ダミアン&ドナ、そろそろネットでのチケット販売を閉め切ります

今朝、荒川土手を走る時、iPodにスティーブ・ジョブズのロスト・インタビューと、スタンフォード大学でのスピーチの音声を入れたものを聞きながら走った。英語の勉強になって良い。7km。最近毎日走る距離の標準が7kmになってきた。体重もわずかだけど減って来たし、もちろん風邪なんてひく気にもなれないし、すこぶる元気だ。

走る時にジョブズの声を聞くなんて、まるで走っている場所が荒川土手じゃなくてシリコンバレーみたいだよね。いよいよ私もジョブズ教に入信か?(笑)スティーブの声は普段アメリカ英語が嫌いな私でも、なぜかとっても聞きやすい。

それにしてもあいかわらずペッテリが帰国してしまったあとのペッテリ・ロスがひどい。本当に笑ってしまうが、もう50近いっていうのに、まったくもって仕事にドライに接することが出来ない。それを幸せと取るか不幸せと取るか。毎回毎回、困ったもんだよなと思う。そんな時スティーブの声を聞くと、それでいいんだよ、って言ってくれているようで、すごく落ち着く。スティーブなら、私のこの気持ちを分かってくれるんじゃないか,そういう風に思う。まぁ、スティーブ教の入信者,全員そう思っているんだろうけどね。

本当にジョブズは仕事を心から愛した。愛する物には出会った時に分かる。だからセトルしないで、見つかるまでさがせ、とジョブズは言う。分かる。分かるよ、その感じ。そうなんだよね。自分のアーティストには出会った時に分かるんだわ、あ、これは私のアーティストだ!って。

そんなわけで今、仕事的には気合いが入りまくっている。今日は今日とて久々に夕方電話をしてきた某社の社長が「あまロスが激しくて」とかバカな事言ってるので「何もやる事がない人はそれでいいけど、私たちみたいに発信する側はそれじゃダメですよ」と大説教。(Mさん、ネタにしてすまぬ。でもホントそうだよ。元気だして行きましょう!)ふふふ、ちょっと笑えた。なんというかTVドラマに感動できる時間がある人がうらやましい。あいかわらずこちらは強烈に忙しい。仕事は待ってくれないので、とにかく端から片付けていくわけだが、まったくもって今日も今日で仕事がたまりっぱなしで、あちこちに迷惑をかけている。ふぅ。

寂しいから仕事に没頭するわけだが、しかしこんなに感情移入してしまうのも、私にとっては自然なことで、89年くらいのキングレコード時代のメアリー・ブラックですでにそうだったのだから、別に昨日今日はじまった事ではない。そして20年以上たった今でも若い29歳の子に感情移入し,この子の将来をなんとかしたいと強く決意を新たにしているわけなのだ。自分でも呆れる。

しかし、この感情移入遍歴も、1つ1つ思い返えしてみれば、やっぱりルナサが一番重傷だった。自分が過去もっとも激しく感情移入したのは、やっぱりルナサだと思う。

ちょっと恋愛歴語るようで悪いけど(笑)、こんなに愛したバンドは他にはいない。今でもすごく愛している。彼らが音楽キャリアにおいても、それぞれの家庭においても、うんと幸せになってほしいといつも心から願っている。売れるとか売れないとか、まったく関係ない。彼らがなるべく長くこの日本でツアーできるようにすることが私の仕事だ。そしてそれは今のところ、ものすごく成功しているように思う。

ルナサの初代マネージャーのベッキーがよくルナサの事を「my band」と呼んでいたが、今でも私がmy bandと言う時、それは間違いなくヴェーセンでもなくラウーでもなく、やっぱりルナサなのだ。マネージャーも何度か変わった。レコード会社も何度か変わった。彼らが世界各国で一緒に仕事しているエージェンシーやプロモーターのメンツも変わった。でも私は日本で最初から、それこそ彼らがルナサと名乗る前から今にいたるまでずっとずっと彼らと仕事をしている。まぁ、彼らにとっては、この日本のテリトリーに、他にチョイスがなかった、ってのもあるかもしれないけどね。でも、こんなに長くかかわり合いになれるなんて彼らも私もホントに幸せ者だと思う。それを誇りに思わずしてどうするか、って言うことだ。彼らに会わなかったら今の私はなかったのだし。ルナサは私にたくさんの幸せと、ちょっとした成功も運んできてくれた。

