いや〜、これは興味深い映画だった。「グッバイ!ベルイマン」(邦題がほんと秀逸。原題は「Trespassing Bergman」ですから。Trespassって不法侵入とか、権利侵害とかそういう意味)先週末から渋谷ユーロスペースで始った「トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2016」で観ました。
一言で言うと、ものすごくいい映画だった。実はわたくしベルイマンは「第7の封印」しか観ておりません。しかも観てる途中、ほとんど寝てて、内容をほとんど覚えていないという、ふとどきものです。何度も書きますが、スウェーデンってどうしてもフィンランドみたいに「国に」感情移入できなかった。今だにヴェーセン以外、スウェーデンのことは何も出来ていない私です、ハイ。
それはさておき… ベルイマン関係で、好きだったのは彼の映画ではなく、彼のことを撮ったドキュメンタリー。その感想はここ。 離れ小島に1人でひっそり暮らしている、ってのがいいなぁ!とすごく思ったのだった。赤ワインを飲みながら暖炉の火のそばで本を読み、映画をみる…なんて素敵な生活なんだろう、って。そして犬がいないってのが新しいよな、と思ったのだった。まぁ、犬がいる孤独ってのもありなんだろうけど、本当に孤独を愛するなら犬さえも必要ないよね。うーん、いいよ、ベルイマン監督!!
今日観たこの映画の中にも、そのドキュメンタリーでのぞき見た暖炉の側のソファや、本棚が出て来たのだけど、実際の話、監督はかなりの不眠に悩まされていたみたいね。「オレは社会的には成功したけど私生活はボロボロだった」みたいなことを机の上に落書きしているのを、ベルイマンの家を訪ねた大ファンだという映画監督が見つける。
そう、この映画はベルイマンの大ファンを自称する世紀の大映画監督たちが、いろいろベルイマンについて語るドキュメンタリーなのだ。マーティン・スコセッシ、ウッディ・アレン、リドリー・スコット… 私でも知ってるような有名映画監督さんたちがゾロゾロ出て来る。あ、世界の北野監督も。そして、そのうちの何人かは、このベルイマン宅を彼の死後はじめて訪ね、彼の机に座り感慨深けにベルイマン作品への思いを語るのだった。
ある女性監督などは「ここは恐いわ」といって、とっとと家の外に出てしまう。気持ちわかる。だって主が死んだあとのこの家に、まさか本人は彼を慕う映画監督たちが押し寄せてくるとは思ってはいなかっただろうから。まさにそれは「不法侵入 Trespassing」なのだから。
一番チャーミングで良かったのは、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督。この「聖地」に来れたのが本当に嬉しい,嬉しい、と瞳をキラキラさせて語る。すごいなぁ、すごいなぁ、と。そして作品への愛を熱く語るのだった。
そして、これ、上映後に行われた町山智浩さんのスカイプ解説で出て来たのだが、あの素晴らしい映画「バードマンあるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡」は、リニャリトゥ監督が、このベルイマンの家を訪ねたことでインスパイヤされたんじゃないか、と。そう、ちなみに「仕事は成功したけど私生活は〜」の落書きを見つけたのも、リニャリトゥ監督である。うーん、町山さん、ホントにするどすぎる!!
他にも町山さんは、この映画に本来でるべきベルイマンに影響をうけまくった映画監督の名前を4人ほどあげていて、これは興味深かった。メモらなかったので4人全員の名前は忘れちゃったが、タルコフスキー、そしてデヴィッド・リンチの名前が上がってたね。なるほどね。
あとこの映画において制作者が、北野武監督のコメントを思ったより上手く引き出せてなかったね、と指摘していた。北野監督は、それでも「ヌードを見るために“不良少女モニカ”を観に走った」ってことと、ベルイマンの「言わなくても通じる日本人的なもの」について話をしていた。町山さんいわく、北野監督はベルイマン監督の大ファンなはずです、とのこと。
そしてベルイマンの自伝は面白い、ということもおっしゃってた。この自伝、Amazonで検索したけど、もう手にはいらないのよね。そして、この人、ホントにセックスのことしか考えてませんからー、みたいな(笑) ふふふ…面白い。読んでみようかな。そうそうベルイマン監督もウチのヴェーセンと一緒でウプサラの出身なのね。ウプサラのものすごく厳格な牧師の家に育って、ほぼ暴力ともいうべき虐待を受けながら育った。監督はお父さんへの恨みつらみを映画に昇華させたにすぎない。でも世間では… ものすごい高い位置から社会をするどく描く…みたいに監督を評価しちゃった、と。本当は自分のおちんちんのことしか考えてない監督なのに!!
