若い子、最高! これからは若い子のために働く!

ってなわけで、本日よりダミアン&ドナの公演は、公演日が近づいてきたため、チケットの輸送期間を考慮し、先ほど「チケット販売」から「当日精算/お取置きモード」に変わりました。当日お名前と予約番号を言っていただければ、受付でチケットを用意しておきます。ご希望の方はお名前/枚数/電話番号をこちらにメールしてくださいね。

それにしても楽しみだな、ダミアン。この映像なんか、すごくいいでしょ。ものすごい大先輩たちに囲まれ、でも音は間違いなくダミアンが引っ張ってるよね。そもそも鬼才フランキーなんて付いて行くのだけだって大変なのにさ。



フランキーって関わった人すべてが悪口を言う人なんだけど(笑)、ダミアンはあまり悪口を言わない。もしかしたらこれから聞けるのかもしれないけど(笑) 無印の企画のときにずっと一緒だったときも、何度か誘導かけてみるが、あまり言わない。でも、これは会話全体に言えることなんだけど、なんか妙にドライで、とてもプロフェッショナルなところがある。それはペッテリもしかり。いろいろ問題があってもあまりウエットにグチらない。まぁ、とにかく若い子はしっかりしているよ、という印象なのだ。

今,この時代に20代でいる、ってどういう気持ちなんだろうね。私だって、年金もらえるようになるまで(それまで年金があれば、なのだが/笑)、あと15年くらいは働かないといけない。それだってウンザリするのに。彼らの未来は、決して明るくないが、うんざりするほど長い。今「あぁ、これから先、長生きして楽しく過ごしたい」なんて単純に思う若者なんていないんだよね。お金をもうけて幸せになりたい、みたいな単純な発想を持っている子もいない。彼らはしっかり現実が分かっている。お金や成功=幸せでないことも、私たちよりもよっぽど知っている。

私たちの世代はホント、甘やかされて育ったせいか、こんな風に問題があふれる世界をうまく渡っていることに慣れていない。それが非常にストレスなわけだ。昔みたいにある程度、無知で、世間で何が行われているかあまり知らず…TVや新聞にあるものが本当だとずっと思ってきた時代に甘やかされている我々に、ホントに時代が辛すぎる、といつも思うのだ。そんな時、この若者受難の時代に、彼らは何を考えているんだろう、って。

いやいや、絶対に世界はいい場所なってきている、と信じたいね。単にいろんな問題が情報のあり方が変わったせいで露呈しているだけだ。でもって、今,20代の世代は自分が学校を離れて世の中を出たころからそんな風に問題にあふれる世の中を渡りあるいてきたせいだからかなぁ。未来が良くなるとは限らない、って分かっている世代。新人類ではないけど、私にとって彼らは宇宙人ですらある。なんか、こうドライで、私たちなんかよりも、うんとしっかりしてるんだよ。うまく説明できないけど。

そのくせ、やっぱり生きてきた時間は短いから、こっちが言うことが与える影響力がもう計りしれない。そこがたまらないんだよね。やっぱり若い子はすごくいい。私が、あの時はこうだった、あぁだったみたいなちょっとした話をしたりするだけで、彼らはキラキラとした表情で熱心に聞いてくれる。やばいよ。だから音楽業界の不況をよそに大量の退職金手にして逃げ切ったバカ親父みたいに「レコーディングにン千万かけたよ」、とか、「俺が〜〜(ビックなアーティストの名前)と仕事した時はー」みたいな話はなるべくしないように気をつけているのだが、とにかく私が言う、音楽とは何か,音楽はどこから来てどこへ行くのか、お客さんとは何か、自分のキャリアを作って行くこと…みたいな話題を真剣に聞いて、さわやかな返事をしてくれるのが彼らなのだ。とにかく彼らとの会話には話題がつきない。このブログにもよく書いているけど、私はそういう話をしたり聞いたりするのが、本当に大好き。だから純粋で、しっかり者で、真面目な彼らとはホントにウマがあう。で、彼らの役にたてると、あ、まだ自分もこの業界にいていいのかな、って思うんだ。とにかく年寄りは若い子に役にたってナンボ、若い子に仕事をまわせてナンボ、だと思うのだ。

