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2014年9月6日土曜日

森博嗣「思考を育てる100の講義」を読みました

「素直に生きる100の講義」に続き「思考を育てる100の講義」を読みました。前回同様、同じように私に響いた部分をメモってみました。

No.31  感情的になるな、というのではなく感情で観察を遮断するな、である

これ、ものすごく重要。例えば…実はよく考えると本人が感情と認識していないものもある。本人は「私には向かない」といってあたかも理論的に証明されたことのように納得していることがある。何故嫌いなのか、その理由も用意されていたりするのだが、よく思い出してみるとそれは「感情」である…というやつ。これ、めっちゃするどい。私にとってもそういうこと、実は多いかも…とちょっとドキっとした。

森さん曰く「論理武装した感情」なんだって、こういうの。なるほどね。気をつけよ。


No. 40 春は暖かさが楽しく、秋は涼しさが嬉しい。

何かの兆しというのは素直な心を持って、クリアな目を見ていれば、すぐに見つかる。面白いなと思ったものは、いずれみんなが面白いと言い出して広まる。つまらないなと思ったものは、今どんなに人気があっても、やがて下火になる… こんな風に物事は絶対的な価値というのはない。同じ10度でも秋と春では全然印象が違う。

ただ商売にからむものはそうはいかない。金をかければ多少つまらなくても存続させる無理が通ることもある。それはセンサが鈍っている人間の数が多い、ということ。それでも最近大衆は少しずつだけど賢くなっている…  なるほど。


No. 42  「自己表現」って何だ? それ以外にどんな表現があるというのか?

日本人は自己表現が下手、と良く言われるが、そうではなく、客観的な論理を書いた自分の立場、意見の表現が下手だ、と言う事だ。「表現」とは、他者と説得する行為であることを忘れないように。→ 確かにこれ、重要。


No.52  「私、馬鹿だから、わからない」という人が馬鹿である。

馬鹿は頭が悪いのか、というと、それは違う。半分は性格であり習慣。知識がないのは馬鹿ではない。学歴ももちろん関係ない。つまり馬鹿とは「考えない人」のこと。子供や若者は考える。考える人は馬鹿ではない。うーん、これホントに重要かも。


No. 63   当たり前だが、原発よりも恐いものが沢山ある。

森さんは福島の原発の事故は想像していたものよりもだいぶ被害が小さかった、と言う。これは私も実は感じている。もっと大変なことになって日本を出なくてはいけないことになる、と思った。森さんも、確かに酷いことになったけれど、よくあそこで止めた、運良く止まった、と今は思っている、と書いている。危ない、ということであれば北朝鮮のミサイル、オスプレイの墜落……それよりも癌になる確率の方がよほど高く、もっと恐い、と森さんは書く。

これは私は実はあんまり賛成しない。原発は相当恐い。そして恐いのは原発そのものではなく、原発のようなものを作り使ってしまう人間の果てしない欲だ。アイスランドの火山灰でヨーロッパ中の飛行機が止まった時、自然の驚異よりも、法律を変えてまで飛行機を飛ばした経済力の方が恐かった。ま、これについては私もあとで何かの時に書いてみたいと思う(とか、いっぱしのブロガーみたいなことを言ってみたりして/笑)でも重要だよ、これ。


No.  65   出版界は、この頃かなり刹那的になってきた。

これ、出版界どころの話ではない。私のいる音楽業界はおそらくもっとひどい。その場限り。もう誰もがどうやってこの場をなんとかやりすごし、自分が退職するその日まで逃げ切ることしか考えていない。先日もとあるレーベルさんと打ち合わせしたのだが、その人もホントに「CDは売れない,売れない」とずーーーーっと言っていた。そんな事分っているし、言っても状況は良くならないのにね。

CDだけじゃない。プロモーターだってみんな苦労してる。誰がライブ業界は明るい、って、どこの統計みて言ってんだよ、と思う。チケットだって売れないよ。売れているのは安い子供のバンドやアイドル、もしくは大人のもう引退した昔のビックネームたちのチケットだけだ。音楽ビジネスは、もう全体的に、明らかに非常に辛くなってきている。

森さん、曰く、これから新しいものを築き上げていこう、というような大きな志が見えない、と。今まで上手くいったものに似た手法で、なんとか利益を上げようとしているように見える、と。出版もテレビも映画もゲームも、少しまえは挑戦と呼べるような新しい企画があり、それがすべて上手くいったわけではないけれど、そういった機運から生まれる副産物が、その後しばらくその業界をささえていた、と。

これ、すごい分る。そうなんだよね。実は私もすごくこれ感じている事だ。何かにチャンレジした時は、かならずその目標がダメでも、そのプロセスから必ずご褒美がある。そういう循環をみんな忘れてしまっている。これ、実際体験した人じゃないと分らないだろうけど。それを信じてやるしかないのだ。音楽のすばらしさを信じて。お客さんの、ウチの音楽を選んでくれる観察眼を信じて。


