音楽は表現活動

昨日は某クラシック公演の現場をお手伝い。人の現場は勉強になるし、新しい人に出会えて有意義。

プロモーターという仕事には学校があるわけでもないので、何が正しいとか分からない。みんなそれぞれ個人プレイの世界であり、個人の仕事を誰かが引き継げるというわけでもない。だから人のやっていることを見て、ひたすら自分で勉強するしかない。

昨日のコンサートもまた勉強になったし、とっても良い公演だった。お客さんとミュージシャンの感じが絶妙。あったかい空気は、ミュージシャンが持っているキャラクターなんだろうか。クラシックだというのに堅苦しさはまるでなく、演目も有名曲ばかりで分かりやすかった。

毎日いろいろあるが、こういう公演の現場にいるとコンサートって究極的にはミュージシャンとお客さんの関係なんだよな、と思う。

もうすぐ来日するペッテリだって、ウォリスだって日本のマーケットでやっていくのは本当に大変だ。でも究極のところでは、彼らが自分の音楽でリスナーに向って語りかけて行くしかない。

トランペットの近藤さんのインタビューがいい。ぜひ読んでみて。

「今、ミュージシャンたちに俺が特に言いたいのは、音楽が売れないとか愚痴ってないで、大元をイメージしろってこと。自分が出したい音を120%出しきること、自分にとって一番気持ちいい演奏をすることが、いつだって何よりも大事なんだ。ミュージシャンが本当に体の底から気持ちいいと思って演奏してなかったら、聴く側にもわかるし、関係もダレてくる。そうすると、音楽に使う金があったら、他のものに使いたいと思うのは当然だろう。音楽が売れなくなった本当の理由は、ミュージシャンひとりひとりが、自分に嘘をつくようになったことなんだよ」(Qetic/近藤等則、アムスにいた18年間と新作を語るより)


まぁ、意図的に嘘をつく、という、そこまで行かなくても、人の期待に知らず知らずのうちに答えようと、本当の自分じゃないものを出してしまう、ってのはどんな職業にもあるんじゃないかな。でもウチのミュージシャンは、皆それほど売れているわけではないが、自分に嘘をついている人は誰もいない。だから私も一緒に仕事ができる。市場にこびる必要など何もない。ウチのミュージシャン、誰とも売れる売れないという話をしたことは一切ない。私も自分の応援するミュージシャンについては超厳選していて、市場にこびたい人はウチでは絶対にやらないようにしている。音楽は職業ではなく、表現活動だ。自分じゃないものを表現してどうする? 

でもって、もっと言えば、別に音楽やミュージシャンに直接係っていなくても「この音楽好きだ」「嫌いだ」「このコンサートに行く」って発言することだけで、自分のアイデンティティを確立しようとする人も驚くほど多かったりするわけで… 写真は帰りに食べたムール貝。白ワインとぴったりで良い夜でした。さて仕事山積。今日も頑張る!
ペッテリ・サリオラ来日の詳細はここ



ウォリス・バードの来日の詳細はここ