そんな風に思ってたところに、ペッテリにさらにパワーをもらって、これからMUSIC PLANTが新しく手がけるアーティストは、とにかく自分よりうんと若いアーティストだけにしよう、と心に誓ったのだった…(笑) まぁ、来年からの展開を見ててくださいよ。もちろんジジイどももたくさん来るのでお楽しみに。でも新規アーティストはおそらく、うんと歳が下の子たちになると思う。…というか、そうしたいと思う。

そういう決意も新たな中、ダミアン・ムレーンはその第1弾アーティストだ!! 頑張るぞ。とにかく音楽業界なんてとくにそうなんだけど、早く60、70オーヴァーの親父たちを引退させて、若い子にもっと活躍の場をあげないとダメだ。若い子をうんと登用していかないと将来はない、と思うよ。

しかし若い子たちってどんな風にこの世界を見ているんだろう。すごく興味があるよ。でもたとえば伝統音楽界において言えば、音楽家としては恵まれたことに、すでにジャンル分けの壁のくだらさは優秀な先輩たちの活躍のおかげで、まるで縛りがなくなっている。そのせいもあって、すごく自由なようにも見える。自由は怖い、という一面もあるが、それでもそこを渡り歩いて行かないといけない。だからすでに彼らは夢みたいな事はあんまり言わない。彼らは先輩方の苦労もよく知っているし、現実をよく知っている。

あと音楽のことを言えば、聞いて来た音楽が違うせいか、ものすごいリズムがシャープ。やっぱアコーディオンの一番大事なことはリズム感だと思う。この前まで来てたペッテリもそうだったけど、若い子はリズムがシャープですっごくいい。上手い事を人に印象づけるためには、リズム感がしめるわりあいが比較的大きいと思う。上手い、っていうか、カッコ良さ、かな。誰でも練習すりゃある程度まで弾ける、みたいな楽器はあるかもしれないけど、やっぱりリズムは天性のものだ。(でもヴィクター・ウッテンなどはものすごいリズム練習をしているらしい。となると、やはりすべては練習のたまものなのかも? でもそれがトレーニングの賜物だったとしても、“これで良し”みたいな部分は自分で決めるわけであって、となるとやっぱり天性の感覚なのかも。あともう一言言えば、日本人のミュージシャンのリズム感が悪いのはやはり…以下自粛)

しかしダミアン、何が魅力って、リズムがいいのと、とにかく細かいフレージングが気が利いているのがいい。音がものすごくシャープだし、アイリッシュミュージックのアコにこんなに細かくフレーズを入れこんでくるのは過去のスタイルになかったかも。いや…でも、マーティン・オコナーとかも音数はんぱないしなー。いや、マーティン・オコナーのそれはもっとアイリッシュっぽいのだが、ダミアンの装飾音はもっと違う感性から来ているような気がしてならない。なんかフレンチとか、フィンランドとか大陸アコ系だと思う。この感じは過去、私が大プッシュしたデイヴィッド・マネリーにはないあか抜けた感覚だ。s

こう言ってはなんだか、そもそもアコはアコという楽器自体、格好いいものではない。それを格好よく弾くには相当うまくないといけないと思う。そのくらいすごい才能がダミアンにはある。しかもドナのバックアップだ。相当格好よくキマること間違いないだろう。

ホント若い子と仕事するのはいい。若い子たちは私にパワーをくれる。彼らの音楽もそうだ。ほんとに、ほんとうに!

ダミアンは実は今年6月、無印のコンサートで来日していた。あの時のギターのマットとフィドルのブレンダンとのトリオも相当良かったが、やはりあくまで無印BGMのレコーディングのためのメンツであることは確かだ。しかし今回は自分の音楽で勝負しに日本にやってくる。ミュージシャンはやっぱりそれがないとダメだと思う。自分の音楽で勝負。それだよね。

それにしてもこの映像かっこいいなぁ! ワン・ロウのアコをガシガシと弾くダミアン。
Damien Mullane, Donagh Hennessy & Trevor Hutchinson 'Master Crowley's/ Maud Miller's/The musical priest' at Fleadh Live 15/8/13 from Fleadh Cheoil on Vimeo.

さてそのダミアンとドナの公演はいよいよ来週末。公演の詳細はここ。当日お名前と予約番号を言っていただければ、受付でチケットを用意しておきます。ご希望の方はお名前/枚数/電話番号をこちらにメールしてくださいね。

PS
「若い子のため」ってナンか違うよね。もらっているのは私の方。「若い子と一緒に」が正しいかな。