ところで… この映画の中でアメリカ人が全員ベルイマンのことを「バーグマン」と呼ぶのにちょっと感動した。そうだよね、バーグマンだよね。私はいまだにベルイマンなのかベリイマンなのか、時々忘れちゃって、資料を見直さないと自信を持ってカタカナで書くことが出来ない。実はヴェーセンの曲に「ビョークベリィズポルスカン」ってのがあって、そいつのBergをベリィって呼んでるから、いつもベリィって言っちゃう。
一方で、映画の世界ではベルイマンより一般人に対する知名度が圧倒的に高いスウェーデン人、イングリット・バーグマンはバーグマンだったんだし、そっちに足並みをあわせれば、監督の知名度ももっとあがったんでね?と、乱暴に思うのであった(爆)
何はともあれ、良い映画だった。まだ明日の9時から観られるから、是非みんな駆けつけて!!
ところで入場時にこんな親切なリストが配られる。出演監督とその代表作。これは親切。さすが北欧映画を愛するトーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2016。
それから、町山さんのベルイマン監督作品の解説はこちら!
→ 第7の封印 → 仮面ペルソナ
トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2016は、金曜日まで続きます。まだ間に合うよ!
2月10日(水) 11:30『サイレント・ハート』/14:00『ヴィクトリア』/16:30『ウィー・アー・ザ・ベスト!』/19:00『ビートルズ』/21:10『グッバイ!ベルイマン』
2月11日(木) 11:30『ヴィクトリア』/14:00『好きにならずにいられない』/16:30『“糸”~道を求める者の日記』/19:00『コンクリート・ナイト』/21:10『白夜の時を越えて』
2月12日(金) 11:30『ビートルズ』/14:00『サイレント・ハート』/16:30『愛する人へ』/19:00『ウィー・アー・ザ・ベスト!』/21:10『メン&チキン』
一言で言うと、ものすごくいい映画だった。実はわたくしベルイマンは「第7の封印」しか観ておりません。しかも観てる途中、ほとんど寝てて、内容をほとんど覚えていないという、ふとどきものです。何度も書きますが、スウェーデンってどうしてもフィンランドみたいに「国に」感情移入できなかった。今だにヴェーセン以外、スウェーデンのことは何も出来ていない私です、ハイ。
それはさておき… ベルイマン関係で、好きだったのは彼の映画ではなく、彼のことを撮ったドキュメンタリー。その感想はここ。 離れ小島に1人でひっそり暮らしている、ってのがいいなぁ!とすごく思ったのだった。赤ワインを飲みながら暖炉の火のそばで本を読み、映画をみる…なんて素敵な生活なんだろう、って。そして犬がいないってのが新しいよな、と思ったのだった。まぁ、犬がいる孤独ってのもありなんだろうけど、本当に孤独を愛するなら犬さえも必要ないよね。うーん、いいよ、ベルイマン監督!!
