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2014年5月25日日曜日

「ジョブズと11人の証言」を読みました


またこのテの本を読んでしまった。Kindleにて。例のバイオグラフィー本に続き傑作かもしれない。NHK取材班が作ったもの。ジョブズ本人と、彼を取り囲む人たちのインタビューをまとめたものだ。

しかしジョブズのことを知れば知るほど、人間は愛されるのに「いい人である必要はない」んだなぁ、と思うのだった。

実は先日も某所から「このアーティストやりませんか」的なことをいただき、丁寧に答えつつもしっかりと断った。アーティストを選ぶことは自分の看板なので慎重にやりたい…という事を書いたつもりだったが、伝わってんだかどうだか。でも率直でありたいね。オレもレベルは違ってもジョブズみたいに自分の仕事については格好よくありたいんだよ。おべっかなんか使ってたら、それこそお客さんの信用を失っちゃうよ。

ジョブズを含め11人のインタビューが収録されている。本人のインタビューは普通の感じだったけど、意外に良かったのが天敵と言われたジョン・スカリーのインタビュー。そして福田尚久さんのインタビュー。アップルの日本で、のちには米国でジョブズのもとで働いた人だ。

福田さんは、ジョブズが言っていたことを紹介する。「人はみな、生まれたら全員が同じ金額をもらってゼロスタートから人生を始め、死んだら自分の財産を全部国に還すのがいいと思うんだ」と言っていたという話。これは他でも確か聞いたことがあったけど、そんな風にスティーブは世の中へのメッセージを常に持ち続けていた。だからそれを受け止めた「ファン」から指示され、まるでロックスターみたいな人気を得られたのだと思う。

自分以外の人が何をするか関係ない。ライバルがいて同じ女性を落とそうという時に『ライバルはこんなものを彼女にプレゼントした』というのを気にしていてはお前の負けだ」とは、これもスティーブの言葉。福田さんはそんな風に、アップルが競合会社やライバルを意識的に会社から遮断できたことは強みだった、としています。

でもこれはホントだよね。人のやっていること、ライバル会社のやることを気にしていると足下を救われる。そうでないと、多々あるコンサート業界の中で、自分のやっているものこそ一番カッコいい、素晴らしいものだ、という自信を持たないとダメだと思う。THE MUSIC PLANTはちっこい事務所だが、音楽的にはおそらくどこよりも良いものを持っている。私がひるんじゃ,全然ダメだと思う。

そしてスティーブとの仕事、やり取りなどが紹介されていたが、いやー、私はアップルで働くのは絶対に無理…とも思った。スティーブみたいな人と働いたら私はつぶされてしまうかも。私は特に細部には拘らない。大事なことさえ大切にしていれば、それ以外については比較的大らかにしていることが良いと思っているので、これはどうかなーという感じだ。でもスティーブのことを好きになったら、死ぬ気で頑張るかもね。というのも、自分が大事だと思うことについては、私もすごいウルサいからだ。でも世の中、死ぬほど大事なことなんて数えるほどしかない。

そしてThink Differentの本当の意味。「突飛なことを考える」ということではなく、「世の中の方がおかしい。世の中を変えて行こう」という事だ、という福田さんの指摘にもとても共感をおぼえた。

また2行のメールですべてをひっくり返す、スタッフに自分で良く考えさせる、などスティーブの会社運営は本当に面白い。でも優秀な連中が自分の指示に反応して成果をあげてくるのを見るのは楽しかっただろうな! そうして本当に最強のチームを作っていくというスティーブはやっぱり面白い。「優秀な人は自分が優秀だと分かっているから、彼らのエゴをbabyしてやる必要はない」…とはスティーブの1995年のインタビューからだが、ホントにスティーブってすごいと思う。彼は会社を一流のものにすることによって、世の中を変えていこうと思ってたんだよね。そして本気で変えられると信じていたわけだ。

この福田さんは5年くらいアップルにいたそうなんだけど、スティーブのスピリットを10年くらいたたきこまれた連中が、それこそアップルにはゴロゴロいる。アップルはまだ生きている。スティーブにたたきこまれた人がまだ頑張っているので、これからもまだまだすごいものが出てくるだろう、という話。

あぁ、やっぱりいいわ、スティーブ! オレはオレのフィールドで世の中を良くして行こう、と頑張ろうと思う。そりゃー、こんなヘンな音楽は一般受けはしない。でもこの素晴らしさが分かる人は絶対にいる。スティーブが拘ったちょっとした物の手触りとか、感覚的なこととか、そういう事が私のやっている音楽にもたくさん詰まっている。それによって、世の中を変えたいんだ。私も。