No. 68 システムが不変であるという立場の人に、システムが悪いと指摘しても無駄か。

おかげ様で森さんと同じで私もあまりお役所的な取引先と付き合う必要性が最近はなく、またあったとしても先方がとてもウチのやっている音楽のことを尊敬してくれる。(というか、そうでもなければこんな小さな事務所に話は来ない)だから最近ほとんどこのテのストレスはない。

自分の仕事ばかりではなく、それでもいろんな場所で、かなり柔軟性を持って対応してくれる「役所」も多くなっているように思われる。なんかすでに役所は固い、みたいなのは、「そんなの流行んないよね」ぐらいの空気は現場にはあるのではないか。甘いかな? 分らない。でも自分がいる場所によって、きっと違うよね… あ、でも銀行の海外送金だけは別。みんな頭固くて自分を守ることしか知らない、と思う。柔軟性ゼロの世界。


No. 72 「政治に関心を持て」という命令形で言うほどのことではない気がする

選挙の投票率について、低いというのの何が悪いのだろうか…という森さん。うわー、そんな事言えちゃうなんて勇気ある! でもおっしゃるとおり国民全員が投票したとして、おそらく私がのぞむような結果にはならない、もしかするとさらに悪い結果になる可能性だってある。「どうせ自分の一票では日本は変わらない」と思っている認識もまた、そのとおり、と森さんは言う。ちなみに誤解にないように、ということで、森さんは選挙には必ず行く、とも書いている。私も選挙に行く。そしてだいたいは…実はNo2に投票するんだよね。2大政党制がいいと信じてた時期があって… 今もだいたいはそうしている。


No. 75   何かというと印刷物を作りたがる。親睦会とかと同じなのか。

これ超するどい。クライアントには印刷物が受ける。コンサートのチラシだってそうだ。印刷物があれば「やってる感」が出るというか、なんというか。ただ実際のチラシがウチのことをまったく知らない人まで波及し、コンサートの動員を計っているとはとても思えない。

「へぇ、今回はこんなチラシなんだ」と思うウチの既存のお客さんが私のやる気を感じ取ってチケットを買ってくれる、というのはあるだろうが。だからチラシまったくなし、ネットだけの情報で公演をやる…というのは、結構勇気がいる行為だ。考えさせられる。


No. 76 組織の寿命の方が短いことを、ときどき忘れがちである。

これ、森さん同様、保険会社とかどうなのよーっていつも思う。私も保険会社が大嫌い。異常に多い広告の出稿量、それによって不払い問題などを隠蔽している…というのが私の印象。70歳の老人でも、今や100歳まで生きる可能性がけっこう高くなったから、支払われるのは30年先。それまでその組織が存続するのか、潰れて他社と合併とかあるかもしれない。そのときまで条件は一緒なのか? 

同じように年金も考える。私も年金はきちんと収めているが… これは福祉税と思った方がいい、という森さんの意見に賛成だ。いずれにしても、そのときどきで収支は完結している、と考える方が精神衛生上よい、というのも納得である。


No. 81  自由を教えるには、まず支配すれば良い。

子供には罰を与え,ある程度、厳しく躾をした方がいい、と言うのは森さんの案。これ、私も思い当たる節がある。ウチの親は学校の先生でものすごくウルサかった。だから18になって家を出て大学に行き、そのときの自由ったら何ごとにも代え難かった。これを守るためなら何でもやる、そう思った。「このように育った人は、大人になると、あらゆる自由を自分で満喫できるようになるし、社会や他者との関係においても我慢ができる人間になっている。支配されても、そのあとの自由が約束されていることを理解しているからだ」と森さんは言う。

これも響きまくりだ。そして、私にとって大事なことはもう1つ。私にとって一番大事な「自分の事業」があるからこそ、他人の手伝いをする時はちゃんと我慢し、相手の役にたつことに集中することが出来る。これ、ものすごい大事。また自分の事業上で、私の音楽の趣味がすばらしいことは確認できているので(笑)、雇われ仕事の場でそれを表現する必要がない。1つ、小さくても自分の事業に圧倒的な自信があるだけで、これだけ自分の自由を確保できるのだから、やっぱり大事だ。自分の事をちゃんと実現しつづけることは…


No. 83 平和な社会が、ほんの偶然で、ほんの一時のことだ、という感覚はある。

これものすごく大事。でも歴史をちょっとさらってみれば…本当にそうだよね。いつこの世の中のバランスが崩れ、崩壊していくかは誰にも分らない。でもそのくらいの覚悟がなければ、今のこの仕事だって出来ない。

以上です〜 この本もいいけど、森さんの「自由をつくる、自在に生きる」は私のバイブルなので、すごくお薦めです。もう何度も何度も読んだ。