「おばあさんの魂」を読みました

これも「積ん読」してた中から、やっと読み終わった本。

面白い! これは面白いです。酒井順子は面白いねー、ホント。彼女は私よりたしか2つか3つ年下なのだが、彼女が同世代としてこの世に居てくれて、こんな風に元気に本を出してくれているだけで、もう有り難くってしょうがない。それだけで、どんなに勇気づけられることか!

この1つ前に読んだ酒井本は「下に見る人」。これも最高に面白かった。タイトルにドキッとさせられるが、人は3人集まると派閥を作る。下に見ることで自分の位置を確立しようとする。上だの下だの、そんなことがいかにくだらない事かというのをこの本は教えてくれる。もっと自由に生きろ、と言ってくれる。そういう本。

私にとっての最初の酒井本は名著「負け犬の遠吠え」。これも最高中の最高。この本に何度勇気をもらったことか! この本は独身を謳歌する私たち負け犬への応援歌だ。目の前にある面白いことを諦める事ができない、そんな私たちは負け犬なのだが、勝ち犬なんかには絶対に送れない最高に楽しい人生を送ることが出来るわけですよ。ただあんまり好きなことばかりして人生を謳歌しすぎて、平日の真っ昼間からお金のかかる歌舞伎とか見にいったりしてると見苦しいですよ、と。なめくじみたいに「いや汁」が出ますよ、という警告もあるのだが。ふふふ…。

あと「おばさん未満」も最高だったよ。私も気をつけないと…っていう事がたくさん書いてあった。いい歳してリュックとか痛いですよ、とか。髪の毛三つ編みにしてて白髪が交じると痛いですよ、とか。とにかく、もう可笑しいのなんの。とにかく酒井本は(今のところ)どれを読んででも元気がもらえる。

この「おばあさんの魂」ももちろん良かった。ばあさんのことを書きながらも、言っているのは今の事じゃなくて、私たちの未来の本なわけだ。酒井さんの母方のおばあちゃんの人生を語りつつ、世の中で最近どうしてばあさんたちが受けているのかというのを分析していく。「料理系ばあさん」「やめないばあさん」(=『放浪記』をやめない森光子)、「庭系ばあさん」(=ターサ・チューダー)、「書くばあさん」(瀬戸内寂照)、「アートなばあさん」(オノヨーコとか草間彌生)「エコばあさん」もうすべてが爆笑もの!! (ちなみに酒井さんは丁寧に「おばあさん」と言っているけど、私は「お」なしの方がいいと思う。ばあさんはばあさんでいいよー)

しかし例えば画家の小倉遊亀は100歳になっても描いてたそうだけど、仕事のピークはいつかと聞かれ70代だった、と答えたというから恐ろしい。うーん、だとしたら人生は長過ぎる。でも楽しみでもある。

まったくもって婆さんになるのがホントに楽しみに思えてくるのだ。もっとも若い時からあまり苦労をしらず自由にのびのび生きて来てしまった私たちに、彼女たちみたいな充実した老人生活はおくれるのだろうか、と心配にならないでもないけどね。

それにしても私もちょっと前までは若いミュージシャンとか若い俳優さんとか見るだけで「なんだ、こいつは?」くらいに思っていたけど、最近は若い子というだけで結構無条件に好きである。それは自分のミュージシャンに限らず、仕事で接する若い子に限らず、TVでみる例えばローラ?ちゃん、とか。性格いいじゃん、あの子!! そして若い人たち、みんな健気に生きてんだからさ、応援してあげようよぉ〜っっ…ってのが分かるようになった。これって「ばあさん化」かも?

でもいいよ! ばあさん化で。だって、なんかどんどん幸せになってくる! 歳をとるって幸せな事なのかも。いずれにしてももっと歳とるのが本当に楽しみになった。元気になれますよ。おすすめ。



PS
とか、書いてたら、FBにこんなばあさんみっけ! かっこい! っていうか、この音楽のスピリットが最高だよね