ジョン・カーニーの新作「はじまりのうた(原題:Begin Again)」を試写で拝見しました。ありがとうございます。
まず、あの「ONCE〜ダブリンの街角で」の監督の次作ということで期待はMAX。「ONCE」は本当に素晴らしい映画だった。あの素晴らしい映画を作ったジョン・カーニーですからね。期待しないわけがない。
で、結論から言うと、確かにかなり良かったです。音楽好きには相当グッとくる、たまらない映画だと言えると思う。それは間違いない。ただ「ONCE」と比較しちゃうと…弱いかなぁ。音楽もストーリーも。
それにしてもジョン・カーニーの描く音楽業界のシーンは、どれもとにかく私にとってはリアル過ぎるのだわ…。「ONCE」ではそれが最高に良かった。「ONCE」でロンドンに渡る主人公、ダブリンの街の優しさ、そして二人の友情、音楽が惹き付けいろんな人を巻き込んでいく、あのワクワクする感じ。音楽業界のことよく知ってるジョンだから、当然っちゃ当然なんだけど、あの感じは最高だった。それはこの映画でも一緒だ。
それにしてもミュージカルでもないのにこの映画では自然に音楽が物語とともにある、ということ。それは本当に素晴らしい。気に入ったCDを何度も聞きたくなるように、この映画も何度も見たくなる。この演出はやはりジョン・カーニーならではのものだ。ワクワクする。音楽っていいな、と思える。プロデューサーとアーティストがヘッドホンをシェアして音楽を聞くシーンは最高だ。あんなに美しいシーンは、ホントにないよ〜。あそこはちょっとピーター・バラカンさんの「音楽はみんなで一緒に聞くものです」ってのが思い出された(著作「ラジオの向こう側で」参照)。
もらった資料に書いてあったのだが、確かにU2がブレイクした後、アメリカやロンドンのA&Rはこぞってダブリンにバンドのリクルートにやってきた。そして…あの当時ブイブイ言ってたあの人たち…今、いったいどうしているのだろう。ジョンは、そんな思いからこの映画のヒントを掴んだのだそう。
とにかくあれこれ起こる小さなエピソードが妙にリアルだ。ただ、それと比較しちゃうと大筋の物語の展開がちょっと出来過ぎに見えた。ヒール役のレコード会社の重役の態度の変化、最後のおどろくような展開。スタジオがないんだったら、自分で録音すればいいんじゃない?? 今ではネットがあるんだしーとか。でも音楽だけじゃなくて、何でもいいから何か自分のプロジェクトをやろうとしている人たちだったら分ると思うけど、現実はそんなに簡単ではない。実際私だってこのプロデューサーみたいにアーティストとタッグを組んで一緒に何かできると信じているからこの仕事を続けているわけだけど、そこについて…この映画から回答がもらえると期待していたのかもしれない。そして、それはなかったと思う。でも音楽って不思議な力がある。それは事実だ。その力を…コントロールできると思っちゃいけない、そういう事なんだとは思う。
一方で頑張る父ちゃんをみて家庭が復活して行く様子は上手く描けてたとは思う。娘と父親の微妙な関係も面白かった。お母さん役の彼女もいい。彼女、カルテットの映画に出て来た人だよね。
あとこれは映画とは直接関係ないんだけど、男女ペアのアーティストの微妙な人間関係はダミアン・ライスとリサ・ハニガンのことを思い出さずにはいられないね。リサも…主張はないんだけど物事を動かす力のある、頭の良い、包容力のある強い女性だ。あぁいうはかない感じの声で歌うタイプの女性は、実は世界を動かす力を持っている。主人公の歌声や存在もちょっとそれに通じるものだがある。そして髪をたばねた感じや服装からも絶対にあの主人公の役はリサがベースになっていると思う。ま、でも当然よね。なんたって、ジョン・カーニーなんだから。
あとちょっとA&Rという小説の事を思い出した。あれは素晴らしい物語だった。あれも映画化してるんじゃなかったっけ? っていうか、映画になったんだっけか?
