方だと真ん中の少女に自然に光が入ってきて、良いものが撮れる。逆光だと柔らかい、優しい光になるということなんですって。すごい!
逆に順光だと力強いものが撮れるのだそうです。たとえばブックレットには入っていないのですが、BGM7の時スコットランドで撮影した海岸にいたロブスター取りのおばさん(今、有楽町の無印良品にあるATELIER MUJIに行くとこの写真展で見れますよ!)は、力強さをあらわしたかったので、順光で撮ったのだそうです。この順光での撮影も難しく、曇り空の日だと影のない、ベタっとした写真になってしまう。それでも上から光は来ているので、下が黒っぽくなる傾向にあるそうで、とても難しい。
この光の使い方はホントにおもしろくて、この釣りの写真。スコットランドBGM7のブックレットの中のものです。これも逆光ですが、それによって川がキラキラ光っています。同じ場所を順光で撮ったものを見せてもらいましたが、川はまったくキラキラしてませんでした! 不思議!
たとえば逆光で葉っぱなんかを撮ると、葉がすけてみえてとても綺麗なんだそうです。同じ物でもまったく違う。カリっとしたものを撮るときは順光、雰囲気を出すときは逆光、と言えるかも、とのことでした。
しかしよくみると、これフライフィッシングなんですが、釣り糸も光ってて、とっても綺麗ですよねー。
人物を撮る時大事なこと。被写体になる人になるべく近づくこと。話しかけて仲良くなること。これがほぼ命!と言って良いのだそうです。特に外国人にはそうする。物を売っている人なら、何かを買う。そして許可をもらう。カメラマンにもよるけど、被写体がいやがることは絶対に藤岡さんはしないのだそうです。(それによって良い写真が撮れる事はない、ということなのでしょう)
旅をしていると、そのときだけ、という瞬間が多い。声をかけて撮影してると地元の子供がよってきたりする。目的の被写体だけではなく、他の状況も自然に入ってくるのが面白い。(あ、このお話し、先日行ったfloraの藤岡さんのコメントでもありましたね!)
ということで、ここでスライドショウで見せていただいた雑貨売りみたいなおばあちゃんとおじさんが店の前にたたずんでいる風景の写真と、そこに子供が入って来た写真との2枚を見せていただいたのですが、その対比が印象的。なるほど!!
さて、ここでついに(笑)食べ物を撮るときのコツ。露出/絞りの操作が重要なのだそうです。構図はもはやセンスの問題。何がおさまっているのがいいのかは撮る人の意識の問題だそうです。とにかく意識して撮らないとダメ。配置が良くて、適度な情報量…ということを意識する。なるほど!!!
そして料理撮影のポイント。料理は窓際がいい! そして窓際で窓側から撮ったいわゆる順光のもの、そして室内側から撮った逆光のものを2点見せていただきましたが、逆光の方がメリハリがきいて綺麗に撮れる!! なるほど、これがポイントか… 順光だと料理はフラットになっちゃうのだそうですよ。夜のライトとかがある場合も、とにかく料理よりもライトを後ろへ。ここがポイント。
果物なんかも逆光がいい。そしてシャドウ部分が多すぎとハイライトが多すぎとか、しぼりで調整していくのがいいそうです。
風景については、どうしてもデジカメのオートは濃いところを感知してしまうので、少しunderにするのが良いのだそうです。そして構図の納まりの良いところを探す。空をどのくらい入れるか、海をどのくらい入れるか。そして藤岡さんは何度も「意識して撮れ」ということを言ってました。うむ。
ロケには汎用性の高いレンズが必要で、広角から望遠まで18(14?)-200くらいのカメラ。予備としては軽いカメラを持って行くのだそうです。そして光学ズームを使うこと。デジタルズームはパソコンでしか写真を見ない、小さくしかプリントしない人向き。
動物を撮るにはとにかく記録時間の短いカメラを手にいれるといい。お店に行ってデモ機で1枚押して、その記録時間を見る。もちろん時間が短い方がいい。風景を中心に撮りたい人はパノラマモードもいいですよ、とのこと。
仕事で依頼をうけたときは、いろいろニュートラルにして渡す。最終的にはプリントの感じとか、紙の種類とかでだいぶ変わってくる。それはアートディレクターの好み。
最近藤岡さんの撮影のテーマは雪国に行って撮ること。そしてとにかく曇天が好き(笑)。
それから墓地を撮るのが好き。この墓地の写真がすごい量なんだよな…ありとあらゆる街のいろんな墓地を撮影している藤岡さん。どっかの週刊誌の巻頭とかで特集できないかなー ホントすごいんだもの…。墓地は街の縮図だ、と藤岡さんは言います。カトリック/プロテスタント、宗教によっても違う。貧しい人、金持ちの人によっても違う。カトリックの貧しい人の墓地は通っている人が多い感じがして良い。金持ちのすごい墓地だと人があまり来ていない感じがする。アーリントン墓地やショパンのお墓(お参りする人が多くて大騒ぎ/笑)みたいなものも見せていただきました。
そして「執着して撮る」ということも大事だ、というお話もありました。たとえば高い塔の先にとまった鳥の写真。ちょっと自分のいる位置を変えて角度を変えて撮ってみる。鳥が反対側を向いたり動くのを待ってみる。そして何度かトライしていくうちに最終的に満足のいくものが撮れるのだそうです。
うーん、なるほど。とりあえず自分のデジカメ。いつもオートモードで撮ってたけど、いろいろ試してみようかな。
藤岡さん、ATELIER MUJIの皆さん、ありがとうございました。
藤岡さんの写真展は、現在都内2ケ所で開催中。
島のケルト「音と風光」@無印良品ATELIER MUJI。詳細はここ。6/9(日)まで。
flora@エモン・フォトギャラリーにて。詳細はここ。6/8(土)まで。
なお私がコーディネイトを担当したBGM4(ダブリン録音)、BGM7(スコットランド録音)、BGM8(スウェーデン録音)、BGM17(ダブリン録音)のCDは、たった1,000円+税で無印良品各お店か、ここでも販売中。ぜひチェックしてくださいね〜