まぁ、ルナサの初来日秘話については、何度かここに書いているから、もう書かないが、とにかく感情移入しすぎたせいで、ルナサの初来日が終わった時の辛さといったらなかった。まだ今でもあの時の空虚感を覚えている。今でも覚えているがあれは成田の第2ターミナルだった、って事。彼らはフライトの関係で香港へと飛んでいった。サンプラントのロケバスにメンバーを乗せて、一人で見送りにいったと記憶している。当時のリーダーだったトレヴァーに必死に「次のスケジュール、早く決めようね」って何度も言った。あの時のポッカリ感といったらなかった。それはもうひどい失恋をしたみたいだった。っていうか、自分のどんな失恋も、かなわないくらいの心の痛さだった。それは最初の2、3本のツアーと続いた。だから、そこから立ち直ろうと、いつも彼らのツアーが終わると、またすぐ海外に彼らをおいかけていった。日本に「置いてかれる」っていう状況に耐えられなかったのだと思う。彼らに会いに行って現地に彼らを置いて私が帰ってくれば「私が彼らを置いて行く」という事になるから、まだ気持ちが落ち着いたのだ。

そんな風に最初のツアーの後、会いにいったのはオックスフォードだった。小屋に歩いて向かったら、なんと向こうからドナが歩いてきて、すごくビックリしてくれた。最近じゃ、もう直近のツアーの事すらろくに覚えていないのに、あの時のことはまだ今でもはっきりと覚えている。ロン・カバナ先生が見に来ていたことも。そのオックスフォードの小屋がもう潰れてないことも。

初期のルナサ、本当に私は感情移入しまくった。しかしあの頃の気持ちを思うに、今でも、そしてこれからも、おそらくここまで愛せるバンドは今後出てこないだろうなと思うのだ。そして、初期のルナサは、私にとっては間違いなく、イコール、今度来日するドナ・ヘナシーだった。これも間違いない事実だ。

ドナはルナサの中で一番の悪ガキ、やんちゃ坊主のキャラクターで、一番可愛かった。身体も大きくて、手も大きかった。よく肩をもんであげていたが(今じゃ、自分のアーティストにそんな優しい事はしない)、ドナはよくお返しにって言って、私の肩をもんでくれた。ドナがもむと、手が大きすぎて胸まであがっちゃう感じだった(笑) 落ち着いてジェントルマン、高学歴の(笑)トレヴァーとは、よく弟に間違えられてたけど、二人の性格はまるで違う。ドナは目がギョロっとしていて、言葉もなんだかダブリン訛りが強くて、しゃべると声が異様にでかかった。ツアー中、一番私にヨーコ、ヨーコってかまってくるのもドナだった。ドナに比べると他のメンバーは結構私に気をつかってくれているところがある。でもドナはなんだか最初からうんとストレートだった。直球でいつもぶつかって来た。だから私もドナが大好きだった。

ドナはそんな風に一番可愛かったし、そして、なんといっても初期のルナサの音楽の要はドナが握っていた。初期のルナサは本当に喧嘩がたえなかった。仲が良い証拠だよね。普通、大人になったらみんな喧嘩なんかしないじゃん? でもドナは、リハーサルの最中、サウンドチェックの最中、楽屋、かまわず「そこでお前が遅れるからいけないんだよ!」って他のメンバーに向かって大きな声を出していた。ドナはルナサの音楽的リーダーでアレンジの指示はもちろんカウントを出したり、セットリストを書いてたのもドナだった。

でもドナはツアーが嫌いで、実はバンドをやめるだいぶ前から、ツアーはもう嫌だ。辞めたい、ってずっと言ってた。私は訪ねて行った先の極寒ウィーンで初めてそれを聞かされ、ほんとに心が痛くなった。あの時のドナの言葉を一字一句覚えている。帰国してプランクトンの恵子さんに相談したが「それは外には言えないわね」と言われた。そりゃそうだ…と思った。自分ではどうすることもできなかった。そうこうしているうちに、ドナがバンドを辞めた、という話を聞いた。

