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2016年2月20日土曜日

流通とか卸しとか…


こんな記事が載って、ちょっと私のfacebookで話題になっています。CDも似たようなもんで日本の流通はホントに難しい。外国の産業が日本に進出してくるときに、一番のネックになるのがここだと言われています。他にもお酒(特にビール)の業界とかも同じような状態らしいですね。日本でのビジネスはディストリビューション(販売)のルートをもっていてナンボ。つまりは小さいビジネスが進出しにくい状況にあります。

たとえばCD、本について。CDや本を自分で出したとしても、それをすぐに店には置いてもらえない。いや、厳密にいえば、決定権を持っている、やる気のある店だったら、自費出版のアイテムでも置いてもらうことは可能でしょう。が、普通は経理が複雑化してしまう、発送や在庫管理などの業務が複雑化してしまう、という理由で却下されてしまいます。取次ぎ(問屋、卸し…呼び方はいろいろです)を通してください、と。普通はそう言われます。

そういうわけで本やCDを流通させるには取次さんと契約をすることが必須となっていく。でも最近は売る努力を何もしないのに2次卸しみたいなものまで出て来て、流通間における少ない利益をむみんなで喰いあっている…とも言えなくもありません。それでこの記事のようなフラストレーションが生まれてくるわけです。

いや積極的に売ってもらおうなんて100年早い。せめて…せめて注文が来た時は敏速に対応してほしい、血液の流れを止めないでほしい、っていうのもあるでしょう。間に入っているならやることをやれ、と。

私もCDを積極的に出していた時代には、いろいろ思うところもあったし、実際AmazonさんやTowerさんから直取引をオファーされたこともありました。実際、流通システムにストレスをかかえていたレーベルは、直取引に走った人が多かったようです。ウチは経理や出荷が複雑になるのがイヤで、多少の手数料を払ってでも販売業者にやってもらうのが良いと考え、そこまでには至らなかったけど…

でも、ある日同業者の友達に相談され、私は「いや、ウチは業務の複雑化は死活問題だからやらない。でも●●さんとこは、それについてのストレスが大きいんだったら、踏み出してみれば?」みたいに答えたのが記憶にあります。そのレーベルさんは、それこそホントに命をかけて1枚1枚のCDを売ってた。社長さんは自分が大量のアドバンスを払って権利を押さえ必死にプロモーションしているCDの並行輸入している誰かがいる…というのにも耐えられず、そういうゴキブリたたきにも必死に取り組んでました。ウチは時間の無駄だと考え、悔しいながらも放置してたんだけど…気持ち痛いほど分かる! でも、まぁ、要は気持ちの問題なんだとは思います。取次はずして数パーセントの利益をもらったところで業務が複雑化すれば、それをカバーするために人を雇わないといけない。もしくは大きく自分の時間が取られてしまう。要はそれのバランスなんだと思います。悔しいけど。

一方で、小売店(CDショップ)にもすごくお世話になったお店もあれば、嫌な思いをさせられた店もたくさんありました。言えることは、すべて担当者次第、といったところでしょう。今や誰にもゆとりがない時代。CDや本の販売なんて、とくにそうです。存在意義を打ち出せるような仕事をしない限り、それは合理性というものに淘汰されていく、ということなんだと思いますね。

まぁ、でもウチは比較的恵まれていた方だとは思います。特にメタカンパニーさんにはホントにお世話になりましたし、今でもなっています。でも一方で、他の、名前もいいたくないような何もしない取次もあったし、原楽器もウチみたいな弱小レーベルに売り掛けを残して勝手に倒産しやがりました。CDの販売についてはもうほとんど積極的にやっていないので(去年もリリースしたのはポール・ブレイディの「ヴィッカー・ストリート」だけだった)こんなことも言えますが、今でも何かいいアルバムがあれば、リリースしたいとは思っています。レーベル運営をまったくやめたわけじゃない。

でもあの林真理子でさえ「作家は絶対に書店の味方なんです」と思わせぶりに書いているのを見ると、私も心の中で同情を禁じ得ない。私も同じ気持ちです、と。今でもバックオーダー(旧譜に対してオーダーがくること)があるわけだし、CDを売っている限り、店や取次ぎの悪口を言うわけにはいかない。しかし思うところはいつでも大量にあります。それはどんなビジネスにおいてもそうだと思う。

本を売っている出版社などのストレスもすごいと思いますが、さすが日本。黒船(外資)がくるまで何もできなかった、ということか。今後のAmazonをめぐる直取引はどうなっていくんでしょうね。ただあまり合理性を追求しても、なんか世知辛い気もしますけどね… 

ちょっと和む動画を。ニューヨークで一番古いIrish Pub。162周年だそうですよ。記事はこちら。