今日観たこの映画の中にも、そのドキュメンタリーでのぞき見た暖炉の側のソファや、本棚が出て来たのだけど、実際の話、監督はかなりの不眠に悩まされていたみたいね。「オレは社会的には成功したけど私生活はボロボロだった」みたいなことを机の上に落書きしているのを、ベルイマンの家を訪ねた大ファンだという映画監督が見つける。
そう、この映画はベルイマンの大ファンを自称する世紀の大映画監督たちが、いろいろベルイマンについて語るドキュメンタリーなのだ。マーティン・スコセッシ、ウッディ・アレン、リドリー・スコット… 私でも知ってるような有名映画監督さんたちがゾロゾロ出て来る。あ、世界の北野監督も。そして、そのうちの何人かは、このベルイマン宅を彼の死後はじめて訪ね、彼の机に座り感慨深けにベルイマン作品への思いを語るのだった。
ある女性監督などは「ここは恐いわ」といって、とっとと家の外に出てしまう。気持ちわかる。だって主が死んだあとのこの家に、まさか本人は彼を慕う映画監督たちが押し寄せてくるとは思ってはいなかっただろうから。まさにそれは「不法侵入 Trespassing」なのだから。
一番チャーミングで良かったのは、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督。この「聖地」に来れたのが本当に嬉しい,嬉しい、と瞳をキラキラさせて語る。すごいなぁ、すごいなぁ、と。そして作品への愛を熱く語るのだった。
そして、これ、上映後に行われた町山智浩さんのスカイプ解説で出て来たのだが、あの素晴らしい映画「バードマンあるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡」は、リニャリトゥ監督が、このベルイマンの家を訪ねたことでインスパイヤされたんじゃないか、と。そう、ちなみに「仕事は成功したけど私生活は〜」の落書きを見つけたのも、リニャリトゥ監督である。うーん、町山さん、ホントにするどすぎる!!
他にも町山さんは、この映画に本来でるべきベルイマンに影響をうけまくった映画監督の名前を4人ほどあげていて、これは興味深かった。メモらなかったので4人全員の名前は忘れちゃったが、タルコフスキー、そしてデヴィッド・リンチの名前が上がってたね。なるほどね。
あとこの映画において制作者が、北野武監督のコメントを思ったより上手く引き出せてなかったね、と指摘していた。北野監督は、それでも「ヌードを見るために“不良少女モニカ”を観に走った」ってことと、ベルイマンの「言わなくても通じる日本人的なもの」について話をしていた。町山さんいわく、北野監督はベルイマン監督の大ファンなはずです、とのこと。
そしてベルイマンの自伝は面白い、ということもおっしゃってた。この自伝、Amazonで検索したけど、もう手にはいらないのよね。そして、この人、ホントにセックスのことしか考えてませんからー、みたいな(笑) ふふふ…面白い。読んでみようかな。そうそうベルイマン監督もウチのヴェーセンと一緒でウプサラの出身なのね。ウプサラのものすごく厳格な牧師の家に育って、ほぼ暴力ともいうべき虐待を受けながら育った。監督はお父さんへの恨みつらみを映画に昇華させたにすぎない。でも世間では… ものすごい高い位置から社会をするどく描く…みたいに監督を評価しちゃった、と。本当は自分のおちんちんのことしか考えてない監督なのに!!
ところで… この映画の中でアメリカ人が全員ベルイマンのことを「バーグマン」と呼ぶのにちょっと感動した。そうだよね、バーグマンだよね。私はいまだにベルイマンなのかベリイマンなのか、時々忘れちゃって、資料を見直さないと自信を持ってカタカナで書くことが出来ない。実はヴェーセンの曲に「ビョークベリィズポルスカン」ってのがあって、そいつのBergをベリィって呼んでるから、いつもベリィって言っちゃう。
一方で、映画の世界ではベルイマンより一般人に対する知名度が圧倒的に高いスウェーデン人、イングリット・バーグマンはバーグマンだったんだし、そっちに足並みをあわせれば、監督の知名度ももっとあがったんでね?と、乱暴に思うのであった(爆)
何はともあれ、良い映画だった。まだ明日の9時から観られるから、是非みんな駆けつけて!!
ところで入場時にこんな親切なリストが配られる。出演監督とその代表作。これは親切。さすが北欧映画を愛するトーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2016。
それから、町山さんのベルイマン監督作品の解説はこちら!
→ 第7の封印 → 仮面ペルソナ
トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2016は、金曜日まで続きます。まだ間に合うよ!
2月10日(水) 11:30『サイレント・ハート』/14:00『ヴィクトリア』/16:30『ウィー・アー・ザ・ベスト!』/19:00『ビートルズ』/21:10『グッバイ!ベルイマン』
2月11日(木) 11:30『ヴィクトリア』/14:00『好きにならずにいられない』/16:30『“糸”~道を求める者の日記』/19:00『コンクリート・ナイト』/21:10『白夜の時を越えて』
2月12日(金) 11:30『ビートルズ』/14:00『サイレント・ハート』/16:30『愛する人へ』/19:00『ウィー・アー・ザ・ベスト!』/21:10『メン&チキン』