「ルポ 貧困大国アメリカ」を読みました

読みました。ちょっと前の本だけど、FBのタイムラインでFM関係のおじさま方が、この本について熱く語られていたので、これは読まねば…と。

貧しさが生み出す多様な問題。フードスタンプで暮らす人々にはなぜか肥満が多かったりする。経済の流れからこぼれ落ちた人々。そして破綻した医療。若者にも未来はない…などなど、割とすでに自分が知っている問題が多かったせいか、まぁ最初は気楽に順調に読んでいた。

が、最後の章に来て背筋が凍った。そうか、すべての謎がここで溶けた。どうしてこれらの貧困問題が放置されるのか。というより、あえて貧しくなるように世の中が進行しているのか? それは民営化された戦争への道だ。ビジネスの力学の行き着く先にある戦争。ワーキングプアが支える巨大ビジネスが最終目的とされているからだ。目の前の生活が苦しくなれば、もう四の五の言っている暇はない。単に暮らしをなんとかするために,貧しい人はより貧しくなっていく。そこから抜け出す手だてはまるでない。そしてそれが戦争へと流れて行く。すべてはそういう「ビジネスの仕組み」なのだ。

ちょっとこれ、今の日本にも近づいて来ている足音のように聞こえてきて、怖くなる。政府はワーキングプアを増やし、そしてがっつりと民営化された戦争へと足を伸ばしていくのである。原発についても同じことだ。

そこに対抗するには、いったいどうしたらいいんだろう。もちろん世の中を変えることは大事だ。でも世の中は簡単に変わらない。

まず明日から出来ることは何よりも、まず自分の価値観をしっかり持ち、自らがきちんと生活することだ。毎日しっかり生活すること。きちんと経済的なプランをたてて自立する事。そうしていれば甘い妙な話はヘンだ、とすぐ気づくから。そしてヘンな借金をしないこと。…しかし、そう思っていても、落とし穴はそこここに用意されている。無知や無関心により無力感へと導かれる。絶望へとあっという間に転がり落ちて行く。

戦争に反対するのであれば、まずこの世の中の仕組みから知ること。それが大事だ。反対する側も押し進める側以上に頭が良くなければ、とても太刀打ちできない。それはそんな巨大なパワーだ。ビジネスの力学の先にある巨大なパワー。

いつだったかアイスランドの火山灰でヨーロッパ中の飛行機が止まり、帰国できなくなった時。飛行機を飛ばしたのは経済力だった。あの時はなにも火山灰がクリアになったから再び飛べたわけではない。私は帰国しなくてはいけなかったが、そんな乗客よりも何よりも、経済のパワーがもう飛行機を止めておくわけにはいかない、という状況だった。飛行機が飛んでやっと帰国できるようになった時、私が怖いと思ったのは火山灰ではなく経済の力だった。すべてを変えてしまう経済の力。

それにしても今,日本で一番大事なのは、何よりも選挙に行くこと。選挙に行かないんだから、日本国民はアメリカのことをあれこれ言っている場合じゃないと思う。

しかしこの本、お風呂の中で読んでたらガビガビになってしまったよ…。