東浩紀、津田大介、開沼博、福島第一原発観光地化計画実行委員会 DVD「19862011」を観ました

CAMPFIREでちょこっと投資したので(笑)、ゲンロンから送られてきました。このDVD。

すごく良かった! 小嶋MUTEVOX裕一さんが監督なので、監督の前作「おくの細道2012」にテイスト似ているかな。あいかわらず低予算(笑)だけどリアルで、余計な演出もなく、まさに一緒に旅している感じのドキュメンタリー。でも前作よりもも、うんと短くてコンパクトにまとまっているから、忙しい時でもさっと観ることが出来てよかった。58分。

観光地化する原発跡地!というコンセプトで発表された思想地図β Vol.4「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」の、実際の取材シーンを捉えたDVDだ。実は私は本の方は購入したまま、まだ読めてない。早く読まないと!!! ってういか、最近、津田さんのメルマガもためちゃってて、全然読めてない、ホントにやばい。

チェルノブイリの町を訪ねる一行。まだまだ住んでいる人たちがいるのがすごい。実際ゾーンで働いている人も多く住んでいて、生活の様子がある。廃墟で撮影もあって、ボロボロになった子供のおもちゃとかが埃だらけで転がっているんだけど「このヘンは後から写真家が演出のために置いたものもある」っていう解説に思わず吹き出す。

そうか…そうだよねぇ…

そしていよいよ原発の中へ。コントロールパネルなども、70年代というか、なんというか… 圧巻だ。そして原発事故の記念博物館や公園なども映し出される。

博物館のキュレターさんや、まさに実際、事故を体験した高齢の方なども、いろんな人の言葉が取材されていく。それぞれの皆さんが生き生きと語るのが印象に残った。

中でも観光プランナーのセルゲイさんの言葉が、東さんたちが目指している福島第一原発観光課プロジェクトの意味を強く語っていたと思う。

「観光は放射能事故から地域が回復するためにぜったいに不可欠な要素です」
「観光は事故処理を成功に導く指標となる」
「観光が現代の科学にもとづいて整備されているならば、放射能の危険性についての正しい理解を得るための啓蒙手段として大きな力を持つ」
「地域復興のための経済効果も期待できるでしょう」
「観光には文化、心理、経済、社会など複数の要素が同時に作用します」
「マスメディアは利益のために刺激的な物ばかりをおっている」
「専門家は助成金を受けるために自分の学問の意味を過大評価しようとする」
「権力のことも人々はもはや信じていない」
「何が残るか。それは人間同士の信頼関係だけです」

また事故当時からそこに住んでいるというおじさんの「先週も日本人が来た」「まもなくウクライナもよくなりますよ」という言葉も良かった。

そして、ガイド、アレクサンドルさんが言う「廃炉は本当に大変です」「原発を止めさえすれば明るい未来がやって来るというのは幻想です」という言葉も。でも、その彼がこの仕事は誰にとってどんな意味があるのかと津田さんに質問されて、まっすぐに「何より自分のためですね。僕はこの仕事が好きなんです。その結果としてプリピャチの記憶を守っていきたい」と答えていたのも良かった。

いいなぁ! この人たちに直接、私も話を聞いてみたい。しかし、このDVD、Campfireに参加しなかった人にも、単体で販売とかするのかしら。……っていうより、何よりまずは「チェルノブイル本」だよね。これをまずはゲットしてほしいと思う。私も早く読まないと! 読んだら、またこのブログに感想を書いてみたい。

東さんが、いつか言ってたけど、「この本によって何かが動くとは思っていない。でも何年もたったあとで、あの時,一部の思想家や社会学者たちが、ああやって騒いでたな、って思い出してもらえたら…」 なるほどねー 

11/22に実際にチェルノブイリに行くツアーもある。このツアーだったら、普段は観れない場所も観れるらしい。私も行きたいけど、ちょうど私は自分のツアーがあって日本を離れられない。うーん、ぜひぜひ第2回企画を望む!

実際チェルノブイリも高齢化して、新しい人が入ってこない村は、ほんとにまったくの廃墟となり、当時の記憶を語れる人がまったくいなくなってしまう時も近い。その前に知りたいことは山ほどある。

*以上DVDからの発言は私の気持ちが動いた部分であって、もしかしたら制作者の人の意図とは違うかもしれません。また東さんの発言も私の記憶違いかもしれません。あしからず。