そうそう俳優陣では主人公が助けを求める友人、売れないシンガーソングライターのスティーブの役の人が良かった。ポール・ポッツの「ワン・チャンス」をポッツ役をやってた俳優さんだ。
PS
しかし音楽業界に一石投じているようでいて、実はキーラ・ナイトレイの事を歌手として売り出すための映画なんじゃないの?的なもものちょっとチラチラするのだった。うるさいよね、私も。でも余計なこと考えないで楽しめばいいと思う。失礼。
まず、あの「ONCE〜ダブリンの街角で」の監督の次作ということで期待はMAX。「ONCE」は本当に素晴らしい映画だった。あの素晴らしい映画を作ったジョン・カーニーですからね。期待しないわけがない。
で、結論から言うと、確かにかなり良かったです。音楽好きには相当グッとくる、たまらない映画だと言えると思う。それは間違いない。ただ「ONCE」と比較しちゃうと…弱いかなぁ。音楽もストーリーも。
それにしてもジョン・カーニーの描く音楽業界のシーンは、どれもとにかく私にとってはリアル過ぎるのだわ…。「ONCE」ではそれが最高に良かった。「ONCE」でロンドンに渡る主人公、ダブリンの街の優しさ、そして二人の友情、音楽が惹き付けいろんな人を巻き込んでいく、あのワクワクする感じ。音楽業界のことよく知ってるジョンだから、当然っちゃ当然なんだけど、あの感じは最高だった。それはこの映画でも一緒だ。
それにしてもミュージカルでもないのにこの映画では自然に音楽が物語とともにある、ということ。それは本当に素晴らしい。気に入ったCDを何度も聞きたくなるように、この映画も何度も見たくなる。この演出はやはりジョン・カーニーならではのものだ。ワクワクする。音楽っていいな、と思える。プロデューサーとアーティストがヘッドホンをシェアして音楽を聞くシーンは最高だ。あんなに美しいシーンは、ホントにないよ〜。あそこはちょっとピーター・バラカンさんの「音楽はみんなで一緒に聞くものです」ってのが思い出された(著作「ラジオの向こう側で」参照)。
もらった資料に書いてあったのだが、確かにU2がブレイクした後、アメリカやロンドンのA&Rはこぞってダブリンにバンドのリクルートにやってきた。そして…あの当時ブイブイ言ってたあの人たち…今、いったいどうしているのだろう。ジョンは、そんな思いからこの映画のヒントを掴んだのだそう。
一方で頑張る父ちゃんをみて家庭が復活して行く様子は上手く描けてたとは思う。娘と父親の微妙な関係も面白かった。お母さん役の彼女もいい。彼女、カルテットの映画に出て来た人だよね。
あとこれは映画とは直接関係ないんだけど、男女ペアのアーティストの微妙な人間関係はダミアン・ライスとリサ・ハニガンのことを思い出さずにはいられないね。リサも…主張はないんだけど物事を動かす力のある、頭の良い、包容力のある強い女性だ。あぁいうはかない感じの声で歌うタイプの女性は、実は世界を動かす力を持っている。主人公の歌声や存在もちょっとそれに通じるものだがある。そして髪をたばねた感じや服装からも絶対にあの主人公の役はリサがベースになっていると思う。ま、でも当然よね。なんたって、ジョン・カーニーなんだから。
あとちょっとA&Rという小説の事を思い出した。あれは素晴らしい物語だった。あれも映画化してるんじゃなかったっけ? っていうか、映画になったんだっけか?
そうそう俳優陣では主人公が助けを求める友人、売れないシンガーソングライターのスティーブの役の人が良かった。ポール・ポッツの「ワン・チャンス」をポッツ役をやってた俳優さんだ。
PS
しかし音楽業界に一石投じているようでいて、実はキーラ・ナイトレイの事を歌手として売り出すための映画なんじゃないの?的なもものちょっとチラチラするのだった。うるさいよね、私も。でも余計なこと考えないで楽しめばいいと思う。失礼。