みんなルナサのファンだと言う。そうね、ルナサはウチで一番大きなアーティストだものね。でもみんな彼らのサウンドを本当にどこまで理解しているのかな、と思う。私にとってドナがいた時のルナサと、ドナが辞めてからのルナサはまるで違う別のバンドだ。その一方で、ドナが辞めて、新しいギターのポール・ミーハンの最初の来日の時、私に向かって「ギターのパワーが落ちましたね」と言ったやつが何名かいたが、そいつらの顔を、オレはぶん殴ってやりたいと思っていた。私は全員覚えているぞ(笑)。そんな事、お前らに言われなくても、オレが一番分かっているに決まってるだろーが。ドナが辞めて一番辛いのはメンバーだったし、私だった。

…というのを、今、10年以上たって、ドナがダミアンと来日するということが決まって、初めてここに書ける(笑)しかしああいう事を私に向かっていう人って、どうなんだろうね。私が気づかないと思ってるんだろうか。バンドは有機的なもので一つとして同じ場所に留まっていない。たえず変化していく。それでも私たちは続けていくのだ。そして続けていくと決めたからには外野の批判もあまんじて受けて行くしかない。

ドナが辞めるというコンサートのとき、ショーンは人目をはばからずステージでポロポロ泣いていたそうだ。私も実際大ショックで、しばらくたちなおれなかった。実はドナが辞めたというニュースは、ドナが参加する最後のコンサートに行ったというアルタンの連中から聞いた。その時はなんでマネージャーが私に最初に言ってこないのか、と正直腹立たしく思ったが、ルナサのホームページはそれからしばらくもギタリストのところにドナ・ヘナシーの名前がずっと掲げられていたから、もしかするとバンドも気まぐれなドナがまた戻ってくることも想定していたのかもしれない。

ドナと私は辞めてからも何度か現地で会う機会があった。最後に会ったのはキラーニーだったかな。ルナサのコンサートを見に行ったらドナが客席に来ていた。そのときも元気そうだった。そのうちFacebookとかが流行だせば、もう遠くにいる感じがまるでしなかった。ドナが飼っていた犬が交通事故でなくなったことも。そして新しい犬をアダプトしたこともFacebookで知った。ドナもルミエールとレコーディングしたとか、ダミアンのCDをプロフシュースしたと言っては、マメにメールをくれたりCDを送ってくれたりもした。

そして、今回、ドナがアコーディオンのダミアンと一緒に約10年ぶりに日本に戻ってくることになった。もちろん年末のルナサの来日も楽しみだ。今のルナサは私にとっては長く長くつれそった夫婦みたいな存在で、彼らのことを思うと心の底からあったかくなるような気持ちだ。これについては、またルナサの来日直前に書く。ただ、今、そして11月の私にとっては、あの初期のルナサ・サウンドがまた来日出来る、というが嬉しくてたまらないのだ。

ドナ、ダミアン早くおいで〜。寿司好きの現役ルナサの連中と違って、二人とも魚とか海からあがったものが一切NGなので、今回のツアーは肉三昧だね(笑) そういや、いつだったかルナサの来日中、絶対に食べないと死んじゃういってクアトロの楽屋を飛び出し、ドナと一緒にTGI Fridaysに行ったことがあったっけ。懐かしすぎる。あぁいうところもドナ、一度言い出したら聞かないタイプで、ホント可愛かったな。(アテンドする方は大変だったけど)

これなんか典型的ドナ・サウンド。ギターの音が聴こえただけでゾクゾクする。


ちょっと前にルナサOBでこんなツアーもやってたみたい。私も相当心が動いたけど、まぁ立場上、日本でこれをやるわけには行かないよね…


なにはともあれダミアンと一緒にやってくるよ、ドナが♥


公演のチケットですが、今週金曜日で〆切ます。そのあと、お取置きも受付ますが、チケットを事前に欲しい方はお早めにどうぞ。詳細はここ!