映画「フレンチアルプスで起きたこと」を観ました。これは超最高!!!


もうこれは大絶賛したい。最高の映画。スウェーデンものって、普段は見事にヴェーセン以外、音楽も本も映画も好きになれないんだけど、この映画は大ヒット!!!   「ぼくのエリ」も好きだったけど、全然タイプの違う映画。こういうのを待ってたのよ、スウェーデン!!!   いやー、もう大傑作です。絶対に観て!!

男って面倒臭い。弱くて自分勝手。それなのにそれを認めようとしない。変なプライドがあって、本当に本当に本当に面倒臭い生き物だな、と。そういう映画。ブラックコメディとしても最高で何度も笑えた。

家族でヴァカンスにやって来たフレンチアルプスで雪崩にあい、一目散で携帯電話をにぎって家族を置いてけぼりにして逃げ出したお父さん。子供をかばい動けなかったお母さんとの間に、当然のことながら気まずい空気が走る。家族は無事だった。オレは逃げなかったよ、とまで言ってみせるお父さん。ネチネチと攻めるお母さん。危機を向える家族。そんな彼らに寄り添う友人の不倫カップル、さり気ないが妙に存在感を醸し出す掃除担当のおじさん、周辺のキャストも最高にいい。

ストーリーはハラハラの連続で最後まで面白くみせる。自分のとった行動をいつまでも認めることが出来ないお父さん、お母さんも当然イライラ、イライラ… でも最後の方に出てくる雪の中でのちょっとしたミニ遭難はお父さんに自信を取り戻してもらうためのお母さんの演出か?とも思う。そして最終日のバスのエピソードに対する解釈もいろんな形で捉えていいと思う。いずれにしても私にはすごく好きな終わり方だった。

手にいれた映画のパンフレットには、嫌みな事に(笑)スウェーデンのウプサラ大学の教授による過去の海難事故の生存率に対する統計が掲載されており、この資料によるとタイタニックからこっち世界の行動規範では、女子供を先に救助、船長船員は一番後…ということになっているにもかかわらず、実際生き残っているのは男であり、船員なのだそうだ。そしてこのページのタイトルが笑わせてくれる。「自分の身は自分で守れ」 いや〜、爆笑。

男も女も自分の弱さを認めて、人に自分の中のスペースを解放すべきだ。そうすることによって未来はうんと生きやすくなる。が、そう頭で分かっていても、それが実行出来ない。私もその最たる例。いつまでたっても自分の弱さを認めることが出来ない。つまらない「自分はこうあるべき」「働きウーマンはこうあるべき」みたいな勝手な「べき」基準に惑わされいつまでたっても自由になれない。本当に人間はそんな風に最高に面倒ください。

が、映画を見ていて感じた事は、それでもいろんな事を超えたところに築き上げる家族や夫婦の絆はやはり素晴らしいよ、という事。この家族でも子供たちが本当に素晴らしい。頑張れ! 家族!   私は応援する!  でも…自分は面倒だからやっぱり一人が一番いいな〜と、私なんぞは本音のところでは思ったりもするのだ。男も女も面倒くさい。人間って面倒くさい。この面倒くささから解放され自由になる方法はないもんかね、と改めて思うのであった。

パンフレットには各界著名人のこの映画に対する賛辞の言葉が並んでいるが、相変わらず誰も何も分かってないなーと思う。唯一、佐々木俊尚さんの言葉が良かったかな。「男のプライドって面倒くさい。でもどうしてもそこから逃れられないのも切ない」本当に!!! そして武蔵大学の田中俊之教授の文章が良かった。 人間って面倒臭いよ。でも面白いんだよなー!