大きなところでやらせてあげたい…というのはあるのだが。

kanをあれこれプッシュしてきた時、この映像良く使ったなー



自分のアーティストに大きなところで演奏させてあげたい、というのはよくある話。kan、大きなステージ似合ってるよね。日本でもこういうところで演奏させてあげたかった。

でも、まぁこの映像もよく見りゃ分るけど、たぶんフェスティバルかなんかで、お客はkanの音楽を知っててチケット買ってきてるお客じゃない。kanが自分の名前でチケット売ったら、一番動員できそうなロンドンやエジンバラだって、せいぜい200人くらいだろ。

それでもこういう仕事を続けていると、アーティストの実力以上の話がたま〜にやってきたりする。でも大きなところやフェスティバルでやることの意味ってホント難しい。昔は大きな分母に見せれば「ちょっといいな、これ」で単独公演のチケットも売れたしCDも売れた。グレイゾーンのファンを取りこむ事が出来た。だからこういう機会は非常にありがたい場所だった。でも、今やみんなちょっとやそっとのことでは、音楽にたいしてお財布を開いてもらえない時代になったし、みんな忙しいから新たなアーティストを追いかけてなんてくれない。音楽業界は、お客さんに「聞いてもらう」ための貴重な時間の取り合いである。ましてや、そこからお金をいただこうなんて、ホント無謀なことしか思えない。

それでも、お客さんから、そして業界内部から、ちょっと盛り上がると、すぐ「次はフェスだ」と言われる。「あのテレビに出してみたら」とも言われる。なるほどそういうのは効果あるかもしれない。でもそんなのは瞬間風速であって、アーティストの筋肉にはなっていかない。わたしも過去いろんな過ちをたくさんしてきた。意味のない無料イベントとか、インストアとかやってアーティストに無理をさせてきたし、自分も無理をした。でも、ちゃんと自分の足の上にたった活動をしていかないと駄目だって最近は分ったんだよね。

それにしてもアーティストのキャリアを預かり、この日本でこの仕事を続けていく責任たるや、ものすごいものがある。もちろん自分はそれにやりがいを感じているんだが…。

そしてあれこれ言ってくれる人の気持ちはわかる。あれこれ言ってくる人はこの音楽の可能性を信じてくれているんだ、ってね。これを多くの人に聞かせれば、みんなビックリしてくれるんじゃないか、って、そしてこの音楽についてきてくれるんじゃないか、って。そう思ってくれてるんだよね。

でも、残念ながら、世の中、そんなに甘くないですから(笑)。前にもここに書いたけど、わたしが通っている北区のボロいスーパーマーケットでジョニ・ミッチェルがかかった。店内BGMだ。でも誰も彼女の歌を聴いている人などいない。おそらくこの世で一番すごい音楽を作っていると思われるジョニ・ミッチェルだってそうなのだ。アーティストとお客さんの、きちんとした出会いの場を作ってあげなければ、そこに意味はない。そしてそれが私の仕事なのだ。

そういやもうずいぶん前だが、スヴェングに東京での、某クラッシク・フェスティバルの出演の話が来た。でもあの時は自分たちで作ってる公演とスケジュールが近かったから、実はバッサリ話を断っちゃったんだよね。あぁいう無料公演を、目の前のオファーに釣られて手にしてしまえば、5,000円以上するコンサート・チケット買ってきてくれたお客さんから総スカンをくらうことになる。で、それをカバーしてあまりあるくらいCDが売れたりみたいなことがあればいいんだけど、そういうことも起こらない。(というわけで、今後、ウチが無料公演をやるとしたら、それには裏に隠された意味がある、と思っていてください)ただし一度そんな風にバンドにやって来た話を断った手前、私にはスヴェングに、もっとちゃんとした仕事を運んでくる義務があるのだ。スヴェングは、しばらく自分じゃ呼べてなかったから、今回、民音さんで呼んでもらえて、かなりホッとしてる。続けていくのは、ホントに大変なのだ。

エーロがハーモニカをひっくり返しながら演奏する「Eksyneen Tango」民音さんの公演はすべてソールドアウトになることで有名なので一般のファンの方は早めにチケットをゲットしてくださいね。1月来日。もうあと1ケ月だよ! 日程はここ



そしてこちらも絶好調のフルック。先週チケットを発売開始して、思ったより動きがいいので、ホッとしています。早くも東京DUOは目標人数の半分まで行った。あと5ケ月あるのに。ありがとうございます。っていうか、ウチってやっぱりケルトが一番強かったんだ?! ま、でもフルックくらいいっちゃえば、背景の文化よりもバンド自体の魅力だよね。彼らのことを待ってくれていたお客さんがいて、ホントに嬉しい。ありがとうございます。チケット発送、第1弾はこの週末に行う予定です。

しかしかっこいいよね、彼ら。



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