発信することは、つねにリスクが伴う。

さとなおこと、佐藤尚之さんがちょっと前にこんなツイートを紹介してた。「54歳にもなってわりとこんな円環で日々を生きています」…だって! 

あんなに成功しているさとなおさんでもそうなんだ!…って、ちょっと嬉しくなったりもして。 

私はといえば、もういっつも、このイラストみたいな感じだ。企画が思い浮かび「オレって、すっげー」とばかりに盛り上がるのだが、結局世間の荒波にもまれ、ダメだこりゃとなる。でもそこからなんとか自分を奮い立たせ、這い上がるように復活していく。そんな繰り返しの毎日。皆さんの前に企画が発表できる時には、その前に死んだ企画が20本くらい横たわっている…

でも、まぁ、それでも自分の企画を打ち出していかないと自分の存在意義がないからねぇ。他の人と同じことやってちゃ、全然ダメなのだ。この感覚は私はすっごく若い頃からあって、自分は人と同じ努力をしてたんじゃ、全然駄目なんだってずっと分ってた。人と同じことしてたんじゃ生き残っていけない、って妙に子供のころから自覚していたような気がする。ちょっと前に小島慶子さんのこの記事にも書かれていたが、私も女子アナのことを笑えない、いわゆる承認欲求のかたまりである。だから自分の企画を作るし、ここにいろいろ書いてみたりする。

しかし発信することのリスクって、最近じゃ、ホントどっこにでもあるのね…とちょっと呆れている。パリで同時多発テロがあったことなど、もうみんな忘れているようだけど、あの短い間にFacebook上ではプロフィール写真をどうしたこうしたで、あれこれ意見が飛び、誰かを非難する人が自分のウォールにも多くてゲンナリしてしまった。SNS上の自分のID写真みたいな、ほんのささいな事でさえ、そんな風なんだから、ここにこんな風に長いブログを書いている私なんぞはいったいどんな批判を知らない場所で得ているか、分ったもんじゃないわな。あっちこっちで敵作ってんだろーな。自分じゃ、普通なことしか書いてないつもりなんだがなー。

これまたかなり前のニュースにも思えるが、菊地直子被告が無罪になったことがニュースでやっていて、無罪はないだろ、とか多くの人が勝手な事を言っていて、ちょっとびっくり。私はオウムの事件はちゃんとニュースを追いかけていないから、詳しいことは知らないが、結局のところ自分ではきちんと追いかける時間もないと自覚している。でもそれはその問題を真剣に考えていない、ということではなく、江川紹子さんみたいなジャーナリストさんに任せればいいと思っているからなのだ。「江川さんが言うのであれば…」とオウムについては、いつも自分を納得させている。江川さんはこの判決に納得としていた。だからそれでいいのだ。もちろん私も江川さんの言うことに何でもかんでも賛成しているわけでもない。(確か彼女は死刑賛成論者だったはず)

…とまぁ、これに限らず、その道の専門家ってホントに大変だよね。程度はあれど発言する場合、その責任を負うのは当然なのだろうが… 加えて彼女にしてみれば、これまであれこれ記事を書いたり取材をしてきた手前、ここでひるむわけにはいかないわけで… ほんとに頑張ってらっしゃるなぁ、と思う。私もレベルは違うけど、やっぱり自分の仕事においては「ひるんでるわけにはいかない」って思う。発信すれば大なり小なりリスクが生まれてくるし、ネット上だってそうのだから、ましてや自分で何かを実行した日にゃ、そりゃ…

ここもどうなんだろうと思う。ここももっと「ゆるふわ」「癒し」「おケルト」にすれば、読者が増えるのかもしれないけどさ… でも読者増やすためにやってるブログじゃないからね。それに私はアイリッシュ・ミュージックのオーソリティでも北欧音楽のことをよく知ってるわけでもない。ただ単に自分の好きなバンドと一緒に仕事をしているだけなのだ。なので、自分に関係ないバンドには、そもそも「興味がない」 このジャンルに詳しい人は、他にいくらでもいる。ただ言わせてもらえれば、知識を持っている人は多くても、それを公の場で発信する勇気がある人は少ないし、さらにミュージシャンとシビアな交渉をし、彼らにギャラを支払って一緒に仕事が出来る人は、やっぱりものすごく少ない。

そして「ゆるふわ」「癒し」「おケルト」風にすれば、今いる数すくないお客さんから総スカンをくらうことにもなりかねないのだわ。そりゃあ、もうちょっとお客さんの人数が増えてくれればいいなといつも思うよ。でもいいんだ。今いるお客さんが着いてきてさえくれれば。今のウチのお客さんは、チケットは、ほとんど完璧に申し込みがあれば支払いまで、きちんと完了してくれる。無連絡キャンセルとか滅多にないし、手続きにおいて低レベルの問題もほとんど起こらない。そして私が1人でこのオフィスをやっていることについて理解をしめしてくれている。お客さんの理解がなければ、ウチもまったくやっていけない。そして私も自分にウソがあれば、この仕事をこんなに続けていくことは出来ない。

江川さんが「人間は弱いです。カルトというものはそこをついてくる。誰にでも起こりうることなんです」ってTVで言ってた。人間は、分っているのに理想的に生きることが出来ない。そういう生き物なんだって、いい加減理解しないと。そうなんだよねー、そうなんだよねー 人間は弱い。

それは理解した上であえて言うが、人はどうであれ、私は自分が弱いままではいやなんだ。だからここで自分のためのブログを書いて、自分がやりたいことを有限実行させるのだ。それだけだ。それがお客さんに受けて、プロジェクトに金銭的な成功を生み出せば、それは最高のボーナスだ。でもだいたいは、そこそこ、まずまずの成功しか生み出さない(爆)。自分の企画をやっては赤字になり、ギャラ仕事を受けてなんとか補填する。一方で、自分のクリエティブな企画を実現させないと、凡人な私にギャラ仕事なんてやって来やしない。そんな繰り返し。それでTHE MUSIC PLANTが本当に倒れてしまえば、それまでなのだが、そこまで大きな失敗にはならないところが、これまたニクい。大した結果にもならず、とほほ…という気持ちのまま1つの企画が終わり、しかしながら、たいして堪えた感もなく、次の企画のため不死鳥のように復活して来るのだ、オレは。ほんと懲りない性格だよなぁ!


ナヌークのおにいちゃんこと、クリスチャンが歌うこの曲が好きです。ナヌークの曲はヘンなリズムチェンジがあるのが、ホントに面白い。
「ワタリガラスよ、教えてくれ。いったい僕らはどこに行こうとしているのか」
北欧においてはワタリガラスは未来を導くものの象徴とされる。


PS
これいいでしょ。「意見を表明しようと思ったら、無傷ではいられない」
https://mobile.twitter.com/AntifaKyoto/status/672079747631812610/photo/1